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小切手法(振出・裏書)


第一章 小切手ノ振出及方式


第一条  小切手ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一  証券ノ文言中ニ其ノ証券ノ作成ニ用フル語ヲ以テ記載スル小切手ナルコトヲ示ス文字
二  一定ノ金額ヲ支払フベキ旨ノ単純ナル委託
三  支払ヲ為スベキ者(支払人)ノ名称
四  支払ヲ為スベキ地ノ表示
五  小切手ヲ振出ス日及地ノ表示
六  小切手ヲ振出ス者(振出人)ノ署名

第二条  前条ニ掲グル事項ノ何レカヲ欠ク証券ハ小切手タル効力ヲ有セズ但シ次ノ数項ニ規定スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
○2 支払人ノ名称ニ附記シタル地ハ特別ノ表示ナキ限リ之ヲ支払地ト看做ス支払人ノ名称ニ数箇ノ地ノ附記アルトキハ小切手ハ初頭ニ記載シアル地ニ於テ之ヲ支払フベキモノトス
○3 前項ノ記載其ノ他何等ノ表示ナキ小切手ハ振出地ニ於テ之ヲ支払フベキモノトス
○4 振出地ノ記載ナキ小切手ハ振出人ノ名称ニ附記シタル地ニ於テ之ヲ振出シタルモノト看做ス

第三条  小切手ハ其ノ呈示ノ時ニ於テ振出人ノ処分シ得ル資金アル銀行ニ宛テ且振出人ヲシテ資金ヲ小切手ニ依リ処分スルコトヲ得シムル明示又ハ黙示ノ契約ニ従ヒ之ヲ振出スベキモノトス但シ此ノ規定ニ従ハザルトキト雖モ証券ノ小切手タル効力ヲ妨ゲズ

第四条  小切手ハ引受ヲ為スコトヲ得ズ小切手ニ為シタル引受ノ記載ハ之ヲ為サザルモノト看做ス

第五条  小切手ハ左ノ何レカトシテ之ヲ振出スコトヲ得
一  記名式又ハ指図式
二  記名式ニシテ「指図禁止」ノ文字又ハ之ト同一ノ意義ヲ有スル文言ヲ記載スルモノ
三  持参人払式
○2 記名ノ小切手ニシテ「又ハ持参人ニ」ノ文字又ハ之ト同一ノ意義ヲ有スル文言ヲ記載シタルモノハ之ヲ持参人払式小切手ト看做ス
○3 受取人ノ記載ナキ小切手ハ之ヲ持参人払式小切手ト看做ス

第六条  小切手ハ振出人ノ自己指図ニテ之ヲ振出スコトヲ得
○2 小切手ハ第三者ノ計算ニ於テ之ヲ振出スコトヲ得
○3 小切手ハ振出人ノ自己宛ニテ之ヲ振出スコトヲ得

第七条  小切手ニ記載シタル利息ノ約定ハ之ヲ為サザルモノト看做ス

第八条  小切手ハ支払人ノ住所地ニ在ルト又ハ其ノ他ノ地ニ在ルトヲ問ハズ第三者ノ住所ニ於テ支払フベキモノト為スコトヲ得但シ其ノ第三者ハ銀行タルコトヲ要ス

第九条  小切手ノ金額ヲ文字及数字ヲ以テ記載シタル場合ニ於テ其ノ金額ニ差異アルトキハ文字ヲ以テ記載シタル金額ヲ小切手金額トス
○2 小切手ノ金額ヲ文字ヲ以テ又ハ数字ヲ以テ重複シテ記載シタル場合ニ於テ其ノ金額ニ差異アルトキハ最小金額ヲ小切手金額トス

第十条  小切手ニ小切手債務ノ負担ニ付キ行為能力ナキ者ノ署名、偽造ノ署名、仮設人ノ署名又ハ其ノ他ノ事由ニ因リ小切手ノ署名者若ハ其ノ本人ニ義務ヲ負ハシムルコト能ハザル署名アル場合ト雖モ他ノ署名者ノ債務ハ之ガ為其ノ効力ヲ妨ゲラルルコトナシ

第十一条  代理権ヲ有セザル者ガ代理人トシテ小切手ニ署名シタルトキハ自ラ其ノ小切手ニ因リ義務ヲ負フ其ノ者ガ支払ヲ為シタルトキハ本人ト同一ノ権利ヲ有ス権限ヲ超エタル代理人ニ付亦同ジ

第十二条  振出人ハ支払ヲ担保ス振出人ガ之ヲ担保セザル旨ノ一切ノ文言ハ之ヲ記載セザルモノト看做ス

第十三条  未完成ニテ振出シタル小切手ニ予メ為シタル合意ト異ル補充ヲ為シタル場合ニ於テハ其ノ違反ハ之ヲ以テ所持人ニ対抗スルコトヲ得ズ但シ所持人ガ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リ小切手ヲ取得シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
   第二章 譲渡


第十四条  記名式又ハ指図式ノ小切手ハ裏書ニ依リテ之ヲ譲渡スコトヲ得
○2 記名式小切手ニシテ「指図禁止」ノ文字又ハ之ト同一ノ意義ヲ有スル文言ヲ記載シタルモノハ指名債権ノ譲渡ニ関スル方式ニ従ヒ且其ノ効力ヲ以テノミ之ヲ譲渡スコトヲ得
○3 裏書ハ振出人其ノ他ノ債務者ニ対シテモ之ヲ為スコトヲ得此等ノ者ハ更ニ小切手ヲ裏書スルコトヲ得

第十五条  裏書ハ単純ナルコトヲ要ス裏書ニ附シタル条件ハ之ヲ記載セザルモノト看做ス
○2 一部ノ裏書ハ之ヲ無効トス
○3 支払人ノ裏書モ亦之ヲ無効トス
○4 持参人払ノ裏書ハ白地式裏書ト同一ノ効力ヲ有ス
○5 支払人ニ対シテ為シタル裏書ハ受取証書タル効力ノミヲ有ス但シ支払人ガ数箇ノ営業所ヲ有スル場合ニ於テ小切手ノ振宛テラレタル営業所以外ノ営業所ニ対シテ為シタル裏書ハ此ノ限ニ在ラズ

第十六条  裏書ハ小切手又ハ之ト結合シタル紙片(補箋)ニ之ヲ記載シ裏書人署名スルコトヲ要ス
○2 裏書ハ被裏書人ヲ指定セズシテ之ヲ為シ又ハ単ニ裏書人ノ署名ノミヲ以テ之ヲ為スコトヲ得(白地式裏書)此ノ後ノ場合ニ於テハ裏書ハ小切手ノ裏面又ハ補箋ニ之ヲ為スニ非ザレバ其ノ効力ヲ有セズ

第十七条  裏書ハ小切手ヨリ生ズル一切ノ権利ヲ移転ス
○2  裏書ガ白地式ナルトキハ所持人ハ
一  自己ノ名称又ハ他人ノ名称ヲ以テ白地ヲ補充スルコトヲ得
二  白地式ニ依リ又ハ他人ヲ表示シテ更ニ小切手ヲ裏書スルコトヲ得
三  白地ヲ補充セズ且裏書ヲ為サズシテ小切手ヲ第三者ニ譲渡スコトヲ得

第十八条  裏書人ハ反対ノ文言ナキ限リ支払ヲ担保ス
○2 裏書人ハ新ナル裏書ヲ禁ズルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ裏書人ハ小切手ノ爾後ノ被裏書人ニ対シ担保ノ責ヲ負フコトナシ

第十九条  裏書シ得ベキ小切手ノ占有者ガ裏書ノ連続ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキハ之ヲ適法ノ所持人ト看做ス最後ノ裏書ガ白地式ナル場合ト雖モ亦同ジ抹消シタル裏書ハ此ノ関係ニ於テハ之ヲ記載セザルモノト看做ス白地式裏書ニ次デ他ノ裏書アルトキハ其ノ裏書ヲ為シタル者ハ白地式裏書ニ因リテ小切手ヲ取得シタルモノト看做ス

第二十条  持参人払式小切手ニ裏書ヲ為シタルトキハ裏書人ハ遡求ニ関スル規定ニ従ヒ責任ヲ負フ但シ之ガ為証券ハ指図式小切手ニ変ズルコトナシ

第二十一条  事由ノ何タルヲ問ハズ小切手ノ占有ヲ失ヒタル者アル場合ニ於テ其ノ小切手ヲ取得シタル所持人ハ小切手ガ持参人払式ノモノナルトキ又ハ裏書シ得ベキモノニシテ其ノ所持人ガ第十九条ノ規定ニ依リ権利ヲ証明スルトキハ之ヲ返還スル義務ヲ負フコトナシ但シ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リ之ヲ取得シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ

第二十二条  小切手ニ依リ請求ヲ受ケタル者ハ振出人其ノ他所持人ノ前者ニ対スル人的関係ニ基ク抗弁ヲ以テ所持人ニ対抗スルコトヲ得ズ但シ所持人ガ其ノ債務者ヲ害スルコトヲ知リテ小切手ヲ取得シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ

第二十三条  裏書ニ「回収ノ為」、「取立ノ為」、「代理ノ為」其ノ他単ナル委任ヲ示ス文言アルトキハ所持人ハ小切手ヨリ生ズル一切ノ権利ヲ行使スルコトヲ得但シ所持人ハ代理ノ為ノ裏書ノミヲ為スコトヲ得
○2 前項ノ場合ニ於テハ債務者ガ所持人ニ対抗スルコトヲ得ル抗弁ハ裏書人ニ対抗スルコトヲ得ベカリシモノニ限ル
○3 代理ノ為ノ裏書ニ依ル委任ハ委任者ノ死亡又ハ其ノ者ガ行為能力ノ制限ヲ受ケタルコトニ因リ終了セズ

第二十四条  拒絶証書若ハ之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言ノ作成後ノ裏書又ハ呈示期間経過後ノ裏書ハ指名債権ノ譲渡ノ効力ノミヲ有ス
○2 日附ノ記載ナキ裏書ハ拒絶証書若ハ之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言ノ作成前又ハ呈示期間経過前ニ之ヲ為シタルモノト推定ス


posted by FLS at 08:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 民事系の条文集

手形法(約束手形・通則)



  第二編 約束手形

第七十五条  約束手形ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一  証券ノ文言中ニ其ノ証券ノ作成ニ用フル語ヲ以テ記載スル約束手形ナルコトヲ示ス文字
二  一定ノ金額ヲ支払フベキ旨ノ単純ナル約束
三  満期ノ表示
四  支払ヲ為スベキ地ノ表示
五  支払ヲ受ケ又ハ之ヲ受クル者ヲ指図スル者ノ名称
六  手形ヲ振出ス日及地ノ表示
七  手形ヲ振出ス者(振出人)ノ署名

第七十六条  前条ニ掲グル事項ノ何レカヲ欠ク証券ハ約束手形タル効力ヲ有セズ但シ次ノ数項ニ規定スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
○2 満期ノ記載ナキ約束手形ハ之ヲ一覧払ノモノト看做ス
○3 振出地ハ特別ノ表示ナキ限リ之ヲ支払地ニシテ且振出人ノ住所地タルモノト看做ス
○4 振出地ノ記載ナキ約束手形ハ振出人ノ名称ニ附記シタル地ニ於テ之ヲ振出シタルモノト看做ス

第七十七条  左ノ事項ニ関スル為替手形ニ付テノ規定ハ約束手形ノ性質ニ反セザル限リ之ヲ約束手形ニ準用ス
一  裏書(第十一条乃至第二十条)
二  満期(第三十三条乃至第三十七条)
三  支払(第三十八条乃至第四十二条)
四  支払拒絶ニ因ル遡求(第四十三条乃至第五十条、第五十二条乃至第五十四条)
五  参加支払(第五十五条、第五十九条乃至第六十三条)
六  謄本(第六十七条及第六十八条)
七  変造(第六十九条)
八  時効(第七十条及第七十一条)
九  休日、期間ノ計算及恩恵日ノ禁止(第七十二条乃至第七十四条)
○2 第三者方ニテ又ハ支払人ノ住所地ニ非ザル地ニ於テ支払ヲ為スベキ為替手形(第四条及第二十七条)、利息ノ約定(第五条)、支払金額ニ関スル記載ノ差異(第六条)、第七条ニ規定スル条件ノ下ニ為サレタル署名ノ効果、権限ナクシテ又ハ之ヲ超エテ為シタル者ノ署名ノ効果(第八条)及白地為替手形(第十条)ニ関スル規定モ亦之ヲ約束手形ニ準用ス
○3 保証ニ関スル規定(第三十条乃至第三十二条)モ亦之ヲ約束手形ニ準用ス第三十一条末項ノ場合ニ於テ何人ノ為ニ保証ヲ為シタルカヲ表示セザルトキハ約束手形ノ振出人ノ為ニ之ヲ為シタルモノト看做ス

第七十八条  約束手形ノ振出人ハ為替手形ノ引受人ト同一ノ義務ヲ負フ
○2 一覧後定期払ノ約束手形ハ第二十三条ニ規定スル期間内ニ振出人ノ一覧ノ為之ヲ呈示スルコトヲ要ス一覧後ノ期間ハ振出人ガ手形ニ一覧ノ旨ヲ記載シテ署名シタル日ヨリ進行ス振出人ガ日附アル一覧ノ旨ノ記載ヲ拒ミタルトキハ拒絶証書ニ依リテ之ヲ証スルコトヲ要ス(第二十五条)其ノ日附ハ一覧後ノ期間ノ初日トス

   附 則


第七十九条  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム

第八十条  商法第四編第一章乃至第三章及商法施行法第百二十四条乃至第百二十六条ハ之ヲ削除ス但シ商法其ノ他ノ法令ノ規定ノ適用上之ニ依ルベキ場合ニ於テハ仍其ノ効力ヲ有ス

第八十一条  本法施行前ニ振出シタル為替手形及約束手形ニ付テハ仍従前ノ規定ニ依ル

第八十二条  本法ニ於テ署名トアルハ記名捺印ヲ含ム

第八十三条  第三十八条第二項(第七十七条第一項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ手形交換所ハ法務大臣之ヲ指定ス

第八十四条  拒絶証書ノ作成ニ関スル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム

第八十五条  為替手形又ハ約束手形ヨリ生ジタル権利ガ手続ノ欠缺又ハ時効ニ因リテ消滅シタルトキト雖モ所持人ハ振出人、引受人又ハ裏書人ニ対シ其ノ受ケタル利益ノ限度ニ於テ償還ノ請求ヲ為スコトヲ得

第八十六条  裏書人ノ他ノ裏書人及振出人ニ対スル為替手形上及約束手形上ノ請求権ノ消滅時効ハ其ノ者ガ訴ヲ受ケタル場合ニ在リテハ前者ニ対シ訴訟告知ヲ為スニ因リテ中断ス
○2 前項ノ規定ニ因リテ中断シタル時効ハ裁判ノ確定シタル時ヨリ更ニ其ノ進行ヲ始ム

第八十七条  本法ニ於テ休日トハ祭日、祝日、日曜日其ノ他ノ一般ノ休日及政令ヲ以テ定ムル日ヲ謂フ

第八十八条  為替手形及約束手形ニ依リ義務ヲ負フ者ノ行為能力ハ其ノ本国法ニ依リ之ヲ定ム其ノ国ノ法ガ他国ノ法ニ依ルコトヲ定ムルトキハ其ノ他国ノ法ヲ適用ス
○2 前項ニ掲グル法ニ依リ行為能力ヲ有セザル者ト雖モ他ノ国ノ領域ニ於テ署名ヲ為シ其ノ国ノ法ニ依レバ行為能力ヲ有スベキトキハ責任ヲ負フ

第八十九条  為替手形上及約束手形上ノ行為ノ方式ハ署名ヲ為シタル地ノ属スル国ノ法ニ依リ之ヲ定ム
○2 為替手形上及約束手形上ノ行為ガ前項ノ規定ニ依リ有効ナラザル場合ト雖モ後ノ行為ヲ為シタル地ノ属スル国ノ法ニ依レバ適式ナルトキハ後ノ行為ハ前ノ行為ガ不適式ナルコトニ因リ其ノ効力ヲ妨ゲラルルコトナシ
○3 日本人ガ外国ニ於テ為シタル為替手形上及約束手形上ノ行為ハ其ノ行為ガ日本法ニ規定スル方式ニ適合スル限リ他ノ日本人ニ対シ其ノ効力ヲ有ス

第九十条  為替手形ノ引受人及約束手形ノ振出人ノ義務ノ効力ハ其ノ証券ノ支払地ノ属スル国ノ法ニ依リ之ヲ定ム
○2 前項ニ掲グル者ヲ除キ為替手形又ハ約束手形ニ依リ債務ヲ負フ者ノ署名ヨリ生ズル効力ハ其ノ署名ヲ為シタル地ノ属スル国ノ法ニ依リ之ヲ定ム但シ遡求権ヲ行使スル期間ハ一切ノ署名者ニ付証券ノ振出地ノ属スル国ノ法ニ依リ之ヲ定ム

第九十一条  為替手形ノ所持人ガ証券ノ振出ノ原因タル債権ヲ取得スルヤ否ヤハ証券ノ振出地ノ属スル国ノ法ニ依リ之ヲ定ム

第九十二条  為替手形ノ引受ヲ手形金額ノ一部ニ制限シ得ルヤ否ヤ及所持人ニ一部支払ヲ受諾スル義務アリヤ否ヤハ支払地ノ属スル国ノ法ニ依リ之ヲ定ム
○2 前項ノ規定ハ約束手形ノ支払ニ之ヲ準用ス

第九十三条  拒絶証書ノ方式及作成期間其ノ他為替手形上及約束手形上ノ権利ノ行使又ハ保存ニ必要ナル行為ノ方式ハ拒絶証書ヲ作ルベキ地又ハ其ノ行為ヲ為スベキ地ノ属スル国ノ法ニ依リ之ヲ定ム

第九十四条  為替手形又ハ約束手形ノ喪失又ハ盗難ノ場合ニ為スベキ手続ハ支払地ノ属スル国ノ法ニ依リ之ヲ定ム


posted by FLS at 08:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 民事系の条文集

手形法(複本・謄本・変造・時効)



   第九章 複本及謄本

    第一節 複本


第六十四条  為替手形ハ同一内容ノ数通ヲ以テ之ヲ振出スコトヲ得
○2 此ノ複本ニハ其ノ証券ノ文言中ニ番号ヲ附スルコトヲ要ス之ヲ欠クトキハ各通ハ之ヲ各別ノ為替手形ト看做ス
○3 一通限ニテ振出ス旨ノ記載ナキ手形ノ所持人ハ自己ノ費用ヲ以テ複本ノ交付ヲ請求スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ所持人ハ自己ノ直接ノ裏書人ニ対シテ其ノ請求ヲ為シ其ノ裏書人ハ自己ノ裏書人ニ対シテ手続ヲ為スコトニ依リテ之ニ協力シ順次振出人ニ及ブベキモノトス各裏書人ハ新ナル複本ニ裏書ヲ再記スルコトヲ要ス

第六十五条  複本ノ一通ノ支払ハ其ノ支払ガ他ノ複本ヲ無効ナラシムル旨ノ記載ナキトキト雖モ義務ヲ免レシム但シ支払人ハ引受ヲ為シタル各通ニシテ返還ヲ受ケザルモノニ付責任ヲ負フ
○2 数人ニ各別ニ複本ヲ譲渡シタル裏書人及其ノ後ノ裏書人ハ其ノ署名アル各通ニシテ返還ヲ受ケザルモノニ付責任ヲ負フ

第六十六条  引受ノ為複本ノ一通ヲ送付シタル者ハ他ノ各通ニ此ノ一通ヲ保持スル者ノ名称ヲ記載スベシ其ノ者ハ他ノ一通ノ正当ナル所持人ニ対シ之ヲ引渡スコトヲ要ス
○2 保持者ガ引渡ヲ拒ミタルトキハ所持人ハ拒絶証書ニ依リ左ノ事実ヲ証スルニ非ザレバ遡求権ヲ行フコトヲ得ズ
一  引受ノ為送付シタル一通ガ請求ヲ為スモ引渡サレザリシコト
二  他ノ一通ヲ以テ引受又ハ支払ヲ受クルコト能ハザリシコト
    第二節 謄本


第六十七条  為替手形ノ所持人ハ其ノ謄本ヲ作ル権利ヲ有ス
○2 謄本ニハ裏書其ノ他原本ニ掲ゲタル一切ノ事項ヲ正確ニ再記シ且其ノ末尾ヲ示スコトヲ要ス
○3 謄本ニハ原本ト同一ノ方法ニ従ヒ且同一ノ効力ヲ以テ裏書又ハ保証ヲ為スコトヲ得

第六十八条  謄本ニハ原本ノ保持者ヲ表示スベシ保持者ハ謄本ノ正当ナル所持人ニ対シ其ノ原本ヲ引渡スコトヲ要ス
○2 保持者ガ引渡ヲ拒ミタルトキハ所持人ハ拒絶証書ニ依リ原本ガ請求ヲ為スモ引渡サレザリシコトヲ証スルニ非ザレバ謄本ニ裏書又ハ保証ヲ為シタル者ニ対シ遡求権ヲ行フコトヲ得ズ
○3 謄本作成前ニ為シタル最後ノ裏書ノ後ニ「爾後裏書ハ謄本ニ為シタルモノノミ効力ヲ有ス」ノ文句其ノ他之ト同一ノ意義ヲ有スル文言ガ原本ニ存スルトキハ原本ニ為シタル其ノ後ノ裏書ハ之ヲ無効トス
   第十章 変造


第六十九条  為替手形ノ文言ノ変造ノ場合ニ於テハ其ノ変造後ノ署名者ハ変造シタル文言ニ従ヒテ責任ヲ負ヒ変造前ノ署名者ハ原文言ニ従ヒテ責任ヲ負フ
   第十一章 時効


第七十条  引受人ニ対スル為替手形上ノ請求権ハ満期ノ日ヨリ三年ヲ以テ時効ニ罹ル
○2 所持人ノ裏書人及振出人ニ対スル請求権ハ適法ノ時期ニ作ラシメタル拒絶証書ノ日附ヨリ、無費用償還文句アル場合ニ於テハ満期ノ日ヨリ一年ヲ以テ時効ニ罹ル
○3 裏書人ノ他ノ裏書人及振出人ニ対スル請求権ハ其ノ裏書人ガ手形ノ受戻ヲ為シタル日又ハ其ノ者ガ訴ヲ受ケタル日ヨリ六月ヲ以テ時効ニ罹ル

第七十一条  時効ノ中断ハ其ノ中断ノ事由ガ生ジタル者ニ対シテノミ其ノ効力ヲ生ズ
   第十二章 通則


第七十二条  満期ガ法定ノ休日ニ当ル為替手形ハ之ニ次グ第一ノ取引日ニ至ル迄其ノ支払ヲ請求スルコトヲ得ズ又為替手形ニ関スル他ノ行為殊ニ引受ノ為ノ呈示及拒絶証書ノ作成ハ取引日ニ於テノミ之ヲ為スコトヲ得
○2 末日ヲ法定ノ休日トスル一定ノ期間内ニ前項ノ行為ヲ為スベキ場合ニ於テハ期間ハ其ノ満了ニ次グ第一ノ取引日迄之ヲ伸長ス期間中ノ休日ハ之ヲ期間ニ算入ス

第七十三条  法定又ハ約定ノ期間ニハ其ノ初日ヲ算入セズ

第七十四条  恩恵日ハ法律上ノモノタルト裁判上ノモノタルトヲ問ハズ之ヲ認メズ


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手形法(遡求・参加)


 第七章 引受拒絶又ハ支払拒絶ニ因ル遡求


第四十三条  満期ニ於テ支払ナキトキハ所持人ハ裏書人、振出人其ノ他ノ債務者ニ対シ其ノ遡求権ヲ行フコトヲ得左ノ場合ニ於テハ満期前ト雖モ亦同ジ
一  引受ノ全部又ハ一部ノ拒絶アリタルトキ
二  引受ヲ為シタル若ハ為サザル支払人ガ破産手続開始ノ決定ヲ受ケタル場合、其ノ支払停止ノ場合又ハ其ノ財産ニ対スル強制執行ガ効ヲ奏セザル場合
三  引受ノ為ノ呈示ヲ禁ジタル手形ノ振出人ガ破産手続開始ノ決定ヲ受ケタル場合

第四十四条  引受又ハ支払ノ拒絶ハ公正証書(引受拒絶証書又ハ支払拒絶証書)ニ依リ之ヲ証明スルコトヲ要ス
○2 引受拒絶証書ハ引受ノ為ノ呈示期間内ニ之ヲ作ラシムルコトヲ要ス第二十四条第一項ニ規定スル場合ニ於テ期間ノ末日ニ第一ノ呈示アリタルトキハ拒絶証書ハ其ノ翌日之ヲ作ラシムルコトヲ得
○3 確定日払、日附後定期払又ハ一覧後定期払ノ為替手形ノ支払拒絶証書ハ為替手形ノ支払ヲ為スベキ日又ハ之ニ次グ二取引日内ニ之ヲ作ラシムルコトヲ要ス一覧払ノ手形ノ支払拒絶証書ハ引受拒絶証書ノ作成ニ関シテ前項ニ規定スル条件ニ従ヒ之ヲ作ラシムルコトヲ要ス
○4 引受拒絶証書アルトキハ支払ノ為ノ呈示及支払拒絶証書ヲ要セズ
○5 引受ヲ為シタル若ハ為サザル支払人ガ支払ヲ停止シタル場合又ハ其ノ財産ニ対スル強制執行ガ効ヲ奏セザル場合ニ於テハ所持人ハ支払人ニ対シ手形ノ支払ノ為ノ呈示ヲ為シ且拒絶証書ヲ作ラシメタル後ニ非ザレバ其ノ遡求権ヲ行フコトヲ得ズ
○6 引受ヲ為シタル若ハ為サザル支払人ガ破産手続開始ノ決定ヲ受ケタル場合又ハ引受ノ為ノ呈示ヲ禁ジタル手形ノ振出人ガ破産手続開始ノ決定宣告ヲ受ケタル場合ニ於テ所持人ガ其ノ遡求権ヲ行フニハ破産手続開始ノ決定ノ裁判書ヲ提出スルヲ以テ足ル

第四十五条  所持人ハ拒絶証書作成ノ日ニ次グ又ハ無費用償還文句アル場合ニ於テハ呈示ノ日ニ次グ四取引日内ニ自己ノ裏書人及振出人ニ対シ引受拒絶又ハ支払拒絶アリタルコトヲ通知スルコトヲ要ス各裏書人ハ通知ヲ受ケタル日ニ次グ二取引日内ニ前ノ通知者全員ノ名称及宛所ヲ示シテ自己ノ受ケタル通知ヲ自己ノ裏書人ニ通知シ順次振出人ニ及ブモノトス此ノ期間ハ各其ノ通知ヲ受ケタル時ヨリ進行ス
○2 前項ノ規定ニ従ヒ為替手形ノ署名者ニ通知ヲ為ストキハ同一期間内ニ其ノ保証人ニ同一ノ通知ヲ為スコトヲ要ス
○3 裏書人ガ其ノ宛所ヲ記載セズ又ハ其ノ記載ガ読ミ難キ場合ニ於テハ其ノ裏書人ノ直接ノ前者ニ通知スルヲ以テ足ル
○4 通知ヲ為スベキ者ハ如何ナル方法ニ依リテモ之ヲ為スコトヲ得単ニ為替手形ヲ返付スルニ依リテモ亦之ヲ為スコトヲ得
○5 通知ヲ為スベキ者ハ適法ノ期間内ニ通知ヲ為シタルコトヲ証明スルコトヲ要ス此ノ期間内ニ通知ヲ為ス書面ヲ郵便ニ付シ又ハ民間事業者による信書の送達に関する法律 (平成十四年法律第九十九号)第二条第六項 ニ規定スル一般信書便事業者若ハ同条第九項 ニ規定スル特定信書便事業者ノ提供スル同条第二項 ニ規定スル信書便ノ役務ヲ利用シテ発送シタル場合ニ於テハ其ノ期間ヲ遵守シタルモノト看做ス
○6 前項ノ期間内ニ通知ヲ為サザル者ハ其ノ権利ヲ失フコトナシ但シ過失ニ因リテ生ジタル損害アルトキハ為替手形ノ金額ヲ超エザル範囲内ニ於テ其ノ賠償ノ責ニ任ズ

第四十六条  振出人、裏書人又ハ保証人ハ証券ニ記載シ且署名シタル「無費用償還」、「拒絶証書不要」ノ文句其ノ他之ト同一ノ意義ヲ有スル文言ニ依リ所持人ニ対シ其ノ遡求権ヲ行フ為ノ引受拒絶証書又ハ支払拒絶証書ノ作成ヲ免除スルコトヲ得
○2 前項ノ文言ハ所持人ニ対シ法定期間内ニ於ケル為替手形ノ呈示及通知ノ義務ヲ免除スルコトナシ期間ノ不遵守ハ所持人ニ対シ之ヲ援用スル者ニ於テ其ノ証明ヲ為スコトヲ要ス
○3 振出人ガ第一項ノ文言ヲ記載シタルトキハ一切ノ署名者ニ対シ其ノ効力ヲ生ズ裏書人又ハ保証人ガ之ヲ記載シタルトキハ其ノ裏書人又ハ保証人ニ対シテノミ其ノ効力ヲ生ズ振出人ガ此ノ文言ヲ記載シタルニ拘ラズ所持人ガ拒絶証書ヲ作ラシメタルトキハ其ノ費用ハ所持人之ヲ負担ス裏書人又ハ保証人ガ此ノ文言ヲ記載シタル場合ニ於テ拒絶証書ノ作成アリタルトキハ一切ノ署名者ヲシテ其ノ費用ヲ償還セシムルコトヲ得

第四十七条  為替手形ノ振出、引受、裏書又ハ保証ヲ為シタル者ハ所持人ニ対シ合同シテ其ノ責ニ任ズ
○2 所持人ハ前項ノ債務者ニ対シ其ノ債務ヲ負ヒタル順序ニ拘ラズ各別又ハ共同ニ請求ヲ為スコトヲ得
○3 為替手形ノ署名者ニシテ之ヲ受戻シタルモノモ同一ノ権利ヲ有ス
○4 債務者ノ一人ニ対スル請求ハ他ノ債務者ニ対スル請求ヲ妨ゲズ既ニ請求ヲ受ケタル者ノ後者ニ対シテモ亦同ジ

第四十八条  所持人ハ遡求ヲ受クル者ニ対シ左ノ金額ヲ請求スルコトヲ得
一  引受又ハ支払アラザリシ為替手形ノ金額及利息ノ記載アルトキハ其ノ利息
二  年六分ノ率ニ依ル満期以後ノ利息
三  拒絶証書ノ費用、通知ノ費用及其ノ他ノ費用
○2 満期前ニ遡求権ヲ行フトキハ割引ニ依リ手形金額ヲ減ズ其ノ割引ハ所持人ノ住所地ニ於ケル遡求ノ日ノ公定割引率(銀行率)ニ依リ之ヲ計算ス

第四十九条  為替手形ヲ受戻シタル者ハ其ノ前者ニ対シ左ノ金額ヲ請求スルコトヲ得
一  其ノ支払ヒタル総金額
二  前号ノ金額ニ対シ年六分ノ率ニ依リ計算シタル支払ノ日以後ノ利息
三  其ノ支出シタル費用

第五十条  遡求ヲ受ケタル又ハ受クベキ債務者ハ支払ト引換ニ拒絶証書、受取ヲ証スル記載ヲ為シタル計算書及為替手形ノ交付ヲ請求スルコトヲ得
○2 為替手形ヲ受戻シタル裏書人ハ自己及後者ノ裏書ヲ抹消スルコトヲ得

第五十一条  一部引受ノ後ニ遡求権ヲ行フ場合ニ於テ引受アラザリシ手形金額ノ支払ヲ為ス者ハ其ノ支払ノ旨ヲ手形ニ記載スルコト及受取証書ヲ交付スルコトヲ請求スルコトヲ得又所持人ハ爾後ノ遡求ヲ為スコトヲ得シムル為手形ノ証明謄本及拒絶証書ヲ交付スルコトヲ要ス

第五十二条  遡求権ヲ有スル者ハ反対ノ記載ナキ限リ其ノ前者ノ一人ニ宛テ一覧払トシテ振出シ且其ノ者ノ住所ニ於テ支払フベキ新手形(戻手形)ニ依リ遡求ヲ為スコトヲ得
○2 戻手形ハ第四十八条及第四十九条ニ規定スル金額ノ外其ノ戻手形ノ仲立料及印紙税ヲ含ム
○3 所持人ガ戻手形ヲ振出ス場合ニ於テハ其ノ金額ハ本手形ノ支払地ヨリ前者ノ住所地ニ宛テ振出ス一覧払ノ為替手形ノ相場ニ依リ之ヲ定ム裏書人ガ戻手形ヲ振出ス場合ニ於テハ其ノ金額ハ戻手形ノ振出人ガ其ノ住所地ヨリ前者ノ住所地ニ宛テ振出ス一覧払手形ノ相場ニ依リ之ヲ定ム

第五十三条  左ノ期間ガ経過シタルトキハ所持人ハ裏書人、振出人其ノ他ノ債務者ニ対シ其ノ権利ヲ失フ但シ引受人ニ対シテハ此ノ限ニ在ラズ
一  一覧払又ハ一覧後定期払ノ為替手形ノ呈示期間
二  引受拒絶証書又ハ支払拒絶証書ノ作成期間
三  無費用償還文句アル場合ニ於ケル支払ノ為ノ呈示期間
○2 振出人ノ記載シタル期間内ニ引受ノ為ノ呈示ヲ為サザルトキハ所持人ハ支払拒絶及引受拒絶ニ因ル遡求権ヲ失フ但シ其ノ記載ノ文言ニ依リ振出人ガ引受ノ担保義務ノミヲ免レントスル意思ヲ有シタルコトヲ知リ得ベキトキハ此ノ限ニ在ラズ
○3 裏書ニ呈示期間ノ記載アルトキハ其ノ裏書人ニ限リ之ヲ援用スルコトヲ得

第五十四条  法定ノ期間内ニ於ケル為替手形ノ呈示又ハ拒絶証書ノ作成ガ避クベカラザル障碍(国ノ法令ニ依ル禁制其ノ他ノ不可抗力)ニ因リテ妨ゲラレタルトキハ其ノ期間ヲ伸長ス
○2 所持人ハ自己ノ裏書人ニ対シ遅滞ナク其ノ不可抗力ヲ通知シ且為替手形又ハ補箋ニ其ノ通知ヲ記載シ日附ヲ附シテ之ニ署名スルコトヲ要ス其ノ他ニ付テハ第四十五条ノ規定ヲ準用ス
○3 不可抗力ガ止ミタルトキハ所持人ハ遅滞ナク引受又ハ支払ノ為手形ヲ呈示シ且必要アルトキハ拒絶証書ヲ作ラシムルコトヲ要ス
○4 不可抗力ガ満期ヨリ三十日ヲ超エテ継続スルトキハ呈示又ハ拒絶証書ノ作成ヲ要セズシテ遡求権ヲ行フコトヲ得
○5 一覧払又ハ一覧後定期払ノ為替手形ニ付テハ三十日ノ期間ハ呈示期間ノ経過前ト雖モ所持人ガ其ノ裏書人ニ不可抗力ノ通知ヲ為シタル日ヨリ進行ス一覧後定期払ノ為替手形ニ付テハ三十日ノ期間ニ為替手形ニ記載シタル一覧後ノ期間ヲ加フ
○6 所持人又ハ所持人ガ手形ノ呈示若ハ拒絶証書ノ作成ヲ委任シタル者ニ付テノ単純ナル人的事由ハ不可抗力ヲ構成スルモノト認メズ
   第八章 参加

    第一節 通則


第五十五条  振出人、裏書人又ハ保証人ハ予備支払人ヲ記載スルコトヲ得
○2 為替手形ハ遡求ヲ受クベキ何レノ債務者ノ為ニ参加ヲ為ス者ニ於テモ本章ニ規定スル条件ニ従ヒ其ノ引受又ハ支払ヲ為スコトヲ得
○3 参加人ハ第三者、支払人又ハ既ニ為替手形上ノ債務ヲ負フ者タルコトヲ得但シ引受人ハ此ノ限ニ在ラズ
○4 参加人ハ其ノ被参加人ニ対シ二取引日内ニ其ノ参加ノ通知ヲ為スコトヲ要ス此ノ期間ノ不遵守ノ場合ニ於テ過失ニ因リテ生ジタル損害アルトキハ参加人ハ為替手形ノ金額ヲ超エザル範囲内ニ於テ其ノ賠償ノ責ニ任ズ
    第二節 参加引受


第五十六条  参加引受ハ引受ノ為ノ呈示ヲ禁ゼザル為替手形ノ所持人ガ満期前ニ遡求権ヲ有スル一切ノ場合ニ於テ之ヲ為スコトヲ得
○2 為替手形ニ支払地ニ於ケル予備支払人ヲ記載シタルトキハ手形ノ所持人ハ其ノ者ニ為替手形ヲ呈示シ且拒絶証書ニ依リ其ノ者ガ引受ヲ拒ミタルコトヲ証スルニ非ザレバ其ノ記載ヲ為シタル者及其ノ後者ニ対シ満期前ニ遡求権ヲ行フコトヲ得ズ
○3 参加ノ他ノ場合ニ於テハ所持人ハ参加引受ヲ拒ムコトヲ得若所持人ガ之ヲ受諾スルトキハ被参加人及其ノ後者ニ対シ満期前ニ有スル遡求権ヲ失フ

第五十七条  参加引受ハ為替手形ニ之ヲ記載シ参加人署名スベシ参加引受ニハ被参加人ヲ表示スベシ其ノ表示ナキトキハ振出人ノ為ニ之ヲ為シタルモノト看做ス

第五十八条  参加引受人ハ所持人及被参加人ヨリ後ノ裏書人ニ対シ被参加人ト同一ノ義務ヲ負フ
○2 被参加人及其ノ前者ハ参加引受ニ拘ラズ所持人ニ対シ第四十八条ニ規定スル金額ノ支払ト引換ニ為替手形ノ交付ヲ請求スルコトヲ得拒絶証書及受取ヲ証スル記載ヲ為シタル計算書アルトキハ其ノ交付ヲモ請求スルコトヲ得
    第三節 参加支払


第五十九条  参加支払ハ所持人ガ満期又ハ満期前ニ遡求権ヲ有スル一切ノ場合ニ於テ之ヲ為スコトヲ得
○2 支払ハ被参加人ガ支払ヲ為スベキ全額ニ付之ヲ為スコトヲ要ス
○3 支払ハ支払拒絶証書ヲ作ラシムルコトヲ得ベキ最後ノ日ノ翌日迄ニ之ヲ為スコトヲ要ス

第六十条  為替手形ガ支払地ニ住所ヲ有スル参加人ニ依リテ引受ケラレタルトキ又ハ支払地ニ住所ヲ有スル者ガ予備支払人トシテ記載セラレタルトキハ所持人ハ此等ノ者ノ全員ニ手形ヲ呈示シ且必要アルトキハ拒絶証書ヲ作ラシムルコトヲ得ベキ最後ノ日ノ翌日迄ニ支払拒絶証書ヲ作ラシムルコトヲ要ス
○2 前項ノ期間内ニ拒絶証書ノ作成ナキトキハ予備支払人ヲ記載シタル者又ハ被参加人及其ノ後ノ裏書人ハ義務ヲ免ル

第六十一条  参加支払ヲ拒ミタル所持人ハ其ノ支払ニ因リテ義務ヲ免ルベカリシ者ニ対スル遡求権ヲ失フ

第六十二条  参加支払ハ被参加人ヲ表示シテ為替手形ニ為シタル受取ノ記載ニ依リ之ヲ証スルコトヲ要ス其ノ表示ナキトキハ支払ハ振出人ノ為ニ之ヲ為シタルモノト看做ス
○2 為替手形ハ参加支払人ニ之ヲ交付スルコトヲ要ス拒絶証書ヲ作ラシメタルトキハ之ヲモ交付スルコトヲ要ス

第六十三条  参加支払人ハ被参加人及其ノ者ノ為替手形上ノ債務者ニ対シ為替手形ヨリ生ズル権利ヲ取得ス但シ更ニ為替手形ヲ裏書スルコトヲ得ズ
○2 被参加人ヨリ後ノ裏書人ハ義務ヲ免ル
○3 参加支払ノ競合ノ場合ニ於テハ最モ多数ノ義務ヲ免レシムルモノ優先ス事情ヲ知リ此ノ規定ニ反シテ参加シタル者ハ義務ヲ免ルベカリシ者ニ対スル遡求権ヲ失フ


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手形法(引受・保証・支払)


   第三章 引受


第二十一条  為替手形ノ所持人又ハ単ナル占有者ハ満期ニ至ル迄引受ノ為支払人ニ其ノ住所ニ於テ之ヲ呈示スルコトヲ得

第二十二条  振出人ハ為替手形ニ期間ヲ定メ又ハ定メズシテ引受ノ為之ヲ呈示スベキ旨ヲ記載スルコトヲ得
○2 振出人ハ手形ニ引受ノ為ノ呈示ヲ禁ズル旨ヲ記載スルコトヲ得但シ手形ガ第三者方ニテ若ハ支払人ノ住所地ニ非ザル地ニ於テ支払フベキモノナルトキ又ハ一覧後定期払ナルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○3 振出人ハ一定ノ期日前ニハ引受ノ為ノ呈示ヲ為スベカラザル旨ヲ記載スルコトヲ得
○4 各裏書人ハ期間ヲ定メ又ハ定メズシテ引受ノ為手形ヲ呈示スベキ旨ヲ記載スルコトヲ得但シ振出人ガ引受ノ為ノ呈示ヲ禁ジタルトキハ此ノ限ニ在ラズ

第二十三条  一覧後定期払ノ為替手形ハ其ノ日附ヨリ一年内ニ引受ノ為之ヲ呈示スルコトヲ要ス
○2 振出人ハ前項ノ期間ヲ短縮シ又ハ伸長スルコトヲ得
○3 裏書人ハ前二項ノ期間ヲ短縮スルコトヲ得

第二十四条  支払人ハ第一ノ呈示ノ翌日ニ第二ノ呈示ヲ為スベキコトヲ請求スルコトヲ得利害関係人ハ此ノ請求ガ拒絶証書ニ記載セラレタルトキニ限リ之ニ応ズル呈示ナカリシコトヲ主張スルコトヲ得
○2 所持人ハ引受ノ為ニ呈示シタル手形ヲ支払人ニ交付スルコトヲ要セズ

第二十五条  引受ハ為替手形ニ之ヲ記載スベシ引受ハ「引受」其ノ他之ト同一ノ意義ヲ有スル文字ヲ以テ表示シ支払人署名スベシ手形ノ表面ニ為シタル支払人ノ単ナル署名ハ之ヲ引受ト看做ス
○2 一覧後定期払ノ手形又ハ特別ノ記載ニ従ヒ一定ノ期間内ニ引受ノ為ノ呈示ヲ為スベキ手形ニ於テハ所持人ガ呈示ノ日ノ日附ヲ記載スベキコトヲ請求シタル場合ヲ除クノ外引受ニハ之ヲ為シタル日ノ日附ヲ記載スルコトヲ要ス日附ノ記載ナキトキハ所持人ハ裏書人及振出人ニ対スル遡求権ヲ保全スル為ニハ適法ノ時期ニ作ラシメタル拒絶証書ニ依リ其ノ記載ナカリシコトヲ証スルコトヲ要ス

第二十六条  引受ハ単純ナルベシ但シ支払人ハ之ヲ手形金額ノ一部ニ制限スルコトヲ得
○2 引受ニ依リ為替手形ノ記載事項ニ加ヘタル他ノ変更ハ引受ノ拒絶タル効力ヲ有ス但シ引受人ハ其ノ引受ノ文言ニ従ヒテ責任ヲ負フ

第二十七条  振出人ガ支払人ノ住所地ト異ル支払地ヲ為替手形ニ記載シタル場合ニ於テ第三者方ニテ支払ヲ為スベキ旨ヲ定メザリシトキハ支払人ハ引受ヲ為スニ当リ其ノ第三者ヲ定ムルコトヲ得之ヲ定メザリシトキハ引受人ハ支払地ニ於テ自ラ支払ヲ為ス義務ヲ負ヒタルモノト看做ス
○2 手形ガ支払人ノ住所ニ於テ支払フベキモノナルトキハ支払人ハ引受ニ於テ支払地ニ於ケル支払ノ場所ヲ定ムルコトヲ得

第二十八条  支払人ハ引受ニ因リ満期ニ於テ為替手形ノ支払ヲ為ス義務ヲ負フ
○2 支払ナキ場合ニ於テハ所持人ハ第四十八条及第四十九条ノ規定ニ依リテ請求スルコトヲ得ベキ一切ノ金額ニ付引受人ニ対シ為替手形ヨリ生ズル直接ノ請求権ヲ有ス所持人ガ振出人ナルトキト雖モ亦同ジ

第二十九条  為替手形ニ引受ヲ記載シタル支払人ガ其ノ手形ノ返還前ニ之ヲ抹消シタルトキハ引受ヲ拒ミタルモノト看做ス抹消ハ証券ノ返還前ニ之ヲ為シタルモノト推定ス
○2 前項ノ規定ニ拘ラズ支払人ガ書面ヲ以テ所持人又ハ手形ニ署名シタル者ニ引受ノ通知ヲ為シタルトキハ此等ノ者ニ対シ引受ノ文言ニ従ヒテ責任ヲ負フ
   第四章 保証


第三十条  為替手形ノ支払ハ其ノ金額ノ全部又ハ一部ニ付保証ニ依リ之ヲ担保スルコトヲ得
○2 第三者ハ前項ノ保証ヲ為スコトヲ得手形ニ署名シタル者ト雖モ亦同ジ

第三十一条  保証ハ為替手形又ハ補箋ニ之ヲ為スベシ
○2 保証ハ「保証」其ノ他之ト同一ノ意義ヲ有スル文字ヲ以テ表示シ保証人署名スベシ
○3 為替手形ノ表面ニ為シタル単ナル署名ハ之ヲ保証ト看做ス但シ支払人又ハ振出人ノ署名ハ此ノ限ニ在ラズ
○4 保証ニハ何人ノ為ニ之ヲ為スカヲ表示スルコトヲ要ス其ノ表示ナキトキハ振出人ノ為ニ之ヲ為シタルモノト看做ス

第三十二条  保証人ハ保証セラレタル者ト同一ノ責任ヲ負フ
○2 保証ハ其ノ担保シタル債務ガ方式ノ瑕疵ヲ除キ他ノ如何ナル事由ニ因リテ無効ナルトキト雖モ之ヲ有効トス
○3 保証人ガ為替手形ノ支払ヲ為シタルトキハ保証セラレタル者及其ノ者ノ為替手形上ノ債務者ニ対シ為替手形ヨリ生ズル権利ヲ取得ス
   第五章 満期


第三十三条  為替手形ハ左ノ何レカトシテ之ヲ振出スコトヲ得
一  一覧払
二  一覧後定期払
三  日附後定期払
四  確定日払
○2 前項ト異ル満期又ハ分割払ノ為替手形ハ之ヲ無効トス

第三十四条  一覧払ノ為替手形ハ呈示アリタルトキ之ヲ支払フベキモノトス此ノ手形ハ其ノ日附ヨリ一年内ニ支払ノ為之ヲ呈示スルコトヲ要ス振出人ハ此ノ期間ヲ短縮シ又ハ伸長スルコトヲ得裏書人ハ此等ノ期間ヲ短縮スルコトヲ得
○2 振出人ハ一定ノ期日前ニハ一覧払ノ為替手形ヲ支払ノ為呈示スルコトヲ得ザル旨ヲ定ムルコトヲ得此ノ場合ニ於テ呈示ノ期間ハ其ノ期日ヨリ始マル

第三十五条  一覧後定期払ノ為替手形ノ満期ハ引受ノ日附又ハ拒絶証書ノ日附ニ依リテ之ヲ定ム
○2 拒絶証書アラザル場合ニ於テハ日附ナキ引受ハ引受人ニ関スル限リ引受ノ為ノ呈示期間ノ末日ニ之ヲ為シタルモノト看做ス

第三十六条  日附後又ハ一覧後一月又ハ数月払ノ為替手形ハ支払ヲ為スベキ月ニ於ケル応当日ヲ以テ満期トス応当日ナキトキハ其ノ月ノ末日ヲ以テ満期トス
○2 日附後又ハ一覧後一月半又ハ数月半払ノ為替手形ニ付テハ先ヅ全月ヲ計算ス
○3 月ノ始、月ノ央(一月ノ央、二月ノ央等)又ハ月ノ終ヲ以テ満期ヲ定メタルトキハ其ノ月ノ一日、十五日又ハ末日ヲ謂フ
○4 「八日」又ハ「十五日」トハ一週又ハ二週ニ非ズシテ満八日又ハ満十五日ヲ謂フ
○5 「半月」トハ十五日ノ期間ヲ謂フ

第三十七条  振出地ト暦ヲ異ニスル地ニ於テ確定日ニ支払フベキ為替手形ニ付テハ満期ノ日ハ支払地ノ暦ニ依リテ之ヲ定メタルモノト看做ス
○2 暦ヲ異ニスル二地ノ間ニ振出シタル為替手形ガ日附後定期払ナルトキハ振出ノ日ヲ支払地ノ暦ノ応当日ニ換ヘ之ニ依リテ満期ヲ定ム
○3 為替手形ノ呈示期間ハ前項ノ規定ニ従ヒテ之ヲ計算ス
○4 前三項ノ規定ハ為替手形ノ文言又ハ証券ノ単ナル記載ニ依リ別段ノ意思ヲ知リ得ベキトキハ之ヲ適用セズ
   第六章 支払


第三十八条  確定日払、日附後定期払又ハ一覧後定期払ノ為替手形ノ所持人ハ支払ヲ為スベキ日又ハ之ニ次グ二取引日内ニ支払ノ為手形ヲ呈示スルコトヲ要ス
○2 手形交換所ニ於ケル為替手形ノ呈示ハ支払ノ為ノ呈示タル効力ヲ有ス

第三十九条  為替手形ノ支払人ハ支払ヲ為スニ当リ所持人ニ対シ手形ニ受取ヲ証スル記載ヲ為シテ之ヲ交付スベキコトヲ請求スルコトヲ得
○2 所持人ハ一部支払ヲ拒ムコトヲ得ズ
○3 一部支払ノ場合ニ於テハ支払人ハ其ノ支払アリタル旨ノ手形上ノ記載及受取証書ノ交付ヲ請求スルコトヲ得

第四十条  為替手形ノ所持人ハ満期前ニハ其ノ支払ヲ受クルコトヲ要セズ
○2 満期前ニ支払ヲ為ス支払人ハ自己ノ危険ニ於テ之ヲ為スモノトス
○3 満期ニ於テ支払ヲ為ス者ハ悪意又ハ重大ナル過失ナキ限リ其ノ責ヲ免ル此ノ者ハ裏書ノ連続ノ整否ヲ調査スル義務アルモ裏書人ノ署名ヲ調査スル義務ナシ

第四十一条  支払地ノ通貨ニ非ザル通貨ヲ以テ支払フベキ旨ヲ記載シタル為替手形ニ付テハ満期ノ日ニ於ケル価格ニ依リ其ノ国ノ通貨ヲ以テ支払ヲ為スコトヲ得債務者ガ支払ヲ遅滞シタルトキハ所持人ハ其ノ選択ニ依リ満期ノ日又ハ支払ノ日ノ相場ニ従ヒ其ノ国ノ通貨ヲ以テ為替手形ノ金額ヲ支払フベキコトヲ請求スルコトヲ得
○2 外国通貨ノ価格ハ支払地ノ慣習ニ依リ之ヲ定ム但シ振出人ハ手形ニ定メタル換算率ニ依リ支払金額ヲ計算スベキ旨ヲ記載スルコトヲ得
○3 前二項ノ規定ハ振出人ガ特種ノ通貨ヲ以テ支払フベキ旨(外国通貨現実支払文句)ヲ記載シタル場合ニハ之ヲ適用セズ
○4 振出国ト支払国トニ於テ同名異価ヲ有スル通貨ニ依リ為替手形ノ金額ヲ定メタルトキハ支払地ノ通貨ニ依リテ之ヲ定メタルモノト推定ス

第四十二条  第三十八条ニ規定スル期間内ニ為替手形ノ支払ノ為ノ呈示ナキトキハ各債務者ハ所持人ノ費用及危険ニ於テ手形金額ヲ所轄官署ニ供託スルコトヲ得

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手形法(振出・裏書)


第一編 為替手形
   第一章 為替手形ノ振出及方式


第一条  為替手形ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一  証券ノ文言中ニ其ノ証券ノ作成ニ用フル語ヲ以テ記載スル為替手形ナルコトヲ示ス文字
二  一定ノ金額ヲ支払フベキ旨ノ単純ナル委託
三  支払ヲ為スベキ者(支払人)ノ名称
四  満期ノ表示
五  支払ヲ為スベキ地ノ表示
六  支払ヲ受ケ又ハ之ヲ受クル者ヲ指図スル者ノ名称
七  手形ヲ振出ス日及地ノ表示
八  手形ヲ振出ス者(振出人)ノ署名

第二条  前条ニ掲グル事項ノ何レカヲ欠ク証券ハ為替手形タル効力ヲ有セズ但シ次ノ数項ニ規定スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
○2 満期ノ記載ナキ為替手形ハ之ヲ一覧払ノモノト看做ス
○3 支払人ノ名称ニ附記シタル地ハ特別ノ表示ナキ限リ之ヲ支払地ニシテ且支払人ノ住所地タルモノト看做ス
○4 振出地ノ記載ナキ為替手形ハ振出人ノ名称ニ附記シタル地ニ於テ之ヲ振出シタルモノト看做ス

第三条  為替手形ハ振出人ノ自己指図ニテ之ヲ振出スコトヲ得
○2 為替手形ハ振出人ノ自己宛ニテ之ヲ振出スコトヲ得
○3 為替手形ハ第三者ノ計算ニ於テ之ヲ振出スコトヲ得

第四条  為替手形ハ支払人ノ住所地ニ在ルト又ハ其ノ他ノ地ニ在ルトヲ問ハズ第三者ノ住所ニ於テ支払フベキモノト為スコトヲ得

第五条  一覧払又ハ一覧後定期払ノ為替手形ニ於テハ振出人ハ手形金額ニ付利息ヲ生ズベキ旨ノ約定ヲ記載スルコトヲ得其ノ他ノ為替手形ニ於テハ此ノ約定ノ記載ハ之ヲ為サザルモノト看做ス
○2 利率ハ之ヲ手形ニ表示スルコトヲ要ス其ノ表示ナキトキハ利息ノ約定ノ記載ハ之ヲ為サザルモノト看做ス
○3 利息ハ別段ノ日附ノ表示ナキトキハ手形振出ノ日ヨリ発生ス

第六条  為替手形ノ金額ヲ文字及数字ヲ以テ記載シタル場合ニ於テ其ノ金額ニ差異アルトキハ文字ヲ以テ記載シタル金額ヲ手形金額トス
○2 為替手形ノ金額ヲ文字ヲ以テ又ハ数字ヲ以テ重複シテ記載シタル場合ニ於テ其ノ金額ニ差異アルトキハ最小金額ヲ手形金額トス

第七条  為替手形ニ手形債務ノ負担ニ付キ行為能力ナキ者ノ署名、偽造ノ署名、仮設人ノ署名又ハ其ノ他ノ事由ニ因リ為替手形ノ署名者若ハ其ノ本人ニ義務ヲ負ハシムルコト能ハザル署名アル場合ト雖モ他ノ署名者ノ債務ハ之ガ為其ノ効力ヲ妨ゲラルルコトナシ

第八条  代理権ヲ有セザル者ガ代理人トシテ為替手形ニ署名シタルトキハ自ラ其ノ手形ニ因リ義務ヲ負フ其ノ者ガ支払ヲ為シタルトキハ本人ト同一ノ権利ヲ有ス権限ヲ超エタル代理人ニ付亦同ジ

第九条  振出人ハ引受及支払ヲ担保ス
○2 振出人ハ引受ヲ担保セザル旨ヲ記載スルコトヲ得支払ヲ担保セザル旨ノ一切ノ文言ハ之ヲ記載セザルモノト看做ス

第十条  未完成ニテ振出シタル為替手形ニ予メ為シタル合意ト異ル補充ヲ為シタル場合ニ於テハ其ノ違反ハ之ヲ以テ所持人ニ対抗スルコトヲ得ズ但シ所持人ガ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リ為替手形ヲ取得シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
   第二章 裏書


第十一条  為替手形ハ指図式ニテ振出サザルトキト雖モ裏書ニ依リテ之ヲ譲渡スコトヲ得
○2 振出人ガ為替手形ニ「指図禁止」ノ文字又ハ之ト同一ノ意義ヲ有スル文言ヲ記載シタルトキハ其ノ証券ハ指名債権ノ譲渡ニ関スル方式ニ従ヒ且其ノ効力ヲ以テノミ之ヲ譲渡スコトヲ得
○3 裏書ハ引受ヲ為シタル又ハ為サザル支払人、振出人其ノ他ノ債務者ニ対シテモ之ヲ為スコトヲ得此等ノ者ハ更ニ手形ヲ裏書スルコトヲ得

第十二条  裏書ハ単純ナルコトヲ要ス裏書ニ附シタル条件ハ之ヲ記載セザルモノト看做ス
○2 一部ノ裏書ハ之ヲ無効トス
○3 持参人払ノ裏書ハ白地式裏書ト同一ノ効力ヲ有ス

第十三条  裏書ハ為替手形又ハ之ト結合シタル紙片(補箋)ニ之ヲ記載シ裏書人署名スルコトヲ要ス
○2 裏書ハ被裏書人ヲ指定セズシテ之ヲ為シ又ハ単ニ裏書人ノ署名ノミヲ以テ之ヲ為スコトヲ得(白地式裏書)此ノ後ノ場合ニ於テハ裏書ハ為替手形ノ裏面又ハ補箋ニ之ヲ為スニ非ザレバ其ノ効力ヲ有セズ

第十四条  裏書ハ為替手形ヨリ生ズル一切ノ権利ヲ移転ス
○2 裏書ガ白地式ナルトキハ所持人ハ
一  自己ノ名称又ハ他人ノ名称ヲ以テ白地ヲ補充スルコトヲ得
二  白地式ニ依リ又ハ他人ヲ表示シテ更ニ手形ヲ裏書スルコトヲ得
三  白地ヲ補充セズ且裏書ヲ為サズシテ手形ヲ第三者ニ譲渡スコトヲ得

第十五条  裏書人ハ反対ノ文言ナキ限リ引受及支払ヲ担保ス
○2 裏書人ハ新ナル裏書ヲ禁ズルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ裏書人ハ手形ノ爾後ノ被裏書人ニ対シ担保ノ責ヲ負フコトナシ

第十六条  為替手形ノ占有者ガ裏書ノ連続ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキハ之ヲ適法ノ所持人ト看做ス最後ノ裏書ガ白地式ナル場合ト雖モ亦同ジ抹消シタル裏書ハ此ノ関係ニ於テハ之ヲ記載セザルモノト看做ス白地式裏書ニ次デ他ノ裏書アルトキハ其ノ裏書ヲ為シタル者ハ白地式裏書ニ因リテ手形ヲ取得シタルモノト看做ス
○2 事由ノ何タルヲ問ハズ為替手形ノ占有ヲ失ヒタル者アル場合ニ於テ所持人ガ前項ノ規定ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキハ手形ヲ返還スル義務ヲ負フコトナシ但シ所持人ガ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リ之ヲ取得シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ

第十七条  為替手形ニ依リ請求ヲ受ケタル者ハ振出人其ノ他所持人ノ前者ニ対スル人的関係ニ基ク抗弁ヲ以テ所持人ニ対抗スルコトヲ得ズ但シ所持人ガ其ノ債務者ヲ害スルコトヲ知リテ手形ヲ取得シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ

第十八条  裏書ニ「回収ノ為」、「取立ノ為」、「代理ノ為」其ノ他単ナル委任ヲ示ス文言アルトキハ所持人ハ為替手形ヨリ生ズル一切ノ権利ヲ行使スルコトヲ得但シ所持人ハ代理ノ為ノ裏書ノミヲ為スコトヲ得
○2 前項ノ場合ニ於テハ債務者ガ所持人ニ対抗スルコトヲ得ル抗弁ハ裏書人ニ対抗スルコトヲ得ベカリシモノニ限ル
○3 代理ノ為ノ裏書ニ依ル委任ハ委任者ノ死亡又ハ其ノ者ガ行為能力ノ制限ヲ受ケタルコトニ因リ終了セズ

第十九条  裏書ニ「担保ノ為」、「質入ノ為」其ノ他質権ノ設定ヲ示ス文言アルトキハ所持人ハ為替手形ヨリ生ズル一切ノ権利ヲ行使スルコトヲ得但シ所持人ノ為シタル裏書ハ代理ノ為ノ裏書トシテノ効力ノミヲ有ス
○2 債務者ハ裏書人ニ対スル人的関係ニ基ク抗弁ヲ以テ所持人ニ対抗スルコトヲ得ズ但シ所持人ガ其ノ債務者ヲ害スルコトヲ知リテ手形ヲ取得シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ

第二十条  満期後ノ裏書ハ満期前ノ裏書ト同一ノ効力ヲ有ス但シ支払拒絶証書作成後ノ裏書又ハ支払拒絶証書作成期間経過後ノ裏書ハ指名債権ノ譲渡ノ効力ノミヲ有ス
○2 日附ノ記載ナキ裏書ハ支払拒絶証書作成期間経過前ニ之ヲ為シタルモノト推定ス


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動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律


  第一章 総則


(趣旨)
第一条  この法律は、法人がする動産及び債権の譲渡の対抗要件に関し民法 (明治二十九年法律第八十九号)の特例等を定めるものとする。

(定義)
第二条  この法律において「登記事項」とは、この法律の規定により登記すべき事項をいう。
2  この法律において「延長登記」とは、次条第二項に規定する動産譲渡登記又は第四条第二項に規定する債権譲渡登記若しくは第十四条第一項に規定する質権設定登記の存続期間を延長する登記をいう。
3  この法律において「抹消登記」とは、次条第二項に規定する動産譲渡登記又は第四条第二項に規定する債権譲渡登記若しくは第十四条第一項に規定する質権設定登記を抹消する登記をいう。

(動産の譲渡の対抗要件の特例等)
第三条  法人が動産(当該動産につき貨物引換証、預証券及び質入証券、倉荷証券又は船荷証券が作成されているものを除く。以下同じ。)を譲渡した場合において、当該動産の譲渡につき動産譲渡登記ファイルに譲渡の登記がされたときは、当該動産について、民法第百七十八条 の引渡しがあったものとみなす。
2  代理人によって占有されている動産の譲渡につき前項に規定する登記(以下「動産譲渡登記」という。)がされ、その譲受人として登記されている者が当該代理人に対して当該動産の引渡しを請求した場合において、当該代理人が本人に対して当該請求につき異議があれば相当の期間内にこれを述べるべき旨を遅滞なく催告し、本人がその期間内に異議を述べなかったときは、当該代理人は、その譲受人として登記されている者に当該動産を引き渡し、それによって本人に損害が生じたときであっても、その賠償の責任を負わない。
3  前二項の規定は、当該動産の譲渡に係る第十条第一項第二号に掲げる事由に基づいてされた動産譲渡登記の抹消登記について準用する。この場合において、前項中「譲受人」とあるのは、「譲渡人」と読み替えるものとする。

(債権の譲渡の対抗要件の特例等)
第四条  法人が債権(指名債権であって金銭の支払を目的とするものに限る。以下同じ。)を譲渡した場合において、当該債権の譲渡につき債権譲渡登記ファイルに譲渡の登記がされたときは、当該債権の債務者以外の第三者については、民法第四百六十七条 の規定による確定日付のある証書による通知があったものとみなす。この場合においては、当該登記の日付をもって確定日付とする。
2  前項に規定する登記(以下「債権譲渡登記」という。)がされた場合において、当該債権の譲渡及びその譲渡につき債権譲渡登記がされたことについて、譲渡人若しくは譲受人が当該債権の債務者に第十一条第二項に規定する登記事項証明書を交付して通知をし、又は当該債務者が承諾をしたときは、当該債務者についても、前項と同様とする。
3  前項の場合においては、民法第四百六十八条第二項 の規定は、前項に規定する通知がされたときに限り適用する。この場合においては、当該債権の債務者は、同項に規定する通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由を譲受人に対抗することができる。
4  前三項の規定は、当該債権の譲渡に係る第十条第一項第二号に掲げる事由に基づいてされた債権譲渡登記の抹消登記について準用する。この場合において、前項中「譲渡人」とあるのは「譲受人」と、「譲受人」とあるのは「譲渡人」と読み替えるものとする。
   第二章 動産譲渡登記及び債権譲渡登記等


(登記所)
第五条  動産譲渡登記及び債権譲渡登記に関する事務のうち、第七条から第十一条まで及び第十二条第二項に規定する事務は、法務大臣の指定する法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所(以下「指定法務局等」という。)が、登記所としてつかさどる。
2  動産譲渡登記及び債権譲渡登記に関する事務のうち、第十二条第一項及び第三項並びに第十三条第一項に規定する事務は、譲渡人の本店又は主たる事務所(本店又は主たる事務所が外国にあるときは、日本における営業所(外国会社の登記をした外国会社であって日本に営業所を設けていないものにあっては、日本における代表者の住所。第七条第二項第三号において同じ。)又は事務所)の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所(以下「本店等所在地法務局等」という。)が、登記所としてつかさどる。
3  第一項の指定は、告示してしなければならない。

(登記官)
第六条  登記所における動産譲渡登記及び債権譲渡登記に関する事務のうち、次の各号に掲げる事務は、それぞれ当該各号に定める法務事務官であって法務局又は地方法務局の長が指定した者が、登記官として取り扱う。
一  次条から第十一条まで及び第十二条第二項に規定する事務 指定法務局等に勤務する法務事務官
二  第十二条第一項及び第三項並びに第十三条第一項に規定する事務 本店等所在地法務局等に勤務する法務事務官

(動産譲渡登記)
第七条  指定法務局等に、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。次条第一項及び第十二条第一項において同じ。)をもって調製する動産譲渡登記ファイルを備える。
2  動産譲渡登記は、譲渡人及び譲受人の申請により、動産譲渡登記ファイルに、次に掲げる事項を記録することによって行う。
一  譲渡人の商号又は名称及び本店又は主たる事務所
二  譲受人の氏名及び住所(法人にあっては、商号又は名称及び本店又は主たる事務所)
三  譲渡人又は譲受人の本店又は主たる事務所が外国にあるときは、日本における営業所又は事務所
四  動産譲渡登記の登記原因及びその日付
五  譲渡に係る動産を特定するために必要な事項で法務省令で定めるもの
六  動産譲渡登記の存続期間
七  登記番号
八  登記の年月日
3  前項第六号の存続期間は、十年を超えることができない。ただし、十年を超えて存続期間を定めるべき特別の事由がある場合は、この限りでない。
4  動産譲渡登記(以下この項において「旧登記」という。)がされた譲渡に係る動産につき譲受人が更に譲渡をし、旧登記の存続期間の満了前に動産譲渡登記(以下この項において「新登記」という。)がされた場合において、新登記の存続期間が満了する日が旧登記の存続期間が満了する日の後に到来するときは、当該動産については、旧登記の存続期間は、新登記の存続期間が満了する日まで延長されたものとみなす。
5  動産譲渡登記がされた譲渡に係る動産につき譲受人が更に譲渡をし、当該動産譲渡登記の存続期間の満了前に民法第百七十八条 の引渡しがされた場合(第三条第一項の規定により同法第百七十八条 の引渡しがあったものとみなされる場合を除く。)には、当該動産については、当該動産譲渡登記の存続期間は、無期限とみなす。

(債権譲渡登記)
第八条  指定法務局等に、磁気ディスクをもって調製する債権譲渡登記ファイルを備える。
2  債権譲渡登記は、譲渡人及び譲受人の申請により、債権譲渡登記ファイルに、次に掲げる事項を記録することによって行う。
一  前条第二項第一号から第三号まで、第七号及び第八号に掲げる事項
二  債権譲渡登記の登記原因及びその日付
三  譲渡に係る債権(既に発生した債権のみを譲渡する場合に限る。第十条第三項第三号において同じ。)の総額
四  譲渡に係る債権を特定するために必要な事項で法務省令で定めるもの
五  債権譲渡登記の存続期間
3  前項第五号の存続期間は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める期間を超えることができない。ただし、当該期間を超えて存続期間を定めるべき特別の事由がある場合は、この限りでない。
一  譲渡に係る債権の債務者のすべてが特定している場合 五十年
二  前号に掲げる場合以外の場合 十年
4  債権譲渡登記(以下この項において「旧登記」という。)がされた譲渡に係る債権につき譲受人が更に譲渡をし、旧登記の存続期間の満了前に債権譲渡登記(以下この項において「新登記」という。)がされた場合において、新登記の存続期間が満了する日が旧登記の存続期間が満了する日の後に到来するときは、当該債権については、旧登記の存続期間は、新登記の存続期間が満了する日まで延長されたものとみなす。
5  債権譲渡登記がされた譲渡に係る債権につき譲受人が更に譲渡をし、当該債権譲渡登記の存続期間の満了前に民法第四百六十七条 の規定による通知又は承諾がされた場合(第四条第一項の規定により同法第四百六十七条 の規定による通知があったものとみなされる場合を除く。)には、当該債権については、当該債権譲渡登記の存続期間は、無期限とみなす。

(延長登記)
第九条  譲渡人及び譲受人は、動産譲渡登記又は債権譲渡登記に係る延長登記を申請することができる。ただし、当該動産譲渡登記又は債権譲渡登記の存続期間の延長により第七条第三項又は前条第三項の規定に反することとなるときは、この限りでない。
2  前項の規定による延長登記は、当該動産譲渡登記に係る動産譲渡登記ファイル又は当該債権譲渡登記に係る債権譲渡登記ファイルの記録に、次に掲げる事項を記録することによって行う。
一  当該動産譲渡登記又は債権譲渡登記の存続期間を延長する旨
二  延長後の存続期間
三  登記番号
四  登記の年月日

(抹消登記)
第十条  譲渡人及び譲受人は、次に掲げる事由があるときは、動産譲渡登記又は債権譲渡登記に係る抹消登記を申請することができる。
一  動産の譲渡又は債権の譲渡が効力を生じないこと。
二  動産の譲渡又は債権の譲渡が取消し、解除その他の原因により効力を失ったこと。
三  譲渡に係る動産又は譲渡に係る債権が消滅したこと。
2  前項の規定による抹消登記は、当該動産譲渡登記に係る動産譲渡登記ファイル又は当該債権譲渡登記に係る債権譲渡登記ファイルの記録に、次に掲げる事項を記録することによって行う。
一  当該動産譲渡登記又は債権譲渡登記を抹消する旨
二  抹消登記の登記原因及びその日付
三  登記番号
四  登記の年月日
3  譲渡に係る動産又は譲渡に係る債権が数個記録されている動産譲渡登記又は債権譲渡登記について、その一部の動産又は債権に係る部分につき抹消登記をするときは、前項第二号から第四号までに掲げる事項のほか、次に掲げる事項をも記録しなければならない。
一  当該動産譲渡登記又は債権譲渡登記の一部を抹消する旨
二  抹消登記に係る動産又は債権を特定するために必要な事項で法務省令で定めるもの
三  抹消後の譲渡に係る債権の総額

(登記事項概要証明書等の交付)
第十一条  何人も、指定法務局等の登記官に対し、動産譲渡登記ファイル又は債権譲渡登記ファイルに記録されている登記事項の概要(動産譲渡登記ファイル又は債権譲渡登記ファイルに記録されている事項のうち、第七条第二項第五号、第八条第二項第四号及び前条第三項第二号に掲げる事項を除いたものをいう。次条第二項及び第三項において同じ。)を証明した書面(第二十一条第一項において「登記事項概要証明書」という。)の交付を請求することができる。
2  次に掲げる者は、指定法務局等の登記官に対し、動産の譲渡又は債権の譲渡について、動産譲渡登記ファイル又は債権譲渡登記ファイルに記録されている事項を証明した書面(第二十一条第一項において「登記事項証明書」という。)の交付を請求することができる。
一  譲渡に係る動産又は譲渡に係る債権の譲渡人又は譲受人
二  譲渡に係る動産を差し押さえた債権者その他の当該動産の譲渡につき利害関係を有する者として政令で定めるもの
三  譲渡に係る債権の債務者その他の当該債権の譲渡につき利害関係を有する者として政令で定めるもの
四  譲渡に係る動産又は譲渡に係る債権の譲渡人の使用人

(登記事項概要ファイルへの記録等)
第十二条  本店等所在地法務局等に、磁気ディスクをもって調製する動産譲渡登記事項概要ファイル及び債権譲渡登記事項概要ファイルを備える。
2  動産譲渡登記若しくは債権譲渡登記又は抹消登記をした登記官は、本店等所在地法務局等に対し、当該登記をした旨その他当該登記に係る登記事項の概要のうち法務省令で定めるものを通知しなければならない。
3  前項の規定による通知を受けた本店等所在地法務局等の登記官は、遅滞なく、通知を受けた登記事項の概要のうち法務省令で定めるものを譲渡人の動産譲渡登記事項概要ファイル又は債権譲渡登記事項概要ファイル(次条第一項及び第十八条において「登記事項概要ファイル」と総称する。)に記録しなければならない。

(概要記録事項証明書の交付)
第十三条  何人も、本店等所在地法務局等の登記官に対し、登記事項概要ファイルに記録されている事項を証明した書面(第二十一条第一項において「概要記録事項証明書」という。)の交付を請求することができる。
2  前項の交付の請求は、法務省令で定める場合を除き、本店等所在地法務局等以外の法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所の登記官に対してもすることができる。

(債権質への準用)
第十四条  第四条及び第八条の規定並びに第五条、第六条及び第九条から前条までの規定中債権の譲渡に係る部分は、法人が債権を目的として質権を設定した場合において、当該質権の設定につき債権譲渡登記ファイルに記録された質権の設定の登記(以下「質権設定登記」という。)について準用する。この場合において、第四条の見出し並びに同条第一項、第二項及び第四項並びに第十条第一項第一号及び第二号中「債権の譲渡」とあるのは「質権の設定」と、第四条第一項中「譲渡の登記」とあるのは「質権の設定の登記」と、同項から同条第三項までの規定中「債権の債務者」とあるのは「質権の目的とされた債権の債務者」と、同条第一項及び第八条第五項中「民法第四百六十七条 」とあるのは「民法第三百六十四条 の規定によりその規定に従うこととされる同法第四百六十七条 」と、第四条第二項及び第四項、第五条第一項及び第二項、第六条、第八条の見出し並びに同条第四項及び第五項、第九条第一項、第十条第一項及び第三項並びに第十二条第二項中「債権譲渡登記」とあるのは「質権設定登記」と、第四条第二項中「その譲渡」とあるのは「その質権の設定」と、同項から同条第四項まで、第五条第二項、第八条第二項、第九条第一項、第十条第一項、第十一条第二項第一号及び第四号並びに第十二条第三項中「譲渡人」とあるのは「質権設定者」と、第四条第二項から第四項まで、第八条第二項、第四項及び第五項、第九条第一項、第十条第一項並びに第十一条第二項第一号中「譲受人」とあるのは「質権者」と、第五条第一項中「第七条から第十一条まで及び第十二条第二項」とあり、第六条第一号中「次条から第十一条まで及び第十二条第二項」とあるのは「第十四条において準用する第八条から第十一条まで及び第十二条第二項の規定」と、第五条第二項及び第六条第二号中「第十二条第一項及び第三項並びに第十三条第一項」とあるのは「第十四条第一項において準用する第十二条第一項及び第三項並びに第十三条第一項の規定」と、第八条第二項中「債権譲渡登記は」とあるのは「質権設定登記は」と、同項第二号及び第五号並びに第九条第二項第一号中「債権譲渡登記の」とあるのは「質権設定登記の」と、第八条第二項第二号中「登記原因及びその日付」とあるのは「登記原因及びその日付並びに被担保債権の額又は価格」と、同項第三号及び第四号、同条第三項第一号、第四項及び第五項、第十条第一項第三号及び第三項並びに第十一条第二項第一号、第三号及び第四号中「譲渡に係る債権」とあるのは「質権の目的とされた債権」と、第八条第二項第三号中「譲渡する」とあるのは「目的として質権を設定する」と、同条第四項及び第五項中「譲渡をし」とあるのは「質権を設定し」と、同項中「同法第四百六十七条 」とあるのは「同法第三百六十四条 の規定によりその規定に従うこととされる同法第四百六十七条 」と、第九条第二項及び第十条第二項中「債権譲渡登記に」とあるのは「質権設定登記に」と、同項第一号中「債権譲渡登記を」とあるのは「質権設定登記を」と、第十一条第二項中「債権の譲渡に」とあるのは「質権の設定に」と読み替えるものとする。
2  第八条第四項の規定は、債権譲渡登記がされた譲渡に係る債権を目的として譲受人が質権を設定し、当該債権譲渡登記の存続期間の満了前に質権設定登記がされた場合における当該債権譲渡登記の存続期間について、同条第五項の規定は、債権譲渡登記がされた譲渡に係る債権を目的として譲受人が質権を設定し、当該債権譲渡登記の存続期間の満了前に民法第三百六十四条 の規定によりその規定に従うこととされる同法第四百六十七条 の規定による通知又は承諾がされた場合(前項において準用する第四条第一項の規定により同法第四百六十七条 の規定による通知があったものとみなされる場合を除く。)における当該債権譲渡登記の存続期間について準用する。
   第三章 補則


(破産法 等の適用除外)
第十五条  動産譲渡登記がされている譲渡に係る動産並びに債権譲渡登記がされている譲渡に係る債権及び質権設定登記がされている質権については、破産法 (平成十六年法律第七十五号)第二百五十八条第一項第二号 及び同条第二項 において準用する同号 (これらの規定を同条第四項 において準用する場合を含む。)並びに外国倒産処理手続の承認援助に関する法律 (平成十二年法律第百二十九号)第十条第一項 (同条第二項 において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。
2  前項に規定する質権によって担保される債権については、民事執行法 (昭和五十四年法律第四号)第百六十四条第一項 の規定は、適用しない。

(行政手続法 の適用除外)
第十六条  登記官の処分については、行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第二章 及び第三章 の規定は、適用しない。

(行政機関の保有する情報の公開に関する法律 の適用除外)
第十七条  動産譲渡登記ファイル及び債権譲渡登記ファイル並びに動産譲渡登記事項概要ファイル及び債権譲渡登記事項概要ファイルについては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律 (平成十一年法律第四十二号)の規定は、適用しない。

(行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律 の適用除外)
第十八条  動産譲渡登記ファイル若しくは債権譲渡登記ファイル又は登記事項概要ファイルに記録されている保有個人情報(行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律 (平成十五年法律第五十八号)第二条第三項 に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第四章 の規定は、適用しない。

(審査請求)
第十九条  登記官の処分を不当とする者は、当該登記官を監督する法務局又は地方法務局の長に審査請求をすることができる。
2  審査請求は、登記官を経由してしなければならない。
3  登記官は、審査請求を理由があると認めるときは、相当の処分をしなければならない。
4  登記官は、審査請求を理由がないと認めるときは、その請求の日から三日以内に、意見を付して事件を第一項の法務局又は地方法務局の長に送付しなければならない。
5  第一項の法務局又は地方法務局の長は、審査請求を理由があると認めるときは、登記官に相当の処分を命じ、その旨を審査請求人のほか登記上の利害関係人に通知しなければならない。

(行政不服審査法 の適用除外)
第二十条  登記官の処分に係る審査請求については、行政不服審査法 (昭和三十七年法律第百六十号)第十四条 、第十七条、第二十四条、第二十五条第一項ただし書、第三十四条第二項から第七項まで、第三十七条第六項、第四十条第三項から第六項まで及び第四十三条の規定は、適用しない。

(手数料の納付)
第二十一条  登記事項概要証明書、登記事項証明書又は概要記録事項証明書の交付を請求する者は、物価の状況及び登記事項証明書の交付等に要する実費その他一切の事情を考慮して政令で定める額の手数料を納めなければならない。
2  前項の手数料の納付は、登記印紙をもってしなければならない。ただし、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律 (平成十四年法律第百五十一号)第三条第一項 の規定により同項 に規定する電子情報処理組織を使用して前項の請求をするときは、法務省令で定めるところにより、現金をもってすることができる。

(政令への委任)
第二十二条  この法律に定めるもののほか、この法律に定める登記に関し必要な事項は、政令で定める。

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民法(遺言の撤回・取消し・遺留分)


  第五節 遺言の撤回及び取消し


(遺言の撤回)
第千二十二条  遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。

(前の遺言と後の遺言との抵触等)
第千二十三条  前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
2  前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。

(遺言書又は遺贈の目的物の破棄)
第千二十四条  遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときも、同様とする。

(撤回された遺言の効力)
第千二十五条  前三条の規定により撤回された遺言は、その撤回の行為が、撤回され、取り消され、又は効力を生じなくなるに至ったときであっても、その効力を回復しない。ただし、その行為が詐欺又は強迫による場合は、この限りでない。

(遺言の撤回権の放棄の禁止)
第千二十六条  遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができない。

(負担付遺贈に係る遺言の取消し)
第千二十七条  負担付遺贈を受けた者がその負担した義務を履行しないときは、相続人は、相当の期間を定めてその履行の催告をすることができる。この場合において、その期間内に履行がないときは、その負担付遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
   第八章 遺留分


(遺留分の帰属及びその割合)
第千二十八条  兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
一  直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一
二  前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一

(遺留分の算定)
第千二十九条  遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する。
2  条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定める。

第千三十条  贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。

(遺贈又は贈与の減殺請求)
第千三十一条  遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。

(条件付権利等の贈与又は遺贈の一部の減殺)
第千三十二条  条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利を贈与又は遺贈の目的とした場合において、その贈与又は遺贈の一部を減殺すべきときは、遺留分権利者は、第千二十九条第二項の規定により定めた価格に従い、直ちにその残部の価額を受贈者又は受遺者に給付しなければならない。

(贈与と遺贈の減殺の順序)
第千三十三条  贈与は、遺贈を減殺した後でなければ、減殺することができない。

(遺贈の減殺の割合)
第千三十四条  遺贈は、その目的の価額の割合に応じて減殺する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(贈与の減殺の順序)
第千三十五条  贈与の減殺は、後の贈与から順次前の贈与に対してする。

(受贈者による果実の返還)
第千三十六条  受贈者は、その返還すべき財産のほか、減殺の請求があった日以後の果実を返還しなければならない。

(受贈者の無資力による損失の負担)
第千三十七条  減殺を受けるべき受贈者の無資力によって生じた損失は、遺留分権利者の負担に帰する。

(負担付贈与の減殺請求)
第千三十八条  負担付贈与は、その目的の価額から負担の価額を控除したものについて、その減殺を請求することができる。

(不相当な対価による有償行為)
第千三十九条  不相当な対価をもってした有償行為は、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものに限り、これを贈与とみなす。この場合において、遺留分権利者がその減殺を請求するときは、その対価を償還しなければならない。

(受贈者が贈与の目的を譲渡した場合等)
第千四十条  減殺を受けるべき受贈者が贈与の目的を他人に譲り渡したときは、遺留分権利者にその価額を弁償しなければならない。ただし、譲受人が譲渡の時において遺留分権利者に損害を加えることを知っていたときは、遺留分権利者は、これに対しても減殺を請求することができる。
2  前項の規定は、受贈者が贈与の目的につき権利を設定した場合について準用する。

(遺留分権利者に対する価額による弁償)
第千四十一条  受贈者及び受遺者は、減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる。
2  前項の規定は、前条第一項ただし書の場合について準用する。

(減殺請求権の期間の制限)
第千四十二条  減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

(遺留分の放棄)
第千四十三条  相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
2  共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。

(代襲相続及び相続分の規定の準用)
第千四十四条  第八百八十七条第二項及び第三項、第九百条、第九百一条、第九百三条並びに第九百四条の規定は、遺留分について準用する。


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民法(遺言の効力・執行)



    第三節 遺言の効力


(遺言の効力の発生時期)
第九百八十五条  遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
2  遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。

(遺贈の放棄)
第九百八十六条  受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。
2  遺贈の放棄は、遺言者の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。

(受遺者に対する遺贈の承認又は放棄の催告)
第九百八十七条  遺贈義務者(遺贈の履行をする義務を負う者をいう。以下この節において同じ。)その他の利害関係人は、受遺者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができる。この場合において、受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなす。

(受遺者の相続人による遺贈の承認又は放棄)
第九百八十八条  受遺者が遺贈の承認又は放棄をしないで死亡したときは、その相続人は、自己の相続権の範囲内で、遺贈の承認又は放棄をすることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(遺贈の承認及び放棄の撤回及び取消し)
第九百八十九条  遺贈の承認及び放棄は、撤回することができない。
2  第九百十九条第二項及び第三項の規定は、遺贈の承認及び放棄について準用する。

(包括受遺者の権利義務)
第九百九十条  包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。

(受遺者による担保の請求)
第九百九十一条  受遺者は、遺贈が弁済期に至らない間は、遺贈義務者に対して相当の担保を請求することができる。停止条件付きの遺贈についてその条件の成否が未定である間も、同様とする。

(受遺者による果実の取得)
第九百九十二条  受遺者は、遺贈の履行を請求することができる時から果実を取得する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(遺贈義務者による費用の償還請求)
第九百九十三条  第二百九十九条の規定は、遺贈義務者が遺言者の死亡後に遺贈の目的物について費用を支出した場合について準用する。
2  果実を収取するために支出した通常の必要費は、果実の価格を超えない限度で、その償還を請求することができる。

(受遺者の死亡による遺贈の失効)
第九百九十四条  遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。
2  停止条件付きの遺贈については、受遺者がその条件の成就前に死亡したときも、前項と同様とする。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(遺贈の無効又は失効の場合の財産の帰属)
第九百九十五条  遺贈が、その効力を生じないとき、又は放棄によってその効力を失ったときは、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(相続財産に属しない権利の遺贈)
第九百九十六条  遺贈は、その目的である権利が遺言者の死亡の時において相続財産に属しなかったときは、その効力を生じない。ただし、その権利が相続財産に属するかどうかにかかわらず、これを遺贈の目的としたものと認められるときは、この限りでない。

第九百九十七条  相続財産に属しない権利を目的とする遺贈が前条ただし書の規定により有効であるときは、遺贈義務者は、その権利を取得して受遺者に移転する義務を負う。
2  前項の場合において、同項に規定する権利を取得することができないとき、又はこれを取得するについて過分の費用を要するときは、遺贈義務者は、その価額を弁償しなければならない。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(不特定物の遺贈義務者の担保責任)
第九百九十八条  不特定物を遺贈の目的とした場合において、受遺者がこれにつき第三者から追奪を受けたときは、遺贈義務者は、これに対して、売主と同じく、担保の責任を負う。
2  不特定物を遺贈の目的とした場合において、物に瑕疵があったときは、遺贈義務者は、瑕疵のない物をもってこれに代えなければならない。

(遺贈の物上代位)
第九百九十九条  遺言者が、遺贈の目的物の滅失若しくは変造又はその占有の喪失によって第三者に対して償金を請求する権利を有するときは、その権利を遺贈の目的としたものと推定する。
2  遺贈の目的物が、他の物と付合し、又は混和した場合において、遺言者が第二百四十三条から第二百四十五条までの規定により合成物又は混和物の単独所有者又は共有者となったときは、その全部の所有権又は持分を遺贈の目的としたものと推定する。

(第三者の権利の目的である財産の遺贈)
第千条  遺贈の目的である物又は権利が遺言者の死亡の時において第三者の権利の目的であるときは、受遺者は、遺贈義務者に対しその権利を消滅させるべき旨を請求することができない。ただし、遺言者がその遺言に反対の意思を表示したときは、この限りでない。

(債権の遺贈の物上代位)
第千一条  債権を遺贈の目的とした場合において、遺言者が弁済を受け、かつ、その受け取った物がなお相続財産中に在るときは、その物を遺贈の目的としたものと推定する。
2  金銭を目的とする債権を遺贈の目的とした場合においては、相続財産中にその債権額に相当する金銭がないときであっても、その金額を遺贈の目的としたものと推定する。

(負担付遺贈)
第千二条  負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う。
2  受遺者が遺贈の放棄をしたときは、負担の利益を受けるべき者は、自ら受遺者となることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(負担付遺贈の受遺者の免責)
第千三条  負担付遺贈の目的の価額が相続の限定承認又は遺留分回復の訴えによって減少したときは、受遺者は、その減少の割合に応じて、その負担した義務を免れる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
    第四節 遺言の執行


(遺言書の検認)
第千四条  遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2  前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3  封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。

(過料)
第千五条  前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。

(遺言執行者の指定)
第千六条  遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
2  遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。
3  遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。

(遺言執行者の任務の開始)
第千七条  遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。

(遺言執行者に対する就職の催告)
第千八条  相続人その他の利害関係人は、遺言執行者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就職を承諾するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、遺言執行者が、その期間内に相続人に対して確答をしないときは、就職を承諾したものとみなす。

(遺言執行者の欠格事由)
第千九条  未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。

(遺言執行者の選任)
第千十条  遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。

(相続財産の目録の作成)
第千十一条  遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
2  遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。

(遺言執行者の権利義務)
第千十二条  遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2  第六百四十四条から第六百四十七条まで及び第六百五十条の規定は、遺言執行者について準用する。

(遺言の執行の妨害行為の禁止)
第千十三条  遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。

(特定財産に関する遺言の執行)
第千十四条  前三条の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。

(遺言執行者の地位)
第千十五条  遺言執行者は、相続人の代理人とみなす。

(遺言執行者の復任権)
第千十六条  遺言執行者は、やむを得ない事由がなければ、第三者にその任務を行わせることができない。ただし、遺言者がその遺言に反対の意思を表示したときは、この限りでない。
2  遺言執行者が前項ただし書の規定により第三者にその任務を行わせる場合には、相続人に対して、第百五条に規定する責任を負う。

(遺言執行者が数人ある場合の任務の執行)
第千十七条  遺言執行者が数人ある場合には、その任務の執行は、過半数で決する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
2  各遺言執行者は、前項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。

(遺言執行者の報酬)
第千十八条  家庭裁判所は、相続財産の状況その他の事情によって遺言執行者の報酬を定めることができる。ただし、遺言者がその遺言に報酬を定めたときは、この限りでない。
2  第六百四十八条第二項及び第三項の規定は、遺言執行者が報酬を受けるべき場合について準用する。

(遺言執行者の解任及び辞任)
第千十九条  遺言執行者がその任務を怠ったときその他正当な事由があるときは、利害関係人は、その解任を家庭裁判所に請求することができる。
2  遺言執行者は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。

(委任の規定の準用)
第千二十条  第六百五十四条及び第六百五十五条の規定は、遺言執行者の任務が終了した場合について準用する。

(遺言の執行に関する費用の負担)
第千二十一条  遺言の執行に関する費用は、相続財産の負担とする。ただし、これによって遺留分を減ずることができない。


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民法(遺言の方式)


第七章 遺言

    第一節 総則


(遺言の方式)
第九百六十条  遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。

(遺言能力)
第九百六十一条  十五歳に達した者は、遺言をすることができる。

第九百六十二条  第五条、第九条、第十三条及び第十七条の規定は、遺言については、適用しない。

第九百六十三条  遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。

(包括遺贈及び特定遺贈)
第九百六十四条  遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。

(相続人に関する規定の準用)
第九百六十五条  第八百八十六条及び第八百九十一条の規定は、受遺者について準用する。

(被後見人の遺言の制限)
第九百六十六条  被後見人が、後見の計算の終了前に、後見人又はその配偶者若しくは直系卑属の利益となるべき遺言をしたときは、その遺言は、無効とする。
2  前項の規定は、直系血族、配偶者又は兄弟姉妹が後見人である場合には、適用しない。
    第二節 遺言の方式

     第一款 普通の方式


(普通の方式による遺言の種類)
第九百六十七条  遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。

(自筆証書遺言)
第九百六十八条  自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2  自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

(公正証書遺言)
第九百六十九条  公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一  証人二人以上の立会いがあること。
二  遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三  公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四  遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
五  公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

(公正証書遺言の方式の特則)
第九百六十九条の二  口がきけない者が公正証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、前条第二号の口授に代えなければならない。この場合における同条第三号の規定の適用については、同号中「口述」とあるのは、「通訳人の通訳による申述又は自書」とする。
2  前条の遺言者又は証人が耳が聞こえない者である場合には、公証人は、同条第三号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により遺言者又は証人に伝えて、同号の読み聞かせに代えることができる。
3  公証人は、前二項に定める方式に従って公正証書を作ったときは、その旨をその証書に付記しなければならない。

(秘密証書遺言)
第九百七十条  秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一  遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
二  遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
三  遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
四  公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
2  第九百六十八条第二項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。

(方式に欠ける秘密証書遺言の効力)
第九百七十一条  秘密証書による遺言は、前条に定める方式に欠けるものがあっても、第九百六十八条に定める方式を具備しているときは、自筆証書による遺言としてその効力を有する。

(秘密証書遺言の方式の特則)
第九百七十二条  口がきけない者が秘密証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、その証書は自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を通訳人の通訳により申述し、又は封紙に自書して、第九百七十条第一項第三号の申述に代えなければならない。
2  前項の場合において、遺言者が通訳人の通訳により申述したときは、公証人は、その旨を封紙に記載しなければならない。
3  第一項の場合において、遺言者が封紙に自書したときは、公証人は、その旨を封紙に記載して、第九百七十条第一項第四号に規定する申述の記載に代えなければならない。

(成年被後見人の遺言)
第九百七十三条  成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。
2  遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければならない。ただし、秘密証書による遺言にあっては、その封紙にその旨の記載をし、署名し、印を押さなければならない。

(証人及び立会人の欠格事由)
第九百七十四条  次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
一  未成年者
二  推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
三  公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

(共同遺言の禁止)
第九百七十五条  遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。
     第二款 特別の方式


(死亡の危急に迫った者の遺言)
第九百七十六条  疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。この場合においては、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない。
2  口がきけない者が前項の規定により遺言をする場合には、遺言者は、証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述して、同項の口授に代えなければならない。
3  第一項後段の遺言者又は他の証人が耳が聞こえない者である場合には、遺言の趣旨の口授又は申述を受けた者は、同項後段に規定する筆記した内容を通訳人の通訳によりその遺言者又は他の証人に伝えて、同項後段の読み聞かせに代えることができる。
4  前三項の規定によりした遺言は、遺言の日から二十日以内に、証人の一人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない。
5  家庭裁判所は、前項の遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを確認することができない。

(伝染病隔離者の遺言)
第九百七十七条  伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所に在る者は、警察官一人及び証人一人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる。

(在船者の遺言)
第九百七十八条  船舶中に在る者は、船長又は事務員一人及び証人二人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる。

(船舶遭難者の遺言)
第九百七十九条  船舶が遭難した場合において、当該船舶中に在って死亡の危急に迫った者は、証人二人以上の立会いをもって口頭で遺言をすることができる。
2  口がきけない者が前項の規定により遺言をする場合には、遺言者は、通訳人の通訳によりこれをしなければならない。
3  前二項の規定に従ってした遺言は、証人が、その趣旨を筆記して、これに署名し、印を押し、かつ、証人の一人又は利害関係人から遅滞なく家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない。
4  第九百七十六条第五項の規定は、前項の場合について準用する。

(遺言関係者の署名及び押印)
第九百八十条  第九百七十七条及び第九百七十八条の場合には、遺言者、筆者、立会人及び証人は、各自遺言書に署名し、印を押さなければならない。

(署名又は押印が不能の場合)
第九百八十一条  第九百七十七条から第九百七十九条までの場合において、署名又は印を押すことのできない者があるときは、立会人又は証人は、その事由を付記しなければならない。

(普通の方式による遺言の規定の準用)
第九百八十二条  第九百六十八条第二項及び第九百七十三条から第九百七十五条までの規定は、第九百七十六条から前条までの規定による遺言について準用する。

(特別の方式による遺言の効力)
第九百八十三条  第九百七十六条から前条までの規定によりした遺言は、遺言者が普通の方式によって遺言をすることができるようになった時から六箇月間生存するときは、その効力を生じない。

(外国に在る日本人の遺言の方式)
第九百八十四条  日本の領事の駐在する地に在る日本人が公正証書又は秘密証書によって遺言をしようとするときは、公証人の職務は、領事が行う。


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民法(財産分離・相続人の不存在)



   第五章 財産分離


(相続債権者又は受遺者の請求による財産分離)
第九百四十一条  相続債権者又は受遺者は、相続開始の時から三箇月以内に、相続人の財産の中から相続財産を分離することを家庭裁判所に請求することができる。相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、その期間の満了後も、同様とする。
2  家庭裁判所が前項の請求によって財産分離を命じたときは、その請求をした者は、五日以内に、他の相続債権者及び受遺者に対し、財産分離の命令があったこと及び一定の期間内に配当加入の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
3  前項の規定による公告は、官報に掲載してする。

(財産分離の効力)
第九百四十二条  財産分離の請求をした者及び前条第二項の規定により配当加入の申出をした者は、相続財産について、相続人の債権者に先立って弁済を受ける。

(財産分離の請求後の相続財産の管理)
第九百四十三条  財産分離の請求があったときは、家庭裁判所は、相続財産の管理について必要な処分を命ずることができる。
2  第二十七条から第二十九条までの規定は、前項の規定により家庭裁判所が相続財産の管理人を選任した場合について準用する。

(財産分離の請求後の相続人による管理)
第九百四十四条  相続人は、単純承認をした後でも、財産分離の請求があったときは、以後、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産の管理をしなければならない。ただし、家庭裁判所が相続財産の管理人を選任したときは、この限りでない。
2  第六百四十五条から第六百四十七条まで並びに第六百五十条第一項及び第二項の規定は、前項の場合について準用する。

(不動産についての財産分離の対抗要件)
第九百四十五条  財産分離は、不動産については、その登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

(物上代位の規定の準用)
第九百四十六条  第三百四条の規定は、財産分離の場合について準用する。

(相続債権者及び受遺者に対する弁済)
第九百四十七条  相続人は、第九百四十一条第一項及び第二項の期間の満了前には、相続債権者及び受遺者に対して弁済を拒むことができる。
2  財産分離の請求があったときは、相続人は、第九百四十一条第二項の期間の満了後に、相続財産をもって、財産分離の請求又は配当加入の申出をした相続債権者及び受遺者に、それぞれその債権額の割合に応じて弁済をしなければならない。ただし、優先権を有する債権者の権利を害することはできない。
3  第九百三十条から第九百三十四条までの規定は、前項の場合について準用する。

(相続人の固有財産からの弁済)
第九百四十八条  財産分離の請求をした者及び配当加入の申出をした者は、相続財産をもって全部の弁済を受けることができなかった場合に限り、相続人の固有財産についてその権利を行使することができる。この場合においては、相続人の債権者は、その者に先立って弁済を受けることができる。

(財産分離の請求の防止等)
第九百四十九条  相続人は、その固有財産をもって相続債権者若しくは受遺者に弁済をし、又はこれに相当の担保を供して、財産分離の請求を防止し、又はその効力を消滅させることができる。ただし、相続人の債権者が、これによって損害を受けるべきことを証明して、異議を述べたときは、この限りでない。

(相続人の債権者の請求による財産分離)
第九百五十条  相続人が限定承認をすることができる間又は相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、相続人の債権者は、家庭裁判所に対して財産分離の請求をすることができる。
2  第三百四条、第九百二十五条、第九百二十七条から第九百三十四条まで、第九百四十三条から第九百四十五条まで及び第九百四十八条の規定は、前項の場合について準用する。ただし、第九百二十七条の公告及び催告は、財産分離の請求をした債権者がしなければならない。
   第六章 相続人の不存在


(相続財産法人の成立)
第九百五十一条  相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。

(相続財産の管理人の選任)
第九百五十二条  前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。
2  前項の規定により相続財産の管理人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なくこれを公告しなければならない。

(不在者の財産の管理人に関する規定の準用)
第九百五十三条  第二十七条から第二十九条までの規定は、前条第一項の相続財産の管理人(以下この章において単に「相続財産の管理人」という。)について準用する。

(相続財産の管理人の報告)
第九百五十四条  相続財産の管理人は、相続債権者又は受遺者の請求があるときは、その請求をした者に相続財産の状況を報告しなければならない。

(相続財産法人の不成立)
第九百五十五条  相続人のあることが明らかになったときは、第九百五十一条の法人は、成立しなかったものとみなす。ただし、相続財産の管理人がその権限内でした行為の効力を妨げない。

(相続財産の管理人の代理権の消滅)
第九百五十六条  相続財産の管理人の代理権は、相続人が相続の承認をした時に消滅する。
2  前項の場合には、相続財産の管理人は、遅滞なく相続人に対して管理の計算をしなければならない。

(相続債権者及び受遺者に対する弁済)
第九百五十七条  第九百五十二条第二項の公告があった後二箇月以内に相続人のあることが明らかにならなかったときは、相続財産の管理人は、遅滞なく、すべての相続債権者及び受遺者に対し、一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
2  第七十九条第二項から第四項まで及び第九百二十八条から第九百三十五条まで(第九百三十二条ただし書を除く。)の規定は、前項の場合について準用する。

(相続人の捜索の公告)
第九百五十八条  前条第一項の期間の満了後、なお相続人のあることが明らかでないときは、家庭裁判所は、相続財産の管理人又は検察官の請求によって、相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、六箇月を下ることができない。

(権利を主張する者がない場合)
第九百五十八条の二  前条の期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の管理人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができない。

(特別縁故者に対する相続財産の分与)
第九百五十八条の三  前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2  前項の請求は、第九百五十八条の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。

(残余財産の国庫への帰属)
第九百五十九条  前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。この場合においては、第九百五十六条第二項の規定を準用する。


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民法(単純承認・限定承認・相続放棄)



    第二節 相続の承認

     第一款 単純承認


(単純承認の効力)
第九百二十条  相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。

(法定単純承認)
第九百二十一条  次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一  相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
二  相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
三  相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。
     第二款 限定承認


(限定承認)
第九百二十二条  相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。

(共同相続人の限定承認)
第九百二十三条  相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。

(限定承認の方式)
第九百二十四条  相続人は、限定承認をしようとするときは、第九百十五条第一項の期間内に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければならない。

(限定承認をしたときの権利義務)
第九百二十五条  相続人が限定承認をしたときは、その被相続人に対して有した権利義務は、消滅しなかったものとみなす。

(限定承認者による管理)
第九百二十六条  限定承認者は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産の管理を継続しなければならない。
2  第六百四十五条、第六百四十六条、第六百五十条第一項及び第二項並びに第九百十八条第二項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。

(相続債権者及び受遺者に対する公告及び催告)
第九百二十七条  限定承認者は、限定承認をした後五日以内に、すべての相続債権者(相続財産に属する債務の債権者をいう。以下同じ。)及び受遺者に対し、限定承認をしたこと及び一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
2  第七十九条第二項から第四項までの規定は、前項の場合について準用する。

(公告期間満了前の弁済の拒絶)
第九百二十八条  限定承認者は、前条第一項の期間の満了前には、相続債権者及び受遺者に対して弁済を拒むことができる。

(公告期間満了後の弁済)
第九百二十九条  第九百二十七条第一項の期間が満了した後は、限定承認者は、相続財産をもって、その期間内に同項の申出をした相続債権者その他知れている相続債権者に、それぞれその債権額の割合に応じて弁済をしなければならない。ただし、優先権を有する債権者の権利を害することはできない。

(期限前の債務等の弁済)
第九百三十条  限定承認者は、弁済期に至らない債権であっても、前条の規定に従って弁済をしなければならない。
2  条件付きの債権又は存続期間の不確定な債権は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って弁済をしなければならない。

(受遺者に対する弁済)
第九百三十一条  限定承認者は、前二条の規定に従って各相続債権者に弁済をした後でなければ、受遺者に弁済をすることができない。

(弁済のための相続財産の換価)
第九百三十二条  前三条の規定に従って弁済をするにつき相続財産を売却する必要があるときは、限定承認者は、これを競売に付さなければならない。ただし、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従い相続財産の全部又は一部の価額を弁済して、その競売を止めることができる。

(相続債権者及び受遺者の換価手続への参加)
第九百三十三条  相続債権者及び受遺者は、自己の費用で、相続財産の競売又は鑑定に参加することができる。この場合においては、第二百六十条第二項の規定を準用する。

(不当な弁済をした限定承認者の責任等)
第九百三十四条  限定承認者は、第九百二十七条の公告若しくは催告をすることを怠り、又は同条第一項の期間内に相続債権者若しくは受遺者に弁済をしたことによって他の相続債権者若しくは受遺者に弁済をすることができなくなったときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。第九百二十九条から第九百三十一条までの規定に違反して弁済をしたときも、同様とする。
2  前項の規定は、情を知って不当に弁済を受けた相続債権者又は受遺者に対する他の相続債権者又は受遺者の求償を妨げない。
3  第七百二十四条の規定は、前二項の場合について準用する。

(公告期間内に申出をしなかった相続債権者及び受遺者)
第九百三十五条  第九百二十七条第一項の期間内に同項の申出をしなかった相続債権者及び受遺者で限定承認者に知れなかったものは、残余財産についてのみその権利を行使することができる。ただし、相続財産について特別担保を有する者は、この限りでない。

(相続人が数人ある場合の相続財産の管理人)
第九百三十六条  相続人が数人ある場合には、家庭裁判所は、相続人の中から、相続財産の管理人を選任しなければならない。
2  前項の相続財産の管理人は、相続人のために、これに代わって、相続財産の管理及び債務の弁済に必要な一切の行為をする。
3  第九百二十六条から前条までの規定は、第一項の相続財産の管理人について準用する。この場合において、第九百二十七条第一項中「限定承認をした後五日以内」とあるのは、「その相続財産の管理人の選任があった後十日以内」と読み替えるものとする。

(法定単純承認の事由がある場合の相続債権者)
第九百三十七条  限定承認をした共同相続人の一人又は数人について第九百二十一条第一号又は第三号に掲げる事由があるときは、相続債権者は、相続財産をもって弁済を受けることができなかった債権額について、当該共同相続人に対し、その相続分に応じて権利を行使することができる。
    第三節 相続の放棄


(相続の放棄の方式)
第九百三十八条  相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

(相続の放棄の効力)
第九百三十九条  相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

(相続の放棄をした者による管理)
第九百四十条  相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
2  第六百四十五条、第六百四十六条、第六百五十条第一項及び第二項並びに第九百十八条第二項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。


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民法(相続分・遺産分割)



   第三章 相続の効力

    第一節 総則


(相続の一般的効力)
第八百九十六条  相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

(祭祀に関する権利の承継)
第八百九十七条  系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2  前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

(共同相続の効力)
第八百九十八条  相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。

第八百九十九条  各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。
    第二節 相続分


(法定相続分)
第九百条  同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一  子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二  配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三  配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四  子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

(代襲相続人の相続分)
第九百一条  第八百八十七条第二項又は第三項の規定により相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。ただし、直系卑属が数人あるときは、その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、前条の規定に従ってその相続分を定める。
2  前項の規定は、第八百八十九条第二項の規定により兄弟姉妹の子が相続人となる場合について準用する。

(遺言による相続分の指定)
第九百二条  被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。ただし、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない。
2  被相続人が、共同相続人中の一人若しくは数人の相続分のみを定め、又はこれを第三者に定めさせたときは、他の共同相続人の相続分は、前二条の規定により定める。

(特別受益者の相続分)
第九百三条  共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
2  遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
3  被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。

第九百四条  前条に規定する贈与の価額は、受贈者の行為によって、その目的である財産が滅失し、又はその価格の増減があったときであっても、相続開始の時においてなお原状のままであるものとみなしてこれを定める。

(寄与分)
第九百四条の二  共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。
2  前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。
3  寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。
4  第二項の請求は、第九百七条第二項の規定による請求があった場合又は第九百十条に規定する場合にすることができる。

(相続分の取戻権)
第九百五条  共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。
2  前項の権利は、一箇月以内に行使しなければならない。
    第三節 遺産の分割


(遺産の分割の基準)
第九百六条  遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。

(遺産の分割の協議又は審判等)
第九百七条  共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。
2  遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。
3  前項の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。

(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)
第九百八条  被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。

(遺産の分割の効力)
第九百九条  遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

(相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権)
第九百十条  相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。

(共同相続人間の担保責任)
第九百十一条  各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。

(遺産の分割によって受けた債権についての担保責任)
第九百十二条  各共同相続人は、その相続分に応じ、他の共同相続人が遺産の分割によって受けた債権について、その分割の時における債務者の資力を担保する。
2  弁済期に至らない債権及び停止条件付きの債権については、各共同相続人は、弁済をすべき時における債務者の資力を担保する。

(資力のない共同相続人がある場合の担保責任の分担)
第九百十三条  担保の責任を負う共同相続人中に償還をする資力のない者があるときは、その償還することができない部分は、求償者及び他の資力のある者が、それぞれその相続分に応じて分担する。ただし、求償者に過失があるときは、他の共同相続人に対して分担を請求することができない。

(遺言による担保責任の定め)
第九百十四条  前三条の規定は、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、適用しない。

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民法(相続総則・相続人)


第五編 相続
   第一章 総則


(相続開始の原因)
第八百八十二条  相続は、死亡によって開始する。

(相続開始の場所)
第八百八十三条  相続は、被相続人の住所において開始する。

(相続回復請求権)
第八百八十四条  相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から二十年を経過したときも、同様とする。

(相続財産に関する費用)
第八百八十五条  相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁する。ただし、相続人の過失によるものは、この限りでない。
2  前項の費用は、遺留分権利者が贈与の減殺によって得た財産をもって支弁することを要しない。
   第二章 相続人


(相続に関する胎児の権利能力)
第八百八十六条  胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
2  前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条  被相続人の子は、相続人となる。
2  被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3  前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

第八百八十八条  削除

(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
第八百八十九条  次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一  被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二  被相続人の兄弟姉妹
2  第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。

(配偶者の相続権)
第八百九十条  被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。

(相続人の欠格事由)
第八百九十一条  次に掲げる者は、相続人となることができない。
一  故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二  被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三  詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四  詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五  相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

(推定相続人の廃除)
第八百九十二条  遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

(遺言による推定相続人の廃除)
第八百九十三条  被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。

(推定相続人の廃除の取消し)
第八百九十四条  被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
2  前条の規定は、推定相続人の廃除の取消しについて準用する。

(推定相続人の廃除に関する審判確定前の遺産の管理)
第八百九十五条  推定相続人の廃除又はその取消しの請求があった後その審判が確定する前に相続が開始したときは、家庭裁判所は、親族、利害関係人又は検察官の請求によって、遺産の管理について必要な処分を命ずることができる。推定相続人の廃除の遺言があったときも、同様とする。
2  第二十七条から第二十九条までの規定は、前項の規定により家庭裁判所が遺産の管理人を選任した場合について準用する。


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民法(後見・補佐・補助・扶養)



   第五章 後見

    第一節 後見の開始


第八百三十八条  後見は、次に掲げる場合に開始する。
一  未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。
二  後見開始の審判があったとき。
    第二節 後見の機関

     第一款 後見人


(未成年後見人の指定)
第八百三十九条  未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指定することができる。ただし、管理権を有しない者は、この限りでない。
2  親権を行う父母の一方が管理権を有しないときは、他の一方は、前項の規定により未成年後見人の指定をすることができる。

(未成年後見人の選任)
第八百四十条  前条の規定により未成年後見人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求によって、未成年後見人を選任する。未成年後見人が欠けたときも、同様とする。

(父母による未成年後見人の選任の請求)
第八百四十一条  父又は母が親権若しくは管理権を辞し、又は親権を失ったことによって未成年後見人を選任する必要が生じたときは、その父又は母は、遅滞なく未成年後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。

(未成年後見人の数)
第八百四十二条  未成年後見人は、一人でなければならない。

(成年後見人の選任)
第八百四十三条  家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する。
2  成年後見人が欠けたときは、家庭裁判所は、成年被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で、成年後見人を選任する。
3  成年後見人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に規定する者若しくは成年後見人の請求により、又は職権で、更に成年後見人を選任することができる。
4  成年後見人を選任するには、成年被後見人の心身の状態並びに生活及び財産の状況、成年後見人となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人との利害関係の有無(成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無)、成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。

(後見人の辞任)
第八百四十四条  後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。

(辞任した後見人による新たな後見人の選任の請求)
第八百四十五条  後見人がその任務を辞したことによって新たに後見人を選任する必要が生じたときは、その後見人は、遅滞なく新たな後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。

(後見人の解任)
第八百四十六条  後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族若しくは検察官の請求により又は職権で、これを解任することができる。

(後見人の欠格事由)
第八百四十七条  次に掲げる者は、後見人となることができない。
一  未成年者
二  家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
三  破産者
四  被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
五  行方の知れない者
     第二款 後見監督人


(未成年後見監督人の指定)
第八百四十八条  未成年後見人を指定することができる者は、遺言で、未成年後見監督人を指定することができる。

(未成年後見監督人の選任)
第八百四十九条  前条の規定により指定した未成年後見監督人がない場合において必要があると認めるときは、家庭裁判所は、未成年被後見人、その親族若しくは未成年後見人の請求により又は職権で、未成年後見監督人を選任することができる。未成年後見監督人の欠けた場合も、同様とする。

(成年後見監督人の選任)
第八百四十九条の二  家庭裁判所は、必要があると認めるときは、成年被後見人、その親族若しくは成年後見人の請求により又は職権で、成年後見監督人を選任することができる。

(後見監督人の欠格事由)
第八百五十条  後見人の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹は、後見監督人となることができない。

(後見監督人の職務)
第八百五十一条  後見監督人の職務は、次のとおりとする。
一  後見人の事務を監督すること。
二  後見人が欠けた場合に、遅滞なくその選任を家庭裁判所に請求すること。
三  急迫の事情がある場合に、必要な処分をすること。
四  後見人又はその代表する者と被後見人との利益が相反する行為について被後見人を代表すること。

(委任及び後見人の規定の準用)
第八百五十二条  第六百四十四条、第六百五十四条、第六百五十五条、第八百四十三条第四項、第八百四十四条、第八百四十六条、第八百四十七条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項及び第八百六十二条の規定は、後見監督人について準用する。
    第三節 後見の事務


(財産の調査及び目録の作成)
第八百五十三条  後見人は、遅滞なく被後見人の財産の調査に着手し、一箇月以内に、その調査を終わり、かつ、その目録を作成しなければならない。ただし、この期間は、家庭裁判所において伸長することができる。
2  財産の調査及びその目録の作成は、後見監督人があるときは、その立会いをもってしなければ、その効力を生じない。

(財産の目録の作成前の権限)
第八百五十四条  後見人は、財産の目録の作成を終わるまでは、急迫の必要がある行為のみをする権限を有する。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

(後見人の被後見人に対する債権又は債務の申出義務)
第八百五十五条  後見人が、被後見人に対し、債権を有し、又は債務を負う場合において、後見監督人があるときは、財産の調査に着手する前に、これを後見監督人に申し出なければならない。
2  後見人が、被後見人に対し債権を有することを知ってこれを申し出ないときは、その債権を失う。

(被後見人が包括財産を取得した場合についての準用)
第八百五十六条  前三条の規定は、後見人が就職した後被後見人が包括財産を取得した場合について準用する。

(未成年被後見人の身上の監護に関する権利義務)
第八百五十七条  未成年後見人は、第八百二十条から第八百二十三条までに規定する事項について、親権を行う者と同一の権利義務を有する。ただし、親権を行う者が定めた教育の方法及び居所を変更し、未成年被後見人を懲戒場に入れ、営業を許可し、その許可を取り消し、又はこれを制限するには、未成年後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。

(成年被後見人の意思の尊重及び身上の配慮)
第八百五十八条  成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。

(財産の管理及び代表)
第八百五十九条  後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
2  第八百二十四条ただし書の規定は、前項の場合について準用する。

(成年後見人が数人ある場合の権限の行使等)
第八百五十九条の二  成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、数人の成年後見人が、共同して又は事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる。
2  家庭裁判所は、職権で、前項の規定による定めを取り消すことができる。
3  成年後見人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。

(成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可)
第八百五十九条の三  成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。

(利益相反行為)
第八百六十条  第八百二十六条の規定は、後見人について準用する。ただし、後見監督人がある場合は、この限りでない。

(支出金額の予定及び後見の事務の費用)
第八百六十一条  後見人は、その就職の初めにおいて、被後見人の生活、教育又は療養看護及び財産の管理のために毎年支出すべき金額を予定しなければならない。
2  後見人が後見の事務を行うために必要な費用は、被後見人の財産の中から支弁する。

(後見人の報酬)
第八百六十二条  家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる。

(後見の事務の監督)
第八百六十三条  後見監督人又は家庭裁判所は、いつでも、後見人に対し後見の事務の報告若しくは財産の目録の提出を求め、又は後見の事務若しくは被後見人の財産の状況を調査することができる。
2  家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で、被後見人の財産の管理その他後見の事務について必要な処分を命ずることができる。

(後見監督人の同意を要する行為)
第八百六十四条  後見人が、被後見人に代わって営業若しくは第十三条第一項各号に掲げる行為をし、又は未成年被後見人がこれをすることに同意するには、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。ただし、同項第一号に掲げる元本の領収については、この限りでない。

第八百六十五条  後見人が、前条の規定に違反してし又は同意を与えた行為は、被後見人又は後見人が取り消すことができる。この場合においては、第二十条の規定を準用する。
2  前項の規定は、第百二十一条から第百二十六条までの規定の適用を妨げない。

(被後見人の財産等の譲受けの取消し)
第八百六十六条  後見人が被後見人の財産又は被後見人に対する第三者の権利を譲り受けたときは、被後見人は、これを取り消すことができる。この場合においては、第二十条の規定を準用する。
2  前項の規定は、第百二十一条から第百二十六条までの規定の適用を妨げない。

(未成年被後見人に代わる親権の行使)
第八百六十七条  未成年後見人は、未成年被後見人に代わって親権を行う。
2  第八百五十三条から第八百五十七条まで及び第八百六十一条から前条までの規定は、前項の場合について準用する。

(財産に関する権限のみを有する未成年後見人)
第八百六十八条  親権を行う者が管理権を有しない場合には、未成年後見人は、財産に関する権限のみを有する。

(委任及び親権の規定の準用)
第八百六十九条  第六百四十四条及び第八百三十条の規定は、後見について準用する。
    第四節 後見の終了


(後見の計算)
第八百七十条  後見人の任務が終了したときは、後見人又はその相続人は、二箇月以内にその管理の計算(以下「後見の計算」という。)をしなければならない。ただし、この期間は、家庭裁判所において伸長することができる。

第八百七十一条  後見の計算は、後見監督人があるときは、その立会いをもってしなければならない。

(未成年被後見人と未成年後見人等との間の契約等の取消し)
第八百七十二条  未成年被後見人が成年に達した後後見の計算の終了前に、その者と未成年後見人又はその相続人との間でした契約は、その者が取り消すことができる。その者が未成年後見人又はその相続人に対してした単独行為も、同様とする。
2  第二十条及び第百二十一条から第百二十六条までの規定は、前項の場合について準用する。

(返還金に対する利息の支払等)
第八百七十三条  後見人が被後見人に返還すべき金額及び被後見人が後見人に返還すべき金額には、後見の計算が終了した時から、利息を付さなければならない。
2  後見人は、自己のために被後見人の金銭を消費したときは、その消費の時から、これに利息を付さなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

(委任の規定の準用)
第八百七十四条  第六百五十四条及び第六百五十五条の規定は、後見について準用する。

(後見に関して生じた債権の消滅時効)
第八百七十五条  第八百三十二条の規定は、後見人又は後見監督人と被後見人との間において後見に関して生じた債権の消滅時効について準用する。
2  前項の消滅時効は、第八百七十二条の規定により法律行為を取り消した場合には、その取消しの時から起算する。
   第六章 保佐及び補助

    第一節 保佐


(保佐の開始)
第八百七十六条  保佐は、保佐開始の審判によって開始する。

(保佐人及び臨時保佐人の選任等)
第八百七十六条の二  家庭裁判所は、保佐開始の審判をするときは、職権で、保佐人を選任する。
2  第八百四十三条第二項から第四項まで及び第八百四十四条から第八百四十七条までの規定は、保佐人について準用する。
3  保佐人又はその代表する者と被保佐人との利益が相反する行為については、保佐人は、臨時保佐人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。ただし、保佐監督人がある場合は、この限りでない。

(保佐監督人)
第八百七十六条の三  家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被保佐人、その親族若しくは保佐人の請求により又は職権で、保佐監督人を選任することができる。
2  第六百四十四条、第六百五十四条、第六百五十五条、第八百四十三条第四項、第八百四十四条、第八百四十六条、第八百四十七条、第八百五十条、第八百五十一条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項及び第八百六十二条の規定は、保佐監督人について準用する。この場合において、第八百五十一条第四号中「被後見人を代表する」とあるのは、「被保佐人を代表し、又は被保佐人がこれをすることに同意する」と読み替えるものとする。

(保佐人に代理権を付与する旨の審判)
第八百七十六条の四  家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
2  本人以外の者の請求によって前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3  家庭裁判所は、第一項に規定する者の請求によって、同項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。

(保佐の事務及び保佐人の任務の終了等)
第八百七十六条の五  保佐人は、保佐の事務を行うに当たっては、被保佐人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
2  第六百四十四条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項、第八百六十二条及び第八百六十三条の規定は保佐の事務について、第八百二十四条ただし書の規定は保佐人が前条第一項の代理権を付与する旨の審判に基づき被保佐人を代表する場合について準用する。
3  第六百五十四条、第六百五十五条、第八百七十条、第八百七十一条及び第八百七十三条の規定は保佐人の任務が終了した場合について、第八百三十二条の規定は保佐人又は保佐監督人と被保佐人との間において保佐に関して生じた債権について準用する。
    第二節 補助


(補助の開始)
第八百七十六条の六  補助は、補助開始の審判によって開始する。

(補助人及び臨時補助人の選任等)
第八百七十六条の七  家庭裁判所は、補助開始の審判をするときは、職権で、補助人を選任する。
2  第八百四十三条第二項から第四項まで及び第八百四十四条から第八百四十七条までの規定は、補助人について準用する。
3  補助人又はその代表する者と被補助人との利益が相反する行為については、補助人は、臨時補助人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。ただし、補助監督人がある場合は、この限りでない。

(補助監督人)
第八百七十六条の八  家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被補助人、その親族若しくは補助人の請求により又は職権で、補助監督人を選任することができる。
2  第六百四十四条、第六百五十四条、第六百五十五条、第八百四十三条第四項、第八百四十四条、第八百四十六条、第八百四十七条、第八百五十条、第八百五十一条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項及び第八百六十二条の規定は、補助監督人について準用する。この場合において、第八百五十一条第四号中「被後見人を代表する」とあるのは、「被補助人を代表し、又は被補助人がこれをすることに同意する」と読み替えるものとする。

(補助人に代理権を付与する旨の審判)
第八百七十六条の九  家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求によって、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
2  第八百七十六条の四第二項及び第三項の規定は、前項の審判について準用する。

(補助の事務及び補助人の任務の終了等)
第八百七十六条の十  第六百四十四条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項、第八百六十二条、第八百六十三条及び第八百七十六条の五第一項の規定は補助の事務について、第八百二十四条ただし書の規定は補助人が前条第一項の代理権を付与する旨の審判に基づき被補助人を代表する場合について準用する。
2  第六百五十四条、第六百五十五条、第八百七十条、第八百七十一条及び第八百七十三条の規定は補助人の任務が終了した場合について、第八百三十二条の規定は補助人又は補助監督人と被補助人との間において補助に関して生じた債権について準用する。
   第七章 扶養


(扶養義務者)
第八百七十七条  直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2  家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
3  前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。

(扶養の順位)
第八百七十八条  扶養をする義務のある者が数人ある場合において、扶養をすべき者の順序について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。扶養を受ける権利のある者が数人ある場合において、扶養義務者の資力がその全員を扶養するのに足りないときの扶養を受けるべき者の順序についても、同様とする。

(扶養の程度又は方法)
第八百七十九条  扶養の程度又は方法について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して、家庭裁判所が、これを定める。

(扶養に関する協議又は審判の変更又は取消し)
第八百八十条  扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。

(扶養請求権の処分の禁止)
第八百八十一条  扶養を受ける権利は、処分することができない。


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民法(親権)



   第四章 親権

    第一節 総則


(親権者)
第八百十八条  成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2  子が養子であるときは、養親の親権に服する。
3  親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

(離婚又は認知の場合の親権者)
第八百十九条  父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
2  裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
3  子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
4  父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
5  第一項、第三項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
6  子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。
    第二節 親権の効力


(監護及び教育の権利義務)
第八百二十条  親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

(居所の指定)
第八百二十一条  子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。

(懲戒)
第八百二十二条  親権を行う者は、必要な範囲内で自らその子を懲戒し、又は家庭裁判所の許可を得て、これを懲戒場に入れることができる。
2  子を懲戒場に入れる期間は、六箇月以下の範囲内で、家庭裁判所が定める。ただし、この期間は、親権を行う者の請求によって、いつでも短縮することができる。

(職業の許可)
第八百二十三条  子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。
2  親権を行う者は、第六条第二項の場合には、前項の許可を取り消し、又はこれを制限することができる。

(財産の管理及び代表)
第八百二十四条  親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。

(父母の一方が共同の名義でした行為の効力)
第八百二十五条  父母が共同して親権を行う場合において、父母の一方が、共同の名義で、子に代わって法律行為をし又は子がこれをすることに同意したときは、その行為は、他の一方の意思に反したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。

(利益相反行為)
第八百二十六条  親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2  親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

(財産の管理における注意義務)
第八百二十七条  親権を行う者は、自己のためにするのと同一の注意をもって、その管理権を行わなければならない。

(財産の管理の計算)
第八百二十八条  子が成年に達したときは、親権を行った者は、遅滞なくその管理の計算をしなければならない。ただし、その子の養育及び財産の管理の費用は、その子の財産の収益と相殺したものとみなす。

第八百二十九条  前条ただし書の規定は、無償で子に財産を与える第三者が反対の意思を表示したときは、その財産については、これを適用しない。

(第三者が無償で子に与えた財産の管理)
第八百三十条  無償で子に財産を与える第三者が、親権を行う父又は母にこれを管理させない意思を表示したときは、その財産は、父又は母の管理に属しないものとする。
2  前項の財産につき父母が共に管理権を有しない場合において、第三者が管理者を指定しなかったときは、家庭裁判所は、子、その親族又は検察官の請求によって、その管理者を選任する。
3  第三者が管理者を指定したときであっても、その管理者の権限が消滅し、又はこれを改任する必要がある場合において、第三者が更に管理者を指定しないときも、前項と同様とする。
4  第二十七条から第二十九条までの規定は、前二項の場合について準用する。

(委任の規定の準用)
第八百三十一条  第六百五十四条及び第六百五十五条の規定は、親権を行う者が子の財産を管理する場合及び前条の場合について準用する。

(財産の管理について生じた親子間の債権の消滅時効)
第八百三十二条  親権を行った者とその子との間に財産の管理について生じた債権は、その管理権が消滅した時から五年間これを行使しないときは、時効によって消滅する。
2  子がまだ成年に達しない間に管理権が消滅した場合において子に法定代理人がないときは、前項の期間は、その子が成年に達し、又は後任の法定代理人が就職した時から起算する。

(子に代わる親権の行使)
第八百三十三条  親権を行う者は、その親権に服する子に代わって親権を行う。
    第三節 親権の喪失


(親権の喪失の宣告)
第八百三十四条  父又は母が、親権を濫用し、又は著しく不行跡であるときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によって、その親権の喪失を宣告することができる。

(管理権の喪失の宣告)
第八百三十五条  親権を行う父又は母が、管理が失当であったことによってその子の財産を危うくしたときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によって、その管理権の喪失を宣告することができる。

(親権又は管理権の喪失の宣告の取消し)
第八百三十六条  前二条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人又はその親族の請求によって、前二条の規定による親権又は管理権の喪失の宣告を取り消すことができる。

(親権又は管理権の辞任及び回復)
第八百三十七条  親権を行う父又は母は、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞することができる。
2  前項の事由が消滅したときは、父又は母は、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を回復することができる。


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民法(特別養子)



     第五款 特別養子


(特別養子縁組の成立)
第八百十七条の二  家庭裁判所は、次条から第八百十七条の七までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。
2  前項に規定する請求をするには、第七百九十四条又は第七百九十八条の許可を得ることを要しない。

(養親の夫婦共同縁組)
第八百十七条の三  養親となる者は、配偶者のある者でなければならない。
2  夫婦の一方は、他の一方が養親とならないときは、養親となることができない。ただし、夫婦の一方が他の一方の嫡出である子(特別養子縁組以外の縁組による養子を除く。)の養親となる場合は、この限りでない。

(養親となる者の年齢)
第八百十七条の四  二十五歳に達しない者は、養親となることができない。ただし、養親となる夫婦の一方が二十五歳に達していない場合においても、その者が二十歳に達しているときは、この限りでない。

(養子となる者の年齢)
第八百十七条の五  第八百十七条の二に規定する請求の時に六歳に達している者は、養子となることができない。ただし、その者が八歳未満であって六歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合は、この限りでない。

(父母の同意)
第八百十七条の六  特別養子縁組の成立には、養子となる者の父母の同意がなければならない。ただし、父母がその意思を表示することができない場合又は父母による虐待、悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は、この限りでない。

(子の利益のための特別の必要性)
第八百十七条の七  特別養子縁組は、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認めるときに、これを成立させるものとする。

(監護の状況)
第八百十七条の八  特別養子縁組を成立させるには、養親となる者が養子となる者を六箇月以上の期間監護した状況を考慮しなければならない。
2  前項の期間は、第八百十七条の二に規定する請求の時から起算する。ただし、その請求前の監護の状況が明らかであるときは、この限りでない。

(実方との親族関係の終了)
第八百十七条の九  養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了する。ただし、第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方及びその血族との親族関係については、この限りでない。

(特別養子縁組の離縁)
第八百十七条の十  次の各号のいずれにも該当する場合において、養子の利益のため特に必要があると認めるときは、家庭裁判所は、養子、実父母又は検察官の請求により、特別養子縁組の当事者を離縁させることができる。
一  養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること。
二  実父母が相当の監護をすることができること。
2  離縁は、前項の規定による場合のほか、これをすることができない。

(離縁による実方との親族関係の回復)
第八百十七条の十一  養子と実父母及びその血族との間においては、離縁の日から、特別養子縁組によって終了した親族関係と同一の親族関係を生ずる。


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民法(実子・養子)



   第三章 親子

    第一節 実子


(嫡出の推定)
第七百七十二条  妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2  婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

(父を定めることを目的とする訴え)
第七百七十三条  第七百三十三条第一項の規定に違反して再婚をした女が出産した場合において、前条の規定によりその子の父を定めることができないときは、裁判所が、これを定める。

(嫡出の否認)
第七百七十四条  第七百七十二条の場合において、夫は、子が嫡出であることを否認することができる。

(嫡出否認の訴え)
第七百七十五条  前条の規定による否認権は、子又は親権を行う母に対する嫡出否認の訴えによって行う。親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければならない。

(嫡出の承認)
第七百七十六条  夫は、子の出生後において、その嫡出であることを承認したときは、その否認権を失う。

(嫡出否認の訴えの出訴期間)
第七百七十七条  嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から一年以内に提起しなければならない。

第七百七十八条  夫が成年被後見人であるときは、前条の期間は、後見開始の審判の取消しがあった後夫が子の出生を知った時から起算する。

(認知)
第七百七十九条  嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。

(認知能力)
第七百八十条  認知をするには、父又は母が未成年者又は成年被後見人であるときであっても、その法定代理人の同意を要しない。

(認知の方式)
第七百八十一条  認知は、戸籍法 の定めるところにより届け出ることによってする。
2  認知は、遺言によっても、することができる。

(成年の子の認知)
第七百八十二条  成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない。

(胎児又は死亡した子の認知)
第七百八十三条  父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない。
2  父又は母は、死亡した子でも、その直系卑属があるときに限り、認知することができる。この場合において、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければならない。

(認知の効力)
第七百八十四条  認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできない。

(認知の取消しの禁止)
第七百八十五条  認知をした父又は母は、その認知を取り消すことができない。

(認知に対する反対の事実の主張)
第七百八十六条  子その他の利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができる。

(認知の訴え)
第七百八十七条  子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。

(認知後の子の監護に関する事項の定め等)
第七百八十八条  第七百六十六条の規定は、父が認知する場合について準用する。

(準正)
第七百八十九条  父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する。
2  婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する。
3  前二項の規定は、子が既に死亡していた場合について準用する。

(子の氏)
第七百九十条  嫡出である子は、父母の氏を称する。ただし、子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称する。
2  嫡出でない子は、母の氏を称する。

(子の氏の変更)
第七百九十一条  子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法 の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。
2  父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで、戸籍法 の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏を称することができる。
3  子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、前二項の行為をすることができる。
4  前三項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から一年以内に戸籍法 の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる。
    第二節 養子

     第一款 縁組の要件


(養親となる者の年齢)
第七百九十二条  成年に達した者は、養子をすることができる。

(尊属又は年長者を養子とすることの禁止)
第七百九十三条  尊属又は年長者は、これを養子とすることができない。

(後見人が被後見人を養子とする縁組)
第七百九十四条  後見人が被後見人(未成年被後見人及び成年被後見人をいう。以下同じ。)を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。後見人の任務が終了した後、まだその管理の計算が終わらない間も、同様とする。

(配偶者のある者が未成年者を養子とする縁組)
第七百九十五条  配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない。ただし、配偶者の嫡出である子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。

(配偶者のある者の縁組)
第七百九十六条  配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意を得なければならない。ただし、配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。

(十五歳未満の者を養子とする縁組)
第七百九十七条  養子となる者が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる。
2  法定代理人が前項の承諾をするには、養子となる者の父母でその監護をすべき者であるものが他にあるときは、その同意を得なければならない。

(未成年者を養子とする縁組)
第七百九十八条  未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない。

(婚姻の規定の準用)
第七百九十九条  第七百三十八条及び第七百三十九条の規定は、縁組について準用する。

(縁組の届出の受理)
第八百条  縁組の届出は、その縁組が第七百九十二条から前条までの規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。

(外国に在る日本人間の縁組の方式)
第八百一条  外国に在る日本人間で縁組をしようとするときは、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその届出をすることができる。この場合においては、第七百九十九条において準用する第七百三十九条の規定及び前条の規定を準用する。
     第二款 縁組の無効及び取消し


(縁組の無効)
第八百二条  縁組は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
一  人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないとき。
二  当事者が縁組の届出をしないとき。ただし、その届出が第七百九十九条において準用する第七百三十九条第二項に定める方式を欠くだけであるときは、縁組は、そのためにその効力を妨げられない。

(縁組の取消し)
第八百三条  縁組は、次条から第八百八条までの規定によらなければ、取り消すことができない。

(養親が未成年者である場合の縁組の取消し)
第八百四条  第七百九十二条の規定に違反した縁組は、養親又はその法定代理人から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、養親が、成年に達した後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。

(養子が尊属又は年長者である場合の縁組の取消し)
第八百五条  第七百九十三条の規定に違反した縁組は、各当事者又はその親族から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。

(後見人と被後見人との間の無許可縁組の取消し)
第八百六条  第七百九十四条の規定に違反した縁組は、養子又はその実方の親族から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、管理の計算が終わった後、養子が追認をし、又は六箇月を経過したときは、この限りでない。
2  前項ただし書の追認は、養子が、成年に達し、又は行為能力を回復した後にしなければ、その効力を生じない。
3  養子が、成年に達せず、又は行為能力を回復しない間に、管理の計算が終わった場合には、第一項ただし書の期間は、養子が、成年に達し、又は行為能力を回復した時から起算する。

(配偶者の同意のない縁組等の取消し)
第八百六条の二  第七百九十六条の規定に違反した縁組は、縁組の同意をしていない者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、その者が、縁組を知った後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。
2  詐欺又は強迫によって第七百九十六条の同意をした者は、その縁組の取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、その者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。

(子の監護をすべき者の同意のない縁組等の取消し)
第八百六条の三  第七百九十七条第二項の規定に違反した縁組は、縁組の同意をしていない者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、その者が追認をしたとき、又は養子が十五歳に達した後六箇月を経過し、若しくは追認をしたときは、この限りでない。
2  前条第二項の規定は、詐欺又は強迫によって第七百九十七条第二項の同意をした者について準用する。

(養子が未成年者である場合の無許可縁組の取消し)
第八百七条  第七百九十八条の規定に違反した縁組は、養子、その実方の親族又は養子に代わって縁組の承諾をした者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、養子が、成年に達した後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。

(婚姻の取消し等の規定の準用)
第八百八条  第七百四十七条及び第七百四十八条の規定は、縁組について準用する。この場合において、第七百四十七条第二項中「三箇月」とあるのは、「六箇月」と読み替えるものとする。
2  第七百六十九条及び第八百十六条の規定は、縁組の取消しについて準用する。
     第三款 縁組の効力


(嫡出子の身分の取得)
第八百九条  養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。

(養子の氏)
第八百十条  養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。
     第四款 離縁


(協議上の離縁等)
第八百十一条  縁組の当事者は、その協議で、離縁をすることができる。
2  養子が十五歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをする。
3  前項の場合において、養子の父母が離婚しているときは、その協議で、その一方を養子の離縁後にその親権者となるべき者と定めなければならない。
4  前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項の父若しくは母又は養親の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
5  第二項の法定代理人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、養子の親族その他の利害関係人の請求によって、養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者を選任する。
6  縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。

(夫婦である養親と未成年者との離縁)
第八百十一条の二  養親が夫婦である場合において未成年者と離縁をするには、夫婦が共にしなければならない。ただし、夫婦の一方がその意思を表示することができないときは、この限りでない。

(婚姻の規定の準用)
第八百十二条  第七百三十八条、第七百三十九条及び第七百四十七条の規定は、協議上の離縁について準用する。この場合において、同条第二項中「三箇月」とあるのは、「六箇月」と読み替えるものとする。

(離縁の届出の受理)
第八百十三条  離縁の届出は、その離縁が前条において準用する第七百三十九条第二項の規定並びに第八百十一条及び第八百十一条の二の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。
2  離縁の届出が前項の規定に違反して受理されたときであっても、離縁は、そのためにその効力を妨げられない。

(裁判上の離縁)
第八百十四条  縁組の当事者の一方は、次に掲げる場合に限り、離縁の訴えを提起することができる。
一  他の一方から悪意で遺棄されたとき。
二  他の一方の生死が三年以上明らかでないとき。
三  その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。
2  第七百七十条第二項の規定は、前項第一号及び第二号に掲げる場合について準用する。

(養子が十五歳未満である場合の離縁の訴えの当事者)
第八百十五条  養子が十五歳に達しない間は、第八百十一条の規定により養親と離縁の協議をすることができる者から、又はこれに対して、離縁の訴えを提起することができる。

(離縁による復氏等)
第八百十六条  養子は、離縁によって縁組前の氏に復する。ただし、配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁をした場合は、この限りでない。
2  縁組の日から七年を経過した後に前項の規定により縁組前の氏に復した者は、離縁の日から三箇月以内に戸籍法 の定めるところにより届け出ることによって、離縁の際に称していた氏を称することができる。

(離縁による復氏の際の権利の承継)
第八百十七条  第七百六十九条の規定は、離縁について準用する。

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民法(離婚)


   第四節 離婚
     第一款 協議上の離婚


(協議上の離婚)
第七百六十三条  夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。

(婚姻の規定の準用)
第七百六十四条  第七百三十八条、第七百三十九条及び第七百四十七条の規定は、協議上の離婚について準用する。

(離婚の届出の受理)
第七百六十五条  離婚の届出は、その離婚が前条において準用する第七百三十九条第二項の規定及び第八百十九条第一項の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。
2  離婚の届出が前項の規定に違反して受理されたときであっても、離婚は、そのためにその効力を妨げられない。

(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
第七百六十六条  父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は、その協議で定める。協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。
2  子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の監護をすべき者を変更し、その他監護について相当な処分を命ずることができる。
3  前二項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。

(離婚による復氏等)
第七百六十七条  婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。
2  前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法 の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。

(財産分与)
第七百六十八条  協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2  前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
3  前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。

(離婚による復氏の際の権利の承継)
第七百六十九条  婚姻によって氏を改めた夫又は妻が、第八百九十七条第一項の権利を承継した後、協議上の離婚をしたときは、当事者その他の関係人の協議で、その権利を承継すべき者を定めなければならない。
2  前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所がこれを定める。
     第二款 裁判上の離婚


(裁判上の離婚)
第七百七十条  夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一  配偶者に不貞な行為があったとき。
二  配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三  配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四  配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五  その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2  裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

(協議上の離婚の規定の準用)
第七百七十一条  第七百六十六条から第七百六十九条までの規定は、裁判上の離婚について準用する。


posted by FLS at 11:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 民事系の条文集

民法(夫婦財産制 )



    第三節 夫婦財産制

     第一款 総則


(夫婦の財産関係)
第七百五十五条  夫婦が、婚姻の届出前に、その財産について別段の契約をしなかったときは、その財産関係は、次款に定めるところによる。

(夫婦財産契約の対抗要件)
第七百五十六条  夫婦が法定財産制と異なる契約をしたときは、婚姻の届出までにその登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。

第七百五十七条  削除

(夫婦の財産関係の変更の制限等)
第七百五十八条  夫婦の財産関係は、婚姻の届出後は、変更することができない。
2  夫婦の一方が、他の一方の財産を管理する場合において、管理が失当であったことによってその財産を危うくしたときは、他の一方は、自らその管理をすることを家庭裁判所に請求することができる。
3  共有財産については、前項の請求とともに、その分割を請求することができる。

(財産の管理者の変更及び共有財産の分割の対抗要件)
第七百五十九条  前条の規定又は第七百五十五条の契約の結果により、財産の管理者を変更し、又は共有財産の分割をしたときは、その登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。
     第二款 法定財産制


(婚姻費用の分担)
第七百六十条  夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。

(日常の家事に関する債務の連帯責任)
第七百六十一条  夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。

(夫婦間における財産の帰属)
第七百六十二条  夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
2  夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。

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