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会社法(機関・役員の選任解任)


   第二節 株主総会以外の機関の設置

(株主総会以外の機関の設置)
第三百二十六条  株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない。
2  株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人又は委員会を置くことができる。

(取締役会等の設置義務等)
第三百二十七条  次に掲げる株式会社は、取締役会を置かなければならない。
一  公開会社
二  監査役会設置会社
三  委員会設置会社
2  取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない。ただし、公開会社でない会計参与設置会社については、この限りでない。
3  会計監査人設置会社(委員会設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない。
4  委員会設置会社は、監査役を置いてはならない。
5  委員会設置会社は、会計監査人を置かなければならない。

(大会社における監査役会等の設置義務)
第三百二十八条  大会社(公開会社でないもの及び委員会設置会社を除く。)は、監査役会及び会計監査人を置かなければならない。
2  公開会社でない大会社は、会計監査人を置かなければならない。
    第三節 役員及び会計監査人の選任及び解任

     第一款 選任


(選任)
第三百二十九条  役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。以下この節、第三百七十一条第四項及び第三百九十四条第三項において同じ。)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任する。
2  前項の決議をする場合には、法務省令で定めるところにより、役員が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数を欠くこととなるときに備えて補欠の役員を選任することができる。

(株式会社と役員等との関係)
第三百三十条  株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。

(取締役の資格等)
第三百三十一条  次に掲げる者は、取締役となることができない。
一  法人
二  成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
三  この法律若しくは中間法人法(平成十三年法律第四十九号)の規定に違反し、又は金融商品取引法第百九十七条 、第百九十七条の二第一号から第十号まで若しくは第十三号、第百九十八条第八号、第百九十九条、第二百条第一号から第十二号まで、第二十号若しくは第二十一号、第二百三条第三項若しくは第二百五条第一号から第六号まで、第十九号若しくは第二十号の罪、民事再生法 (平成十一年法律第二百二十五号)第二百五十五条 、第二百五十六条、第二百五十八条から第二百六十条まで若しくは第二百六十二条の罪、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律 (平成十二年法律第百二十九号)第六十五条 、第六十六条、第六十八条若しくは第六十九条の罪、会社更生法 (平成十四年法律第百五十四号)第二百六十六条 、第二百六十七条、第二百六十九条から第二百七十一条まで若しくは第二百七十三条の罪若しくは破産法 (平成十六年法律第七十五号)第二百六十五条 、第二百六十六条、第二百六十八条から第二百七十二条まで若しくは第二百七十四条の罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
四  前号に規定する法律の規定以外の法令の規定に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)
2  株式会社は、取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができない。ただし、公開会社でない株式会社においては、この限りでない。
3  委員会設置会社の取締役は、当該委員会設置会社の支配人その他の使用人を兼ねることができない。
4  取締役会設置会社においては、取締役は、三人以上でなければならない。

(取締役の任期)
第三百三十二条  取締役の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。
2  前項の規定は、公開会社でない株式会社(委員会設置会社を除く。)において、定款によって、同項の任期を選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない。
3  委員会設置会社の取締役についての第一項の規定の適用については、同項中「二年」とあるのは、「一年」とする。
4  前三項の規定にかかわらず、次に掲げる定款の変更をした場合には、取締役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。
一  委員会を置く旨の定款の変更
二  委員会を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更
三  その発行する株式の全部の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを廃止する定款の変更(委員会設置会社がするものを除く。)

(会計参与の資格等)
第三百三十三条  会計参与は、公認会計士若しくは監査法人又は税理士若しくは税理士法人でなければならない。
2  会計参与に選任された監査法人又は税理士法人は、その社員の中から会計参与の職務を行うべき者を選定し、これを株式会社に通知しなければならない。この場合においては、次項各号に掲げる者を選定することはできない。
3  次に掲げる者は、会計参与となることができない。
一  株式会社又はその子会社の取締役、監査役若しくは執行役又は支配人その他の使用人
二  業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者
三  税理士法 (昭和二十六年法律第二百三十七号)第四十三条 の規定により同法第二条第二項 に規定する税理士業務を行うことができない者

(会計参与の任期)
第三百三十四条  第三百三十二条の規定は、会計参与の任期について準用する。
2  前項において準用する第三百三十二条の規定にかかわらず、会計参与設置会社が会計参与を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合には、会計参与の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。

(監査役の資格等)
第三百三十五条  第三百三十一条第一項及び第二項の規定は、監査役について準用する。
2  監査役は、株式会社若しくはその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人又は当該子会社の会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役を兼ねることができない。
3  監査役会設置会社においては、監査役は、三人以上で、そのうち半数以上は、社外監査役でなければならない。

(監査役の任期)
第三百三十六条  監査役の任期は、選任後四年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
2  前項の規定は、公開会社でない株式会社において、定款によって、同項の任期を選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない。
3  第一項の規定は、定款によって、任期の満了前に退任した監査役の補欠として選任された監査役の任期を退任した監査役の任期の満了する時までとすることを妨げない。
4  前三項の規定にかかわらず、次に掲げる定款の変更をした場合には、監査役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。
一  監査役を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更
二  委員会を置く旨の定款の変更
三  監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更
四  その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを廃止する定款の変更

(会計監査人の資格等)
第三百三十七条  会計監査人は、公認会計士又は監査法人でなければならない。
2  会計監査人に選任された監査法人は、その社員の中から会計監査人の職務を行うべき者を選定し、これを株式会社に通知しなければならない。この場合においては、次項第二号に掲げる者を選定することはできない。
3  次に掲げる者は、会計監査人となることができない。
一  公認会計士法 の規定により、第四百三十五条第二項に規定する計算書類について監査をすることができない者
二  株式会社の子会社若しくはその取締役、会計参与、監査役若しくは執行役から公認会計士若しくは監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者又はその配偶者
三  監査法人でその社員の半数以上が前号に掲げる者であるもの

(会計監査人の任期)
第三百三十八条  会計監査人の任期は、選任後一年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
2  会計監査人は、前項の定時株主総会において別段の決議がされなかったときは、当該定時株主総会において再任されたものとみなす。
3  前二項の規定にかかわらず、会計監査人設置会社が会計監査人を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合には、会計監査人の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。
     第二款 解任


(解任)
第三百三十九条  役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
2  前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。

(監査役等による会計監査人の解任)
第三百四十条  監査役は、会計監査人が次のいずれかに該当するときは、その会計監査人を解任することができる。
一  職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき。
二  会計監査人としてふさわしくない非行があったとき。
三  心身の故障のため、職務の執行に支障があり、又はこれに堪えないとき。
2  前項の規定による解任は、監査役が二人以上ある場合には、監査役の全員の同意によって行わなければならない。
3  第一項の規定により会計監査人を解任したときは、監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、監査役の互選によって定めた監査役)は、その旨及び解任の理由を解任後最初に招集される株主総会に報告しなければならない。
4  監査役会設置会社における前三項の規定の適用については、第一項中「監査役」とあるのは「監査役会」と、第二項中「監査役が二人以上ある場合には、監査役」とあるのは「監査役」と、前項中「監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、監査役の互選によって定めた監査役)」とあるのは「監査役会が選定した監査役」とする。
5  委員会設置会社における第一項から第三項までの規定の適用については、第一項中「監査役」とあるのは「監査委員会」と、第二項中「監査役が二人以上ある場合には、監査役」とあるのは「監査委員会の委員」と、第三項中「監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、監査役の互選によって定めた監査役)」とあるのは「監査委員会が選定した監査委員会の委員」とする。
     第三款 選任及び解任の手続に関する特則


(役員の選任及び解任の株主総会の決議)
第三百四十一条  第三百九条第一項の規定にかかわらず、役員を選任し、又は解任する株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行わなければならない。

(累積投票による取締役の選任)
第三百四十二条  株主総会の目的である事項が二人以上の取締役の選任である場合には、株主(取締役の選任について議決権を行使することができる株主に限る。以下この条において同じ。)は、定款に別段の定めがあるときを除き、株式会社に対し、第三項から第五項までに規定するところにより取締役を選任すべきことを請求することができる。
2  前項の規定による請求は、同項の株主総会の日の五日前までにしなければならない。
3  第三百八条第一項の規定にかかわらず、第一項の規定による請求があった場合には、取締役の選任の決議については、株主は、その有する株式一株(単元株式数を定款で定めている場合にあっては、一単元の株式)につき、当該株主総会において選任する取締役の数と同数の議決権を有する。この場合においては、株主は、一人のみに投票し、又は二人以上に投票して、その議決権を行使することができる。
4  前項の場合には、投票の最多数を得た者から順次取締役に選任されたものとする。
5  前二項に定めるもののほか、第一項の規定による請求があった場合における取締役の選任に関し必要な事項は、法務省令で定める。
6  前条の規定は、前三項に規定するところにより選任された取締役の解任の決議については、適用しない。

(監査役の選任に関する監査役の同意等)
第三百四十三条  取締役は、監査役がある場合において、監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、その過半数)の同意を得なければならない。
2  監査役は、取締役に対し、監査役の選任を株主総会の目的とすること又は監査役の選任に関する議案を株主総会に提出することを請求することができる。
3  監査役会設置会社における前二項の規定の適用については、第一項中「監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、その過半数)」とあるのは「監査役会」と、前項中「監査役は」とあるのは「監査役会は」とする。
4  第三百四十一条の規定は、監査役の解任の決議については、適用しない。

(会計監査人の選任に関する監査役の同意等)
第三百四十四条  監査役設置会社においては、取締役は、次に掲げる行為をするには、監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、その過半数)の同意を得なければならない。
一  会計監査人の選任に関する議案を株主総会に提出すること。
二  会計監査人の解任を株主総会の目的とすること。
三  会計監査人を再任しないことを株主総会の目的とすること。
2  監査役は、取締役に対し、次に掲げる行為をすることを請求することができる。
一  会計監査人の選任に関する議案を株主総会に提出すること。
二  会計監査人の選任又は解任を株主総会の目的とすること。
三  会計監査人を再任しないことを株主総会の目的とすること。
3  監査役会設置会社における前二項の規定の適用については、第一項中「監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、その過半数)」とあり、及び前項中「監査役」とあるのは、「監査役会」とする。

(会計参与等の選任等についての意見の陳述)
第三百四十五条  会計参与は、株主総会において、会計参与の選任若しくは解任又は辞任について意見を述べることができる。
2  会計参与を辞任した者は、辞任後最初に招集される株主総会に出席して、辞任した旨及びその理由を述べることができる。
3  取締役は、前項の者に対し、同項の株主総会を招集する旨及び第二百九十八条第一項第一号に掲げる事項を通知しなければならない。
4  第一項の規定は監査役について、前二項の規定は監査役を辞任した者について、それぞれ準用する。この場合において、第一項中「会計参与の」とあるのは、「監査役の」と読み替えるものとする。
5  第一項の規定は会計監査人について、第二項及び第三項の規定は会計監査人を辞任した者及び第三百四十条第一項の規定により会計監査人を解任された者について、それぞれ準用する。この場合において、第一項中「株主総会において、会計参与の選任若しくは解任又は辞任について」とあるのは「会計監査人の選任、解任若しくは不再任又は辞任について、株主総会に出席して」と、第二項中「辞任後」とあるのは「解任後又は辞任後」と、「辞任した旨及びその理由」とあるのは「辞任した旨及びその理由又は解任についての意見」と読み替えるものとする。

(役員等に欠員を生じた場合の措置)
第三百四十六条  役員が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。
2  前項に規定する場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時役員の職務を行うべき者を選任することができる。
3  裁判所は、前項の一時役員の職務を行うべき者を選任した場合には、株式会社がその者に対して支払う報酬の額を定めることができる。
4  会計監査人が欠けた場合又は定款で定めた会計監査人の員数が欠けた場合において、遅滞なく会計監査人が選任されないときは、監査役は、一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければならない。
5  第三百三十七条及び第三百四十条の規定は、前項の一時会計監査人の職務を行うべき者について準用する。
6  監査役会設置会社における第四項の規定の適用については、同項中「監査役」とあるのは、「監査役会」とする。
7  委員会設置会社における第四項の規定の適用については、同項中「監査役」とあるのは、「監査委員会」とする。

(種類株主総会における取締役又は監査役の選任等)
第三百四十七条  第百八条第一項第九号に掲げる事項(取締役に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行している場合における第三百二十九条第一項、第三百三十二条第一項、第三百三十九条第一項及び第三百四十一条の規定の適用については、第三百二十九条第一項中「株主総会」とあるのは「株主総会(取締役については、第百八条第二項第九号に定める事項についての定款の定めに従い、各種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会)」と、第三百三十二条第一項及び第三百三十九条第一項中「株主総会の決議」とあるのは「株主総会(第四十一条第一項の規定により又は第九十条第一項の種類創立総会若しくは第三百四十七条第一項の規定により読み替えて適用する第三百二十九条第一項の種類株主総会において選任された取締役については、当該取締役の選任に係る種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会(定款に別段の定めがある場合又は当該取締役の任期満了前に当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主が存在しなくなった場合にあっては、株主総会))の決議」と、第三百四十一条中「第三百九条第一項」とあるのは「第三百九条第一項及び第三百二十四条」と、「株主総会」とあるのは「株主総会(第三百四十七条第一項の規定により読み替えて適用する第三百二十九条第一項及び第三百三十九条第一項の種類株主総会を含む。)」とする。
2  第百八条第一項第九号に掲げる事項(監査役に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行している場合における第三百二十九条第一項、第三百三十九条第一項、第三百四十一条並びに第三百四十三条第一項及び第二項の規定の適用については、第三百二十九条第一項中「株主総会」とあるのは「株主総会(監査役については、第百八条第二項第九号に定める事項についての定款の定めに従い、各種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会)」と、第三百三十九条第一項中「株主総会」とあるのは「株主総会(第四十一条第三項において準用する同条第一項の規定により又は第九十条第二項において準用する同条第一項の種類創立総会若しくは第三百四十七条第二項の規定により読み替えて適用する第三百二十九条第一項の種類株主総会において選任された監査役については、当該監査役の選任に係る種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会(定款に別段の定めがある場合又は当該監査役の任期満了前に当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主が存在しなくなった場合にあっては、株主総会))」と、第三百四十一条中「第三百九条第一項」とあるのは「第三百九条第一項及び第三百二十四条」と、「株主総会」とあるのは「株主総会(第三百四十七条第二項の規定により読み替えて適用する第三百二十九条第一項の種類株主総会を含む。)」と、第三百四十三条第一項及び第二項中「株主総会」とあるのは「第三百四十七条第二項の規定により読み替えて適用する第三百二十九条第一項の種類株主総会」とする。


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会社法(株主総会)


   第四章 機関

    第一節 株主総会及び種類株主総会

     第一款 株主総会


(株主総会の権限)
第二百九十五条  株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。
2  前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。
3  この法律の規定により株主総会の決議を必要とする事項について、取締役、執行役、取締役会その他の株主総会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めは、その効力を有しない。

(株主総会の招集)
第二百九十六条  定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない。
2  株主総会は、必要がある場合には、いつでも、招集することができる。
3  株主総会は、次条第四項の規定により招集する場合を除き、取締役が招集する。

(株主による招集の請求)
第二百九十七条  総株主の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。)及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる。
2  公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。
3  第一項の株主総会の目的である事項について議決権を行使することができない株主が有する議決権の数は、同項の総株主の議決権の数に算入しない。
4  次に掲げる場合には、第一項の規定による請求をした株主は、裁判所の許可を得て、株主総会を招集することができる。
一  第一項の規定による請求の後遅滞なく招集の手続が行われない場合
二  第一項の規定による請求があった日から八週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内の日を株主総会の日とする株主総会の招集の通知が発せられない場合

(株主総会の招集の決定)
第二百九十八条  取締役(前条第四項の規定により株主が株主総会を招集する場合にあっては、当該株主。次項本文及び次条から第三百二条までにおいて同じ。)は、株主総会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。
一  株主総会の日時及び場所
二  株主総会の目的である事項があるときは、当該事項
三  株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
四  株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
五  前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
2  取締役は、株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。次条から第三百二条までにおいて同じ。)の数が千人以上である場合には、前項第三号に掲げる事項を定めなければならない。ただし、当該株式会社が金融商品取引法第二条第十六項 に規定する金融商品取引所に上場されている株式を発行している株式会社であって法務省令で定めるものである場合は、この限りでない。
3  取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株主総会において決議をすることができる事項」とあるのは、「前項第二号に掲げる事項」とする。
4  取締役会設置会社においては、前条第四項の規定により株主が株主総会を招集するときを除き、第一項各号に掲げる事項の決定は、取締役会の決議によらなければならない。

(株主総会の招集の通知)
第二百九十九条  株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の二週間(前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めたときを除き、公開会社でない株式会社にあっては、一週間(当該株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前までに、株主に対してその通知を発しなければならない。
2  次に掲げる場合には、前項の通知は、書面でしなければならない。
一  前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めた場合
二  株式会社が取締役会設置会社である場合
3  取締役は、前項の書面による通知の発出に代えて、政令で定めるところにより、株主の承諾を得て、電磁的方法により通知を発することができる。この場合において、当該取締役は、同項の書面による通知を発したものとみなす。
4  前二項の通知には、前条第一項各号に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。

(招集手続の省略)
第三百条  前条の規定にかかわらず、株主総会は、株主の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。ただし、第二百九十八条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めた場合は、この限りでない。

(株主総会参考書類及び議決権行使書面の交付等)
第三百一条  取締役は、第二百九十八条第一項第三号に掲げる事項を定めた場合には、第二百九十九条第一項の通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類(以下この款において「株主総会参考書類」という。)及び株主が議決権を行使するための書面(以下この款において「議決権行使書面」という。)を交付しなければならない。
2  取締役は、第二百九十九条第三項の承諾をした株主に対し同項の電磁的方法による通知を発するときは、前項の規定による株主総会参考書類及び議決権行使書面の交付に代えて、これらの書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。ただし、株主の請求があったときは、これらの書類を当該株主に交付しなければならない。

第三百二条  取締役は、第二百九十八条第一項第四号に掲げる事項を定めた場合には、第二百九十九条第一項の通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、株主総会参考書類を交付しなければならない。
2  取締役は、第二百九十九条第三項の承諾をした株主に対し同項の電磁的方法による通知を発するときは、前項の規定による株主総会参考書類の交付に代えて、当該株主総会参考書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。ただし、株主の請求があったときは、株主総会参考書類を当該株主に交付しなければならない。
3  取締役は、第一項に規定する場合には、第二百九十九条第三項の承諾をした株主に対する同項の電磁的方法による通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、議決権行使書面に記載すべき事項を当該電磁的方法により提供しなければならない。
4  取締役は、第一項に規定する場合において、第二百九十九条第三項の承諾をしていない株主から株主総会の日の一週間前までに議決権行使書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供の請求があったときは、法務省令で定めるところにより、直ちに、当該株主に対し、当該事項を電磁的方法により提供しなければならない。

(株主提案権)
第三百三条  株主は、取締役に対し、一定の事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。次項において同じ。)を株主総会の目的とすることを請求することができる。
2  前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、総株主の議決権の百分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権又は三百個(これを下回る数を定款で定めた場合にあっては、その個数)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主に限り、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる。この場合において、その請求は、株主総会の日の八週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までにしなければならない。
3  公開会社でない取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。
4  第二項の一定の事項について議決権を行使することができない株主が有する議決権の数は、同項の総株主の議決権の数に算入しない。

第三百四条  株主は、株主総会において、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。次条第一項において同じ。)につき議案を提出することができる。ただし、当該議案が法令若しくは定款に違反する場合又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成を得られなかった日から三年を経過していない場合は、この限りでない。

第三百五条  株主は、取締役に対し、株主総会の日の八週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、株主総会の目的である事項につき当該株主が提出しようとする議案の要領を株主に通知すること(第二百九十九条第二項又は第三項の通知をする場合にあっては、その通知に記載し、又は記録すること)を請求することができる。ただし、取締役会設置会社においては、総株主の議決権の百分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権又は三百個(これを下回る数を定款で定めた場合にあっては、その個数)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主に限り、当該請求をすることができる。
2  公開会社でない取締役会設置会社における前項ただし書の規定の適用については、同項ただし書中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。
3  第一項の株主総会の目的である事項について議決権を行使することができない株主が有する議決権の数は、同項ただし書の総株主の議決権の数に算入しない。
4  前三項の規定は、第一項の議案が法令若しくは定款に違反する場合又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成を得られなかった日から三年を経過していない場合には、適用しない。

(株主総会の招集手続等に関する検査役の選任)
第三百六条  株式会社又は総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主は、株主総会に係る招集の手続及び決議の方法を調査させるため、当該株主総会に先立ち、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。
2  公開会社である取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株主総会において決議をすることができる事項」とあるのは「第二百九十八条第一項第二号に掲げる事項」と、「有する」とあるのは「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とし、公開会社でない取締役会設置会社における同項の規定の適用については、同項中「株主総会において決議をすることができる事項」とあるのは、「第二百九十八条第一項第二号に掲げる事項」とする。
3  前二項の規定による検査役の選任の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
4  裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。
5  第三項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
6  裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第三項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。
7  第三項の検査役は、第五項の報告をしたときは、株式会社(検査役の選任の申立てをした者が当該株式会社でない場合にあっては、当該株式会社及びその者)に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。

(裁判所による株主総会招集等の決定)
第三百七条  裁判所は、前条第五項の報告があった場合において、必要があると認めるときは、取締役に対し、次に掲げる措置の全部又は一部を命じなければならない。
一  一定の期間内に株主総会を招集すること。
二  前条第五項の調査の結果を株主に通知すること。
2  裁判所が前項第一号に掲げる措置を命じた場合には、取締役は、前条第五項の報告の内容を同号の株主総会において開示しなければならない。
3  前項に規定する場合には、取締役(監査役設置会社にあっては、取締役及び監査役)は、前条第五項の報告の内容を調査し、その結果を第一項第一号の株主総会に報告しなければならない。

(議決権の数)
第三百八条  株主(株式会社がその総株主の議決権の四分の一以上を有することその他の事由を通じて株式会社がその経営を実質的に支配することが可能な関係にあるものとして法務省令で定める株主を除く。)は、株主総会において、その有する株式一株につき一個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の株式につき一個の議決権を有する。
2  前項の規定にかかわらず、株式会社は、自己株式については、議決権を有しない。

(株主総会の決議)
第三百九条  株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。
2  前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。
一  第百四十条第二項及び第五項の株主総会
二  第百五十六条第一項の株主総会(第百六十条第一項の特定の株主を定める場合に限る。)
三  第百七十一条第一項及び第百七十五条第一項の株主総会
四  第百八十条第二項の株主総会
五  第百九十九条第二項、第二百条第一項、第二百二条第三項第四号及び第二百四条第二項の株主総会
六  第二百三十八条第二項、第二百三十九条第一項、第二百四十一条第三項第四号及び第二百四十三条第二項の株主総会
七  第三百三十九条第一項の株主総会(第三百四十二条第三項から第五項までの規定により選任された取締役を解任する場合又は監査役を解任する場合に限る。)
八  第四百二十五条第一項の株主総会
九  第四百四十七条第一項の株主総会(次のいずれにも該当する場合を除く。)
イ 定時株主総会において第四百四十七条第一項各号に掲げる事項を定めること。
ロ 第四百四十七条第一項第一号の額がイの定時株主総会の日(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、第四百三十六条第三項の承認があった日)における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないこと。
十  第四百五十四条第四項の株主総会(配当財産が金銭以外の財産であり、かつ、株主に対して同項第一号に規定する金銭分配請求権を与えないこととする場合に限る。)
十一  第六章から第八章までの規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会
十二  第五編の規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会
3  前二項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会(種類株式発行会社の株主総会を除く。)の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。
一  その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける定款の変更を行う株主総会
二  第七百八十三条第一項の株主総会(合併により消滅する株式会社又は株式交換をする株式会社が公開会社であり、かつ、当該株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が譲渡制限株式等(同条第三項に規定する譲渡制限株式等をいう。次号において同じ。)である場合における当該株主総会に限る。)
三  第八百四条第一項の株主総会(合併又は株式移転をする株式会社が公開会社であり、かつ、当該株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が譲渡制限株式等である場合における当該株主総会に限る。)
4  前三項の規定にかかわらず、第百九条第二項の規定による定款の定めについての定款の変更(当該定款の定めを廃止するものを除く。)を行う株主総会の決議は、総株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、総株主の議決権の四分の三(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。
5  取締役会設置会社においては、株主総会は、第二百九十八条第一項第二号に掲げる事項以外の事項については、決議をすることができない。ただし、第三百十六条第一項若しくは第二項に規定する者の選任又は第三百九十八条第二項の会計監査人の出席を求めることについては、この限りでない。

(議決権の代理行使)
第三百十条  株主は、代理人によってその議決権を行使することができる。この場合においては、当該株主又は代理人は、代理権を証明する書面を株式会社に提出しなければならない。
2  前項の代理権の授与は、株主総会ごとにしなければならない。
3  第一項の株主又は代理人は、代理権を証明する書面の提出に代えて、政令で定めるところにより、株式会社の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該株主又は代理人は、当該書面を提出したものとみなす。
4  株主が第二百九十九条第三項の承諾をした者である場合には、株式会社は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。
5  株式会社は、株主総会に出席することができる代理人の数を制限することができる。
6  株式会社は、株主総会の日から三箇月間、代理権を証明する書面及び第三項の電磁的方法により提供された事項が記録された電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
7  株主(前項の株主総会において決議をした事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。次条第四項及び第三百十二条第五項において同じ。)は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一  代理権を証明する書面の閲覧又は謄写の請求
二  前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

(書面による議決権の行使)
第三百十一条  書面による議決権の行使は、議決権行使書面に必要な事項を記載し、法務省令で定める時までに当該記載をした議決権行使書面を株式会社に提出して行う。
2  前項の規定により書面によって行使した議決権の数は、出席した株主の議決権の数に算入する。
3  株式会社は、株主総会の日から三箇月間、第一項の規定により提出された議決権行使書面をその本店に備え置かなければならない。
4  株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、第一項の規定により提出された議決権行使書面の閲覧又は謄写の請求をすることができる。

(電磁的方法による議決権の行使)
第三百十二条  電磁的方法による議決権の行使は、政令で定めるところにより、株式会社の承諾を得て、法務省令で定める時までに議決権行使書面に記載すべき事項を、電磁的方法により当該株式会社に提供して行う。
2  株主が第二百九十九条第三項の承諾をした者である場合には、株式会社は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。
3  第一項の規定により電磁的方法によって行使した議決権の数は、出席した株主の議決権の数に算入する。
4  株式会社は、株主総会の日から三箇月間、第一項の規定により提供された事項を記録した電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
5  株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求をすることができる。

(議決権の不統一行使)
第三百十三条  株主は、その有する議決権を統一しないで行使することができる。
2  取締役会設置会社においては、前項の株主は、株主総会の日の三日前までに、取締役会設置会社に対してその有する議決権を統一しないで行使する旨及びその理由を通知しなければならない。
3  株式会社は、第一項の株主が他人のために株式を有する者でないときは、当該株主が同項の規定によりその有する議決権を統一しないで行使することを拒むことができる。

(取締役等の説明義務)
第三百十四条  取締役、会計参与、監査役及び執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。ただし、当該事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場合、その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合その他正当な理由がある場合として法務省令で定める場合は、この限りでない。

(議長の権限)
第三百十五条  株主総会の議長は、当該株主総会の秩序を維持し、議事を整理する。
2  株主総会の議長は、その命令に従わない者その他当該株主総会の秩序を乱す者を退場させることができる。

(株主総会に提出された資料等の調査)
第三百十六条  株主総会においては、その決議によって、取締役、会計参与、監査役、監査役会及び会計監査人が当該株主総会に提出し、又は提供した資料を調査する者を選任することができる。
2  第二百九十七条の規定により招集された株主総会においては、その決議によって、株式会社の業務及び財産の状況を調査する者を選任することができる。

(延期又は続行の決議)
第三百十七条  株主総会においてその延期又は続行について決議があった場合には、第二百九十八条及び第二百九十九条の規定は、適用しない。

(議事録)
第三百十八条  株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
2  株式会社は、株主総会の日から十年間、前項の議事録をその本店に備え置かなければならない。
3  株式会社は、株主総会の日から五年間、第一項の議事録の写しをその支店に備え置かなければならない。ただし、当該議事録が電磁的記録をもって作成されている場合であって、支店における次項第二号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっているときは、この限りでない。
4  株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一  第一項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧又は謄写の請求
二  第一項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
5  株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第一項の議事録について前項各号に掲げる請求をすることができる。

(株主総会の決議の省略)
第三百十九条  取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。
2  株式会社は、前項の規定により株主総会の決議があったものとみなされた日から十年間、同項の書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
3  株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一  前項の書面の閲覧又は謄写の請求
二  前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
4  株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第二項の書面又は電磁的記録について前項各号に掲げる請求をすることができる。
5  第一項の規定により定時株主総会の目的である事項のすべてについての提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされた場合には、その時に当該定時株主総会が終結したものとみなす。

(株主総会への報告の省略)
第三百二十条  取締役が株主の全員に対して株主総会に報告すべき事項を通知した場合において、当該事項を株主総会に報告することを要しないことにつき株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該事項の株主総会への報告があったものとみなす。
     第二款 種類株主総会


(種類株主総会の権限)
第三百二十一条  種類株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。

(ある種類の種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合の種類株主総会)
第三百二十二条  種類株式発行会社が次に掲げる行為をする場合において、ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該行為は、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会。以下この条において同じ。)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
一  次に掲げる事項についての定款の変更(第百十一条第一項又は第二項に規定するものを除く。)
イ 株式の種類の追加
ロ 株式の内容の変更
ハ 発行可能株式総数又は発行可能種類株式総数の増加
二  株式の併合又は株式の分割
三  第百八十五条に規定する株式無償割当て
四  当該株式会社の株式を引き受ける者の募集(第二百二条第一項各号に掲げる事項を定めるものに限る。)
五  当該株式会社の新株予約権を引き受ける者の募集(第二百四十一条第一項各号に掲げる事項を定めるものに限る。)
六  第二百七十七条に規定する新株予約権無償割当て
七  合併
八  吸収分割
九  吸収分割による他の会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部の承継
十  新設分割
十一  株式交換
十二  株式交換による他の株式会社の発行済株式全部の取得
十三  株式移転
2  種類株式発行会社は、ある種類の株式の内容として、前項の規定による種類株主総会の決議を要しない旨を定款で定めることができる。
3  第一項の規定は、前項の規定による定款の定めがある種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会については、適用しない。ただし、第一項第一号に規定する定款の変更(単元株式数についてのものを除く。)を行う場合は、この限りでない。
4  ある種類の株式の発行後に定款を変更して当該種類の株式について第二項の規定による定款の定めを設けようとするときは、当該種類の種類株主全員の同意を得なければならない。

(種類株主総会の決議を必要とする旨の定めがある場合)
第三百二十三条  種類株式発行会社において、ある種類の株式の内容として、株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、第四百七十八条第六項に規定する清算人会設置会社にあっては株主総会又は清算人会)において決議すべき事項について、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とする旨の定めがあるときは、当該事項は、その定款の定めに従い、株主総会、取締役会又は清算人会の決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。

(種類株主総会の決議)
第三百二十四条  種類株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、その種類の株式の総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。
2  前項の規定にかかわらず、次に掲げる種類株主総会の決議は、当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。
一  第百十一条第二項の種類株主総会(ある種類の株式の内容として第百八条第一項第七号に掲げる事項についての定款の定めを設ける場合に限る。)
二  第百九十九条第四項及び第二百条第四項の種類株主総会
三  第二百三十八条第四項及び第二百三十九条第四項の種類株主総会
四  第三百二十二条第一項の種類株主総会
五  第三百四十七条第二項の規定により読み替えて適用する第三百三十九条第一項の種類株主総会
六  第七百九十五条第四項の種類株主総会
3  前二項の規定にかかわらず、次に掲げる種類株主総会の決議は、当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。
一  第百十一条第二項の種類株主総会(ある種類の株式の内容として第百八条第一項第四号に掲げる事項についての定款の定めを設ける場合に限る。)
二  第七百八十三条第三項及び第八百四条第三項の種類株主総会

(株主総会に関する規定の準用)
第三百二十五条  前款(第二百九十五条第一項及び第二項、第二百九十六条第一項及び第二項並びに第三百九条を除く。)の規定は、種類株主総会について準用する。この場合において、第二百九十七条第一項中「総株主」とあるのは「総株主(ある種類の株式の株主に限る。以下この款(第三百八条第一項を除く。)において同じ。)」と、「株主は」とあるのは「株主(ある種類の株式の株主に限る。以下この款(第三百十八条第四項及び第三百十九条第三項を除く。)において同じ。)は」と読み替えるものとする。


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会社法(新株予約権)


  第三章 新株予約権

    第一節 総則


(新株予約権の内容)
第二百三十六条  株式会社が新株予約権を発行するときは、次に掲げる事項を当該新株予約権の内容としなければならない。
一  当該新株予約権の目的である株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法
二  当該新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法
三  金銭以外の財産を当該新株予約権の行使に際してする出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額
四  当該新株予約権を行使することができる期間
五  当該新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項
六  譲渡による当該新株予約権の取得について当該株式会社の承認を要することとするときは、その旨
七  当該新株予約権について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができることとするときは、次に掲げる事項
イ 一定の事由が生じた日に当該株式会社がその新株予約権を取得する旨及びその事由
ロ 当該株式会社が別に定める日が到来することをもってイの事由とするときは、その旨
ハ イの事由が生じた日にイの新株予約権の一部を取得することとするときは、その旨及び取得する新株予約権の一部の決定の方法
ニ イの新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の株式を交付するときは、当該株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその算定方法
ホ イの新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)を交付するときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
ヘ イの新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の他の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)を交付するときは、当該他の新株予約権の内容及び数又はその算定方法
ト イの新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の新株予約権付社債を交付するときは、当該新株予約権付社債についてのホに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのヘに規定する事項
チ イの新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の株式等以外の財産を交付するときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
八  当該株式会社が次のイからホまでに掲げる行為をする場合において、当該新株予約権の新株予約権者に当該イからホまでに定める株式会社の新株予約権を交付することとするときは、その旨及びその条件
イ 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。) 合併後存続する株式会社又は合併により設立する株式会社
ロ 吸収分割 吸収分割をする株式会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を承継する株式会社
ハ 新設分割 新設分割により設立する株式会社
ニ 株式交換 株式交換をする株式会社の発行済株式の全部を取得する株式会社
ホ 株式移転 株式移転により設立する株式会社
九  新株予約権を行使した新株予約権者に交付する株式の数に一株に満たない端数がある場合において、これを切り捨てるものとするときは、その旨
十  当該新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)に係る新株予約権証券を発行することとするときは、その旨
十一  前号に規定する場合において、新株予約権者が第二百九十条の規定による請求の全部又は一部をすることができないこととするときは、その旨
2  新株予約権付社債に付された新株予約権の数は、当該新株予約権付社債についての社債の金額ごとに、均等に定めなければならない。

(共有者による権利の行使)
第二百三十七条  新株予約権が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該新株予約権についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該新株予約権についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。
    第二節 新株予約権の発行

     第一款 募集事項の決定等


(募集事項の決定)
第二百三十八条  株式会社は、その発行する新株予約権を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集新株予約権(当該募集に応じて当該新株予約権の引受けの申込みをした者に対して割り当てる新株予約権をいう。以下この章において同じ。)について次に掲げる事項(以下この節において「募集事項」という。)を定めなければならない。
一  募集新株予約権の内容及び数
二  募集新株予約権と引換えに金銭の払込みを要しないこととする場合には、その旨
三  前号に規定する場合以外の場合には、募集新株予約権の払込金額(募集新株予約権一個と引換えに払い込む金銭の額をいう。以下この章において同じ。)又はその算定方法
四  募集新株予約権を割り当てる日(以下この節において「割当日」という。)
五  募集新株予約権と引換えにする金銭の払込みの期日を定めるときは、その期日
六  募集新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合には、第六百七十六条各号に掲げる事項
七  前号に規定する場合において、同号の新株予約権付社債に付された募集新株予約権についての第百十八条第一項、第七百七十七条第一項、第七百八十七条第一項又は第八百八条第一項の規定による請求の方法につき別段の定めをするときは、その定め
2  募集事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
3  次に掲げる場合には、取締役は、前項の株主総会において、第一号の条件又は第二号の金額で募集新株予約権を引き受ける者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
一  第一項第二号に規定する場合において、金銭の払込みを要しないこととすることが当該者に特に有利な条件であるとき。
二  第一項第三号に規定する場合において、同号の払込金額が当該者に特に有利な金額であるとき。
4  種類株式発行会社において、募集新株予約権の目的である株式の種類の全部又は一部が譲渡制限株式であるときは、当該募集新株予約権に関する募集事項の決定は、当該種類の株式を目的とする募集新株予約権を引き受ける者の募集について当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがある場合を除き、当該種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
5  募集事項は、第一項の募集ごとに、均等に定めなければならない。

(募集事項の決定の委任)
第二百三十九条  前条第二項及び第四項の規定にかかわらず、株主総会においては、その決議によって、募集事項の決定を取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)に委任することができる。この場合においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
一  その委任に基づいて募集事項の決定をすることができる募集新株予約権の内容及び数の上限
二  前号の募集新株予約権につき金銭の払込みを要しないこととする場合には、その旨
三  前号に規定する場合以外の場合には、募集新株予約権の払込金額の下限
2  次に掲げる場合には、取締役は、前項の株主総会において、第一号の条件又は第二号の金額で募集新株予約権を引き受ける者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
一  前項第二号に規定する場合において、金銭の払込みを要しないこととすることが当該者に特に有利な条件であるとき。
二  前項第三号に規定する場合において、同号の払込金額の下限が当該者に特に有利な金額であるとき。
3  第一項の決議は、割当日が当該決議の日から一年以内の日である前条第一項の募集についてのみその効力を有する。
4  種類株式発行会社において、募集新株予約権の目的である株式の種類の全部又は一部が譲渡制限株式であるときは、当該募集新株予約権に関する募集事項の決定の委任は、前条第四項の定款の定めがある場合を除き、当該種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。

(公開会社における募集事項の決定の特則)
第二百四十条  第二百三十八条第三項各号に掲げる場合を除き、公開会社における同条第二項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。この場合においては、前条の規定は、適用しない。
2  公開会社は、前項の規定により読み替えて適用する第二百三十八条第二項の取締役会の決議によって募集事項を定めた場合には、割当日の二週間前までに、株主に対し、当該募集事項を通知しなければならない。
3  前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
4  第二項の規定は、株式会社が募集事項について割当日の二週間前までに金融商品取引法第四条第一項 又は第二項 の届出をしている場合その他の株主の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、適用しない。

(株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与える場合)
第二百四十一条  株式会社は、第二百三十八条第一項の募集において、株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与えることができる。この場合においては、募集事項のほか、次に掲げる事項を定めなければならない。
一  株主に対し、次条第二項の申込みをすることにより当該株式会社の募集新株予約権(種類株式発行会社にあっては、その目的である株式の種類が当該株主の有する種類の株式と同一の種類のもの)の割当てを受ける権利を与える旨
二  前号の募集新株予約権の引受けの申込みの期日
2  前項の場合には、同項第一号の株主(当該株式会社を除く。)は、その有する株式の数に応じて募集新株予約権の割当てを受ける権利を有する。ただし、当該株主が割当てを受ける募集新株予約権の数に一に満たない端数があるときは、これを切り捨てるものとする。
3  第一項各号に掲げる事項を定める場合には、募集事項及び同項各号に掲げる事項は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める方法によって定めなければならない。
一  当該募集事項及び第一項各号に掲げる事項を取締役の決定によって定めることができる旨の定款の定めがある場合(株式会社が取締役会設置会社である場合を除く。) 取締役の決定
二  当該募集事項及び第一項各号に掲げる事項を取締役会の決議によって定めることができる旨の定款の定めがある場合(次号に掲げる場合を除く。) 取締役会の決議
三  株式会社が公開会社である場合 取締役会の決議
四  前三号に掲げる場合以外の場合 株主総会の決議
4  株式会社は、第一項各号に掲げる事項を定めた場合には、同項第二号の期日の二週間前までに、同項第一号の株主(当該株式会社を除く。)に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
一  募集事項
二  当該株主が割当てを受ける募集新株予約権の内容及び数
三  第一項第二号の期日
5  第二百三十八条第二項から第四項まで及び前二条の規定は、第一項から第三項までの規定により株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与える場合には、適用しない。
     第二款 募集新株予約権の割当て


(募集新株予約権の申込み)
第二百四十二条  株式会社は、第二百三十八条第一項の募集に応じて募集新株予約権の引受けの申込みをしようとする者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
一  株式会社の商号
二  募集事項
三  新株予約権の行使に際して金銭の払込みをすべきときは、払込みの取扱いの場所
四  前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
2  第二百三十八条第一項の募集に応じて募集新株予約権の引受けの申込みをする者は、次に掲げる事項を記載した書面を株式会社に交付しなければならない。
一  申込みをする者の氏名又は名称及び住所
二  引き受けようとする募集新株予約権の数
3  前項の申込みをする者は、同項の書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、株式会社の承諾を得て、同項の書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該申込みをした者は、同項の書面を交付したものとみなす。
4  第一項の規定は、株式会社が同項各号に掲げる事項を記載した金融商品取引法第二条第十項 に規定する目論見書を第一項 の申込みをしようとする者に対して交付している場合その他募集新株予約権の引受けの申込みをしようとする者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、適用しない。
5  株式会社は、第一項各号に掲げる事項について変更があったときは、直ちに、その旨及び当該変更があった事項を第二項の申込みをした者(以下この款において「申込者」という。)に通知しなければならない。
6  募集新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合には、申込者(募集新株予約権のみの申込みをした者に限る。)は、その申込みに係る募集新株予約権を付した新株予約権付社債の引受けの申込みをしたものとみなす。
7  株式会社が申込者に対してする通知又は催告は、第二項第一号の住所(当該申込者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
8  前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。

(募集新株予約権の割当て)
第二百四十三条  株式会社は、申込者の中から募集新株予約権の割当てを受ける者を定め、かつ、その者に割り当てる募集新株予約権の数を定めなければならない。この場合において、株式会社は、当該申込者に割り当てる募集新株予約権の数を、前条第二項第二号の数よりも減少することができる。
2  次に掲げる場合には、前項の規定による決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
一  募集新株予約権の目的である株式の全部又は一部が譲渡制限株式である場合
二  募集新株予約権が譲渡制限新株予約権(新株予約権であって、譲渡による当該新株予約権の取得について株式会社の承認を要する旨の定めがあるものをいう。以下この章において同じ。)である場合
3  株式会社は、割当日の前日までに、申込者に対し、当該申込者に割り当てる募集新株予約権の数(当該募集新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合にあっては、当該新株予約権付社債についての社債の種類及び各社債の金額の合計額を含む。)を通知しなければならない。
4  第二百四十一条の規定により株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与えた場合において、株主が同条第一項第二号の期日までに前条第二項の申込みをしないときは、当該株主は、募集新株予約権の割当てを受ける権利を失う。

(募集新株予約権の申込み及び割当てに関する特則)
第二百四十四条  前二条の規定は、募集新株予約権を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合には、適用しない。
2  募集新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合における前項の規定の適用については、同項中「の引受け」とあるのは、「及び当該募集新株予約権を付した社債の総額の引受け」とする。

(新株予約権者となる日)
第二百四十五条  次の各号に掲げる者は、割当日に、当該各号に定める募集新株予約権の新株予約権者となる。
一  申込者 株式会社の割り当てた募集新株予約権
二  前条第一項の契約により募集新株予約権の総数を引き受けた者 その者が引き受けた募集新株予約権
2  募集新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合には、前項の規定により募集新株予約権の新株予約権者となる者は、当該募集新株予約権を付した新株予約権付社債についての社債の社債権者となる。
     第三款 募集新株予約権に係る払込み


第二百四十六条  第二百三十八条第一項第三号に規定する場合には、新株予約権者は、募集新株予約権についての第二百三十六条第一項第四号の期間の初日の前日(第二百三十八条第一項第五号に規定する場合にあっては、同号の期日。第三項において「払込期日」という。)までに、株式会社が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの募集新株予約権の払込金額の全額を払い込まなければならない。
2  前項の規定にかかわらず、新株予約権者は、株式会社の承諾を得て、同項の規定による払込みに代えて、払込金額に相当する金銭以外の財産を給付し、又は当該株式会社に対する債権をもって相殺することができる。
3  第二百三十八条第一項第三号に規定する場合には、新株予約権者は、募集新株予約権についての払込期日までに、それぞれの募集新株予約権の払込金額の全額の払込み(当該払込みに代えてする金銭以外の財産の給付又は当該株式会社に対する債権をもってする相殺を含む。)をしないときは、当該募集新株予約権を行使することができない。
     第四款 募集新株予約権の発行をやめることの請求


第二百四十七条  次に掲げる場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、株式会社に対し、第二百三十八条第一項の募集に係る新株予約権の発行をやめることを請求することができる。
一  当該新株予約権の発行が法令又は定款に違反する場合
二  当該新株予約権の発行が著しく不公正な方法により行われる場合
     第五款 雑則


第二百四十八条  第六百七十六条から第六百八十条までの規定は、新株予約権付社債についての社債を引き受ける者の募集については、適用しない。
    第三節 新株予約権原簿


(新株予約権原簿)
第二百四十九条  株式会社は、新株予約権を発行した日以後遅滞なく、新株予約権原簿を作成し、次の各号に掲げる新株予約権の区分に応じ、当該各号に定める事項(以下「新株予約権原簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
一  無記名式の新株予約権証券が発行されている新株予約権(以下この章において「無記名新株予約権」という。) 当該新株予約権証券の番号並びに当該無記名新株予約権の内容及び数
二  無記名式の新株予約権付社債券(証券発行新株予約権付社債(新株予約権付社債であって、当該新株予約権付社債についての社債につき社債券を発行する旨の定めがあるものをいう。以下この章において同じ。)に係る社債券をいう。以下同じ。)が発行されている新株予約権付社債(以下この章において「無記名新株予約権付社債」という。)に付された新株予約権 当該新株予約権付社債券の番号並びに当該新株予約権の内容及び数
三  前二号に掲げる新株予約権以外の新株予約権 次に掲げる事項
イ 新株予約権者の氏名又は名称及び住所
ロ イの新株予約権者の有する新株予約権の内容及び数
ハ イの新株予約権者が新株予約権を取得した日
ニ ロの新株予約権が証券発行新株予約権(新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)であって、当該新株予約権に係る新株予約権証券を発行する旨の定めがあるものをいう。以下この章において同じ。)であるときは、当該新株予約権(新株予約権証券が発行されているものに限る。)に係る新株予約権証券の番号
ホ ロの新株予約権が証券発行新株予約権付社債に付されたものであるときは、当該新株予約権を付した新株予約権付社債(新株予約権付社債券が発行されているものに限る。)に係る新株予約権付社債券の番号

(新株予約権原簿記載事項を記載した書面の交付等)
第二百五十条  前条第三号イの新株予約権者は、株式会社に対し、当該新株予約権者についての新株予約権原簿に記載され、若しくは記録された新株予約権原簿記載事項を記載した書面の交付又は当該新株予約権原簿記載事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
2  前項の書面には、株式会社の代表取締役(委員会設置会社にあっては、代表執行役。次項において同じ。)が署名し、又は記名押印しなければならない。
3  第一項の電磁的記録には、株式会社の代表取締役が法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
4  前三項の規定は、証券発行新株予約権及び証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権については、適用しない。

(新株予約権原簿の管理)
第二百五十一条  株式会社が新株予約権を発行している場合における第百二十三条の規定の適用については、同条中「株主名簿の」とあるのは「株主名簿及び新株予約権原簿の」と、「株主名簿に」とあるのは「株主名簿及び新株予約権原簿に」とする。

(新株予約権原簿の備置き及び閲覧等)
第二百五十二条  株式会社は、新株予約権原簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならない。
2  株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
一  新株予約権原簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二  新株予約権原簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
3  株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。
一  当該請求を行う株主又は債権者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二  請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
三  請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき。
四  請求者が新株予約権原簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
五  請求者が、過去二年以内において、新株予約権原簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
4  株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該株式会社の新株予約権原簿について第二項各号に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
5  前項の親会社社員について第三項各号のいずれかに規定する事由があるときは、裁判所は、前項の許可をすることができない。

(新株予約権者に対する通知等)
第二百五十三条  株式会社が新株予約権者に対してする通知又は催告は、新株予約権原簿に記載し、又は記録した当該新株予約権者の住所(当該新株予約権者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
2  前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
3  新株予約権が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、株式会社が新株予約権者に対してする通知又は催告を受領する者一人を定め、当該株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければならない。この場合においては、その者を新株予約権者とみなして、前二項の規定を適用する。
4  前項の規定による共有者の通知がない場合には、株式会社が新株予約権の共有者に対してする通知又は催告は、そのうちの一人に対してすれば足りる。
    第四節 新株予約権の譲渡等

     第一款 新株予約権の譲渡


(新株予約権の譲渡)
第二百五十四条  新株予約権者は、その有する新株予約権を譲渡することができる。
2  前項の規定にかかわらず、新株予約権付社債に付された新株予約権のみを譲渡することはできない。ただし、当該新株予約権付社債についての社債が消滅したときは、この限りでない。
3  新株予約権付社債についての社債のみを譲渡することはできない。ただし、当該新株予約権付社債に付された新株予約権が消滅したときは、この限りでない。

(証券発行新株予約権の譲渡)
第二百五十五条  証券発行新株予約権の譲渡は、当該証券発行新株予約権に係る新株予約権証券を交付しなければ、その効力を生じない。ただし、自己新株予約権(株式会社が有する自己の新株予約権をいう。以下この章において同じ。)の処分による証券発行新株予約権の譲渡については、この限りでない。
2  証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権の譲渡は、当該証券発行新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券を交付しなければ、その効力を生じない。ただし、自己新株予約権付社債(株式会社が有する自己の新株予約権付社債をいう。以下この条及び次条において同じ。)の処分による当該自己新株予約権付社債に付された新株予約権の譲渡については、この限りでない。

(自己新株予約権の処分に関する特則)
第二百五十六条  株式会社は、自己新株予約権(証券発行新株予約権に限る。)を処分した日以後遅滞なく、当該自己新株予約権を取得した者に対し、新株予約権証券を交付しなければならない。
2  前項の規定にかかわらず、株式会社は、同項の者から請求がある時までは、同項の新株予約権証券を交付しないことができる。
3  株式会社は、自己新株予約権付社債(証券発行新株予約権付社債に限る。)を処分した日以後遅滞なく、当該自己新株予約権付社債を取得した者に対し、新株予約権付社債券を交付しなければならない。
4  第六百八十七条の規定は、自己新株予約権付社債の処分による当該自己新株予約権付社債についての社債の譲渡については、適用しない。

(新株予約権の譲渡の対抗要件)
第二百五十七条  新株予約権の譲渡は、その新株予約権を取得した者の氏名又は名称及び住所を新株予約権原簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。
2  記名式の新株予約権証券が発行されている証券発行新株予約権及び記名式の新株予約権付社債券が発行されている証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権についての前項の規定の適用については、同項中「株式会社その他の第三者」とあるのは、「株式会社」とする。
3  第一項の規定は、無記名新株予約権及び無記名新株予約権付社債に付された新株予約権については、適用しない。

(権利の推定等)
第二百五十八条  新株予約権証券の占有者は、当該新株予約権証券に係る証券発行新株予約権についての権利を適法に有するものと推定する。
2  新株予約権証券の交付を受けた者は、当該新株予約権証券に係る証券発行新株予約権についての権利を取得する。ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。
3  新株予約権付社債券の占有者は、当該新株予約権付社債券に係る証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権についての権利を適法に有するものと推定する。
4  新株予約権付社債券の交付を受けた者は、当該新株予約権付社債券に係る証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権についての権利を取得する。ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。

(新株予約権者の請求によらない新株予約権原簿記載事項の記載又は記録)
第二百五十九条  株式会社は、次の各号に掲げる場合には、当該各号の新株予約権の新株予約権者に係る新株予約権原簿記載事項を新株予約権原簿に記載し、又は記録しなければならない。
一  当該株式会社の新株予約権を取得した場合
二  自己新株予約権を処分した場合
2  前項の規定は、無記名新株予約権及び無記名新株予約権付社債に付された新株予約権については、適用しない。

(新株予約権者の請求による新株予約権原簿記載事項の記載又は記録)
第二百六十条  新株予約権を当該新株予約権を発行した株式会社以外の者から取得した者(当該株式会社を除く。以下この節において「新株予約権取得者」という。)は、当該株式会社に対し、当該新株予約権に係る新株予約権原簿記載事項を新株予約権原簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
2  前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した新株予約権の新株予約権者として新株予約権原簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と共同してしなければならない。
3  前二項の規定は、無記名新株予約権及び無記名新株予約権付社債に付された新株予約権については、適用しない。

第二百六十一条  前条の規定は、新株予約権取得者が取得した新株予約権が譲渡制限新株予約権である場合には、適用しない。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
一  当該新株予約権取得者が当該譲渡制限新株予約権を取得することについて次条の承認を受けていること。
二  当該新株予約権取得者が当該譲渡制限新株予約権を取得したことについて第二百六十三条第一項の承認を受けていること。
三  当該新株予約権取得者が相続その他の一般承継により譲渡制限新株予約権を取得した者であること。
     第二款 新株予約権の譲渡の制限


(新株予約権者からの承認の請求)
第二百六十二条  譲渡制限新株予約権の新株予約権者は、その有する譲渡制限新株予約権を他人(当該譲渡制限新株予約権を発行した株式会社を除く。)に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限新株予約権を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。

(新株予約権取得者からの承認の請求)
第二百六十三条  譲渡制限新株予約権を取得した新株予約権取得者は、株式会社に対し、当該譲渡制限新株予約権を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
2  前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した新株予約権の新株予約権者として新株予約権原簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と共同してしなければならない。

(譲渡等承認請求の方法)
第二百六十四条  次の各号に掲げる請求(以下この款において「譲渡等承認請求」という。)は、当該各号に定める事項を明らかにしてしなければならない。
一  第二百六十二条の規定による請求 次に掲げる事項
イ 当該請求をする新株予約権者が譲り渡そうとする譲渡制限新株予約権の内容及び数
ロ イの譲渡制限新株予約権を譲り受ける者の氏名又は名称
二  前条第一項の規定による請求 次に掲げる事項
イ 当該請求をする新株予約権取得者の取得した譲渡制限新株予約権の内容及び数
ロ イの新株予約権取得者の氏名又は名称

(譲渡等の承認の決定等)
第二百六十五条  株式会社が第二百六十二条又は第二百六十三条第一項の承認をするか否かの決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、新株予約権の内容として別段の定めがある場合は、この限りでない。
2  株式会社は、前項の決定をしたときは、譲渡等承認請求をした者に対し、当該決定の内容を通知しなければならない。

(株式会社が承認をしたとみなされる場合)
第二百六十六条  株式会社が譲渡等承認請求の日から二週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に前条第二項の規定による通知をしなかった場合には、第二百六十二条又は第二百六十三条第一項の承認をしたものとみなす。ただし、当該株式会社と当該譲渡等承認請求をした者との合意により別段の定めをしたときは、この限りでない。
     第三款 新株予約権の質入れ


(新株予約権の質入れ)
第二百六十七条  新株予約権者は、その有する新株予約権に質権を設定することができる。
2  前項の規定にかかわらず、新株予約権付社債に付された新株予約権のみに質権を設定することはできない。ただし、当該新株予約権付社債についての社債が消滅したときは、この限りでない。
3  新株予約権付社債についての社債のみに質権を設定することはできない。ただし、当該新株予約権付社債に付された新株予約権が消滅したときは、この限りでない。
4  証券発行新株予約権の質入れは、当該証券発行新株予約権に係る新株予約権証券を交付しなければ、その効力を生じない。
5  証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権の質入れは、当該証券発行新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券を交付しなければ、その効力を生じない。

(新株予約権の質入れの対抗要件)
第二百六十八条  新株予約権の質入れは、その質権者の氏名又は名称及び住所を新株予約権原簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。
2  前項の規定にかかわらず、証券発行新株予約権の質権者は、継続して当該証券発行新株予約権に係る新株予約権証券を占有しなければ、その質権をもって株式会社その他の第三者に対抗することができない。
3  第一項の規定にかかわらず、証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権の質権者は、継続して当該証券発行新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券を占有しなければ、その質権をもって株式会社その他の第三者に対抗することができない。

(新株予約権原簿の記載等)
第二百六十九条  新株予約権に質権を設定した者は、株式会社に対し、次に掲げる事項を新株予約権原簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
一  質権者の氏名又は名称及び住所
二  質権の目的である新株予約権
2  前項の規定は、無記名新株予約権及び無記名新株予約権付社債に付された新株予約権については、適用しない。

(新株予約権原簿の記載事項を記載した書面の交付等)
第二百七十条  前条第一項各号に掲げる事項が新株予約権原簿に記載され、又は記録された質権者(以下「登録新株予約権質権者」という。)は、株式会社に対し、当該登録新株予約権質権者についての新株予約権原簿に記載され、若しくは記録された同項各号に掲げる事項を記載した書面の交付又は当該事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
2  前項の書面には、株式会社の代表取締役(委員会設置会社にあっては、代表執行役。次項において同じ。)が署名し、又は記名押印しなければならない。
3  第一項の電磁的記録には、株式会社の代表取締役が法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
4  前三項の規定は、証券発行新株予約権及び証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権については、適用しない。

(登録新株予約権質権者に対する通知等)
第二百七十一条  株式会社が登録新株予約権質権者に対してする通知又は催告は、新株予約権原簿に記載し、又は記録した当該登録新株予約権質権者の住所(当該登録新株予約権質権者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
2  前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。

(新株予約権の質入れの効果)
第二百七十二条  株式会社が次に掲げる行為をした場合には、新株予約権を目的とする質権は、当該行為によって当該新株予約権の新株予約権者が受けることのできる金銭等について存在する。
一  新株予約権の取得
二  組織変更
三  合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
四  吸収分割
五  新設分割
六  株式交換
七  株式移転
2  登録新株予約権質権者は、前項の金銭等(金銭に限る。)を受領し、他の債権者に先立って自己の債権の弁済に充てることができる。
3  前項の債権の弁済期が到来していないときは、登録新株予約権質権者は、株式会社に同項に規定する金銭等に相当する金額を供託させることができる。この場合において、質権は、その供託金について存在する。
4  新株予約権付社債に付された新株予約権(第二百三十六条第一項第三号の財産が当該新株予約権付社債についての社債であるものであって、当該社債の償還額が当該新株予約権についての同項第二号の価額以上であるものに限る。)を目的とする質権は、当該新株予約権の行使をすることにより当該新株予約権の新株予約権者が交付を受ける株式について存在する。
     第四款 信託財産に属する新株予約権についての対抗要件等


第二百七十二条の二  新株予約権については、当該新株予約権が信託財産に属する旨を新株予約権原簿に記載し、又は記録しなければ、当該新株予約権が信託財産に属することを株式会社その他の第三者に対抗することができない。
2  第二百四十九条第三号イの新株予約権者は、その有する新株予約権が信託財産に属するときは、株式会社に対し、その旨を新株予約権原簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
3  新株予約権原簿に前項の規定による記載又は記録がされた場合における第二百五十条第一項及び第二百五十九条第一項の規定の適用については、第二百五十条第一項中「記録された新株予約権原簿記載事項」とあるのは「記録された新株予約権原簿記載事項(当該新株予約権者の有する新株予約権が信託財産に属する旨を含む。)」と、第二百五十九条第一項中「新株予約権原簿記載事項」とあるのは「新株予約権原簿記載事項(当該新株予約権者の有する新株予約権が信託財産に属する旨を含む。)」とする。
4  前三項の規定は、証券発行新株予約権及び証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権については、適用しない。
    第五節 株式会社による自己の新株予約権の取得

     第一款 募集事項の定めに基づく新株予約権の取得


(取得する日の決定)
第二百七十三条  取得条項付新株予約権(第二百三十六条第一項第七号イに掲げる事項についての定めがある新株予約権をいう。以下この章において同じ。)の内容として同号ロに掲げる事項についての定めがある場合には、株式会社は、同号ロの日を株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって定めなければならない。ただし、当該取得条項付新株予約権の内容として別段の定めがある場合は、この限りでない。
2  第二百三十六条第一項第七号ロの日を定めたときは、株式会社は、取得条項付新株予約権の新株予約権者(同号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、次条第一項の規定により決定した取得条項付新株予約権の新株予約権者)及びその登録新株予約権質権者に対し、当該日の二週間前までに、当該日を通知しなければならない。
3  前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。

(取得する新株予約権の決定等)
第二百七十四条  株式会社は、新株予約権の内容として第二百三十六条第一項第七号ハに掲げる事項についての定めがある場合において、取得条項付新株予約権を取得しようとするときは、その取得する取得条項付新株予約権を決定しなければならない。
2  前項の取得条項付新株予約権は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって定めなければならない。ただし、当該取得条項付新株予約権の内容として別段の定めがある場合は、この限りでない。
3  第一項の規定による決定をしたときは、株式会社は、同項の規定により決定した取得条項付新株予約権の新株予約権者及びその登録新株予約権質権者に対し、直ちに、当該取得条項付新株予約権を取得する旨を通知しなければならない。
4  前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。

(効力の発生等)
第二百七十五条  株式会社は、第二百三十六条第一項第七号イの事由が生じた日(同号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、第一号に掲げる日又は第二号に掲げる日のいずれか遅い日。次項及び第三項において同じ。)に、取得条項付新株予約権(同条第一項第七号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、前条第一項の規定により決定したもの。次項及び第三項において同じ。)を取得する。
一  第二百三十六条第一項第七号イの事由が生じた日
二  前条第三項の規定による通知の日又は同条第四項の公告の日から二週間を経過した日
2  前項の規定により株式会社が取得する取得条項付新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合には、株式会社は、第二百三十六条第一項第七号イの事由が生じた日に、当該新株予約権付社債についての社債を取得する。
3  次の各号に掲げる場合には、取得条項付新株予約権の新株予約権者(当該株式会社を除く。)は、第二百三十六条第一項第七号イの事由が生じた日に、同号に定める事項についての定めに従い、当該各号に定める者となる。
一  第二百三十六条第一項第七号ニに掲げる事項についての定めがある場合 同号ニの株式の株主
二  第二百三十六条第一項第七号ホに掲げる事項についての定めがある場合 同号ホの社債の社債権者
三  第二百三十六条第一項第七号ヘに掲げる事項についての定めがある場合 同号ヘの他の新株予約権の新株予約権者
四  第二百三十六条第一項第七号トに掲げる事項についての定めがある場合 同号トの新株予約権付社債についての社債の社債権者及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者
4  株式会社は、第二百三十六条第一項第七号イの事由が生じた後、遅滞なく、取得条項付新株予約権の新株予約権者及びその登録新株予約権質権者(同号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、前条第一項の規定により決定した取得条項付新株予約権の新株予約権者及びその登録新株予約権質権者)に対し、当該事由が生じた旨を通知しなければならない。ただし、第二百七十三条第二項の規定による通知又は同条第三項の公告をしたときは、この限りでない。
5  前項本文の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
     第二款 新株予約権の消却


第二百七十六条  株式会社は、自己新株予約権を消却することができる。この場合においては、消却する自己新株予約権の内容及び数を定めなければならない。
2  取締役会設置会社においては、前項後段の規定による決定は、取締役会の決議によらなければならない。
    第六節 新株予約権無償割当て


(新株予約権無償割当て)
第二百七十七条  株式会社は、株主(種類株式発行会社にあっては、ある種類の種類株主)に対して新たに払込みをさせないで当該株式会社の新株予約権の割当て(以下この節において「新株予約権無償割当て」という。)をすることができる。

(新株予約権無償割当てに関する事項の決定)
第二百七十八条  株式会社は、新株予約権無償割当てをしようとするときは、その都度、次に掲げる事項を定めなければならない。
一  株主に割り当てる新株予約権の内容及び数又はその算定方法
二  前号の新株予約権が新株予約権付社債に付されたものであるときは、当該新株予約権付社債についての社債の種類及び各社債の金額の合計額又はその算定方法
三  当該新株予約権無償割当てがその効力を生ずる日
四  株式会社が種類株式発行会社である場合には、当該新株予約権無償割当てを受ける株主の有する株式の種類
2  前項第一号及び第二号に掲げる事項についての定めは、当該株式会社以外の株主(種類株式発行会社にあっては、同項第四号の種類の種類株主)の有する株式(種類株式発行会社にあっては、同項第四号の種類の株式)の数に応じて同項第一号の新株予約権及び同項第二号の社債を割り当てることを内容とするものでなければならない。
3  第一項各号に掲げる事項の決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。

(新株予約権無償割当ての効力の発生等)
第二百七十九条  前条第一項第一号の新株予約権の割当てを受けた株主は、同項第三号の日に、同項第一号の新株予約権の新株予約権者(同項第二号に規定する場合にあっては、同項第一号の新株予約権の新株予約権者及び同項第二号の社債の社債権者)となる。
2  株式会社は、前条第一項第一号の新株予約権についての第二百三十六条第一項第四号の期間の初日の二週間前までに、株主(種類株式発行会社にあっては、前条第一項第四号の種類の種類株主)及びその登録株式質権者に対し、当該株主が割当てを受けた新株予約権の内容及び数(前条第一項第二号に規定する場合にあっては、当該株主が割当てを受けた社債の種類及び各社債の金額の合計額を含む。)を通知しなければならない。
    第七節 新株予約権の行使

     第一款 総則


(新株予約権の行使)
第二百八十条  新株予約権の行使は、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
一  その行使に係る新株予約権の内容及び数
二  新株予約権を行使する日
2  証券発行新株予約権を行使しようとするときは、当該証券発行新株予約権の新株予約権者は、当該証券発行新株予約権に係る新株予約権証券を株式会社に提出しなければならない。ただし、当該新株予約権証券が発行されていないときは、この限りでない。
3  証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権を行使しようとする場合には、当該新株予約権の新株予約権者は、当該新株予約権を付した新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券を株式会社に提示しなければならない。この場合において、当該株式会社は、当該新株予約権付社債券に当該証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権が消滅した旨を記載しなければならない。
4  前項の規定にかかわらず、証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権を行使しようとする場合において、当該新株予約権の行使により当該証券発行新株予約権付社債についての社債が消滅するときは、当該新株予約権の新株予約権者は、当該新株予約権を付した新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券を株式会社に提出しなければならない。
5  第三項の規定にかかわらず、証券発行新株予約権付社債についての社債の償還後に当該証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権を行使しようとする場合には、当該新株予約権の新株予約権者は、当該新株予約権を付した新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券を株式会社に提出しなければならない。
6  株式会社は、自己新株予約権を行使することができない。

(新株予約権の行使に際しての払込み)
第二百八十一条  金銭を新株予約権の行使に際してする出資の目的とするときは、新株予約権者は、前条第一項第二号の日に、株式会社が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、その行使に係る新株予約権についての第二百三十六条第一項第二号の価額の全額を払い込まなければならない。
2  金銭以外の財産を新株予約権の行使に際してする出資の目的とするときは、新株予約権者は、前条第一項第二号の日に、その行使に係る新株予約権についての第二百三十六条第一項第三号の財産を給付しなければならない。この場合において、当該財産の価額が同項第二号の価額に足りないときは、前項の払込みの取扱いの場所においてその差額に相当する金銭を払い込まなければならない。
3  新株予約権者は、第一項の規定による払込み又は前項の規定による給付をする債務と株式会社に対する債権とを相殺することができない。

(株主となる時期)
第二百八十二条  新株予約権を行使した新株予約権者は、当該新株予約権を行使した日に、当該新株予約権の目的である株式の株主となる。

(一に満たない端数の処理)
第二百八十三条  新株予約権を行使した場合において、当該新株予約権の新株予約権者に交付する株式の数に一株に満たない端数があるときは、株式会社は、当該新株予約権者に対し、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額にその端数を乗じて得た額に相当する金銭を交付しなければならない。ただし、第二百三十六条第一項第九号に掲げる事項についての定めがある場合は、この限りでない。
一  当該株式が市場価格のある株式である場合 当該株式一株の市場価格として法務省令で定める方法により算定される額
二  前号に掲げる場合以外の場合 一株当たり純資産額
     第二款 金銭以外の財産の出資


第二百八十四条  株式会社は、第二百三十六条第一項第三号に掲げる事項についての定めがある新株予約権が行使された場合には、第二百八十一条第二項の規定による給付があった後、遅滞なく、同号の財産(以下この節において「現物出資財産」という。)の価額を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない。
2  前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
3  裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。
4  第二項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
5  裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第二項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。
6  第二項の検査役は、第四項の報告をしたときは、株式会社に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。
7  裁判所は、第四項の報告を受けた場合において、現物出資財産について定められた第二百三十六条第一項第三号の価額(第二項の検査役の調査を経ていないものを除く。)を不当と認めたときは、これを変更する決定をしなければならない。
8  第一項の新株予約権の新株予約権者は、前項の決定により現物出資財産の価額の全部又は一部が変更された場合には、当該決定の確定後一週間以内に限り、その新株予約権の行使に係る意思表示を取り消すことができる。
9  前各項の規定は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める事項については、適用しない。
一  行使された新株予約権の新株予約権者が交付を受ける株式の総数が発行済株式の総数の十分の一を超えない場合 当該新株予約権者が給付する現物出資財産の価額
二  現物出資財産について定められた第二百三十六条第一項第三号の価額の総額が五百万円を超えない場合 当該現物出資財産の価額
三  現物出資財産のうち、市場価格のある有価証券について定められた第二百三十六条第一項第三号の価額が当該有価証券の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるものを超えない場合 当該有価証券についての現物出資財産の価額
四  現物出資財産について定められた第二百三十六条第一項第三号の価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士又は税理士法人の証明(現物出資財産が不動産である場合にあっては、当該証明及び不動産鑑定士の鑑定評価。以下この号において同じ。)を受けた場合 当該証明を受けた現物出資財産の価額
五  現物出資財産が株式会社に対する金銭債権(弁済期が到来しているものに限る。)であって、当該金銭債権について定められた第二百三十六条第一項第三号の価額が当該金銭債権に係る負債の帳簿価額を超えない場合 当該金銭債権についての現物出資財産の価額
10  次に掲げる者は、前項第四号に規定する証明をすることができない。
一  取締役、会計参与、監査役若しくは執行役又は支配人その他の使用人
二  新株予約権者
三  業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者
四  弁護士法人、監査法人又は税理士法人であって、その社員の半数以上が第一号又は第二号に掲げる者のいずれかに該当するもの
     第三款 責任


(不公正な払込金額で新株予約権を引き受けた者等の責任)
第二百八十五条  新株予約権を行使した新株予約権者は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める額を支払う義務を負う。
一  第二百三十八条第一項第二号に規定する場合において、募集新株予約権につき金銭の払込みを要しないこととすることが著しく不公正な条件であるとき(取締役(委員会設置会社にあっては、取締役又は執行役。次号において同じ。)と通じて新株予約権を引き受けた場合に限る。) 当該新株予約権の公正な価額
二  第二百三十八条第一項第三号に規定する場合において、取締役と通じて著しく不公正な払込金額で新株予約権を引き受けたとき 当該払込金額と当該新株予約権の公正な価額との差額に相当する金額
三  第二百八十二条の規定により株主となった時におけるその給付した現物出資財産の価額がこれについて定められた第二百三十六条第一項第三号の価額に著しく不足する場合 当該不足額
2  前項第三号に掲げる場合において、現物出資財産を給付した新株予約権者が当該現物出資財産の価額がこれについて定められた第二百三十六条第一項第三号の価額に著しく不足することにつき善意でかつ重大な過失がないときは、新株予約権の行使に係る意思表示を取り消すことができる。

(出資された財産等の価額が不足する場合の取締役等の責任)
第二百八十六条  前条第一項第三号に掲げる場合には、次に掲げる者(以下この条において「取締役等」という。)は、株式会社に対し、同号に定める額を支払う義務を負う。
一  当該新株予約権者の募集に関する職務を行った業務執行取締役(委員会設置会社にあっては、執行役。以下この号において同じ。)その他当該業務執行取締役の行う業務の執行に職務上関与した者として法務省令で定めるもの
二  現物出資財産の価額の決定に関する株主総会の決議があったときは、当該株主総会に議案を提案した取締役として法務省令で定めるもの
三  現物出資財産の価額の決定に関する取締役会の決議があったときは、当該取締役会に議案を提案した取締役(委員会設置会社にあっては、取締役又は執行役)として法務省令で定めるもの
2  前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、取締役等は、現物出資財産について同項の義務を負わない。
一  現物出資財産の価額について第二百八十四条第二項の検査役の調査を経た場合
二  当該取締役等がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合
3  第一項に規定する場合には、第二百八十四条第九項第四号に規定する証明をした者(以下この条において「証明者」という。)は、株式会社に対し前条第一項第三号に定める額を支払う義務を負う。ただし、当該証明者が当該証明をするについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
4  新株予約権者がその給付した現物出資財産についての前条第一項第三号に定める額を支払う義務を負う場合において、次に掲げる者が当該現物出資財産について当該各号に定める義務を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
一  取締役等 第一項の義務
二  証明者 前項本文の義務
     第四款 雑則


第二百八十七条  第二百七十六条第一項の場合のほか、新株予約権者がその有する新株予約権を行使することができなくなったときは、当該新株予約権は、消滅する。
    第八節 新株予約権に係る証券

     第一款 新株予約権証券


(新株予約権証券の発行)
第二百八十八条  株式会社は、証券発行新株予約権を発行した日以後遅滞なく、当該証券発行新株予約権に係る新株予約権証券を発行しなければならない。
2  前項の規定にかかわらず、株式会社は、新株予約権者から請求がある時までは、同項の新株予約権証券を発行しないことができる。

(新株予約権証券の記載事項)
第二百八十九条  新株予約権証券には、次に掲げる事項及びその番号を記載し、株式会社の代表取締役(委員会設置会社にあっては、代表執行役)がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
一  株式会社の商号
二  当該新株予約権証券に係る証券発行新株予約権の内容及び数

(記名式と無記名式との間の転換)
第二百九十条  証券発行新株予約権の新株予約権者は、第二百三十六条第一項第十一号に掲げる事項についての定めによりすることができないこととされている場合を除き、いつでも、その記名式の新株予約権証券を無記名式とし、又はその無記名式の新株予約権証券を記名式とすることを請求することができる。

(新株予約権証券の喪失)
第二百九十一条  新株予約権証券は、非訟事件手続法第百四十二条 に規定する公示催告手続によって無効とすることができる。
2  新株予約権証券を喪失した者は、非訟事件手続法第百四十八条第一項 に規定する除権決定を得た後でなければ、その再発行を請求することができない。
     第二款 新株予約権付社債券


第二百九十二条  証券発行新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券には、第六百九十七条第一項の規定により記載すべき事項のほか、当該証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権の内容及び数を記載しなければならない。
2  証券発行新株予約権付社債についての社債の償還をする場合において、当該証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権が消滅していないときは、株式会社は、当該証券発行新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券と引換えに社債の償還をすることを請求することができない。この場合においては、株式会社は、社債の償還をするのと引換えに、当該新株予約権付社債券の提示を求め、当該新株予約権付社債券に社債の償還をした旨を記載することができる。
     第三款 新株予約権証券等の提出


(新株予約権証券の提出に関する公告等)
第二百九十三条  株式会社が次の各号に掲げる行為をする場合において、当該各号に定める新株予約権に係る新株予約権証券(当該新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合にあっては、当該新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券。以下この款において同じ。)を発行しているときは、当該株式会社は、当該行為の効力が生ずる日までに当該株式会社に対し当該新株予約権証券を提出しなければならない旨を当該日の一箇月前までに、公告し、かつ、当該新株予約権の新株予約権者及びその登録新株予約権質権者には、各別にこれを通知しなければならない。
一  取得条項付新株予約権の取得 当該取得条項付新株予約権
二  組織変更 全部の新株予約権
三  合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。) 全部の新株予約権
四  吸収分割 第七百五十八条第五号イに規定する吸収分割契約新株予約権
五  新設分割 第七百六十三条第十号イに規定する新設分割計画新株予約権
六  株式交換 第七百六十八条第一項第四号イに規定する株式交換契約新株予約権
七  株式移転 第七百七十三条第一項第九号イに規定する株式移転計画新株予約権
2  株式会社は、前項各号に掲げる行為の効力が生ずる日までに当該株式会社に対して新株予約権証券を提出しない者があるときは、当該新株予約権証券の提出があるまでの間、当該行為によって当該新株予約権証券に係る新株予約権の新株予約権者が交付を受けることができる金銭等の交付を拒むことができる。
3  第一項各号に定める新株予約権に係る新株予約権証券は、同項各号に掲げる行為の効力が生ずる日に無効となる。
4  第二百二十条の規定は、第一項各号に掲げる行為をした場合において、新株予約権証券を提出することができない者があるときについて準用する。

(無記名式の新株予約権証券等が提出されない場合)
第二百九十四条  第百三十二条の規定にかかわらず、前条第一項第一号に掲げる行為をする場合(株式会社が新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の株式を交付する場合に限る。)において、同項の規定により新株予約権証券(無記名式のものに限る。以下この条において同じ。)が提出されないときは、株式会社は、当該新株予約権証券を有する者が交付を受けることができる株式に係る第百二十一条第一号に掲げる事項を株主名簿に記載し、又は記録することを要しない。
2  前項に規定する場合には、株式会社は、前条第一項の規定により提出しなければならない新株予約権証券を有する者が交付を受けることができる株式の株主に対する通知又は催告をすることを要しない。
3  第二百四十九条及び第二百五十九条第一項の規定にかかわらず、前条第一項第一号に掲げる行為をする場合(株式会社が新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の他の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)を交付する場合に限る。)において、同項の規定により新株予約権証券が提出されないときは、株式会社は、当該新株予約権証券を有する者が交付を受けることができる当該他の新株予約権(無記名新株予約権を除く。)に係る第二百四十九条第三号イに掲げる事項を新株予約権原簿に記載し、又は記録することを要しない。
4  前項に規定する場合には、株式会社は、前条第一項の規定により提出しなければならない新株予約権証券を有する者が交付を受けることができる新株予約権の新株予約権者に対する通知又は催告をすることを要しない。
5  第二百四十九条及び第二百五十九条第一項の規定にかかわらず、前条第一項第一号に掲げる行為をする場合(株式会社が新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の新株予約権付社債を交付する場合に限る。)において、同項の規定により新株予約権証券が提出されないときは、株式会社は、当該新株予約権証券を有する者が交付を受けることができる新株予約権付社債(無記名新株予約権付社債を除く。)に付された新株予約権に係る第二百四十九条第三号イに掲げる事項を新株予約権原簿に記載し、又は記録することを要しない。
6  前項に規定する場合には、株式会社は、前条第一項の規定により提出しなければならない新株予約権証券を有する者が交付を受けることができる新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者に対する通知又は催告をすることを要しない。

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会社法(株式2/2)


     第三款 取得請求権付株式及び取得条項付株式の取得

      第一目 取得請求権付株式の取得の請求


(取得の請求)
第百六十六条  取得請求権付株式の株主は、株式会社に対して、当該株主の有する取得請求権付株式を取得することを請求することができる。ただし、当該取得請求権付株式を取得するのと引換えに第百七条第二項第二号ロからホまでに規定する財産を交付する場合において、これらの財産の帳簿価額が当該請求の日における第四百六十一条第二項の分配可能額を超えているときは、この限りでない。
2  前項の規定による請求は、その請求に係る取得請求権付株式の数(種類株式発行会社にあっては、取得請求権付株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
3  株券発行会社の株主がその有する取得請求権付株式について第一項の規定による請求をしようとするときは、当該取得請求権付株式に係る株券を株券発行会社に提出しなければならない。ただし、当該取得請求権付株式に係る株券が発行されていない場合は、この限りでない。

(効力の発生)
第百六十七条  株式会社は、前条第一項の規定による請求の日に、その請求に係る取得請求権付株式を取得する。
2  次の各号に掲げる場合には、前条第一項の規定による請求をした株主は、その請求の日に、第百七条第二項第二号(種類株式発行会社にあっては、第百八条第二項第五号)に定める事項についての定めに従い、当該各号に定める者となる。
一  第百七条第二項第二号ロに掲げる事項についての定めがある場合 同号ロの社債の社債権者
二  第百七条第二項第二号ハに掲げる事項についての定めがある場合 同号ハの新株予約権の新株予約権者
三  第百七条第二項第二号ニに掲げる事項についての定めがある場合 同号ニの新株予約権付社債についての社債の社債権者及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者
四  第百八条第二項第五号ロに掲げる事項についての定めがある場合 同号ロの他の株式の株主
3  前項第四号に掲げる場合において、同号に規定する他の株式の数に一株に満たない端数があるときは、これを切り捨てるものとする。この場合においては、株式会社は、定款に別段の定めがある場合を除き、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額にその端数を乗じて得た額に相当する金銭を前条第一項の規定による請求をした株主に対して交付しなければならない。
一  当該株式が市場価格のある株式である場合 当該株式一株の市場価格として法務省令で定める方法により算定される額
二  前号に掲げる場合以外の場合 一株当たり純資産額
4  前項の規定は、当該株式会社の社債及び新株予約権について端数がある場合について準用する。この場合において、同項第二号中「一株当たり純資産額」とあるのは、「法務省令で定める額」と読み替えるものとする。
      第二目 取得条項付株式の取得


(取得する日の決定)
第百六十八条  第百七条第二項第三号ロに掲げる事項についての定めがある場合には、株式会社は、同号ロの日を株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって定めなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
2  第百七条第二項第三号ロの日を定めたときは、株式会社は、取得条項付株式の株主(同号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、次条第一項の規定により決定した取得条項付株式の株主)及びその登録株式質権者に対し、当該日の二週間前までに、当該日を通知しなければならない。
3  前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。

(取得する株式の決定等)
第百六十九条  株式会社は、第百七条第二項第三号ハに掲げる事項についての定めがある場合において、取得条項付株式を取得しようとするときは、その取得する取得条項付株式を決定しなければならない。
2  前項の取得条項付株式は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって定めなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
3  第一項の規定による決定をしたときは、株式会社は、同項の規定により決定した取得条項付株式の株主及びその登録株式質権者に対し、直ちに、当該取得条項付株式を取得する旨を通知しなければならない。
4  前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。

(効力の発生等)
第百七十条  株式会社は、第百七条第二項第三号イの事由が生じた日(同号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、第一号に掲げる日又は第二号に掲げる日のいずれか遅い日。次項及び第五項において同じ。)に、取得条項付株式(同条第二項第三号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、前条第一項の規定により決定したもの。次項において同じ。)を取得する。
一  第百七条第二項第三号イの事由が生じた日
二  前条第三項の規定による通知の日又は同条第四項の公告の日から二週間を経過した日
2  次の各号に掲げる場合には、取得条項付株式の株主(当該株式会社を除く。)は、第百七条第二項第三号イの事由が生じた日に、同号(種類株式発行会社にあっては、第百八条第二項第六号)に定める事項についての定めに従い、当該各号に定める者となる。
一  第百七条第二項第三号ニに掲げる事項についての定めがある場合 同号ニの社債の社債権者
二  第百七条第二項第三号ホに掲げる事項についての定めがある場合 同号ホの新株予約権の新株予約権者
三  第百七条第二項第三号ヘに掲げる事項についての定めがある場合 同号ヘの新株予約権付社債についての社債の社債権者及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者
四  第百八条第二項第六号ロに掲げる事項についての定めがある場合 同号ロの他の株式の株主
3  株式会社は、第百七条第二項第三号イの事由が生じた後、遅滞なく、取得条項付株式の株主及びその登録株式質権者(同号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、前条第一項の規定により決定した取得条項付株式の株主及びその登録株式質権者)に対し、当該事由が生じた旨を通知しなければならない。ただし、第百六十八条第二項の規定による通知又は同条第三項の公告をしたときは、この限りでない。
4  前項本文の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
5  前各項の規定は、取得条項付株式を取得するのと引換えに第百七条第二項第三号ニからトまでに規定する財産を交付する場合において、これらの財産の帳簿価額が同号イの事由が生じた日における第四百六十一条第二項の分配可能額を超えているときは、適用しない。
     第四款 全部取得条項付種類株式の取得


(全部取得条項付種類株式の取得に関する決定)
第百七十一条  全部取得条項付種類株式(第百八条第一項第七号に掲げる事項についての定めがある種類の株式をいう。以下この款において同じ。)を発行した種類株式発行会社は、株主総会の決議によって、全部取得条項付種類株式の全部を取得することができる。この場合においては、当該株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一  全部取得条項付種類株式を取得するのと引換えに金銭等を交付するときは、当該金銭等(以下この条において「取得対価」という。)についての次に掲げる事項
イ 当該取得対価が当該株式会社の株式であるときは、当該株式の種類及び種類ごとの数又はその数の算定方法
ロ 当該取得対価が当該株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)であるときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
ハ 当該取得対価が当該株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)であるときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法
ニ 当該取得対価が当該株式会社の新株予約権付社債であるときは、当該新株予約権付社債についてのロに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのハに規定する事項
ホ 当該取得対価が当該株式会社の株式等以外の財産であるときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
二  前号に規定する場合には、全部取得条項付種類株式の株主に対する取得対価の割当てに関する事項
三  株式会社が全部取得条項付種類株式を取得する日(以下この款において「取得日」という。)
2  前項第二号に掲げる事項についての定めは、株主(当該株式会社を除く。)の有する全部取得条項付種類株式の数に応じて取得対価を割り当てることを内容とするものでなければならない。
3  取締役は、第一項の株主総会において、全部取得条項付種類株式の全部を取得することを必要とする理由を説明しなければならない。

(裁判所に対する価格の決定の申立て)
第百七十二条  前条第一項各号に掲げる事項を定めた場合には、次に掲げる株主は、同項の株主総会の日から二十日以内に、裁判所に対し、株式会社による全部取得条項付種類株式の取得の価格の決定の申立てをすることができる。
一  当該株主総会に先立って当該株式会社による全部取得条項付種類株式の取得に反対する旨を当該株式会社に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該取得に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)
二  当該株主総会において議決権を行使することができない株主
2  株式会社は、裁判所の決定した価格に対する取得日後の年六分の利率により算定した利息をも支払わなければならない。

(効力の発生)
第百七十三条  株式会社は、取得日に、全部取得条項付種類株式の全部を取得する。
2  次の各号に掲げる場合には、当該株式会社以外の全部取得条項付種類株式の株主は、取得日に、第百七十一条第一項の株主総会の決議による定めに従い、当該各号に定める者となる。
一  第百七十一条第一項第一号イに掲げる事項についての定めがある場合 同号イの株式の株主
二  第百七十一条第一項第一号ロに掲げる事項についての定めがある場合 同号ロの社債の社債権者
三  第百七十一条第一項第一号ハに掲げる事項についての定めがある場合 同号ハの新株予約権の新株予約権者
四  第百七十一条第一項第一号ニに掲げる事項についての定めがある場合 同号ニの新株予約権付社債についての社債の社債権者及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者
     第五款 相続人等に対する売渡しの請求


(相続人等に対する売渡しの請求に関する定款の定め)
第百七十四条  株式会社は、相続その他の一般承継により当該株式会社の株式(譲渡制限株式に限る。)を取得した者に対し、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができる。

(売渡しの請求の決定)
第百七十五条  株式会社は、前条の規定による定款の定めがある場合において、次条第一項の規定による請求をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一  次条第一項の規定による請求をする株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
二  前号の株式を有する者の氏名又は名称
2  前項第二号の者は、同項の株主総会において議決権を行使することができない。ただし、同号の者以外の株主の全部が当該株主総会において議決権を行使することができない場合は、この限りでない。

(売渡しの請求)
第百七十六条  株式会社は、前条第一項各号に掲げる事項を定めたときは、同項第二号の者に対し、同項第一号の株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる。ただし、当該株式会社が相続その他の一般承継があったことを知った日から一年を経過したときは、この限りでない。
2  前項の規定による請求は、その請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
3  株式会社は、いつでも、第一項の規定による請求を撤回することができる。

(売買価格の決定)
第百七十七条  前条第一項の規定による請求があった場合には、第百七十五条第一項第一号の株式の売買価格は、株式会社と同項第二号の者との協議によって定める。
2  株式会社又は第百七十五条第一項第二号の者は、前条第一項の規定による請求があった日から二十日以内に、裁判所に対し、売買価格の決定の申立てをすることができる。
3  裁判所は、前項の決定をするには、前条第一項の規定による請求の時における株式会社の資産状態その他一切の事情を考慮しなければならない。
4  第一項の規定にかかわらず、第二項の期間内に同項の申立てがあったときは、当該申立てにより裁判所が定めた額をもって第百七十五条第一項第一号の株式の売買価格とする。
5  第二項の期間内に同項の申立てがないとき(当該期間内に第一項の協議が調った場合を除く。)は、前条第一項の規定による請求は、その効力を失う。
     第六款 株式の消却


第百七十八条  株式会社は、自己株式を消却することができる。この場合においては、消却する自己株式の数(種類株式発行会社にあっては、自己株式の種類及び種類ごとの数)を定めなければならない。
2  取締役会設置会社においては、前項後段の規定による決定は、取締役会の決議によらなければならない。

第百七十九条  削除
    第五節 株式の併合等

     第一款 株式の併合


(株式の併合)
第百八十条  株式会社は、株式の併合をすることができる。
2  株式会社は、株式の併合をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一  併合の割合
二  株式の併合がその効力を生ずる日
三  株式会社が種類株式発行会社である場合には、併合する株式の種類
3  取締役は、前項の株主総会において、株式の併合をすることを必要とする理由を説明しなければならない。

(株主に対する通知等)
第百八十一条  株式会社は、前条第二項第二号の日の二週間前までに、株主(種類株式発行会社にあっては、同項第三号の種類の種類株主。次条において同じ。)及びその登録株式質権者に対し、同項各号に掲げる事項を通知しなければならない。
2  前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。

(効力の発生)
第百八十二条  株主は、第百八十条第二項第二号の日に、その日の前日に有する株式(種類株式発行会社にあっては、同項第三号の種類の株式。以下この条において同じ。)の数に同項第一号の割合を乗じて得た数の株式の株主となる。
     第二款 株式の分割


(株式の分割)
第百八十三条  株式会社は、株式の分割をすることができる。
2  株式会社は、株式の分割をしようとするときは、その都度、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一  株式の分割により増加する株式の総数の株式の分割前の発行済株式(種類株式発行会社にあっては、第三号の種類の発行済株式)の総数に対する割合及び当該株式の分割に係る基準日
二  株式の分割がその効力を生ずる日
三  株式会社が種類株式発行会社である場合には、分割する株式の種類

(効力の発生等)
第百八十四条  基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(種類株式発行会社にあっては、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている前条第二項第三号の種類の種類株主)は、同項第二号の日に、基準日に有する株式(種類株式発行会社にあっては、同項第三号の種類の株式。以下この項において同じ。)の数に同条第二項第一号の割合を乗じて得た数の株式を取得する。
2  株式会社(現に二以上の種類の株式を発行しているものを除く。)は、第四百六十六条の規定にかかわらず、株主総会の決議によらないで、前条第二項第二号の日における発行可能株式総数をその日の前日の発行可能株式総数に同項第一号の割合を乗じて得た数の範囲内で増加する定款の変更をすることができる。
     第三款 株式無償割当て


(株式無償割当て)
第百八十五条  株式会社は、株主(種類株式発行会社にあっては、ある種類の種類株主)に対して新たに払込みをさせないで当該株式会社の株式の割当て(以下この款において「株式無償割当て」という。)をすることができる。

(株式無償割当てに関する事項の決定)
第百八十六条  株式会社は、株式無償割当てをしようとするときは、その都度、次に掲げる事項を定めなければならない。
一  株主に割り当てる株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法
二  当該株式無償割当てがその効力を生ずる日
三  株式会社が種類株式発行会社である場合には、当該株式無償割当てを受ける株主の有する株式の種類
2  前項第一号に掲げる事項についての定めは、当該株式会社以外の株主(種類株式発行会社にあっては、同項第三号の種類の種類株主)の有する株式(種類株式発行会社にあっては、同項第三号の種類の株式)の数に応じて同項第一号の株式を割り当てることを内容とするものでなければならない。
3  第一項各号に掲げる事項の決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。

(株式無償割当ての効力の発生等)
第百八十七条  前条第一項第一号の株式の割当てを受けた株主は、同項第二号の日に、同項第一号の株式の株主となる。
2  株式会社は、前条第一項第二号の日後遅滞なく、株主(種類株式発行会社にあっては、同項第三号の種類の種類株主)及びその登録株式質権者に対し、当該株主が割当てを受けた株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を通知しなければならない。
    第六節 単元株式数

     第一款 総則


(単元株式数)
第百八十八条  株式会社は、その発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会又は種類株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨を定款で定めることができる。
2  前項の一定の数は、法務省令で定める数を超えることはできない。
3  種類株式発行会社においては、単元株式数は、株式の種類ごとに定めなければならない。

(単元未満株式についての権利の制限等)
第百八十九条  単元株式数に満たない数の株式(以下「単元未満株式」という。)を有する株主(以下「単元未満株主」という。)は、その有する単元未満株式について、株主総会及び種類株主総会において議決権を行使することができない。
2  株式会社は、単元未満株主が当該単元未満株式について次に掲げる権利以外の権利の全部又は一部を行使することができない旨を定款で定めることができる。
一  第百七十一条第一項第一号に規定する取得対価の交付を受ける権利
二  株式会社による取得条項付株式の取得と引換えに金銭等の交付を受ける権利
三  第百八十五条に規定する株式無償割当てを受ける権利
四  第百九十二条第一項の規定により単元未満株式を買い取ることを請求する権利
五  残余財産の分配を受ける権利
六  前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める権利
3  株券発行会社は、単元未満株式に係る株券を発行しないことができる旨を定款で定めることができる。

(理由の開示)
第百九十条  単元株式数を定める場合には、取締役は、当該単元株式数を定める定款の変更を目的とする株主総会において、当該単元株式数を定めることを必要とする理由を説明しなければならない。

(定款変更手続の特則)
第百九十一条  株式会社は、次のいずれにも該当する場合には、第四百六十六条の規定にかかわらず、株主総会の決議によらないで、単元株式数(種類株式発行会社にあっては、各種類の株式の単元株式数。以下この条において同じ。)を増加し、又は単元株式数についての定款の定めを設ける定款の変更をすることができる。
一  株式の分割と同時に単元株式数を増加し、又は単元株式数についての定款の定めを設けるものであること。
二  イに掲げる数がロに掲げる数を下回るものでないこと。
イ 当該定款の変更後において各株主がそれぞれ有する株式の数を単元株式数で除して得た数
ロ 当該定款の変更前において各株主がそれぞれ有する株式の数(単元株式数を定めている場合にあっては、当該株式の数を単元株式数で除して得た数)
     第二款 単元未満株主の買取請求


(単元未満株式の買取りの請求)
第百九十二条  単元未満株主は、株式会社に対し、自己の有する単元未満株式を買い取ることを請求することができる。
2  前項の規定による請求は、その請求に係る単元未満株式の数(種類株式発行会社にあっては、単元未満株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
3  第一項の規定による請求をした単元未満株主は、株式会社の承諾を得た場合に限り、当該請求を撤回することができる。

(単元未満株式の価格の決定)
第百九十三条  前条第一項の規定による請求があった場合には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額をもって当該請求に係る単元未満株式の価格とする。
一  当該単元未満株式が市場価格のある株式である場合 当該単元未満株式の市場価格として法務省令で定める方法により算定される額
二  前号に掲げる場合以外の場合 株式会社と前条第一項の規定による請求をした単元未満株主との協議によって定める額
2  前項第二号に掲げる場合には、前条第一項の規定による請求をした単元未満株主又は株式会社は、当該請求をした日から二十日以内に、裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる。
3  裁判所は、前項の決定をするには、前条第一項の規定による請求の時における株式会社の資産状態その他一切の事情を考慮しなければならない。
4  第一項の規定にかかわらず、第二項の期間内に同項の申立てがあったときは、当該申立てにより裁判所が定めた額をもって当該単元未満株式の価格とする。
5  第一項の規定にかかわらず、同項第二号に掲げる場合において、第二項の期間内に同項の申立てがないとき(当該期間内に第一項第二号の協議が調った場合を除く。)は、一株当たり純資産額に前条第一項の規定による請求に係る単元未満株式の数を乗じて得た額をもって当該単元未満株式の価格とする。
6  前条第一項の規定による請求に係る株式の買取りは、当該株式の代金の支払の時に、その効力を生ずる。
7  株券発行会社は、株券が発行されている株式につき前条第一項の規定による請求があったときは、株券と引換えに、その請求に係る株式の代金を支払わなければならない。
     第三款 単元未満株主の売渡請求


第百九十四条  株式会社は、単元未満株主が当該株式会社に対して単元未満株式売渡請求(単元未満株主が有する単元未満株式の数と併せて単元株式数となる数の株式を当該単元未満株主に売り渡すことを請求することをいう。以下この条において同じ。)をすることができる旨を定款で定めることができる。
2  単元未満株式売渡請求は、当該単元未満株主に売り渡す単元未満株式の数(種類株式発行会社にあっては、単元未満株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
3  単元未満株式売渡請求を受けた株式会社は、当該単元未満株式売渡請求を受けた時に前項の単元未満株式の数に相当する数の株式を有しない場合を除き、自己株式を当該単元未満株主に売り渡さなければならない。
4  第百九十二条第三項及び前条第一項から第六項までの規定は、単元未満株式売渡請求について準用する。
     第四款 単元株式数の変更等


第百九十五条  株式会社は、第四百六十六条の規定にかかわらず、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって、定款を変更して単元株式数を減少し、又は単元株式数についての定款の定めを廃止することができる。
2  前項の規定により定款の変更をした場合には、株式会社は、当該定款の変更の効力が生じた日以後遅滞なく、その株主(種類株式発行会社にあっては、同項の規定により単元株式数を変更した種類の種類株主)に対し、当該定款の変更をした旨を通知しなければならない。
3  前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
    第七節 株主に対する通知の省略等


(株主に対する通知の省略)
第百九十六条  株式会社が株主に対してする通知又は催告が五年以上継続して到達しない場合には、株式会社は、当該株主に対する通知又は催告をすることを要しない。
2  前項の場合には、同項の株主に対する株式会社の義務の履行を行う場所は、株式会社の住所地とする。
3  前二項の規定は、登録株式質権者について準用する。

(株式の競売)
第百九十七条  株式会社は、次のいずれにも該当する株式を競売し、かつ、その代金をその株式の株主に交付することができる。
一  その株式の株主に対して前条第一項又は第二百九十四条第二項の規定により通知及び催告をすることを要しないもの
二  その株式の株主が継続して五年間剰余金の配当を受領しなかったもの
2  株式会社は、前項の規定による競売に代えて、市場価格のある同項の株式については市場価格として法務省令で定める方法により算定される額をもって、市場価格のない同項の株式については裁判所の許可を得て競売以外の方法により、これを売却することができる。この場合において、当該許可の申立ては、取締役が二人以上あるときは、その全員の同意によってしなければならない。
3  株式会社は、前項の規定により売却する株式の全部又は一部を買い取ることができる。この場合においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
一  買い取る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
二  前号の株式の買取りをするのと引換えに交付する金銭の総額
4  取締役会設置会社においては、前項各号に掲げる事項の決定は、取締役会の決議によらなければならない。
5  第一項及び第二項の規定にかかわらず、登録株式質権者がある場合には、当該登録株式質権者が次のいずれにも該当する者であるときに限り、株式会社は、第一項の規定による競売又は第二項の規定による売却をすることができる。
一  前条第三項において準用する同条第一項の規定により通知又は催告をすることを要しない者
二  継続して五年間第百五十四条第一項の規定により受領することができる剰余金の配当を受領しなかった者

(利害関係人の異議)
第百九十八条  前条第一項の規定による競売又は同条第二項の規定による売却をする場合には、株式会社は、同条第一項の株式の株主その他の利害関係人が一定の期間内に異議を述べることができる旨その他法務省令で定める事項を公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、当該期間は、三箇月を下ることができない。
2  第百二十六条第一項及び第百五十条第一項の規定にかかわらず、前項の規定による催告は、株主名簿に記載し、又は記録した当該株主及び登録株式質権者の住所(当該株主又は登録株式質権者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先を含む。)にあてて発しなければならない。
3  第百二十六条第三項及び第四項の規定にかかわらず、株式が二以上の者の共有に属するときは、第一項の規定による催告は、共有者に対し、株主名簿に記載し、又は記録した住所(当該共有者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先を含む。)にあてて発しなければならない。
4  第百九十六条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定は、第一項の規定による催告については、適用しない。
5  第一項の規定による公告をした場合(前条第一項の株式に係る株券が発行されている場合に限る。)において、第一項の期間内に利害関係人が異議を述べなかったときは、当該株式に係る株券は、当該期間の末日に無効となる。
    第八節 募集株式の発行等

     第一款 募集事項の決定等


(募集事項の決定)
第百九十九条  株式会社は、その発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集株式(当該募集に応じてこれらの株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
一  募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び数。以下この節において同じ。)
二  募集株式の払込金額(募集株式一株と引換えに払い込む金銭又は給付する金銭以外の財産の額をいう。以下この節において同じ。)又はその算定方法
三  金銭以外の財産を出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額
四  募集株式と引換えにする金銭の払込み又は前号の財産の給付の期日又はその期間
五  株式を発行するときは、増加する資本金及び資本準備金に関する事項
2  前項各号に掲げる事項(以下この節において「募集事項」という。)の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
3  第一項第二号の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、取締役は、前項の株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
4  種類株式発行会社において、第一項第一号の募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは、当該種類の株式に関する募集事項の決定は、当該種類の株式を引き受ける者の募集について当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがある場合を除き、当該種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
5  募集事項は、第一項の募集ごとに、均等に定めなければならない。

(募集事項の決定の委任)
第二百条  前条第二項及び第四項の規定にかかわらず、株主総会においては、その決議によって、募集事項の決定を取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)に委任することができる。この場合においては、その委任に基づいて募集事項の決定をすることができる募集株式の数の上限及び払込金額の下限を定めなければならない。
2  前項の払込金額の下限が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、取締役は、同項の株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
3  第一項の決議は、前条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の末日)が当該決議の日から一年以内の日である同項の募集についてのみその効力を有する。
4  種類株式発行会社において、第一項の募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは、当該種類の株式に関する募集事項の決定の委任は、当該種類の株式について前条第四項の定款の定めがある場合を除き、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。

(公開会社における募集事項の決定の特則)
第二百一条  第百九十九条第三項に規定する場合を除き、公開会社における同条第二項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。この場合においては、前条の規定は、適用しない。
2  前項の規定により読み替えて適用する第百九十九条第二項の取締役会の決議によって募集事項を定める場合において、市場価格のある株式を引き受ける者の募集をするときは、同条第一項第二号に掲げる事項に代えて、公正な価額による払込みを実現するために適当な払込金額の決定の方法を定めることができる。
3  公開会社は、第一項の規定により読み替えて適用する第百九十九条第二項の取締役会の決議によって募集事項を定めたときは、同条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の二週間前までに、株主に対し、当該募集事項(前項の規定により払込金額の決定の方法を定めた場合にあっては、その方法を含む。以下この節において同じ。)を通知しなければならない。
4  前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
5  第三項の規定は、株式会社が募集事項について同項に規定する期日の二週間前までに金融商品取引法第四条第一項 又は第二項 の届出をしている場合その他の株主の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、適用しない。

(株主に株式の割当てを受ける権利を与える場合)
第二百二条  株式会社は、第百九十九条第一項の募集において、株主に株式の割当てを受ける権利を与えることができる。この場合においては、募集事項のほか、次に掲げる事項を定めなければならない。
一  株主に対し、次条第二項の申込みをすることにより当該株式会社の募集株式(種類株式発行会社にあっては、当該株主の有する種類の株式と同一の種類のもの)の割当てを受ける権利を与える旨
二  前号の募集株式の引受けの申込みの期日
2  前項の場合には、同項第一号の株主(当該株式会社を除く。)は、その有する株式の数に応じて募集株式の割当てを受ける権利を有する。ただし、当該株主が割当てを受ける募集株式の数に一株に満たない端数があるときは、これを切り捨てるものとする。
3  第一項各号に掲げる事項を定める場合には、募集事項及び同項各号に掲げる事項は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める方法によって定めなければならない。
一  当該募集事項及び第一項各号に掲げる事項を取締役の決定によって定めることができる旨の定款の定めがある場合(株式会社が取締役会設置会社である場合を除く。) 取締役の決定
二  当該募集事項及び第一項各号に掲げる事項を取締役会の決議によって定めることができる旨の定款の定めがある場合(次号に掲げる場合を除く。) 取締役会の決議
三  株式会社が公開会社である場合 取締役会の決議
四  前三号に掲げる場合以外の場合 株主総会の決議
4  株式会社は、第一項各号に掲げる事項を定めた場合には、同項第二号の期日の二週間前までに、同項第一号の株主(当該株式会社を除く。)に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
一  募集事項
二  当該株主が割当てを受ける募集株式の数
三  第一項第二号の期日
5  第百九十九条第二項から第四項まで及び前二条の規定は、第一項から第三項までの規定により株主に株式の割当てを受ける権利を与える場合には、適用しない。
     第二款 募集株式の割当て


(募集株式の申込み)
第二百三条  株式会社は、第百九十九条第一項の募集に応じて募集株式の引受けの申込みをしようとする者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
一  株式会社の商号
二  募集事項
三  金銭の払込みをすべきときは、払込みの取扱いの場所
四  前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
2  第百九十九条第一項の募集に応じて募集株式の引受けの申込みをする者は、次に掲げる事項を記載した書面を株式会社に交付しなければならない。
一  申込みをする者の氏名又は名称及び住所
二  引き受けようとする募集株式の数
3  前項の申込みをする者は、同項の書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、株式会社の承諾を得て、同項の書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該申込みをした者は、同項の書面を交付したものとみなす。
4  第一項の規定は、株式会社が同項各号に掲げる事項を記載した金融商品取引法第二条第十項 に規定する目論見書を第一項 の申込みをしようとする者に対して交付している場合その他募集株式の引受けの申込みをしようとする者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、適用しない。
5  株式会社は、第一項各号に掲げる事項について変更があったときは、直ちに、その旨及び当該変更があった事項を第二項の申込みをした者(以下この款において「申込者」という。)に通知しなければならない。
6  株式会社が申込者に対してする通知又は催告は、第二項第一号の住所(当該申込者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
7  前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。

(募集株式の割当て)
第二百四条  株式会社は、申込者の中から募集株式の割当てを受ける者を定め、かつ、その者に割り当てる募集株式の数を定めなければならない。この場合において、株式会社は、当該申込者に割り当てる募集株式の数を、前条第二項第二号の数よりも減少することができる。
2  募集株式が譲渡制限株式である場合には、前項の規定による決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
3  株式会社は、第百九十九条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の前日までに、申込者に対し、当該申込者に割り当てる募集株式の数を通知しなければならない。
4  第二百二条の規定により株主に株式の割当てを受ける権利を与えた場合において、株主が同条第一項第二号の期日までに前条第二項の申込みをしないときは、当該株主は、募集株式の割当てを受ける権利を失う。

(募集株式の申込み及び割当てに関する特則)
第二百五条  前二条の規定は、募集株式を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合には、適用しない。

(募集株式の引受け)
第二百六条  次の各号に掲げる者は、当該各号に定める募集株式の数について募集株式の引受人となる。
一  申込者 株式会社の割り当てた募集株式の数
二  前条の契約により募集株式の総数を引き受けた者 その者が引き受けた募集株式の数
     第三款 金銭以外の財産の出資


第二百七条  株式会社は、第百九十九条第一項第三号に掲げる事項を定めたときは、募集事項の決定の後遅滞なく、同号の財産(以下この節において「現物出資財産」という。)の価額を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない。
2  前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
3  裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。
4  第二項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
5  裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第二項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。
6  第二項の検査役は、第四項の報告をしたときは、株式会社に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。
7  裁判所は、第四項の報告を受けた場合において、現物出資財産について定められた第百九十九条第一項第三号の価額(第二項の検査役の調査を経ていないものを除く。)を不当と認めたときは、これを変更する決定をしなければならない。
8  募集株式の引受人(現物出資財産を給付する者に限る。以下この条において同じ。)は、前項の決定により現物出資財産の価額の全部又は一部が変更された場合には、当該決定の確定後一週間以内に限り、その募集株式の引受けの申込み又は第二百五条の契約に係る意思表示を取り消すことができる。
9  前各項の規定は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める事項については、適用しない。
一  募集株式の引受人に割り当てる株式の総数が発行済株式の総数の十分の一を超えない場合 当該募集株式の引受人が給付する現物出資財産の価額
二  現物出資財産について定められた第百九十九条第一項第三号の価額の総額が五百万円を超えない場合 当該現物出資財産の価額
三  現物出資財産のうち、市場価格のある有価証券について定められた第百九十九条第一項第三号の価額が当該有価証券の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるものを超えない場合 当該有価証券についての現物出資財産の価額
四  現物出資財産について定められた第百九十九条第一項第三号の価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士又は税理士法人の証明(現物出資財産が不動産である場合にあっては、当該証明及び不動産鑑定士の鑑定評価。以下この号において同じ。)を受けた場合 当該証明を受けた現物出資財産の価額
五  現物出資財産が株式会社に対する金銭債権(弁済期が到来しているものに限る。)であって、当該金銭債権について定められた第百九十九条第一項第三号の価額が当該金銭債権に係る負債の帳簿価額を超えない場合 当該金銭債権についての現物出資財産の価額
10  次に掲げる者は、前項第四号に規定する証明をすることができない。
一  取締役、会計参与、監査役若しくは執行役又は支配人その他の使用人
二  募集株式の引受人
三  業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者
四  弁護士法人、監査法人又は税理士法人であって、その社員の半数以上が第一号又は第二号に掲げる者のいずれかに該当するもの
     第四款 出資の履行等


(出資の履行)
第二百八条  募集株式の引受人(現物出資財産を給付する者を除く。)は、第百九十九条第一項第四号の期日又は同号の期間内に、株式会社が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの募集株式の払込金額の全額を払い込まなければならない。
2  募集株式の引受人(現物出資財産を給付する者に限る。)は、第百九十九条第一項第四号の期日又は同号の期間内に、それぞれの募集株式の払込金額の全額に相当する現物出資財産を給付しなければならない。
3  募集株式の引受人は、第一項の規定による払込み又は前項の規定による給付(以下この款において「出資の履行」という。)をする債務と株式会社に対する債権とを相殺することができない。
4  出資の履行をすることにより募集株式の株主となる権利の譲渡は、株式会社に対抗することができない。
5  募集株式の引受人は、出資の履行をしないときは、当該出資の履行をすることにより募集株式の株主となる権利を失う。

(株主となる時期)
第二百九条  募集株式の引受人は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める日に、出資の履行をした募集株式の株主となる。
一  第百九十九条第一項第四号の期日を定めた場合 当該期日
二  第百九十九条第一項第四号の期間を定めた場合 出資の履行をした日
     第五款 募集株式の発行等をやめることの請求


第二百十条  次に掲げる場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、株式会社に対し、第百九十九条第一項の募集に係る株式の発行又は自己株式の処分をやめることを請求することができる。
一  当該株式の発行又は自己株式の処分が法令又は定款に違反する場合
二  当該株式の発行又は自己株式の処分が著しく不公正な方法により行われる場合
     第六款 募集に係る責任等


(引受けの無効又は取消しの制限)
第二百十一条  民法第九十三条 ただし書及び第九十四条第一項 の規定は、募集株式の引受けの申込み及び割当て並びに第二百五条の契約に係る意思表示については、適用しない。
2  募集株式の引受人は、第二百九条の規定により株主となった日から一年を経過した後又はその株式について権利を行使した後は、錯誤を理由として募集株式の引受けの無効を主張し、又は詐欺若しくは強迫を理由として募集株式の引受けの取消しをすることができない。

(不公正な払込金額で株式を引き受けた者等の責任)
第二百十二条  募集株式の引受人は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める額を支払う義務を負う。
一  取締役(委員会設置会社にあっては、取締役又は執行役)と通じて著しく不公正な払込金額で募集株式を引き受けた場合 当該払込金額と当該募集株式の公正な価額との差額に相当する金額
二  第二百九条の規定により募集株式の株主となった時におけるその給付した現物出資財産の価額がこれについて定められた第百九十九条第一項第三号の価額に著しく不足する場合 当該不足額
2  前項第二号に掲げる場合において、現物出資財産を給付した募集株式の引受人が当該現物出資財産の価額がこれについて定められた第百九十九条第一項第三号の価額に著しく不足することにつき善意でかつ重大な過失がないときは、募集株式の引受けの申込み又は第二百五条の契約に係る意思表示を取り消すことができる。

(出資された財産等の価額が不足する場合の取締役等の責任)
第二百十三条  前条第一項第二号に掲げる場合には、次に掲げる者(以下この条において「取締役等」という。)は、株式会社に対し、同号に定める額を支払う義務を負う。
一  当該募集株式の引受人の募集に関する職務を行った業務執行取締役(委員会設置会社にあっては、執行役。以下この号において同じ。)その他当該業務執行取締役の行う業務の執行に職務上関与した者として法務省令で定めるもの
二  現物出資財産の価額の決定に関する株主総会の決議があったときは、当該株主総会に議案を提案した取締役として法務省令で定めるもの
三  現物出資財産の価額の決定に関する取締役会の決議があったときは、当該取締役会に議案を提案した取締役(委員会設置会社にあっては、取締役又は執行役)として法務省令で定めるもの
2  前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、取締役等は、現物出資財産について同項の義務を負わない。
一  現物出資財産の価額について第二百七条第二項の検査役の調査を経た場合
二  当該取締役等がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合
3  第一項に規定する場合には、第二百七条第九項第四号に規定する証明をした者(以下この条において「証明者」という。)は、株式会社に対し前条第一項第二号に定める額を支払う義務を負う。ただし、当該証明者が当該証明をするについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
4  募集株式の引受人がその給付した現物出資財産についての前条第一項第二号に定める額を支払う義務を負う場合において、次の各号に掲げる者が当該現物出資財産について当該各号に定める義務を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
一  取締役等 第一項の義務
二  証明者 前項本文の義務
    第九節 株券

     第一款 総則


(株券を発行する旨の定款の定め)
第二百十四条  株式会社は、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨を定款で定めることができる。

(株券の発行)
第二百十五条  株券発行会社は、株式を発行した日以後遅滞なく、当該株式に係る株券を発行しなければならない。
2  株券発行会社は、株式の併合をしたときは、第百八十条第二項第二号の日以後遅滞なく、併合した株式に係る株券を発行しなければならない。
3  株券発行会社は、株式の分割をしたときは、第百八十三条第二項第二号の日以後遅滞なく、分割した株式に係る株券(既に発行されているものを除く。)を発行しなければならない。
4  前三項の規定にかかわらず、公開会社でない株券発行会社は、株主から請求がある時までは、これらの規定の株券を発行しないことができる。

(株券の記載事項)
第二百十六条  株券には、次に掲げる事項及びその番号を記載し、株券発行会社の代表取締役(委員会設置会社にあっては、代表執行役)がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
一  株券発行会社の商号
二  当該株券に係る株式の数
三  譲渡による当該株券に係る株式の取得について株式会社の承認を要することを定めたときは、その旨
四  種類株式発行会社にあっては、当該株券に係る株式の種類及びその内容

(株券不所持の申出)
第二百十七条  株券発行会社の株主は、当該株券発行会社に対し、当該株主の有する株式に係る株券の所持を希望しない旨を申し出ることができる。
2  前項の規定による申出は、その申出に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。この場合において、当該株式に係る株券が発行されているときは、当該株主は、当該株券を株券発行会社に提出しなければならない。
3  第一項の規定による申出を受けた株券発行会社は、遅滞なく、前項前段の株式に係る株券を発行しない旨を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。
4  株券発行会社は、前項の規定による記載又は記録をしたときは、第二項前段の株式に係る株券を発行することができない。
5  第二項後段の規定により提出された株券は、第三項の規定による記載又は記録をした時において、無効となる。
6  第一項の規定による申出をした株主は、いつでも、株券発行会社に対し、第二項前段の株式に係る株券を発行することを請求することができる。この場合において、第二項後段の規定により提出された株券があるときは、株券の発行に要する費用は、当該株主の負担とする。

(株券を発行する旨の定款の定めの廃止)
第二百十八条  株券発行会社は、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をしようとするときは、当該定款の変更の効力が生ずる日の二週間前までに、次に掲げる事項を公告し、かつ、株主及び登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければならない。
一  その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する旨
二  定款の変更がその効力を生ずる日
三  前号の日において当該株式会社の株券は無効となる旨
2  株券発行会社の株式に係る株券は、前項第二号の日に無効となる。
3  第一項の規定にかかわらず、株式の全部について株券を発行していない株券発行会社がその株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をしようとする場合には、同項第二号の日の二週間前までに、株主及び登録株式質権者に対し、同項第一号及び第二号に掲げる事項を通知すれば足りる。
4  前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
5  第一項に規定する場合には、株式の質権者(登録株式質権者を除く。)は、同項第二号の日の前日までに、株券発行会社に対し、第百四十八条各号に掲げる事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
     第二款 株券の提出等


(株券の提出に関する公告等)
第二百十九条  株券発行会社が次の各号に掲げる行為をする場合には、当該行為の効力が生ずる日までに当該株券発行会社に対し当該各号に定める株式に係る株券を提出しなければならない旨を当該日の一箇月前までに、公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければならない。ただし、当該株式の全部について株券を発行していない場合は、この限りでない。
一  第百七条第一項第一号に掲げる事項についての定款の定めを設ける定款の変更 全部の株式(種類株式発行会社にあっては、当該事項についての定めを設ける種類の株式)
二  株式の併合 全部の株式(種類株式発行会社にあっては、第百八十条第二項第三号の種類の株式)
三  第百七十一条第一項に規定する全部取得条項付種類株式の取得 当該全部取得条項付種類株式
四  取得条項付株式の取得 当該取得条項付株式
五  組織変更 全部の株式
六  合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。) 全部の株式
七  株式交換 全部の株式
八  株式移転 全部の株式
2  株券発行会社は、前項各号に掲げる行為の効力が生ずる日までに株券発行会社に対して株券を提出しない者があるときは、当該株券の提出があるまでの間、当該行為によって当該株券に係る株式の株主が受けることのできる金銭等の交付を拒むことができる。
3  第一項各号に定める株式に係る株券は、当該各号に掲げる行為の効力が生ずる日に無効となる。

(株券の提出をすることができない場合)
第二百二十条  前条第一項各号に掲げる行為をした場合において、株券を提出することができない者があるときは、株券発行会社は、その者の請求により、利害関係人に対し異議があれば一定の期間内にこれを述べることができる旨を公告することができる。ただし、当該期間は、三箇月を下ることができない。
2  前項の規定による公告をした場合において、同項の期間内に利害関係人が異議を述べなかったときは、株券発行会社は、同項の請求をした者に対し、前条第二項の金銭等を交付することができる。
3  第一項の規定による公告の費用は、同項の請求をした者の負担とする。
     第三款 株券喪失登録


(株券喪失登録簿)
第二百二十一条  株券発行会社(株式会社がその株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした日の翌日から起算して一年を経過していない場合における当該株式会社を含む。以下この款(第二百二十三条、第二百二十七条及び第二百二十八条第二項を除く。)において同じ。)は、株券喪失登録簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下この款において「株券喪失登録簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
一  第二百二十三条の規定による請求に係る株券(第二百十八条第二項又は第二百十九条第三項の規定により無効となった株券及び株式の発行又は自己株式の処分の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合における当該株式に係る株券を含む。以下この款(第二百二十八条を除く。)において同じ。)の番号
二  前号の株券を喪失した者の氏名又は名称及び住所
三  第一号の株券に係る株式の株主又は登録株式質権者として株主名簿に記載され、又は記録されている者(以下この款において「名義人」という。)の氏名又は名称及び住所
四  第一号の株券につき前三号に掲げる事項を記載し、又は記録した日(以下この款において「株券喪失登録日」という。)

(株券喪失登録簿に関する事務の委託)
第二百二十二条  株券発行会社における第百二十三条の規定の適用については、同条中「株主名簿の」とあるのは「株主名簿及び株券喪失登録簿の」と、「株主名簿に」とあるのは「株主名簿及び株券喪失登録簿に」とする。

(株券喪失登録の請求)
第二百二十三条  株券を喪失した者は、法務省令で定めるところにより、株券発行会社に対し、当該株券についての株券喪失登録簿記載事項を株券喪失登録簿に記載し、又は記録すること(以下「株券喪失登録」という。)を請求することができる。

(名義人等に対する通知)
第二百二十四条  株券発行会社が前条の規定による請求に応じて株券喪失登録をした場合において、当該請求に係る株券を喪失した者として株券喪失登録簿に記載され、又は記録された者(以下この款において「株券喪失登録者」という。)が当該株券に係る株式の名義人でないときは、株券発行会社は、遅滞なく、当該名義人に対し、当該株券について株券喪失登録をした旨並びに第二百二十一条第一号、第二号及び第四号に掲げる事項を通知しなければならない。
2  株式についての権利を行使するために株券が株券発行会社に提出された場合において、当該株券について株券喪失登録がされているときは、株券発行会社は、遅滞なく、当該株券を提出した者に対し、当該株券について株券喪失登録がされている旨を通知しなければならない。

(株券を所持する者による抹消の申請)
第二百二十五条  株券喪失登録がされた株券を所持する者(その株券についての株券喪失登録者を除く。)は、法務省令で定めるところにより、株券発行会社に対し、当該株券喪失登録の抹消を申請することができる。ただし、株券喪失登録日の翌日から起算して一年を経過したときは、この限りでない。
2  前項の規定による申請をしようとする者は、株券発行会社に対し、同項の株券を提出しなければならない。
3  第一項の規定による申請を受けた株券発行会社は、遅滞なく、同項の株券喪失登録者に対し、同項の規定による申請をした者の氏名又は名称及び住所並びに同項の株券の番号を通知しなければならない。
4  株券発行会社は、前項の規定による通知の日から二週間を経過した日に、第二項の規定により提出された株券に係る株券喪失登録を抹消しなければならない。この場合においては、株券発行会社は、当該株券を第一項の規定による申請をした者に返還しなければならない。

(株券喪失登録者による抹消の申請)
第二百二十六条  株券喪失登録者は、法務省令で定めるところにより、株券発行会社に対し、株券喪失登録(その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合にあっては、前条第二項の規定により提出された株券についての株券喪失登録を除く。)の抹消を申請することができる。
2  前項の規定による申請を受けた株券発行会社は、当該申請を受けた日に、当該申請に係る株券喪失登録を抹消しなければならない。

(株券を発行する旨の定款の定めを廃止した場合における株券喪失登録の抹消)
第二百二十七条  その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をする場合には、株券発行会社は、当該定款の変更の効力が生ずる日に、株券喪失登録(当該株券喪失登録がされた株券に係る株式の名義人が株券喪失登録者であるものに限り、第二百二十五条第二項の規定により提出された株券についてのものを除く。)を抹消しなければならない。

(株券の無効)
第二百二十八条  株券喪失登録(抹消されたものを除く。)がされた株券は、株券喪失登録日の翌日から起算して一年を経過した日に無効となる。
2  前項の規定により株券が無効となった場合には、株券発行会社は、当該株券についての株券喪失登録者に対し、株券を再発行しなければならない。

(異議催告手続との関係)
第二百二十九条  株券喪失登録者が第二百二十条第一項の請求をした場合には、株券発行会社は、同項の期間の末日が株券喪失登録日の翌日から起算して一年を経過する日前に到来するときに限り、同項の規定による公告をすることができる。
2  株券発行会社が第二百二十条第一項の規定による公告をするときは、当該株券発行会社は、当該公告をした日に、当該公告に係る株券についての株券喪失登録を抹消しなければならない。

(株券喪失登録の効力)
第二百三十条  株券発行会社は、次に掲げる日のいずれか早い日(以下この条において「登録抹消日」という。)までの間は、株券喪失登録がされた株券に係る株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録することができない。
一  当該株券喪失登録が抹消された日
二  株券喪失登録日の翌日から起算して一年を経過した日
2  株券発行会社は、登録抹消日後でなければ、株券喪失登録がされた株券を再発行することができない。
3  株券喪失登録者が株券喪失登録をした株券に係る株式の名義人でないときは、当該株式の株主は、登録抹消日までの間は、株主総会又は種類株主総会において議決権を行使することができない。
4  株券喪失登録がされた株券に係る株式については、第百九十七条第一項の規定による競売又は同条第二項の規定による売却をすることができない。

(株券喪失登録簿の備置き及び閲覧等)
第二百三十一条  株券発行会社は、株券喪失登録簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならない。
2  何人も、株券発行会社の営業時間内は、いつでも、株券喪失登録簿(利害関係がある部分に限る。)について、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
一  株券喪失登録簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二  株券喪失登録簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

(株券喪失登録者に対する通知等)
第二百三十二条  株券発行会社が株券喪失登録者に対してする通知又は催告は、株券喪失登録簿に記載し、又は記録した当該株券喪失登録者の住所(当該株券喪失登録者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を株券発行会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
2  前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。

(適用除外)
第二百三十三条  非訟事件手続法 (明治三十一年法律第十四号)第三編 の規定は、株券については、適用しない。
    第十節 雑則


(一に満たない端数の処理)
第二百三十四条  次の各号に掲げる行為に際して当該各号に定める者に当該株式会社の株式を交付する場合において、その者に対し交付しなければならない当該株式会社の株式の数に一株に満たない端数があるときは、その端数の合計数(その合計数に一に満たない端数がある場合にあっては、これを切り捨てるものとする。)に相当する数の株式を競売し、かつ、その端数に応じてその競売により得られた代金を当該者に交付しなければならない。
一  第百七十条第一項の規定による株式の取得 当該株式会社の株主
二  第百七十三条第一項の規定による株式の取得 当該株式会社の株主
三  第百八十五条に規定する株式無償割当て 当該株式会社の株主
四  第二百七十五条第一項の規定による新株予約権の取得 第二百三十六条第一項第七号イの新株予約権の新株予約権者
五  合併(合併により当該株式会社が存続する場合に限る。) 合併後消滅する会社の株主又は社員
六  合併契約に基づく設立時発行株式の発行 合併後消滅する会社の株主又は社員
七  株式交換による他の株式会社の発行済株式全部の取得 株式交換をする株式会社の株主
八  株式移転計画に基づく設立時発行株式の発行 株式移転をする株式会社の株主
2  株式会社は、前項の規定による競売に代えて、市場価格のある同項の株式については市場価格として法務省令で定める方法により算定される額をもって、市場価格のない同項の株式については裁判所の許可を得て競売以外の方法により、これを売却することができる。この場合において、当該許可の申立ては、取締役が二人以上あるときは、その全員の同意によってしなければならない。
3  前項の規定により第一項の株式を売却した場合における同項の規定の適用については、同項中「競売により」とあるのは、「売却により」とする。
4  株式会社は、第二項の規定により売却する株式の全部又は一部を買い取ることができる。この場合においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
一  買い取る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
二  前号の株式の買取りをするのと引換えに交付する金銭の総額
5  取締役会設置会社においては、前項各号に掲げる事項の決定は、取締役会の決議によらなければならない。
6  第一項から第四項までの規定は、第一項各号に掲げる行為に際して当該各号に定める者に当該株式会社の社債又は新株予約権を交付するときについて準用する。

第二百三十五条  株式会社が株式の分割又は株式の併合をすることにより株式の数に一株に満たない端数が生ずるときは、その端数の合計数(その合計数に一に満たない端数が生ずる場合にあっては、これを切り捨てるものとする。)に相当する数の株式を競売し、かつ、その端数に応じてその競売により得られた代金を株主に交付しなければならない。
2  前条第二項から第五項までの規定は、前項の場合について準用する。

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会社法(株式1/2)


  第二章 株式
    第一節 総則

(株主の責任)
第百四条  株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする。

(株主の権利)
第百五条  株主は、その有する株式につき次に掲げる権利その他この法律の規定により認められた権利を有する。
一  剰余金の配当を受ける権利
二  残余財産の分配を受ける権利
三  株主総会における議決権
2  株主に前項第一号及び第二号に掲げる権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない。

(共有者による権利の行使)
第百六条  株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。

(株式の内容についての特別の定め)
第百七条  株式会社は、その発行する全部の株式の内容として次に掲げる事項を定めることができる。
一  譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
二  当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。
三  当該株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。
2  株式会社は、全部の株式の内容として次の各号に掲げる事項を定めるときは、当該各号に定める事項を定款で定めなければならない。
一  譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること 次に掲げる事項
イ 当該株式を譲渡により取得することについて当該株式会社の承認を要する旨
ロ 一定の場合においては株式会社が第百三十六条又は第百三十七条第一項の承認をしたものとみなすときは、その旨及び当該一定の場合
二  当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること 次に掲げる事項
イ 株主が当該株式会社に対して当該株主の有する株式を取得することを請求することができる旨
ロ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)を交付するときは、当該社債の種類(第六百八十一条第一号に規定する種類をいう。以下この編において同じ。)及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
ハ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)を交付するときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法
ニ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権付社債を交付するときは、当該新株予約権付社債についてのロに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのハに規定する事項
ホ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の株式等(株式、社債及び新株予約権をいう。以下同じ。)以外の財産を交付するときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
ヘ 株主が当該株式会社に対して当該株式を取得することを請求することができる期間
三  当該株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること 次に掲げる事項
イ 一定の事由が生じた日に当該株式会社がその株式を取得する旨及びその事由
ロ 当該株式会社が別に定める日が到来することをもってイの事由とするときは、その旨
ハ イの事由が生じた日にイの株式の一部を取得することとするときは、その旨及び取得する株式の一部の決定の方法
ニ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)を交付するときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
ホ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)を交付するときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法
ヘ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権付社債を交付するときは、当該新株予約権付社債についてのニに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのホに規定する事項
ト イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の株式等以外の財産を交付するときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法

(異なる種類の株式)
第百八条  株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。ただし、委員会設置会社及び公開会社は、第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。
一  剰余金の配当
二  残余財産の分配
三  株主総会において議決権を行使することができる事項
四  譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
五  当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。
六  当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。
七  当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること。
八  株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社(第四百七十八条第六項に規定する清算人会設置会社をいう。以下この条において同じ。)にあっては株主総会又は清算人会)において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの
九  当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること。
2  株式会社は、次の各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する場合には、当該各号に定める事項及び発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない。
一  剰余金の配当 当該種類の株主に交付する配当財産の価額の決定の方法、剰余金の配当をする条件その他剰余金の配当に関する取扱いの内容
二  残余財産の分配 当該種類の株主に交付する残余財産の価額の決定の方法、当該残余財産の種類その他残余財産の分配に関する取扱いの内容
三  株主総会において議決権を行使することができる事項 次に掲げる事項
イ 株主総会において議決権を行使することができる事項
ロ 当該種類の株式につき議決権の行使の条件を定めるときは、その条件
四  譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること 当該種類の株式についての前条第二項第一号に定める事項
五  当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること 次に掲げる事項
イ 当該種類の株式についての前条第二項第二号に定める事項
ロ 当該種類の株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の他の株式を交付するときは、当該他の株式の種類及び種類ごとの数又はその算定方法
六  当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること 次に掲げる事項
イ 当該種類の株式についての前条第二項第三号に定める事項
ロ 当該種類の株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の他の株式を交付するときは、当該他の株式の種類及び種類ごとの数又はその算定方法
七  当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること 次に掲げる事項
イ 第百七十一条第一項第一号に規定する取得対価の価額の決定の方法
ロ 当該株主総会の決議をすることができるか否かについての条件を定めるときは、その条件
八  株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社にあっては株主総会又は清算人会)において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの 次に掲げる事項
イ 当該種類株主総会の決議があることを必要とする事項
ロ 当該種類株主総会の決議を必要とする条件を定めるときは、その条件
九  当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること 次に掲げる事項
イ 当該種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること及び選任する取締役又は監査役の数
ロ イの定めにより選任することができる取締役又は監査役の全部又は一部を他の種類株主と共同して選任することとするときは、当該他の種類株主の有する株式の種類及び共同して選任する取締役又は監査役の数
ハ イ又はロに掲げる事項を変更する条件があるときは、その条件及びその条件が成就した場合における変更後のイ又はロに掲げる事項
ニ イからハまでに掲げるもののほか、法務省令で定める事項
3  前項の規定にかかわらず、同項各号に定める事項(剰余金の配当について内容の異なる種類の種類株主が配当を受けることができる額その他法務省令で定める事項に限る。)の全部又は一部については、当該種類の株式を初めて発行する時までに、株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社にあっては株主総会又は清算人会)の決議によって定める旨を定款で定めることができる。この場合においては、その内容の要綱を定款で定めなければならない。

(株主の平等)
第百九条  株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。
2  前項の規定にかかわらず、公開会社でない株式会社は、第百五条第一項各号に掲げる権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる。
3  前項の規定による定款の定めがある場合には、同項の株主が有する株式を同項の権利に関する事項について内容の異なる種類の株式とみなして、この編及び第五編の規定を適用する。

(定款の変更の手続の特則)
第百十条  定款を変更してその発行する全部の株式の内容として第百七条第一項第三号に掲げる事項についての定款の定めを設け、又は当該事項についての定款の変更(当該事項についての定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとする場合(株式会社が種類株式発行会社である場合を除く。)には、株主全員の同意を得なければならない。

第百十一条  種類株式発行会社がある種類の株式の発行後に定款を変更して当該種類の株式の内容として第百八条第一項第六号に掲げる事項についての定款の定めを設け、又は当該事項についての定款の変更(当該事項についての定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとするときは、当該種類の株式を有する株主全員の同意を得なければならない。
2  種類株式発行会社がある種類の株式の内容として第百八条第一項第四号又は第七号に掲げる事項についての定款の定めを設ける場合には、当該定款の変更は、次に掲げる種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会。以下この条において同じ。)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
一  当該種類の株式の種類株主
二  第百八条第二項第五号ロの他の株式を当該種類の株式とする定めがある取得請求権付株式の種類株主
三  第百八条第二項第六号ロの他の株式を当該種類の株式とする定めがある取得条項付株式の種類株主

(取締役の選任等に関する種類株式の定款の定めの廃止の特則)
第百十二条  第百八条第二項第九号に掲げる事項(取締役に関するものに限る。)についての定款の定めは、この法律又は定款で定めた取締役の員数を欠いた場合において、そのために当該員数に足りる数の取締役を選任することができないときは、廃止されたものとみなす。
2  前項の規定は、第百八条第二項第九号に掲げる事項(監査役に関するものに限る。)についての定款の定めについて準用する。

(発行可能株式総数)
第百十三条  株式会社は、定款を変更して発行可能株式総数についての定めを廃止することができない。
2  定款を変更して発行可能株式総数を減少するときは、変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数を下ることができない。
3  定款を変更して発行可能株式総数を増加する場合には、変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の四倍を超えることができない。ただし、株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。
4  新株予約権(第二百三十六条第一項第四号の期間の初日が到来していないものを除く。)の新株予約権者が第二百八十二条の規定により取得することとなる株式の数は、発行可能株式総数から発行済株式(自己株式(株式会社が有する自己の株式をいう。以下同じ。)を除く。)の総数を控除して得た数を超えてはならない。

(発行可能種類株式総数)
第百十四条  定款を変更してある種類の株式の発行可能種類株式総数を減少するときは、変更後の当該種類の株式の発行可能種類株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における当該種類の発行済株式の総数を下ることができない。
2  ある種類の株式についての次に掲げる数の合計数は、当該種類の株式の発行可能種類株式総数から当該種類の発行済株式(自己株式を除く。)の総数を控除して得た数を超えてはならない。
一  取得請求権付株式(第百七条第二項第二号ヘの期間の初日が到来していないものを除く。)の株主(当該株式会社を除く。)が第百六十七条第二項の規定により取得することとなる同項第四号に規定する他の株式の数
二  取得条項付株式の株主(当該株式会社を除く。)が第百七十条第二項の規定により取得することとなる同項第四号に規定する他の株式の数
三  新株予約権(第二百三十六条第一項第四号の期間の初日が到来していないものを除く。)の新株予約権者が第二百八十二条の規定により取得することとなる株式の数

(議決権制限株式の発行数)
第百十五条  種類株式発行会社が公開会社である場合において、株主総会において議決権を行使することができる事項について制限のある種類の株式(以下この条において「議決権制限株式」という。)の数が発行済株式の総数の二分の一を超えるに至ったときは、株式会社は、直ちに、議決権制限株式の数を発行済株式の総数の二分の一以下にするための必要な措置をとらなければならない。

(反対株主の株式買取請求)
第百十六条  次の各号に掲げる場合には、反対株主は、株式会社に対し、自己の有する当該各号に定める株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
一  その発行する全部の株式の内容として第百七条第一項第一号に掲げる事項についての定めを設ける定款の変更をする場合 全部の株式
二  ある種類の株式の内容として第百八条第一項第四号又は第七号に掲げる事項についての定めを設ける定款の変更をする場合 第百十一条第二項各号に規定する株式
三  次に掲げる行為をする場合において、ある種類の株式(第三百二十二条第二項の規定による定款の定めがあるものに限る。)を有する種類株主に損害を及ぼすおそれがあるとき 当該種類の株式
イ 株式の併合又は株式の分割
ロ 第百八十五条に規定する株式無償割当て
ハ 単元株式数についての定款の変更
ニ 当該株式会社の株式を引き受ける者の募集(第二百二条第一項各号に掲げる事項を定めるものに限る。)
ホ 当該株式会社の新株予約権を引き受ける者の募集(第二百四十一条第一項各号に掲げる事項を定めるものに限る。)
ヘ 第二百七十七条に規定する新株予約権無償割当て
2  前項に規定する「反対株主」とは、次の各号に掲げる場合における当該各号に定める株主をいう。
一  前項各号の行為をするために株主総会(種類株主総会を含む。)の決議を要する場合 次に掲げる株主
イ 当該株主総会に先立って当該行為に反対する旨を当該株式会社に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該行為に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)
ロ 当該株主総会において議決権を行使することができない株主
二  前号に規定する場合以外の場合 すべての株主
3  第一項各号の行為をしようとする株式会社は、当該行為が効力を生ずる日(以下この条及び次条において「効力発生日」という。)の二十日前までに、同項各号に定める株式の株主に対し、当該行為をする旨を通知しなければならない。
4  前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
5  第一項の規定による請求(以下この節において「株式買取請求」という。)は、効力発生日の二十日前の日から効力発生日の前日までの間に、その株式買取請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
6  株式買取請求をした株主は、株式会社の承諾を得た場合に限り、その株式買取請求を撤回することができる。
7  株式会社が第一項各号の行為を中止したときは、株式買取請求は、その効力を失う。

(株式の価格の決定等)
第百十七条  株式買取請求があった場合において、株式の価格の決定について、株主と株式会社との間に協議が調ったときは、株式会社は、効力発生日から六十日以内にその支払をしなければならない。
2  株式の価格の決定について、効力発生日から三十日以内に協議が調わないときは、株主又は株式会社は、その期間の満了の日後三十日以内に、裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる。
3  前条第六項の規定にかかわらず、前項に規定する場合において、効力発生日から六十日以内に同項の申立てがないときは、その期間の満了後は、株主は、いつでも、株式買取請求を撤回することができる。
4  株式会社は、裁判所の決定した価格に対する第一項の期間の満了の日後の年六分の利率により算定した利息をも支払わなければならない。
5  株式買取請求に係る株式の買取りは、当該株式の代金の支払の時に、その効力を生ずる。
6  株券発行会社(その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めがある株式会社をいう。以下同じ。)は、株券が発行されている株式について株式買取請求があったときは、株券と引換えに、その株式買取請求に係る株式の代金を支払わなければならない。

(新株予約権買取請求)
第百十八条  次の各号に掲げる定款の変更をする場合には、当該各号に定める新株予約権の新株予約権者は、株式会社に対し、自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
一  その発行する全部の株式の内容として第百七条第一項第一号に掲げる事項についての定めを設ける定款の変更 全部の新株予約権
二  ある種類の株式の内容として第百八条第一項第四号又は第七号に掲げる事項についての定款の定めを設ける定款の変更 当該種類の株式を目的とする新株予約権
2  新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者は、前項の規定による請求(以下この節において「新株予約権買取請求」という。)をするときは、併せて、新株予約権付社債についての社債を買い取ることを請求しなければならない。ただし、当該新株予約権付社債に付された新株予約権について別段の定めがある場合は、この限りでない。
3  第一項各号に掲げる定款の変更をしようとする株式会社は、当該定款の変更が効力を生ずる日(以下この条及び次条において「定款変更日」という。)の二十日前までに、同項各号に定める新株予約権の新株予約権者に対し、当該定款の変更を行う旨を通知しなければならない。
4  前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
5  新株予約権買取請求は、定款変更日の二十日前の日から定款変更日の前日までの間に、その新株予約権買取請求に係る新株予約権の内容及び数を明らかにしてしなければならない。
6  新株予約権買取請求をした新株予約権者は、株式会社の承諾を得た場合に限り、その新株予約権買取請求を撤回することができる。
7  株式会社が第一項各号に掲げる定款の変更を中止したときは、新株予約権買取請求は、その効力を失う。

(新株予約権の価格の決定等)
第百十九条  新株予約権買取請求があった場合において、新株予約権(当該新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合において、当該新株予約権付社債についての社債の買取りの請求があったときは、当該社債を含む。以下この条において同じ。)の価格の決定について、新株予約権者と株式会社との間に協議が調ったときは、株式会社は、定款変更日から六十日以内にその支払をしなければならない。
2  新株予約権の価格の決定について、定款変更日から三十日以内に協議が調わないときは、新株予約権者又は株式会社は、その期間の満了の日後三十日以内に、裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる。
3  前条第六項の規定にかかわらず、前項に規定する場合において、定款変更日から六十日以内に同項の申立てがないときは、その期間の満了後は、新株予約権者は、いつでも、新株予約権買取請求を撤回することができる。
4  株式会社は、裁判所の決定した価格に対する第一項の期間の満了の日後の年六分の利率により算定した利息をも支払わなければならない。
5  新株予約権買取請求に係る新株予約権の買取りは、当該新株予約権の代金の支払の時に、その効力を生ずる。
6  株式会社は、新株予約権証券が発行されている新株予約権について新株予約権買取請求があったときは、新株予約権証券と引換えに、その新株予約権買取請求に係る新株予約権の代金を支払わなければならない。
7  株式会社は、第二百四十九条第二号に規定する新株予約権付社債券が発行されている新株予約権付社債に付された新株予約権について新株予約権買取請求があったときは、その新株予約権付社債券と引換えに、その新株予約権買取請求に係る新株予約権の代金を支払わなければならない。

(株主の権利の行使に関する利益の供与)
第百二十条  株式会社は、何人に対しても、株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与(当該株式会社又はその子会社の計算においてするものに限る。以下この条において同じ。)をしてはならない。
2  株式会社が特定の株主に対して無償で財産上の利益の供与をしたときは、当該株式会社は、株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をしたものと推定する。株式会社が特定の株主に対して有償で財産上の利益の供与をした場合において、当該株式会社又はその子会社の受けた利益が当該財産上の利益に比して著しく少ないときも、同様とする。
3  株式会社が第一項の規定に違反して財産上の利益の供与をしたときは、当該利益の供与を受けた者は、これを当該株式会社又はその子会社に返還しなければならない。この場合において、当該利益の供与を受けた者は、当該株式会社又はその子会社に対して当該利益と引換えに給付をしたものがあるときは、その返還を受けることができる。
4  株式会社が第一項の規定に違反して財産上の利益の供与をしたときは、当該利益の供与をすることに関与した取締役(委員会設置会社にあっては、執行役を含む。以下この項において同じ。)として法務省令で定める者は、当該株式会社に対して、連帯して、供与した利益の価額に相当する額を支払う義務を負う。ただし、その者(当該利益の供与をした取締役を除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
5  前項の義務は、総株主の同意がなければ、免除することができない。
    第二節 株主名簿


(株主名簿)
第百二十一条  株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下「株主名簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
一  株主の氏名又は名称及び住所
二  前号の株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
三  第一号の株主が株式を取得した日
四  株式会社が株券発行会社である場合には、第二号の株式(株券が発行されているものに限る。)に係る株券の番号

(株主名簿記載事項を記載した書面の交付等)
第百二十二条  前条第一号の株主は、株式会社に対し、当該株主についての株主名簿に記載され、若しくは記録された株主名簿記載事項を記載した書面の交付又は当該株主名簿記載事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
2  前項の書面には、株式会社の代表取締役(委員会設置会社にあっては、代表執行役。次項において同じ。)が署名し、又は記名押印しなければならない。
3  第一項の電磁的記録には、株式会社の代表取締役が法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
4  前三項の規定は、株券発行会社については、適用しない。

(株主名簿管理人)
第百二十三条  株式会社は、株主名簿管理人(株式会社に代わって株主名簿の作成及び備置きその他の株主名簿に関する事務を行う者をいう。以下同じ。)を置く旨を定款で定め、当該事務を行うことを委託することができる。

(基準日)
第百二十四条  株式会社は、一定の日(以下この章において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(以下この条において「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる。
2  基準日を定める場合には、株式会社は、基準日株主が行使することができる権利(基準日から三箇月以内に行使するものに限る。)の内容を定めなければならない。
3  株式会社は、基準日を定めたときは、当該基準日の二週間前までに、当該基準日及び前項の規定により定めた事項を公告しなければならない。ただし、定款に当該基準日及び当該事項について定めがあるときは、この限りでない。
4  基準日株主が行使することができる権利が株主総会又は種類株主総会における議決権である場合には、株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を当該権利を行使することができる者と定めることができる。ただし、当該株式の基準日株主の権利を害することができない。
5  第一項から第三項までの規定は、第百四十九条第一項に規定する登録株式質権者について準用する。

(株主名簿の備置き及び閲覧等)
第百二十五条  株式会社は、株主名簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならない。
2  株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
一  株主名簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二  株主名簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
3  株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。
一  当該請求を行う株主又は債権者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二  請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
三  請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき。
四  請求者が株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
五  請求者が、過去二年以内において、株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
4  株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該株式会社の株主名簿について第二項各号に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
5  前項の親会社社員について第三項各号のいずれかに規定する事由があるときは、裁判所は、前項の許可をすることができない。

(株主に対する通知等)
第百二十六条  株式会社が株主に対してする通知又は催告は、株主名簿に記載し、又は記録した当該株主の住所(当該株主が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
2  前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
3  株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、株式会社が株主に対してする通知又は催告を受領する者一人を定め、当該株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければならない。この場合においては、その者を株主とみなして、前二項の規定を適用する。
4  前項の規定による共有者の通知がない場合には、株式会社が株式の共有者に対してする通知又は催告は、そのうちの一人に対してすれば足りる。
5  前各項の規定は、第二百九十九条第一項(第三百二十五条において準用する場合を含む。)の通知に際して株主に書面を交付し、又は当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供する場合について準用する。この場合において、第二項中「到達したもの」とあるのは、「当該書面の交付又は当該事項の電磁的方法による提供があったもの」と読み替えるものとする。
    第三節 株式の譲渡等

     第一款 株式の譲渡


(株式の譲渡)
第百二十七条  株主は、その有する株式を譲渡することができる。

(株券発行会社の株式の譲渡)
第百二十八条  株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。
2  株券の発行前にした譲渡は、株券発行会社に対し、その効力を生じない。

(自己株式の処分に関する特則)
第百二十九条  株券発行会社は、自己株式を処分した日以後遅滞なく、当該自己株式を取得した者に対し、株券を交付しなければならない。
2  前項の規定にかかわらず、公開会社でない株券発行会社は、同項の者から請求がある時までは、同項の株券を交付しないことができる。

(株式の譲渡の対抗要件)
第百三十条  株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。
2  株券発行会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社その他の第三者」とあるのは、「株式会社」とする。

(権利の推定等)
第百三十一条  株券の占有者は、当該株券に係る株式についての権利を適法に有するものと推定する。
2  株券の交付を受けた者は、当該株券に係る株式についての権利を取得する。ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。

(株主の請求によらない株主名簿記載事項の記載又は記録)
第百三十二条  株式会社は、次の各号に掲げる場合には、当該各号の株式の株主に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。
一  株式を発行した場合
二  当該株式会社の株式を取得した場合
三  自己株式を処分した場合
2  株式会社は、株式の併合をした場合には、併合した株式について、その株式の株主に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。
3  株式会社は、株式の分割をした場合には、分割した株式について、その株式の株主に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。

(株主の請求による株主名簿記載事項の記載又は記録)
第百三十三条  株式を当該株式を発行した株式会社以外の者から取得した者(当該株式会社を除く。以下この節において「株式取得者」という。)は、当該株式会社に対し、当該株式に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
2  前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と共同してしなければならない。

第百三十四条  前条の規定は、株式取得者が取得した株式が譲渡制限株式である場合には、適用しない。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
一  当該株式取得者が当該譲渡制限株式を取得することについて第百三十六条の承認を受けていること。
二  当該株式取得者が当該譲渡制限株式を取得したことについて第百三十七条第一項の承認を受けていること。
三  当該株式取得者が第百四十条第四項に規定する指定買取人であること。
四  当該株式取得者が相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者であること。

(親会社株式の取得の禁止)
第百三十五条  子会社は、その親会社である株式会社の株式(以下この条において「親会社株式」という。)を取得してはならない。
2  前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一  他の会社(外国会社を含む。)の事業の全部を譲り受ける場合において当該他の会社の有する親会社株式を譲り受ける場合
二  合併後消滅する会社から親会社株式を承継する場合
三  吸収分割により他の会社から親会社株式を承継する場合
四  新設分割により他の会社から親会社株式を承継する場合
五  前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める場合
3  子会社は、相当の時期にその有する親会社株式を処分しなければならない。
     第二款 株式の譲渡に係る承認手続


(株主からの承認の請求)
第百三十六条  譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を他人(当該譲渡制限株式を発行した株式会社を除く。)に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限株式を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。

(株式取得者からの承認の請求)
第百三十七条  譲渡制限株式を取得した株式取得者は、株式会社に対し、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
2  前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と共同してしなければならない。

(譲渡等承認請求の方法)
第百三十八条  次の各号に掲げる請求(以下この款において「譲渡等承認請求」という。)は、当該各号に定める事項を明らかにしてしなければならない。
一  第百三十六条の規定による請求 次に掲げる事項
イ 当該請求をする株主が譲り渡そうとする譲渡制限株式の数(種類株式発行会社にあっては、譲渡制限株式の種類及び種類ごとの数)
ロ イの譲渡制限株式を譲り受ける者の氏名又は名称
ハ 株式会社が第百三十六条の承認をしない旨の決定をする場合において、当該株式会社又は第百四十条第四項に規定する指定買取人がイの譲渡制限株式を買い取ることを請求するときは、その旨
二  前条第一項の規定による請求 次に掲げる事項
イ 当該請求をする株式取得者の取得した譲渡制限株式の数(種類株式発行会社にあっては、譲渡制限株式の種類及び種類ごとの数)
ロ イの株式取得者の氏名又は名称
ハ 株式会社が前条第一項の承認をしない旨の決定をする場合において、当該株式会社又は第百四十条第四項に規定する指定買取人がイの譲渡制限株式を買い取ることを請求するときは、その旨

(譲渡等の承認の決定等)
第百三十九条  株式会社が第百三十六条又は第百三十七条第一項の承認をするか否かの決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
2  株式会社は、前項の決定をしたときは、譲渡等承認請求をした者(以下この款において「譲渡等承認請求者」という。)に対し、当該決定の内容を通知しなければならない。

(株式会社又は指定買取人による買取り)
第百四十条  株式会社は、第百三十八条第一号ハ又は第二号ハの請求を受けた場合において、第百三十六条又は第百三十七条第一項の承認をしない旨の決定をしたときは、当該譲渡等承認請求に係る譲渡制限株式(以下この款において「対象株式」という。)を買い取らなければならない。この場合においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
一  対象株式を買い取る旨
二  株式会社が買い取る対象株式の数(種類株式発行会社にあっては、対象株式の種類及び種類ごとの数)
2  前項各号に掲げる事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
3  譲渡等承認請求者は、前項の株主総会において議決権を行使することができない。ただし、当該譲渡等承認請求者以外の株主の全部が同項の株主総会において議決権を行使することができない場合は、この限りでない。
4  第一項の規定にかかわらず、同項に規定する場合には、株式会社は、対象株式の全部又は一部を買い取る者(以下この款において「指定買取人」という。)を指定することができる。
5  前項の規定による指定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。

(株式会社による買取りの通知)
第百四十一条  株式会社は、前条第一項各号に掲げる事項を決定したときは、譲渡等承認請求者に対し、これらの事項を通知しなければならない。
2  株式会社は、前項の規定による通知をしようとするときは、一株当たり純資産額(一株当たりの純資産額として法務省令で定める方法により算定される額をいう。以下同じ。)に前条第一項第二号の対象株式の数を乗じて得た額をその本店の所在地の供託所に供託し、かつ、当該供託を証する書面を譲渡等承認請求者に交付しなければならない。
3  対象株式が株券発行会社の株式である場合には、前項の書面の交付を受けた譲渡等承認請求者は、当該交付を受けた日から一週間以内に、前条第一項第二号の対象株式に係る株券を当該株券発行会社の本店の所在地の供託所に供託しなければならない。この場合においては、当該譲渡等承認請求者は、当該株券発行会社に対し、遅滞なく、当該供託をした旨を通知しなければならない。
4  前項の譲渡等承認請求者が同項の期間内に同項の規定による供託をしなかったときは、株券発行会社は、前条第一項第二号の対象株式の売買契約を解除することができる。

(指定買取人による買取りの通知)
第百四十二条  指定買取人は、第百四十条第四項の規定による指定を受けたときは、譲渡等承認請求者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
一  指定買取人として指定を受けた旨
二  指定買取人が買い取る対象株式の数(種類株式発行会社にあっては、対象株式の種類及び種類ごとの数)
2  指定買取人は、前項の規定による通知をしようとするときは、一株当たり純資産額に同項第二号の対象株式の数を乗じて得た額を株式会社の本店の所在地の供託所に供託し、かつ、当該供託を証する書面を譲渡等承認請求者に交付しなければならない。
3  対象株式が株券発行会社の株式である場合には、前項の書面の交付を受けた譲渡等承認請求者は、当該交付を受けた日から一週間以内に、第一項第二号の対象株式に係る株券を当該株券発行会社の本店の所在地の供託所に供託しなければならない。この場合においては、当該譲渡等承認請求者は、指定買取人に対し、遅滞なく、当該供託をした旨を通知しなければならない。
4  前項の譲渡等承認請求者が同項の期間内に同項の規定による供託をしなかったときは、指定買取人は、第一項第二号の対象株式の売買契約を解除することができる。

(譲渡等承認請求の撤回)
第百四十三条  第百三十八条第一号ハ又は第二号ハの請求をした譲渡等承認請求者は、第百四十一条第一項の規定による通知を受けた後は、株式会社の承諾を得た場合に限り、その請求を撤回することができる。
2  第百三十八条第一号ハ又は第二号ハの請求をした譲渡等承認請求者は、前条第一項の規定による通知を受けた後は、指定買取人の承諾を得た場合に限り、その請求を撤回することができる。

(売買価格の決定)
第百四十四条  第百四十一条第一項の規定による通知があった場合には、第百四十条第一項第二号の対象株式の売買価格は、株式会社と譲渡等承認請求者との協議によって定める。
2  株式会社又は譲渡等承認請求者は、第百四十一条第一項の規定による通知があった日から二十日以内に、裁判所に対し、売買価格の決定の申立てをすることができる。
3  裁判所は、前項の決定をするには、譲渡等承認請求の時における株式会社の資産状態その他一切の事情を考慮しなければならない。
4  第一項の規定にかかわらず、第二項の期間内に同項の申立てがあったときは、当該申立てにより裁判所が定めた額をもって第百四十条第一項第二号の対象株式の売買価格とする。
5  第一項の規定にかかわらず、第二項の期間内に同項の申立てがないとき(当該期間内に第一項の協議が調った場合を除く。)は、一株当たり純資産額に第百四十条第一項第二号の対象株式の数を乗じて得た額をもって当該対象株式の売買価格とする。
6  第百四十一条第二項の規定による供託をした場合において、第百四十条第一項第二号の対象株式の売買価格が確定したときは、株式会社は、供託した金銭に相当する額を限度として、売買代金の全部又は一部を支払ったものとみなす。
7  前各項の規定は、第百四十二条第一項の規定による通知があった場合について準用する。この場合において、第一項中「第百四十条第一項第二号」とあるのは「第百四十二条第一項第二号」と、「株式会社」とあるのは「指定買取人」と、第二項中「株式会社」とあるのは「指定買取人」と、第四項及び第五項中「第百四十条第一項第二号」とあるのは「第百四十二条第一項第二号」と、前項中「第百四十一条第二項」とあるのは「第百四十二条第二項」と、「第百四十条第一項第二号」とあるのは「同条第一項第二号」と、「株式会社」とあるのは「指定買取人」と読み替えるものとする。

(株式会社が承認をしたとみなされる場合)
第百四十五条  次に掲げる場合には、株式会社は、第百三十六条又は第百三十七条第一項の承認をする旨の決定をしたものとみなす。ただし、株式会社と譲渡等承認請求者との合意により別段の定めをしたときは、この限りでない。
一  株式会社が第百三十六条又は第百三十七条第一項の規定による請求の日から二週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に第百三十九条第二項の規定による通知をしなかった場合
二  株式会社が第百三十九条第二項の規定による通知の日から四十日(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に第百四十一条第一項の規定による通知をしなかった場合(指定買取人が第百三十九条第二項の規定による通知の日から十日(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に第百四十二条第一項の規定による通知をした場合を除く。)
三  前二号に掲げる場合のほか、法務省令で定める場合
     第三款 株式の質入れ


(株式の質入れ)
第百四十六条  株主は、その有する株式に質権を設定することができる。
2  株券発行会社の株式の質入れは、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。

(株式の質入れの対抗要件)
第百四十七条  株式の質入れは、その質権者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。
2  前項の規定にかかわらず、株券発行会社の株式の質権者は、継続して当該株式に係る株券を占有しなければ、その質権をもって株券発行会社その他の第三者に対抗することができない。
3  民法第三百六十四条 の規定は、株式については、適用しない。

(株主名簿の記載等)
第百四十八条  株式に質権を設定した者は、株式会社に対し、次に掲げる事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
一  質権者の氏名又は名称及び住所
二  質権の目的である株式

(株主名簿の記載事項を記載した書面の交付等)
第百四十九条  前条各号に掲げる事項が株主名簿に記載され、又は記録された質権者(以下「登録株式質権者」という。)は、株式会社に対し、当該登録株式質権者についての株主名簿に記載され、若しくは記録された同条各号に掲げる事項を記載した書面の交付又は当該事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
2  前項の書面には、株式会社の代表取締役(委員会設置会社にあっては、代表執行役。次項において同じ。)が署名し、又は記名押印しなければならない。
3  第一項の電磁的記録には、株式会社の代表取締役が法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
4  前三項の規定は、株券発行会社については、適用しない。

(登録株式質権者に対する通知等)
第百五十条  株式会社が登録株式質権者に対してする通知又は催告は、株主名簿に記載し、又は記録した当該登録株式質権者の住所(当該登録株式質権者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
2  前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。

(株式の質入れの効果)
第百五十一条  株式会社が次に掲げる行為をした場合には、株式を目的とする質権は、当該行為によって当該株式の株主が受けることのできる金銭等(金銭その他の財産をいう。以下同じ。)について存在する。
一  第百六十七条第一項の規定による取得請求権付株式の取得
二  第百七十条第一項の規定による取得条項付株式の取得
三  第百七十三条第一項の規定による第百七十一条第一項に規定する全部取得条項付種類株式の取得
四  株式の併合
五  株式の分割
六  第百八十五条に規定する株式無償割当て
七  第二百七十七条に規定する新株予約権無償割当て
八  剰余金の配当
九  残余財産の分配
十  組織変更
十一  合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
十二  株式交換
十三  株式移転
十四  株式の取得(第一号から第三号までに掲げる行為を除く。)

第百五十二条  株式会社(株券発行会社を除く。以下この条において同じ。)は、前条第一号から第三号までに掲げる行為をした場合(これらの行為に際して当該株式会社が株式を交付する場合に限る。)又は同条第六号に掲げる行為をした場合において、同条の質権の質権者が登録株式質権者(第二百十八条第五項の規定による請求により第百四十八条各号に掲げる事項が株主名簿に記載され、又は記録されたものを除く。以下この款において同じ。)であるときは、前条の株主が受けることができる株式について、その質権者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。
2  株式会社は、株式の併合をした場合において、前条の質権の質権者が登録株式質権者であるときは、併合した株式について、その質権者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。
3  株式会社は、株式の分割をした場合において、前条の質権の質権者が登録株式質権者であるときは、分割した株式について、その質権者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。

第百五十三条  株券発行会社は、前条第一項に規定する場合には、第百五十一条の株主が受ける株式に係る株券を登録株式質権者に引き渡さなければならない。
2  株券発行会社は、前条第二項に規定する場合には、併合した株式に係る株券を登録株式質権者に引き渡さなければならない。
3  株券発行会社は、前条第三項に規定する場合には、分割した株式について新たに発行する株券を登録株式質権者に引き渡さなければならない。

第百五十四条  登録株式質権者は、第百五十一条の金銭等(金銭に限る。)を受領し、他の債権者に先立って自己の債権の弁済に充てることができる。
2  前項の債権の弁済期が到来していないときは、登録株式質権者は、株式会社に同項に規定する金銭等に相当する金額を供託させることができる。この場合において、質権は、その供託金について存在する。
     第四款 信託財産に属する株式についての対抗要件等


第百五十四条の二  株式については、当該株式が信託財産に属する旨を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、当該株式が信託財産に属することを株式会社その他の第三者に対抗することができない。
2  第百二十一条第一号の株主は、その有する株式が信託財産に属するときは、株式会社に対し、その旨を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
3  株主名簿に前項の規定による記載又は記録がされた場合における第百二十二条第一項及び第百三十二条の規定の適用については、第百二十二条第一項中「記録された株主名簿記載事項」とあるのは「記録された株主名簿記載事項(当該株主の有する株式が信託財産に属する旨を含む。)」と、第百三十二条中「株主名簿記載事項」とあるのは「株主名簿記載事項(当該株主の有する株式が信託財産に属する旨を含む。)」とする。
4  前三項の規定は、株券発行会社については、適用しない。
    第四節 株式会社による自己の株式の取得

     第一款 総則


第百五十五条  株式会社は、次に掲げる場合に限り、当該株式会社の株式を取得することができる。
一  第百七条第二項第三号イの事由が生じた場合
二  第百三十八条第一号ハ又は第二号ハの請求があった場合
三  次条第一項の決議があった場合
四  第百六十六条第一項の規定による請求があった場合
五  第百七十一条第一項の決議があった場合
六  第百七十六条第一項の規定による請求をした場合
七  第百九十二条第一項の規定による請求があった場合
八  第百九十七条第三項各号に掲げる事項を定めた場合
九  第二百三十四条第四項各号(第二百三十五条第二項において準用する場合を含む。)に掲げる事項を定めた場合
十  他の会社(外国会社を含む。)の事業の全部を譲り受ける場合において当該他の会社が有する当該株式会社の株式を取得する場合
十一  合併後消滅する会社から当該株式会社の株式を承継する場合
十二  吸収分割をする会社から当該株式会社の株式を承継する場合
十三  前各号に掲げる場合のほか、法務省令で定める場合
     第二款 株主との合意による取得

      第一目 総則


(株式の取得に関する事項の決定)
第百五十六条  株式会社が株主との合意により当該株式会社の株式を有償で取得するには、あらかじめ、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。ただし、第三号の期間は、一年を超えることができない。
一  取得する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
二  株式を取得するのと引換えに交付する金銭等(当該株式会社の株式等を除く。以下この款において同じ。)の内容及びその総額
三  株式を取得することができる期間
2  前項の規定は、前条第一号及び第二号並びに第四号から第十三号までに掲げる場合には、適用しない。

(取得価格等の決定)
第百五十七条  株式会社は、前条第一項の規定による決定に従い株式を取得しようとするときは、その都度、次に掲げる事項を定めなければならない。
一  取得する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び数)
二  株式一株を取得するのと引換えに交付する金銭等の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
三  株式を取得するのと引換えに交付する金銭等の総額
四  株式の譲渡しの申込みの期日
2  取締役会設置会社においては、前項各号に掲げる事項の決定は、取締役会の決議によらなければならない。
3  第一項の株式の取得の条件は、同項の規定による決定ごとに、均等に定めなければならない。

(株主に対する通知等)
第百五十八条  株式会社は、株主(種類株式発行会社にあっては、取得する株式の種類の種類株主)に対し、前条第一項各号に掲げる事項を通知しなければならない。
2  公開会社においては、前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。

(譲渡しの申込み)
第百五十九条  前条第一項の規定による通知を受けた株主は、その有する株式の譲渡しの申込みをしようとするときは、株式会社に対し、その申込みに係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び数)を明らかにしなければならない。
2  株式会社は、第百五十七条第一項第四号の期日において、前項の株主が申込みをした株式の譲受けを承諾したものとみなす。ただし、同項の株主が申込みをした株式の総数(以下この項において「申込総数」という。)が同条第一項第一号の数(以下この項において「取得総数」という。)を超えるときは、取得総数を申込総数で除して得た数に前項の株主が申込みをした株式の数を乗じて得た数(その数に一に満たない端数がある場合にあっては、これを切り捨てるものとする。)の株式の譲受けを承諾したものとみなす。
      第二目 特定の株主からの取得


(特定の株主からの取得)
第百六十条  株式会社は、第百五十六条第一項各号に掲げる事項の決定に併せて、同項の株主総会の決議によって、第百五十八条第一項の規定による通知を特定の株主に対して行う旨を定めることができる。
2  株式会社は、前項の規定による決定をしようとするときは、法務省令で定める時までに、株主(種類株式発行会社にあっては、取得する株式の種類の種類株主)に対し、次項の規定による請求をすることができる旨を通知しなければならない。
3  前項の株主は、第一項の特定の株主に自己をも加えたものを同項の株主総会の議案とすることを、法務省令で定める時までに、請求することができる。
4  第一項の特定の株主は、第百五十六条第一項の株主総会において議決権を行使することができない。ただし、第一項の特定の株主以外の株主の全部が当該株主総会において議決権を行使することができない場合は、この限りでない。
5  第一項の特定の株主を定めた場合における第百五十八条第一項の規定の適用については、同項中「株主(種類株式発行会社にあっては、取得する株式の種類の種類株主)」とあるのは、「第百六十条第一項の特定の株主」とする。

(市場価格のある株式の取得の特則)
第百六十一条  前条第二項及び第三項の規定は、取得する株式が市場価格のある株式である場合において、当該株式一株を取得するのと引換えに交付する金銭等の額が当該株式一株の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるものを超えないときは、適用しない。

(相続人等からの取得の特則)
第百六十二条  第百六十条第二項及び第三項の規定は、株式会社が株主の相続人その他の一般承継人からその相続その他の一般承継により取得した当該株式会社の株式を取得する場合には、適用しない。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
一  株式会社が公開会社である場合
二  当該相続人その他の一般承継人が株主総会又は種類株主総会において当該株式について議決権を行使した場合

(子会社からの株式の取得)
第百六十三条  株式会社がその子会社の有する当該株式会社の株式を取得する場合における第百五十六条第一項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)」とする。この場合においては、第百五十七条から第百六十条までの規定は、適用しない。

(特定の株主からの取得に関する定款の定め)
第百六十四条  株式会社は、株式(種類株式発行会社にあっては、ある種類の株式。次項において同じ。)の取得について第百六十条第一項の規定による決定をするときは同条第二項及び第三項の規定を適用しない旨を定款で定めることができる。
2  株式の発行後に定款を変更して当該株式について前項の規定による定款の定めを設け、又は当該定めについての定款の変更(同項の定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとするときは、当該株式を有する株主全員の同意を得なければならない。
      第三目 市場取引等による株式の取得


第百六十五条  第百五十七条から第百六十条までの規定は、株式会社が市場において行う取引又は金融商品取引法第二十七条の二第六項 に規定する公開買付けの方法(以下この条において「市場取引等」という。)により当該株式会社の株式を取得する場合には、適用しない。
2  取締役会設置会社は、市場取引等により当該株式会社の株式を取得することを取締役会の決議によって定めることができる旨を定款で定めることができる。
3  前項の規定による定款の定めを設けた場合における第百五十六条第一項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「株主総会(第百六十五条第一項に規定する場合にあっては、株主総会又は取締役会)」とする。

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会社法(設立)


 第一章 設立
    第一節 総則

第二十五条  株式会社は、次に掲げるいずれかの方法により設立することができる。
一  次節から第八節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式(株式会社の設立に際して発行する株式をいう。以下同じ。)の全部を引き受ける方法
二  次節、第三節、第三十九条及び第六節から第九節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする方法
2  各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない。
    第二節 定款の作成


(定款の作成)
第二十六条  株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
2  前項の定款は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)をもって作成することができる。この場合において、当該電磁的記録に記録された情報については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。

(定款の記載又は記録事項)
第二十七条  株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一  目的
二  商号
三  本店の所在地
四  設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五  発起人の氏名又は名称及び住所

第二十八条  株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は、第二十六条第一項の定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない。
一  金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、設立時発行株式の種類及び種類ごとの数。第三十二条第一項第一号において同じ。)
二  株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称
三  株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称
四  株式会社の負担する設立に関する費用(定款の認証の手数料その他株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるものを除く。)

第二十九条  第二十七条各号及び前条各号に掲げる事項のほか、株式会社の定款には、この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項及びその他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、又は記録することができる。

(定款の認証)
第三十条  第二十六条第一項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。
2  前項の公証人の認証を受けた定款は、株式会社の成立前は、第三十三条第七項若しくは第九項又は第三十七条第一項若しくは第二項の規定による場合を除き、これを変更することができない。

(定款の備置き及び閲覧等)
第三十一条  発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)は、定款を発起人が定めた場所(株式会社の成立後にあっては、その本店及び支店)に備え置かなければならない。
2  発起人(株式会社の成立後にあっては、その株主及び債権者)は、発起人が定めた時間(株式会社の成立後にあっては、その営業時間)内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)の定めた費用を支払わなければならない。
一  定款が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧の請求
二  前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求
三  定款が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
四  前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
3  株式会社の成立後において、当該株式会社の親会社社員(親会社の株主その他の社員をいう。以下同じ。)がその権利を行使するため必要があるときは、当該親会社社員は、裁判所の許可を得て、当該株式会社の定款について前項各号に掲げる請求をすることができる。ただし、同項第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
4  定款が電磁的記録をもって作成されている場合であって、支店における第二項第三号及び第四号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっている株式会社についての第一項の規定の適用については、同項中「本店及び支店」とあるのは、「本店」とする。
    第三節 出資


(設立時発行株式に関する事項の決定)
第三十二条  発起人は、株式会社の設立に際して次に掲げる事項(定款に定めがある事項を除く。)を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
一  発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数
二  前号の設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額
三  成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項
2  設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、前項第一号の設立時発行株式が第百八条第三項前段の規定による定款の定めがあるものであるときは、発起人は、その全員の同意を得て、当該設立時発行株式の内容を定めなければならない。

(定款の記載又は記録事項に関する検査役の選任)
第三十三条  発起人は、定款に第二十八条各号に掲げる事項についての記載又は記録があるときは、第三十条第一項の公証人の認証の後遅滞なく、当該事項を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない。
2  前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
3  裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、成立後の株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。
4  第二項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
5  裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第二項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。
6  第二項の検査役は、第四項の報告をしたときは、発起人に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。
7  裁判所は、第四項の報告を受けた場合において、第二十八条各号に掲げる事項(第二項の検査役の調査を経ていないものを除く。)を不当と認めたときは、これを変更する決定をしなければならない。
8  発起人は、前項の決定により第二十八条各号に掲げる事項の全部又は一部が変更された場合には、当該決定の確定後一週間以内に限り、その設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことができる。
9  前項に規定する場合には、発起人は、その全員の同意によって、第七項の決定の確定後一週間以内に限り、当該決定により変更された事項についての定めを廃止する定款の変更をすることができる。
10  前各項の規定は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める事項については、適用しない。
一  第二十八条第一号及び第二号の財産(以下この章において「現物出資財産等」という。)について定款に記載され、又は記録された価額の総額が五百万円を超えない場合 同条第一号及び第二号に掲げる事項
二  現物出資財産等のうち、市場価格のある有価証券(金融商品取引法 (昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項 に規定する有価証券をいい、同条第二項 の規定により有価証券とみなされる権利を含む。以下同じ。)について定款に記載され、又は記録された価額が当該有価証券の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるものを超えない場合 当該有価証券についての第二十八条第一号又は第二号に掲げる事項
三  現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士(外国公認会計士(公認会計士法 (昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項 に規定する外国公認会計士をいう。)を含む。以下同じ。)、監査法人、税理士又は税理士法人の証明(現物出資財産等が不動産である場合にあっては、当該証明及び不動産鑑定士の鑑定評価。以下この号において同じ。)を受けた場合 第二十八条第一号又は第二号に掲げる事項(当該証明を受けた現物出資財産等に係るものに限る。)
11  次に掲げる者は、前項第三号に規定する証明をすることができない。
一  発起人
二  第二十八条第二号の財産の譲渡人
三  設立時取締役(第三十八条第一項に規定する設立時取締役をいう。)又は設立時監査役(同条第二項第二号に規定する設立時監査役をいう。)
四  業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者
五  弁護士法人、監査法人又は税理士法人であって、その社員の半数以上が第一号から第三号までに掲げる者のいずれかに該当するもの

(出資の履行)
第三十四条  発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることを妨げない。
2  前項の規定による払込みは、発起人が定めた銀行等(銀行(銀行法 (昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項 に規定する銀行をいう。第七百三条第一号において同じ。)、信託会社(信託業法 (平成十六年法律第百五十四号)第二条第二項 に規定する信託会社をいう。以下同じ。)その他これに準ずるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の払込みの取扱いの場所においてしなければならない。

(設立時発行株式の株主となる権利の譲渡)
第三十五条  前条第一項の規定による払込み又は給付(以下この章において「出資の履行」という。)をすることにより設立時発行株式の株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。

(設立時発行株式の株主となる権利の喪失)
第三十六条  発起人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、当該出資の履行をしていない発起人に対して、期日を定め、その期日までに当該出資の履行をしなければならない旨を通知しなければならない。
2  前項の規定による通知は、同項に規定する期日の二週間前までにしなければならない。
3  第一項の規定による通知を受けた発起人は、同項に規定する期日までに出資の履行をしないときは、当該出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利を失う。

(発行可能株式総数の定め等)
第三十七条  発起人は、株式会社が発行することができる株式の総数(以下「発行可能株式総数」という。)を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。
2  発起人は、発行可能株式総数を定款で定めている場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、発行可能株式総数についての定款の変更をすることができる。
3  設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の四分の一を下ることができない。ただし、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。
    第四節 設立時役員等の選任及び解任


(設立時役員等の選任)
第三十八条  発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立時取締役(株式会社の設立に際して取締役となる者をいう。以下同じ。)を選任しなければならない。
2  次の各号に掲げる場合には、発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、当該各号に定める者を選任しなければならない。
一  設立しようとする株式会社が会計参与設置会社である場合 設立時会計参与(株式会社の設立に際して会計参与となる者をいう。以下同じ。)
二  設立しようとする株式会社が監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)である場合 設立時監査役(株式会社の設立に際して監査役となる者をいう。以下同じ。)
三  設立しようとする株式会社が会計監査人設置会社である場合 設立時会計監査人(株式会社の設立に際して会計監査人となる者をいう。以下同じ。)
3  定款で設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人として定められた者は、出資の履行が完了した時に、それぞれ設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人に選任されたものとみなす。

第三十九条  設立しようとする株式会社が取締役会設置会社である場合には、設立時取締役は、三人以上でなければならない。
2  設立しようとする株式会社が監査役会設置会社である場合には、設立時監査役は、三人以上でなければならない。
3  第三百三十一条第一項(第三百三十五条第一項において準用する場合を含む。)、第三百三十三条第一項若しくは第三項又は第三百三十七条第一項若しくは第三項の規定により成立後の株式会社の取締役、会計参与、監査役又は会計監査人となることができない者は、それぞれ設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人(以下この節において「設立時役員等」という。)となることができない。

(設立時役員等の選任の方法)
第四十条  設立時役員等の選任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する。
2  前項の場合には、発起人は、出資の履行をした設立時発行株式一株につき一個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の設立時発行株式につき一個の議決権を有する。
3  前項の規定にかかわらず、設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、取締役の全部又は一部の選任について議決権を行使することができないものと定められた種類の設立時発行株式を発行するときは、当該種類の設立時発行株式については、発起人は、当該取締役となる設立時取締役の選任についての議決権を行使することができない。
4  前項の規定は、設立時会計参与、設立時監査役及び設立時会計監査人の選任について準用する。

(設立時役員等の選任の方法の特則)
第四十一条  前条第一項の規定にかかわらず、株式会社の設立に際して第百八条第一項第九号に掲げる事項(取締役に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行する場合には、設立時取締役の選任は、同条第二項第九号に定める事項についての定款の定めの例に従い、当該種類の設立時発行株式を引き受けた発起人の議決権(当該種類の設立時発行株式についての議決権に限る。)の過半数をもって決定する。
2  前項の場合には、発起人は、出資の履行をした種類の設立時発行株式一株につき一個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の種類の設立時発行株式につき一個の議決権を有する。
3  前二項の規定は、株式会社の設立に際して第百八条第一項第九号に掲げる事項(監査役に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行する場合について準用する。

(設立時役員等の解任)
第四十二条  発起人は、株式会社の成立の時までの間、その選任した設立時役員等(第三十八条第三項の規定により設立時役員等に選任されたものとみなされたものを含む。)を解任することができる。

(設立時役員等の解任の方法)
第四十三条  設立時役員等の解任は、発起人の議決権の過半数(設立時監査役を解任する場合にあっては、三分の二以上に当たる多数)をもって決定する。
2  前項の場合には、発起人は、出資の履行をした設立時発行株式一株につき一個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の設立時発行株式につき一個の議決権を有する。
3  前項の規定にかかわらず、設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、取締役の全部又は一部の解任について議決権を行使することができないものと定められた種類の設立時発行株式を発行するときは、当該種類の設立時発行株式については、発起人は、当該取締役となる設立時取締役の解任についての議決権を行使することができない。
4  前項の規定は、設立時会計参与、設立時監査役及び設立時会計監査人の解任について準用する。

(設立時取締役等の解任の方法の特則)
第四十四条  前条第一項の規定にかかわらず、第四十一条第一項の規定により選任された設立時取締役の解任は、その選任に係る発起人の議決権の過半数をもって決定する。
2  前項の規定にかかわらず、第四十一条第一項の規定により又は種類創立総会(第八十四条に規定する種類創立総会をいう。)若しくは種類株主総会において選任された取締役を株主総会の決議によって解任することができる旨の定款の定めがある場合には、同項の規定により選任された設立時取締役の解任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する。
3  前二項の場合には、発起人は、出資の履行をした種類の設立時発行株式一株につき一個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の種類の設立時発行株式につき一個の議決権を有する。
4  前項の規定にかかわらず、第二項の規定により設立時取締役を解任する場合において、取締役の全部又は一部の解任について議決権を行使することができないものと定められた種類の設立時発行株式を発行するときは、当該種類の設立時発行株式については、発起人は、当該取締役となる設立時取締役の解任についての議決権を行使することができない。
5  前各項の規定は、第四十一条第三項において準用する同条第一項の規定により選任された設立時監査役の解任について準用する。この場合において、第一項及び第二項中「過半数」とあるのは、「三分の二以上に当たる多数」と読み替えるものとする。

(設立時役員等の選任又は解任の効力についての特則)
第四十五条  株式会社の設立に際して第百八条第一項第八号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行する場合において、当該種類の株式の内容として次の各号に掲げる事項について種類株主総会の決議があることを必要とする旨の定款の定めがあるときは、当該各号に定める事項は、定款の定めに従い、第四十条第一項又は第四十三条第一項の規定による決定のほか、当該種類の設立時発行株式を引き受けた発起人の議決権(当該種類の設立時発行株式についての議決権に限る。)の過半数をもってする決定がなければ、その効力を生じない。
一  取締役の全部又は一部の選任又は解任 当該取締役となる設立時取締役の選任又は解任
二  会計参与の全部又は一部の選任又は解任 当該会計参与となる設立時会計参与の選任又は解任
三  監査役の全部又は一部の選任又は解任 当該監査役となる設立時監査役の選任又は解任
四  会計監査人の全部又は一部の選任又は解任 当該会計監査人となる設立時会計監査人の選任又は解任
2  前項の場合には、発起人は、出資の履行をした種類の設立時発行株式一株につき一個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の種類の設立時発行株式につき一個の議決権を有する。
    第五節 設立時取締役等による調査


第四十六条  設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査役設置会社である場合にあっては、設立時取締役及び設立時監査役。以下この条において同じ。)は、その選任後遅滞なく、次に掲げる事項を調査しなければならない。
一  第三十三条第十項第一号又は第二号に掲げる場合における現物出資財産等(同号に掲げる場合にあっては、同号の有価証券に限る。)について定款に記載され、又は記録された価額が相当であること。
二  第三十三条第十項第三号に規定する証明が相当であること。
三  出資の履行が完了していること。
四  前三号に掲げる事項のほか、株式会社の設立の手続が法令又は定款に違反していないこと。
2  設立時取締役は、前項の規定による調査により、同項各号に掲げる事項について法令若しくは定款に違反し、又は不当な事項があると認めるときは、発起人にその旨を通知しなければならない。
3  設立しようとする株式会社が委員会設置会社である場合には、設立時取締役は、第一項の規定による調査を終了したときはその旨を、前項の規定による通知をしたときはその旨及びその内容を、設立時代表執行役(第四十八条第一項第三号に規定する設立時代表執行役をいう。)に通知しなければならない。
    第六節 設立時代表取締役等の選定等


(設立時代表取締役の選定等)
第四十七条  設立時取締役は、設立しようとする株式会社が取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)である場合には、設立時取締役の中から株式会社の設立に際して代表取締役(株式会社を代表する取締役をいう。以下同じ。)となる者(以下「設立時代表取締役」という。)を選定しなければならない。
2  設立時取締役は、株式会社の成立の時までの間、設立時代表取締役を解職することができる。
3  前二項の規定による設立時代表取締役の選定及び解職は、設立時取締役の過半数をもって決定する。

(設立時委員の選定等)
第四十八条  設立しようとする株式会社が委員会設置会社である場合には、設立時取締役は、次に掲げる措置をとらなければならない。
一  設立時取締役の中から次に掲げる者(次項において「設立時委員」という。)を選定すること。
イ 株式会社の設立に際して指名委員会の委員となる者
ロ 株式会社の設立に際して監査委員会の委員となる者
ハ 株式会社の設立に際して報酬委員会の委員となる者
二  株式会社の設立に際して執行役となる者(以下「設立時執行役」という。)を選任すること。
三  設立時執行役の中から株式会社の設立に際して代表執行役となる者(以下「設立時代表執行役」という。)を選定すること。ただし、設立時執行役が一人であるときは、その者が設立時代表執行役に選定されたものとする。
2  設立時取締役は、株式会社の成立の時までの間、設立時委員若しくは設立時代表執行役を解職し、又は設立時執行役を解任することができる。
3  前二項の規定による措置は、設立時取締役の過半数をもって決定する。
    第七節 株式会社の成立


(株式会社の成立)
第四十九条  株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。

(株式の引受人の権利)
第五十条  発起人は、株式会社の成立の時に、出資の履行をした設立時発行株式の株主となる。
2  前項の規定により株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。

(引受けの無効又は取消しの制限)
第五十一条  民法 (明治二十九年法律第八十九号)第九十三条 ただし書及び第九十四条第一項 の規定は、設立時発行株式の引受けに係る意思表示については、適用しない。
2  発起人は、株式会社の成立後は、錯誤を理由として設立時発行株式の引受けの無効を主張し、又は詐欺若しくは強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができない。
    第八節 発起人等の責任


(出資された財産等の価額が不足する場合の責任)
第五十二条  株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が当該現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額(定款の変更があった場合にあっては、変更後の価額)に著しく不足するときは、発起人及び設立時取締役は、当該株式会社に対し、連帯して、当該不足額を支払う義務を負う。
2  前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、発起人(第二十八条第一号の財産を給付した者又は同条第二号の財産の譲渡人を除く。第二号において同じ。)及び設立時取締役は、現物出資財産等について同項の義務を負わない。
一  第二十八条第一号又は第二号に掲げる事項について第三十三条第二項の検査役の調査を経た場合
二  当該発起人又は設立時取締役がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合
3  第一項に規定する場合には、第三十三条第十項第三号に規定する証明をした者(以下この項において「証明者」という。)は、第一項の義務を負う者と連帯して、同項の不足額を支払う義務を負う。ただし、当該証明者が当該証明をするについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。

(発起人等の損害賠償責任)
第五十三条  発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、株式会社の設立についてその任務を怠ったときは、当該株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
2  発起人、設立時取締役又は設立時監査役がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

(発起人等の連帯責任)
第五十四条  発起人、設立時取締役又は設立時監査役が株式会社又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の発起人、設立時取締役又は設立時監査役も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。

(責任の免除)
第五十五条  第五十二条第一項の規定により発起人又は設立時取締役の負う義務及び第五十三条第一項の規定により発起人、設立時取締役又は設立時監査役の負う責任は、総株主の同意がなければ、免除することができない。

(株式会社不成立の場合の責任)
第五十六条  株式会社が成立しなかったときは、発起人は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為についてその責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担する。
    第九節 募集による設立

     第一款 設立時発行株式を引き受ける者の募集


(設立時発行株式を引き受ける者の募集)
第五十七条  発起人は、この款の定めるところにより、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする旨を定めることができる。
2  発起人は、前項の募集をする旨を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。

(設立時募集株式に関する事項の決定)
第五十八条  発起人は、前条第一項の募集をしようとするときは、その都度、設立時募集株式(同項の募集に応じて設立時発行株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる設立時発行株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
一  設立時募集株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、その種類及び種類ごとの数。以下この款において同じ。)
二  設立時募集株式の払込金額(設立時募集株式一株と引換えに払い込む金銭の額をいう。以下この款において同じ。)
三  設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日又はその期間
四  一定の日までに設立の登記がされない場合において、設立時募集株式の引受けの取消しをすることができることとするときは、その旨及びその一定の日
2  発起人は、前項各号に掲げる事項を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
3  設立時募集株式の払込金額その他の前条第一項の募集の条件は、当該募集(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、種類及び当該募集)ごとに、均等に定めなければならない。

(設立時募集株式の申込み)
第五十九条  発起人は、第五十七条第一項の募集に応じて設立時募集株式の引受けの申込みをしようとする者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
一  定款の認証の年月日及びその認証をした公証人の氏名
二  第二十七条各号、第二十八条各号、第三十二条第一項各号及び前条第一項各号に掲げる事項
三  発起人が出資した財産の価額
四  第六十三条第一項の規定による払込みの取扱いの場所
五  前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
2  発起人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、第三十六条第一項に規定する期日後でなければ、前項の規定による通知をすることができない。
3  第五十七条第一項の募集に応じて設立時募集株式の引受けの申込みをする者は、次に掲げる事項を記載した書面を発起人に交付しなければならない。
一  申込みをする者の氏名又は名称及び住所
二  引き受けようとする設立時募集株式の数
4  前項の申込みをする者は、同項の書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、発起人の承諾を得て、同項の書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該申込みをした者は、同項の書面を交付したものとみなす。
5  発起人は、第一項各号に掲げる事項について変更があったときは、直ちに、その旨及び当該変更があった事項を第三項の申込みをした者(以下この款において「申込者」という。)に通知しなければならない。
6  発起人が申込者に対してする通知又は催告は、第三項第一号の住所(当該申込者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を発起人に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
7  前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。

(設立時募集株式の割当て)
第六十条  発起人は、申込者の中から設立時募集株式の割当てを受ける者を定め、かつ、その者に割り当てる設立時募集株式の数を定めなければならない。この場合において、発起人は、当該申込者に割り当てる設立時募集株式の数を、前条第三項第二号の数よりも減少することができる。
2  発起人は、第五十八条第一項第三号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の前日までに、申込者に対し、当該申込者に割り当てる設立時募集株式の数を通知しなければならない。

(設立時募集株式の申込み及び割当てに関する特則)
第六十一条  前二条の規定は、設立時募集株式を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合には、適用しない。

(設立時募集株式の引受け)
第六十二条  次の各号に掲げる者は、当該各号に定める設立時募集株式の数について設立時募集株式の引受人となる。
一  申込者 発起人の割り当てた設立時募集株式の数
二  前条の契約により設立時募集株式の総数を引き受けた者 その者が引き受けた設立時募集株式の数

(設立時募集株式の払込金額の払込み)
第六十三条  設立時募集株式の引受人は、第五十八条第一項第三号の期日又は同号の期間内に、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの設立時募集株式の払込金額の全額の払込みを行わなければならない。
2  前項の規定による払込みをすることにより設立時発行株式の株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。
3  設立時募集株式の引受人は、第一項の規定による払込みをしないときは、当該払込みをすることにより設立時募集株式の株主となる権利を失う。

(払込金の保管証明)
第六十四条  第五十七条第一項の募集をした場合には、発起人は、第三十四条第一項及び前条第一項の規定による払込みの取扱いをした銀行等に対し、これらの規定により払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができる。
2  前項の証明書を交付した銀行等は、当該証明書の記載が事実と異なること又は第三十四条第一項若しくは前条第一項の規定により払い込まれた金銭の返還に関する制限があることをもって成立後の株式会社に対抗することができない。
     第二款 創立総会等


(創立総会の招集)
第六十五条  第五十七条第一項の募集をする場合には、発起人は、第五十八条第一項第三号の期日又は同号の期間の末日のうち最も遅い日以後、遅滞なく、設立時株主(第五十条第一項又は第百二条第二項の規定により株式会社の株主となる者をいう。以下同じ。)の総会(以下「創立総会」という。)を招集しなければならない。
2  発起人は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、いつでも、創立総会を招集することができる。

(創立総会の権限)
第六十六条  創立総会は、この節に規定する事項及び株式会社の設立の廃止、創立総会の終結その他株式会社の設立に関する事項に限り、決議をすることができる。

(創立総会の招集の決定)
第六十七条  発起人は、創立総会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。
一  創立総会の日時及び場所
二  創立総会の目的である事項
三  創立総会に出席しない設立時株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
四  創立総会に出席しない設立時株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
五  前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
2  発起人は、設立時株主(創立総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない設立時株主を除く。次条から第七十一条までにおいて同じ。)の数が千人以上である場合には、前項第三号に掲げる事項を定めなければならない。

(創立総会の招集の通知)
第六十八条  創立総会を招集するには、発起人は、創立総会の日の二週間(前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めたときを除き、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合にあっては、一週間(当該設立しようとする株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前までに、設立時株主に対してその通知を発しなければならない。
2  次に掲げる場合には、前項の通知は、書面でしなければならない。
一  前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めた場合
二  設立しようとする株式会社が取締役会設置会社である場合
3  発起人は、前項の書面による通知の発出に代えて、政令で定めるところにより、設立時株主の承諾を得て、電磁的方法により通知を発することができる。この場合において、当該発起人は、同項の書面による通知を発したものとみなす。
4  前二項の通知には、前条第一項各号に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
5  発起人が設立時株主に対してする通知又は催告は、第二十七条第五号又は第五十九条第三項第一号の住所(当該設立時株主が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を発起人に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
6  前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
7  前二項の規定は、第一項の通知に際して設立時株主に書面を交付し、又は当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供する場合について準用する。この場合において、前項中「到達したもの」とあるのは、「当該書面の交付又は当該事項の電磁的方法による提供があったもの」と読み替えるものとする。

(招集手続の省略)
第六十九条  前条の規定にかかわらず、創立総会は、設立時株主の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。ただし、第六十七条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めた場合は、この限りでない。

(創立総会参考書類及び議決権行使書面の交付等)
第七十条  発起人は、第六十七条第一項第三号に掲げる事項を定めた場合には、第六十八条第一項の通知に際して、法務省令で定めるところにより、設立時株主に対し、議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類(以下この款において「創立総会参考書類」という。)及び設立時株主が議決権を行使するための書面(以下この款において「議決権行使書面」という。)を交付しなければならない。
2  発起人は、第六十八条第三項の承諾をした設立時株主に対し同項の電磁的方法による通知を発するときは、前項の規定による創立総会参考書類及び議決権行使書面の交付に代えて、これらの書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。ただし、設立時株主の請求があったときは、これらの書類を当該設立時株主に交付しなければならない。

第七十一条  発起人は、第六十七条第一項第四号に掲げる事項を定めた場合には、第六十八条第一項の通知に際して、法務省令で定めるところにより、設立時株主に対し、創立総会参考書類を交付しなければならない。
2  発起人は、第六十八条第三項の承諾をした設立時株主に対し同項の電磁的方法による通知を発するときは、前項の規定による創立総会参考書類の交付に代えて、当該創立総会参考書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。ただし、設立時株主の請求があったときは、創立総会参考書類を当該設立時株主に交付しなければならない。
3  発起人は、第一項に規定する場合には、第六十八条第三項の承諾をした設立時株主に対する同項の電磁的方法による通知に際して、法務省令で定めるところにより、設立時株主に対し、議決権行使書面に記載すべき事項を当該電磁的方法により提供しなければならない。
4  発起人は、第一項に規定する場合において、第六十八条第三項の承諾をしていない設立時株主から創立総会の日の一週間前までに議決権行使書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供の請求があったときは、法務省令で定めるところにより、直ちに、当該設立時株主に対し、当該事項を電磁的方法により提供しなければならない。

(議決権の数)
第七十二条  設立時株主(成立後の株式会社がその総株主の議決権の四分の一以上を有することその他の事由を通じて成立後の株式会社がその経営を実質的に支配することが可能となる関係にあるものとして法務省令で定める設立時株主を除く。)は、創立総会において、その引き受けた設立時発行株式一株につき一個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の設立時発行株式につき一個の議決権を有する。
2  設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、株主総会において議決権を行使することができる事項について制限がある種類の設立時発行株式を発行するときは、創立総会において、設立時株主は、株主総会において議決権を行使することができる事項に相当する事項に限り、当該設立時発行株式について議決権を行使することができる。
3  前項の規定にかかわらず、株式会社の設立の廃止については、設立時株主は、その引き受けた設立時発行株式について議決権を行使することができる。

(創立総会の決議)
第七十三条  創立総会の決議は、当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した当該設立時株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行う。
2  前項の規定にかかわらず、その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける定款の変更を行う場合(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合を除く。)には、当該定款の変更についての創立総会の決議は、当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の半数以上であって、当該設立時株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行わなければならない。
3  定款を変更してその発行する全部の株式の内容として第百七条第一項第三号に掲げる事項についての定款の定めを設け、又は当該事項についての定款の変更(当該事項についての定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとする場合(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合を除く。)には、設立時株主全員の同意を得なければならない。
4  創立総会は、第六十七条第一項第二号に掲げる事項以外の事項については、決議をすることができない。ただし、定款の変更又は株式会社の設立の廃止については、この限りでない。

(議決権の代理行使)
第七十四条  設立時株主は、代理人によってその議決権を行使することができる。この場合においては、当該設立時株主又は代理人は、代理権を証明する書面を発起人に提出しなければならない。
2  前項の代理権の授与は、創立総会ごとにしなければならない。
3  第一項の設立時株主又は代理人は、代理権を証明する書面の提出に代えて、政令で定めるところにより、発起人の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該設立時株主又は代理人は、当該書面を提出したものとみなす。
4  設立時株主が第六十八条第三項の承諾をした者である場合には、発起人は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。
5  発起人は、創立総会に出席することができる代理人の数を制限することができる。
6  発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社。次条第三項及び第七十六条第四項において同じ。)は、創立総会の日から三箇月間、代理権を証明する書面及び第三項の電磁的方法により提供された事項が記録された電磁的記録を発起人が定めた場所(株式会社の成立後にあっては、その本店。次条第三項及び第七十六条第四項において同じ。)に備え置かなければならない。
7  設立時株主(株式会社の成立後にあっては、その株主。次条第四項及び第七十六条第五項において同じ。)は、発起人が定めた時間(株式会社の成立後にあっては、その営業時間。次条第四項及び第七十六条第五項において同じ。)内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一  代理権を証明する書面の閲覧又は謄写の請求
二  前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

(書面による議決権の行使)
第七十五条  書面による議決権の行使は、議決権行使書面に必要な事項を記載し、法務省令で定める時までに当該議決権行使書面を発起人に提出して行う。
2  前項の規定により書面によって行使した議決権の数は、出席した設立時株主の議決権の数に算入する。
3  発起人は、創立総会の日から三箇月間、第一項の規定により提出された議決権行使書面を発起人が定めた場所に備え置かなければならない。
4  設立時株主は、発起人が定めた時間内は、いつでも、第一項の規定により提出された議決権行使書面の閲覧又は謄写の請求をすることができる。

(電磁的方法による議決権の行使)
第七十六条  電磁的方法による議決権の行使は、政令で定めるところにより、発起人の承諾を得て、法務省令で定める時までに議決権行使書面に記載すべき事項を、電磁的方法により当該発起人に提供して行う。
2  設立時株主が第六十八条第三項の承諾をした者である場合には、発起人は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。
3  第一項の規定により電磁的方法によって行使した議決権の数は、出席した設立時株主の議決権の数に算入する。
4  発起人は、創立総会の日から三箇月間、第一項の規定により提供された事項を記録した電磁的記録を発起人が定めた場所に備え置かなければならない。
5  設立時株主は、発起人が定めた時間内は、いつでも、前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求をすることができる。

(議決権の不統一行使)
第七十七条  設立時株主は、その有する議決権を統一しないで行使することができる。この場合においては、創立総会の日の三日前までに、発起人に対してその旨及びその理由を通知しなければならない。
2  発起人は、前項の設立時株主が他人のために設立時発行株式を引き受けた者でないときは、当該設立時株主が同項の規定によりその有する議決権を統一しないで行使することを拒むことができる。

(発起人の説明義務)
第七十八条  発起人は、創立総会において、設立時株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。ただし、当該事項が創立総会の目的である事項に関しないものである場合、その説明をすることにより設立時株主の共同の利益を著しく害する場合その他正当な理由がある場合として法務省令で定める場合は、この限りでない。

(議長の権限)
第七十九条  創立総会の議長は、当該創立総会の秩序を維持し、議事を整理する。
2  創立総会の議長は、その命令に従わない者その他当該創立総会の秩序を乱す者を退場させることができる。

(延期又は続行の決議)
第八十条  創立総会においてその延期又は続行について決議があった場合には、第六十七条及び第六十八条の規定は、適用しない。

(議事録)
第八十一条  創立総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
2  発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社。次条第二項において同じ。)は、創立総会の日から十年間、前項の議事録を発起人が定めた場所(株式会社の成立後にあっては、その本店。同条第二項において同じ。)に備え置かなければならない。
3  設立時株主(株式会社の成立後にあっては、その株主及び債権者。次条第三項において同じ。)は、発起人が定めた時間(株式会社の成立後にあっては、その営業時間。同項において同じ。)内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一  第一項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二  第一項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
4  株式会社の成立後において、当該株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第一項の議事録について前項各号に掲げる請求をすることができる。

(創立総会の決議の省略)
第八十二条  発起人が創立総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき設立時株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の創立総会の決議があったものとみなす。
2  発起人は、前項の規定により創立総会の決議があったものとみなされた日から十年間、同項の書面又は電磁的記録を発起人が定めた場所に備え置かなければならない。
3  設立時株主は、発起人が定めた時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一  前項の書面の閲覧又は謄写の請求
二  前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
4  株式会社の成立後において、当該株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第二項の書面又は電磁的記録について前項各号に掲げる請求をすることができる。

(創立総会への報告の省略)
第八十三条  発起人が設立時株主の全員に対して創立総会に報告すべき事項を通知した場合において、当該事項を創立総会に報告することを要しないことにつき設立時株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該事項の創立総会への報告があったものとみなす。

(種類株主総会の決議を必要とする旨の定めがある場合)
第八十四条  設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、その設立に際して発行するある種類の株式の内容として、株主総会において決議すべき事項について、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とする旨の定めがあるときは、当該事項は、その定款の定めの例に従い、創立総会の決議のほか、当該種類の設立時発行株式の設立時種類株主(ある種類の設立時発行株式の設立時株主をいう。以下この節において同じ。)を構成員とする種類創立総会(ある種類の設立時発行株式の設立時種類株主の総会をいう。以下同じ。)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類創立総会において議決権を行使することができる設立時種類株主が存しない場合は、この限りでない。

(種類創立総会の招集及び決議)
第八十五条  前条、第九十条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)、第九十二条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)、第百条第一項又は第百一条第一項の規定により種類創立総会の決議をする場合には、発起人は、種類創立総会を招集しなければならない。
2  種類創立総会の決議は、当該種類創立総会において議決権を行使することができる設立時種類株主の議決権の過半数であって、出席した当該設立時種類株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行う。
3  前項の規定にかかわらず、第百条第一項の決議は、同項に規定する種類創立総会において議決権を行使することができる設立時種類株主の半数以上であって、当該設立時種類株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行わなければならない。

(創立総会に関する規定の準用)
第八十六条  第六十七条から第七十一条まで、第七十二条第一項及び第七十四条から第八十二条までの規定は、種類創立総会について準用する。この場合において、第六十七条第一項第三号及び第四号並びに第二項、第六十八条第一項及び第三項、第六十九条から第七十一条まで、第七十二条第一項、第七十四条第一項、第三項及び第四項、第七十五条第二項、第七十六条第二項及び第三項、第七十七条、第七十八条本文並びに第八十二条第一項中「設立時株主」とあるのは、「設立時種類株主(ある種類の設立時発行株式の設立時株主をいう。)」と読み替えるものとする。
     第三款 設立に関する事項の報告


第八十七条  発起人は、株式会社の設立に関する事項を創立総会に報告しなければならない。
2  発起人は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を創立総会に提出し、又は提供しなければならない。
一  定款に第二十八条各号に掲げる事項(第三十三条第十項各号に掲げる場合における当該各号に定める事項を除く。)の定めがある場合 第三十三条第二項の検査役の同条第四項の報告の内容
二  第三十三条第十項第三号に掲げる場合 同号に規定する証明の内容
     第四款 設立時取締役等の選任及び解任


(設立時取締役等の選任)
第八十八条  第五十七条第一項の募集をする場合には、設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人の選任は、創立総会の決議によって行わなければならない。

(累積投票による設立時取締役の選任)
第八十九条  創立総会の目的である事項が二人以上の設立時取締役の選任である場合には、設立時株主(設立時取締役の選任について議決権を行使することができる設立時株主に限る。以下この条において同じ。)は、定款に別段の定めがあるときを除き、発起人に対し、第三項から第五項までに規定するところにより設立時取締役を選任すべきことを請求することができる。
2  前項の規定による請求は、同項の創立総会の日の五日前までにしなければならない。
3  第七十二条第一項の規定にかかわらず、第一項の規定による請求があった場合には、設立時取締役の選任の決議については、設立時株主は、その引き受けた設立時発行株式一株(単元株式数を定款で定めている場合にあっては、一単元の設立時発行株式)につき、当該創立総会において選任する設立時取締役の数と同数の議決権を有する。この場合においては、設立時株主は、一人のみに投票し、又は二人以上に投票して、その議決権を行使することができる。
4  前項の場合には、投票の最多数を得た者から順次設立時取締役に選任されたものとする。
5  前二項に定めるもののほか、第一項の規定による請求があった場合における設立時取締役の選任に関し必要な事項は、法務省令で定める。

(種類創立総会の決議による設立時取締役等の選任)
第九十条  第八十八条の規定にかかわらず、株式会社の設立に際して第百八条第一項第九号に掲げる事項(取締役に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行する場合には、設立時取締役は、同条第二項第九号に定める事項についての定款の定めの例に従い、当該種類の設立時発行株式の設立時種類株主を構成員とする種類創立総会の決議によって選任しなければならない。
2  前項の規定は、株式会社の設立に際して第百八条第一項第九号に掲げる事項(監査役に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行する場合について準用する。

(設立時取締役等の解任)
第九十一条  第八十八条の規定により選任された設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人は、株式会社の成立の時までの間、創立総会の決議によって解任することができる。

第九十二条  第九十条第一項の規定により選任された設立時取締役は、株式会社の成立の時までの間、その選任に係る種類の設立時発行株式の設立時種類株主を構成員とする種類創立総会の決議によって解任することができる。
2  前項の規定にかかわらず、第四十一条第一項の規定により又は種類創立総会若しくは種類株主総会において選任された取締役を株主総会の決議によって解任することができる旨の定款の定めがある場合には、第九十条第一項の規定により選任された設立時取締役は、株式会社の成立の時までの間、創立総会の決議によって解任することができる。
3  前二項の規定は、第九十条第二項において準用する同条第一項の規定により選任された設立時監査役について準用する。
     第五款 設立時取締役等による調査


(設立時取締役等による調査)
第九十三条  設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査役設置会社である場合にあっては、設立時取締役及び設立時監査役。以下この条において同じ。)は、その選任後遅滞なく、次に掲げる事項を調査しなければならない。
一  第三十三条第十項第一号又は第二号に掲げる場合における現物出資財産等(同号に掲げる場合にあっては、同号の有価証券に限る。)について定款に記載され、又は記録された価額が相当であること。
二  第三十三条第十項第三号に規定する証明が相当であること。
三  発起人による出資の履行及び第六十三条第一項の規定による払込みが完了していること。
四  前三号に掲げる事項のほか、株式会社の設立の手続が法令又は定款に違反していないこと。
2  設立時取締役は、前項の規定による調査の結果を創立総会に報告しなければならない。
3  設立時取締役は、創立総会において、設立時株主から第一項の規定による調査に関する事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。

(設立時取締役等が発起人である場合の特則)
第九十四条  設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査役設置会社である場合にあっては、設立時取締役及び設立時監査役)の全部又は一部が発起人である場合には、創立総会においては、その決議によって、前条第一項各号に掲げる事項を調査する者を選任することができる。
2  前項の規定により選任された者は、必要な調査を行い、当該調査の結果を創立総会に報告しなければならない。
     第六款 定款の変更


(発起人による定款の変更の禁止)
第九十五条  第五十七条第一項の募集をする場合には、発起人は、第五十八条第一項第三号の期日又は同号の期間の初日のうち最も早い日以後は、第三十三条第九項並びに第三十七条第一項及び第二項の規定にかかわらず、定款の変更をすることができない。

(創立総会における定款の変更)
第九十六条  第三十条第二項の規定にかかわらず、創立総会においては、その決議によって、定款の変更をすることができる。

(設立時発行株式の引受けの取消し)
第九十七条  創立総会において、第二十八条各号に掲げる事項を変更する定款の変更の決議をした場合には、当該創立総会においてその変更に反対した設立時株主は、当該決議後二週間以内に限り、その設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことができる。

(創立総会の決議による発行可能株式総数の定め)
第九十八条  第五十七条第一項の募集をする場合において、発行可能株式総数を定款で定めていないときは、株式会社の成立の時までに、創立総会の決議によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。

(定款の変更の手続の特則)
第九十九条  設立しようとする会社が種類株式発行会社である場合において、次の各号に掲げるときは、当該各号の種類の設立時発行株式の設立時種類株主全員の同意を得なければならない。
一  ある種類の株式の内容として第百八条第一項第六号に掲げる事項についての定款の定めを設け、又は当該事項についての定款の変更(当該事項についての定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとするとき。
二  ある種類の株式について第三百二十二条第二項の規定による定款の定めを設けようとするとき。

第百条  設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、定款を変更してある種類の株式の内容として第百八条第一項第四号又は第七号に掲げる事項についての定款の定めを設けるときは、当該定款の変更は、次に掲げる設立時種類株主を構成員とする種類創立総会(当該設立時種類株主に係る設立時発行株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の設立時発行株式の種類別に区分された設立時種類株主を構成員とする各種類創立総会。以下この条において同じ。)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類創立総会において議決権を行使することができる設立時種類株主が存しない場合は、この限りでない。
一  当該種類の設立時発行株式の設立時種類株主
二  第百八条第二項第五号ロの他の株式を当該種類の株式とする定めがある取得請求権付株式の設立時種類株主
三  第百八条第二項第六号ロの他の株式を当該種類の株式とする定めがある取得条項付株式の設立時種類株主
2  前項に規定する種類創立総会において当該定款の変更に反対した設立時種類株主は、当該種類創立総会の決議後二週間以内に限り、その設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことができる。

第百一条  設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、次に掲げる事項についての定款の変更をすることにより、ある種類の設立時発行株式の設立時種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該定款の変更は、当該種類の設立時発行株式の設立時種類株主を構成員とする種類創立総会(当該設立時種類株主に係る設立時発行株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の設立時発行株式の種類別に区分された設立時種類株主を構成員とする各種類創立総会)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類創立総会において議決権を行使することができる設立時種類株主が存しない場合は、この限りでない。
一  株式の種類の追加
二  株式の内容の変更
三  発行可能株式総数又は発行可能種類株式総数(株式会社が発行することができる一の種類の株式の総数をいう。以下同じ。)の増加
2  前項の規定は、単元株式数についての定款の変更であって、当該定款の変更について第三百二十二条第二項の規定による定款の定めがある場合における当該種類の設立時発行株式の設立時種類株主を構成員とする種類創立総会については、適用しない。
     第七款 設立手続等の特則等


(設立手続等の特則)
第百二条  設立時募集株式の引受人は、発起人が定めた時間内は、いつでも、第三十一条第二項各号に掲げる請求をすることができる。ただし、同項第二号又は第四号に掲げる請求をするには、発起人の定めた費用を支払わなければならない。
2  設立時募集株式の引受人は、株式会社の成立の時に、第六十三条第一項の規定による払込みを行った設立時発行株式の株主となる。
3  民法第九十三条 ただし書及び第九十四条第一項 の規定は、設立時募集株式の引受けの申込み及び割当て並びに第六十一条の契約に係る意思表示については、適用しない。
4  設立時募集株式の引受人は、株式会社の成立後又は創立総会若しくは種類創立総会においてその議決権を行使した後は、錯誤を理由として設立時発行株式の引受けの無効を主張し、又は詐欺若しくは強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができない。

(発起人の責任等)
第百三条  第五十七条第一項の募集をした場合における第五十二条第二項の規定の適用については、同項中「次に」とあるのは、「第一号に」とする。
2  第五十七条第一項の募集をした場合において、当該募集の広告その他当該募集に関する書面又は電磁的記録に自己の氏名又は名称及び株式会社の設立を賛助する旨を記載し、又は記録することを承諾した者(発起人を除く。)は、発起人とみなして、前節及び前項の規定を適用する。

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会社法(通則・商号・使用人・代理商・競業)


第一編 総則
   第一章 通則

(趣旨)
第一条  会社の設立、組織、運営及び管理については、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。

(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一  会社 株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいう。
二  外国会社 外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体であって、会社と同種のもの又は会社に類似するものをいう。
三  子会社 会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社がその経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。
四  親会社 株式会社を子会社とする会社その他の当該株式会社の経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。
五  公開会社 その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう。
六  大会社 次に掲げる要件のいずれかに該当する株式会社をいう。
イ 最終事業年度に係る貸借対照表(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、同条の規定により定時株主総会に報告された貸借対照表をいい、株式会社の成立後最初の定時株主総会までの間においては、第四百三十五条第一項の貸借対照表をいう。ロにおいて同じ。)に資本金として計上した額が五億円以上であること。
ロ 最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が二百億円以上であること。
七  取締役会設置会社 取締役会を置く株式会社又はこの法律の規定により取締役会を置かなければならない株式会社をいう。
八  会計参与設置会社 会計参与を置く株式会社をいう。
九  監査役設置会社 監査役を置く株式会社(その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるものを除く。)又はこの法律の規定により監査役を置かなければならない株式会社をいう。
十  監査役会設置会社 監査役会を置く株式会社又はこの法律の規定により監査役会を置かなければならない株式会社をいう。
十一  会計監査人設置会社 会計監査人を置く株式会社又はこの法律の規定により会計監査人を置かなければならない株式会社をいう。
十二  委員会設置会社 指名委員会、監査委員会及び報酬委員会(以下「委員会」という。)を置く株式会社をいう。
十三  種類株式発行会社 剰余金の配当その他の第百八条第一項各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する株式会社をいう。
十四  種類株主総会 種類株主(種類株式発行会社におけるある種類の株式の株主をいう。以下同じ。)の総会をいう。
十五  社外取締役 株式会社の取締役であって、当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役(株式会社の第三百六十三条第一項各号に掲げる取締役及び当該株式会社の業務を執行したその他の取締役をいう。以下同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人でなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものをいう。
十六  社外監査役 株式会社の監査役であって、過去に当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものをいう。
十七  譲渡制限株式 株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定めを設けている場合における当該株式をいう。
十八  取得請求権付株式 株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として株主が当該株式会社に対して当該株式の取得を請求することができる旨の定めを設けている場合における当該株式をいう。
十九  取得条項付株式 株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件として当該株式を取得することができる旨の定めを設けている場合における当該株式をいう。
二十  単元株式数 株式会社がその発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会又は種類株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨の定款の定めを設けている場合における当該一定の数をいう。
二十一  新株予約権 株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいう。
二十二  新株予約権付社債 新株予約権を付した社債をいう。
二十三  社債 この法律の規定により会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、第六百七十六条各号に掲げる事項についての定めに従い償還されるものをいう。
二十四  最終事業年度 各事業年度に係る第四百三十五条第二項に規定する計算書類につき第四百三十八条第二項の承認(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、第四百三十六条第三項の承認)を受けた場合における当該各事業年度のうち最も遅いものをいう。
二十五  配当財産 株式会社が剰余金の配当をする場合における配当する財産をいう。
二十六  組織変更 次のイ又はロに掲げる会社がその組織を変更することにより当該イ又はロに定める会社となることをいう。
イ 株式会社 合名会社、合資会社又は合同会社
ロ 合名会社、合資会社又は合同会社 株式会社
二十七  吸収合併 会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるものをいう。
二十八  新設合併 二以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併により設立する会社に承継させるものをいう。
二十九  吸収分割 株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割後他の会社に承継させることをいう。
三十  新設分割 一又は二以上の株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する会社に承継させることをいう。
三十一  株式交換 株式会社がその発行済株式(株式会社が発行している株式をいう。以下同じ。)の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させることをいう。
三十二  株式移転 一又は二以上の株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させることをいう。
三十三  公告方法 会社(外国会社を含む。)が公告(この法律又は他の法律の規定により官報に掲載する方法によりしなければならないものとされているものを除く。)をする方法をいう。
三十四  電子公告 公告方法のうち、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)により不特定多数の者が公告すべき内容である情報の提供を受けることができる状態に置く措置であって法務省令で定めるものをとる方法をいう。

(法人格)
第三条  会社は、法人とする。

(住所)
第四条  会社の住所は、その本店の所在地にあるものとする。

(商行為)
第五条  会社(外国会社を含む。次条第一項、第八条及び第九条において同じ。)がその事業としてする行為及びその事業のためにする行為は、商行為とする。
   第二章 会社の商号


(商号)
第六条  会社は、その名称を商号とする。
2  会社は、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の種類に従い、それぞれその商号中に株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社という文字を用いなければならない。
3  会社は、その商号中に、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

(会社と誤認させる名称等の使用の禁止)
第七条  会社でない者は、その名称又は商号中に、会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

第八条  何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。
2  前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある会社は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

(自己の商号の使用を他人に許諾した会社の責任)
第九条  自己の商号を使用して事業又は営業を行うことを他人に許諾した会社は、当該会社が当該事業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。
   第三章 会社の使用人等

    第一節 会社の使用人


(支配人)
第十条  会社(外国会社を含む。以下この編において同じ。)は、支配人を選任し、その本店又は支店において、その事業を行わせることができる。

(支配人の代理権)
第十一条  支配人は、会社に代わってその事業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
2  支配人は、他の使用人を選任し、又は解任することができる。
3  支配人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

(支配人の競業の禁止)
第十二条  支配人は、会社の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。
一  自ら営業を行うこと。
二  自己又は第三者のために会社の事業の部類に属する取引をすること。
三  他の会社又は商人(会社を除く。第二十四条において同じ。)の使用人となること。
四  他の会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となること。
2  支配人が前項の規定に違反して同項第二号に掲げる行為をしたときは、当該行為によって支配人又は第三者が得た利益の額は、会社に生じた損害の額と推定する。

(表見支配人)
第十三条  会社の本店又は支店の事業の主任者であることを示す名称を付した使用人は、当該本店又は支店の事業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。

(ある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人)
第十四条  事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人は、当該事項に関する一切の裁判外の行為をする権限を有する。
2  前項に規定する使用人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

(物品の販売等を目的とする店舗の使用人)
第十五条  物品の販売等(販売、賃貸その他これらに類する行為をいう。以下この条において同じ。)を目的とする店舗の使用人は、その店舗に在る物品の販売等をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。
    第二節 会社の代理商


(通知義務)
第十六条  代理商(会社のためにその平常の事業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その会社の使用人でないものをいう。以下この節において同じ。)は、取引の代理又は媒介をしたときは、遅滞なく、会社に対して、その旨の通知を発しなければならない。

(代理商の競業の禁止)
第十七条  代理商は、会社の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。
一  自己又は第三者のために会社の事業の部類に属する取引をすること。
二  会社の事業と同種の事業を行う他の会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となること。
2  代理商が前項の規定に違反して同項第一号に掲げる行為をしたときは、当該行為によって代理商又は第三者が得た利益の額は、会社に生じた損害の額と推定する。

(通知を受ける権限)
第十八条  物品の販売又はその媒介の委託を受けた代理商は、商法 (明治三十二年法律第四十八号)第五百二十六条第二項 の通知その他の売買に関する通知を受ける権限を有する。

(契約の解除)
第十九条  会社及び代理商は、契約の期間を定めなかったときは、二箇月前までに予告し、その契約を解除することができる。
2  前項の規定にかかわらず、やむを得ない事由があるときは、会社及び代理商は、いつでもその契約を解除することができる。

(代理商の留置権)
第二十条  代理商は、取引の代理又は媒介をしたことによって生じた債権の弁済期が到来しているときは、その弁済を受けるまでは、会社のために当該代理商が占有する物又は有価証券を留置することができる。ただし、当事者が別段の意思表示をしたときは、この限りでない。
   第四章 事業の譲渡をした場合の競業の禁止等


(譲渡会社の競業の禁止)
第二十一条  事業を譲渡した会社(以下この章において「譲渡会社」という。)は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村(東京都の特別区の存する区域及び地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項 の指定都市にあっては、区。以下この項において同じ。)の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その事業を譲渡した日から二十年間は、同一の事業を行ってはならない。
2  譲渡会社が同一の事業を行わない旨の特約をした場合には、その特約は、その事業を譲渡した日から三十年の期間内に限り、その効力を有する。
3  前二項の規定にかかわらず、譲渡会社は、不正の競争の目的をもって同一の事業を行ってはならない。

(譲渡会社の商号を使用した譲受会社の責任等)
第二十二条  事業を譲り受けた会社(以下この章において「譲受会社」という。)が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負う。
2  前項の規定は、事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社がその本店の所在地において譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、適用しない。事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社及び譲渡会社から第三者に対しその旨の通知をした場合において、その通知を受けた第三者についても、同様とする。
3  譲受会社が第一項の規定により譲渡会社の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡会社の責任は、事業を譲渡した日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。
4  第一項に規定する場合において、譲渡会社の事業によって生じた債権について、譲受会社にした弁済は、弁済者が善意でかつ重大な過失がないときは、その効力を有する。

(譲受会社による債務の引受け)
第二十三条  譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用しない場合においても、譲渡会社の事業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、譲渡会社の債権者は、その譲受会社に対して弁済の請求をすることができる。
2  譲受会社が前項の規定により譲渡会社の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡会社の責任は、同項の広告があった日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。

(商人との間での事業の譲渡又は譲受け)
第二十四条  会社が商人に対してその事業を譲渡した場合には、当該会社を商法第十六条第一項 に規定する譲渡人とみなして、同法第十七条 及び第十八条 の規定を適用する。
2  会社が商人の営業を譲り受けた場合には、当該商人を譲渡会社とみなして、前二条の規定を適用する。


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借地借家法(2/2)


  第三章 借家
    第一節 建物賃貸借契約の更新等

(建物賃貸借契約の更新等)
第二十六条  建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
2  前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。
3  建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。

(解約による建物賃貸借の終了)
第二十七条  建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する。
2  前条第二項及び第三項の規定は、建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に準用する。

(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
第二十八条  建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

(建物賃貸借の期間)
第二十九条  期間を一年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす。
2  民法第六百四条 の規定は、建物の賃貸借については、適用しない。

(強行規定)
第三十条  この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
    第二節 建物賃貸借の効力


(建物賃貸借の対抗力等)
第三十一条  建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。
2  民法第五百六十六条第一項 及び第三項 の規定は、前項の規定により効力を有する賃貸借の目的である建物が売買の目的物である場合に準用する。
3  民法第五百三十三条 の規定は、前項の場合に準用する。

(借賃増減請求権)
第三十二条  建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
2  建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3  建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

(造作買取請求権)
第三十三条  建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。建物の賃貸人から買い受けた造作についても、同様とする。
2  前項の規定は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了する場合における建物の転借人と賃貸人との間について準用する。

(建物賃貸借終了の場合における転借人の保護)
第三十四条  建物の転貸借がされている場合において、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときは、建物の賃貸人は、建物の転借人にその旨の通知をしなければ、その終了を建物の転借人に対抗することができない。
2  建物の賃貸人が前項の通知をしたときは、建物の転貸借は、その通知がされた日から六月を経過することによって終了する。

(借地上の建物の賃借人の保護)
第三十五条  借地権の目的である土地の上の建物につき賃貸借がされている場合において、借地権の存続期間の満了によって建物の賃借人が土地を明け渡すべきときは、建物の賃借人が借地権の存続期間が満了することをその一年前までに知らなかった場合に限り、裁判所は、建物の賃借人の請求により、建物の賃借人がこれを知った日から一年を超えない範囲内において、土地の明渡しにつき相当の期限を許与することができる。
2  前項の規定により裁判所が期限の許与をしたときは、建物の賃貸借は、その期限が到来することによって終了する。

(居住用建物の賃貸借の承継)
第三十六条  居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。ただし、相続人なしに死亡したことを知った後一月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表示したときは、この限りでない。
2  前項本文の場合においては、建物の賃貸借関係に基づき生じた債権又は債務は、同項の規定により建物の賃借人の権利義務を承継した者に帰属する。

(強行規定)
第三十七条  第三十一条、第三十四条及び第三十五条の規定に反する特約で建物の賃借人又は転借人に不利なものは、無効とする。
    第三節 定期建物賃貸借等


(定期建物賃貸借)
第三十八条  期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。
2  前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
3  建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
4  第一項の規定による建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の一年前から六月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から六月を経過した後は、この限りでない。
5  第一項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が二百平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する。
6  前二項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
7  第三十二条の規定は、第一項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。

(取壊し予定の建物の賃貸借)
第三十九条  法令又は契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合において、建物の賃貸借をするときは、第三十条の規定にかかわらず、建物を取り壊すこととなる時に賃貸借が終了する旨を定めることができる。
2  前項の特約は、同項の建物を取り壊すべき事由を記載した書面によってしなければならない。

(一時使用目的の建物の賃貸借)
第四十条  この章の規定は、一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、適用しない。
   第四章 借地条件の変更等の裁判手続


(管轄裁判所)
第四十一条  第十七条第一項、第二項若しくは第五項(第十八条第三項において準用する場合を含む。)、第十八条第一項、第十九条第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)若しくは第三項(同条第七項並びに第二十条第二項及び第五項において準用する場合を含む。)又は第二十条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)に規定する事件は、借地権の目的である土地の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。ただし、当事者の合意があるときは、その所在地を管轄する簡易裁判所が管轄することを妨げない。

(非訟事件手続法 の準用及び最高裁判所規則)
第四十二条  特別の定めがある場合を除き、前条の事件に関しては、非訟事件手続法 (明治三十一年法律第十四号)第一編 の規定を準用する。ただし、同法第六条 、第七条、第十五条及び第三十二条の規定は、この限りでない。
2  この法律に定めるもののほか、前条の事件に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

(裁判所職員の除斥等)
第四十三条  裁判所職員の除斥及び忌避に関する民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)の規定は、第四十一条の事件について準用する。

(鑑定委員会)
第四十四条  鑑定委員会は、三人以上の委員で組織する。
2  鑑定委員は、次に掲げる者の中から、事件ごとに、裁判所が指定する。ただし、特に必要があるときは、それ以外の者の中から指定することを妨げない。
一  地方裁判所が特別の知識経験を有する者その他適当な者の中から毎年あらかじめ選任した者
二  当事者が合意によって選定した者
3  鑑定委員には、最高裁判所規則で定める旅費、日当及び宿泊料を支給する。

(審問期日)
第四十五条  裁判所は、審問期日を開き、当事者の陳述を聴かなければならない。
2  当事者は、他の当事者の審問に立ち会うことができる。

(事実の探知及び証拠調べ)
第四十六条  裁判所は、職権で事実の探知をし、かつ、職権で又は申出により必要と認める証拠調べをしなければならない。
2  証拠調べについては、民事訴訟の例による。

(審理の終結)
第四十七条  裁判所は、審理を終結するときは、審問期日においてその旨を宣言しなければならない。

(即時抗告)
第四十八条  第十七条第一項から第三項まで若しくは第五項(第十八条第三項において準用する場合を含む。)、第十八条第一項、第十九条第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)若しくは第三項(同条第七項並びに第二十条第二項及び第五項において準用する場合を含む。)又は第二十条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による裁判に対しては、その告知を受けた日から二週間の不変期間内に、即時抗告をすることができる。
2  前項の裁判は、確定しなければその効力を生じない。

(裁判の効力が及ぶ者の範囲)
第四十九条  前条第一項の裁判は、当事者又は最終の審問期日の後裁判の確定前の承継人に対し、その効力を有する。

(給付を命ずる裁判の効力)
第五十条  第十七条第三項若しくは第五項(第十八条第三項において準用する場合を含む。)、第十八条第一項、第十九条第三項(同条第七項並びに第二十条第二項及び第五項において準用する場合を含む。)又は第二十条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による裁判で給付を命ずるものは、強制執行に関しては、裁判上の和解と同一の効力を有する。

(譲渡又は転貸の許可の裁判の失効)
第五十一条  第十九条第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定による裁判は、その効力を生じた後六月以内に借地権者が建物の譲渡をしないときは、その効力を失う。ただし、この期間は、その裁判において伸長し、又は短縮することができる。

(和解及び調停)
第五十二条  民事訴訟法第八十九条 、第二百六十四条、第二百六十五条及び第二百六十七条(和解に関する部分に限る。)並びに民事調停法第二十条 の規定は、第四十一条の事件について準用する。

(事件の記録の閲覧等)
第五十三条  当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、第四十一条の事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は同条の事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。
2  民事訴訟法第九十一条第四項 及び第五項 の規定は、前項の記録について準用する。

(費用の裁判の特例)
第五十四条  民事訴訟法第七十三条 (第二項中同法第六十一条 から第六十六条 までの規定を準用する部分を除く。)、第七十四条及び第百二十一条の規定は、第十九条第四項(同条第七項並びに第二十条第二項及び第五項において準用する場合を含む。)の場合に準用する。


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借地借家法(1/2)


   第一章 総則

(趣旨)
第一条  この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。

(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一  借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。
二  借地権者 借地権を有する者をいう。
三  借地権設定者 借地権者に対して借地権を設定している者をいう。
四  転借地権 建物の所有を目的とする土地の賃借権で借地権者が設定しているものをいう。
五  転借地権者 転借地権を有する者をいう。
   第二章 借地

    第一節 借地権の存続期間等


(借地権の存続期間)
第三条  借地権の存続期間は、三十年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。

(借地権の更新後の期間)
第四条  当事者が借地契約を更新する場合においては、その期間は、更新の日から十年(借地権の設定後の最初の更新にあっては、二十年)とする。ただし、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。

(借地契約の更新請求等)
第五条  借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。
2  借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、前項と同様とする。
3  転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする土地の使用の継続を借地権者がする土地の使用の継続とみなして、借地権者と借地権設定者との間について前項の規定を適用する。

(借地契約の更新拒絶の要件)
第六条  前条の異議は、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。以下この条において同じ。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができない。

(建物の再築による借地権の期間の延長)
第七条  借地権の存続期間が満了する前に建物の滅失(借地権者又は転借地権者による取壊しを含む。以下同じ。)があった場合において、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、その建物を築造するにつき借地権設定者の承諾がある場合に限り、借地権は、承諾があった日又は建物が築造された日のいずれか早い日から二十年間存続する。ただし、残存期間がこれより長いとき、又は当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間による。
2  借地権者が借地権設定者に対し残存期間を超えて存続すべき建物を新たに築造する旨を通知した場合において、借地権設定者がその通知を受けた後二月以内に異議を述べなかったときは、その建物を築造するにつき前項の借地権設定者の承諾があったものとみなす。ただし、契約の更新の後(同項の規定により借地権の存続期間が延長された場合にあっては、借地権の当初の存続期間が満了すべき日の後。次条及び第十八条において同じ。)に通知があった場合においては、この限りでない。
3  転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする建物の築造を借地権者がする建物の築造とみなして、借地権者と借地権設定者との間について第一項の規定を適用する。

(借地契約の更新後の建物の滅失による解約等)
第八条  契約の更新の後に建物の滅失があった場合においては、借地権者は、地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができる。
2  前項に規定する場合において、借地権者が借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、借地権設定者は、地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができる。
3  前二項の場合においては、借地権は、地上権の放棄若しくは消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れがあった日から三月を経過することによって消滅する。
4  第一項に規定する地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約の申入れをする権利は、第二項に規定する地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをする権利を制限する場合に限り、制限することができる。
5  転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする建物の築造を借地権者がする建物の築造とみなして、借地権者と借地権設定者との間について第二項の規定を適用する。

(強行規定)
第九条  この節の規定に反する特約で借地権者に不利なものは、無効とする。
    第二節 借地権の効力


(借地権の対抗力等)
第十条  借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。
2  前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。
3  民法 (明治二十九年法律第八十九号)第五百六十六条第一項 及び第三項 の規定は、前二項の規定により第三者に対抗することができる借地権の目的である土地が売買の目的物である場合に準用する。
4  民法第五百三十三条 の規定は、前項の場合に準用する。

(地代等増減請求権)
第十一条  地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
2  地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3  地代等の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

(借地権設定者の先取特権)
第十二条  借地権設定者は、弁済期の到来した最後の二年分の地代等について、借地権者がその土地において所有する建物の上に先取特権を有する。
2  前項の先取特権は、地上権又は土地の賃貸借の登記をすることによって、その効力を保存する。
3  第一項の先取特権は、他の権利に対して優先する効力を有する。ただし、共益費用、不動産保存及び不動産工事の先取特権並びに地上権又は土地の賃貸借の登記より前に登記された質権及び抵当権には後れる。
4  前三項の規定は、転借地権者がその土地において所有する建物について準用する。

(建物買取請求権)
第十三条  借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
2  前項の場合において、建物が借地権の存続期間が満了する前に借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべきものとして新たに築造されたものであるときは、裁判所は、借地権設定者の請求により、代金の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。
3  前二項の規定は、借地権の存続期間が満了した場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。

(第三者の建物買取請求権)
第十四条  第三者が賃借権の目的である土地の上の建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を取得した場合において、借地権設定者が賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、その第三者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。

(自己借地権)
第十五条  借地権を設定する場合においては、他の者と共に有することとなるときに限り、借地権設定者が自らその借地権を有することを妨げない。
2  借地権が借地権設定者に帰した場合であっても、他の者と共にその借地権を有するときは、その借地権は、消滅しない。

(強行規定)
第十六条  第十条、第十三条及び第十四条の規定に反する特約で借地権者又は転借地権者に不利なものは、無効とする。
    第三節 借地条件の変更等


(借地条件の変更及び増改築の許可)
第十七条  建物の種類、構造、規模又は用途を制限する旨の借地条件がある場合において、法令による土地利用の規制の変更、付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更により現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず、借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、当事者の申立てにより、その借地条件を変更することができる。
2  増改築を制限する旨の借地条件がある場合において、土地の通常の利用上相当とすべき増改築につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、その増改築についての借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。
3  裁判所は、前二項の裁判をする場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、他の借地条件を変更し、財産上の給付を命じ、その他相当の処分をすることができる。
4  裁判所は、前三項の裁判をするには、借地権の残存期間、土地の状況、借地に関する従前の経過その他一切の事情を考慮しなければならない。
5  転借地権が設定されている場合において、必要があるときは、裁判所は、転借地権者の申立てにより、転借地権とともに借地権につき第一項から第三項までの裁判をすることができる。
6  裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、第一項から第三項まで又は前項の裁判をする前に鑑定委員会の意見を聴かなければならない。

(借地契約の更新後の建物の再築の許可)
第十八条  契約の更新の後において、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を新たに築造することにつきやむを得ない事情があるにもかかわらず、借地権設定者がその建物の築造を承諾しないときは、借地権設定者が地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができない旨を定めた場合を除き、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、延長すべき借地権の期間として第七条第一項の規定による期間と異なる期間を定め、他の借地条件を変更し、財産上の給付を命じ、その他相当の処分をすることができる。
2  裁判所は、前項の裁判をするには、建物の状況、建物の滅失があった場合には滅失に至った事情、借地に関する従前の経過、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。)が土地の使用を必要とする事情その他一切の事情を考慮しなければならない。
3  前条第五項及び第六項の規定は、第一項の裁判をする場合に準用する。

(土地の賃借権の譲渡又は転貸の許可)
第十九条  借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、賃借権の譲渡若しくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又はその許可を財産上の給付に係らしめることができる。
2  裁判所は、前項の裁判をするには、賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、賃借権の譲渡又は転貸を必要とする事情その他一切の事情を考慮しなければならない。
3  第一項の申立てがあった場合において、裁判所が定める期間内に借地権設定者が自ら建物の譲渡及び賃借権の譲渡又は転貸を受ける旨の申立てをしたときは、裁判所は、同項の規定にかかわらず、相当の対価及び転貸の条件を定めて、これを命ずることができる。この裁判においては、当事者双方に対し、その義務を同時に履行すべきことを命ずることができる。
4  前項の申立ては、第一項の申立てが取り下げられたとき、又は不適法として却下されたときは、その効力を失う。
5  第三項の裁判があった後は、第一項又は第三項の申立ては、当事者の合意がある場合でなければ取り下げることができない。
6  裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、第一項又は第三項の裁判をする前に鑑定委員会の意見を聴かなければならない。
7  前各項の規定は、転借地権が設定されている場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。ただし、借地権設定者が第三項の申立てをするには、借地権者の承諾を得なければならない。

(建物競売等の場合における土地の賃借権の譲渡の許可)
第二十条  第三者が賃借権の目的である土地の上の建物を競売又は公売により取得した場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、借地条件を変更し、又は財産上の給付を命ずることができる。
2  前条第二項から第六項までの規定は、前項の申立てがあった場合に準用する。
3  第一項の申立ては、建物の代金を支払った後二月以内に限り、することができる。
4  民事調停法 (昭和二十六年法律第二百二十二号)第十九条 の規定は、同条 に規定する期間内に第一項 の申立てをした場合に準用する。
5  前各項の規定は、転借地権者から競売又は公売により建物を取得した第三者と借地権設定者との間について準用する。ただし、借地権設定者が第二項において準用する前条第三項の申立てをするには、借地権者の承諾を得なければならない。

(強行規定)
第二十一条  第十七条から第十九条までの規定に反する特約で借地権者又は転借地権者に不利なものは、無効とする。
    第四節 定期借地権等


(定期借地権)
第二十二条  存続期間を五十年以上として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。次条第一項において同じ。)及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。この場合においては、その特約は、公正証書による等書面によってしなければならない。

(事業用定期借地権等)
第二十三条  専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を三十年以上五十年未満として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。
2  専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を十年以上三十年未満として借地権を設定する場合には、第三条から第八条まで、第十三条及び第十八条の規定は、適用しない。
3  前二項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。

(建物譲渡特約付借地権)
第二十四条  借地権を設定する場合(前条第二項に規定する借地権を設定する場合を除く。)においては、第九条の規定にかかわらず、借地権を消滅させるため、その設定後三十年以上を経過した日に借地権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨を定めることができる。
2  前項の特約により借地権が消滅した場合において、その借地権者又は建物の賃借人でその消滅後建物の使用を継続しているものが請求をしたときは、請求の時にその建物につきその借地権者又は建物の賃借人と借地権設定者との間で期間の定めのない賃貸借(借地権者が請求をした場合において、借地権の残存期間があるときは、その残存期間を存続期間とする賃貸借)がされたものとみなす。この場合において、建物の借賃は、当事者の請求により、裁判所が定める。
3  第一項の特約がある場合において、借地権者又は建物の賃借人と借地権設定者との間でその建物につき第三十八条第一項の規定による賃貸借契約をしたときは、前項の規定にかかわらず、その定めに従う。

(一時使用目的の借地権)
第二十五条  第三条から第八条まで、第十三条、第十七条、第十八条及び第二十二条から前条までの規定は、臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合には、適用しない。


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人事訴訟法


   第一章 総則
    第一節 通則

(趣旨)
第一条  この法律は、人事訴訟に関する手続について、民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)の特例等を定めるものとする。

(定義)
第二条  この法律において「人事訴訟」とは、次に掲げる訴えその他の身分関係の形成又は存否の確認を目的とする訴え(以下「人事に関する訴え」という。)に係る訴訟をいう。
一  婚姻の無効及び取消しの訴え、離婚の訴え、協議上の離婚の無効及び取消しの訴え並びに婚姻関係の存否の確認の訴え
二  嫡出否認の訴え、認知の訴え、認知の無効及び取消しの訴え、民法 (明治二十九年法律第八十九号)第七百七十三条 の規定により父を定めることを目的とする訴え並びに実親子関係の存否の確認の訴え
三  養子縁組の無効及び取消しの訴え、離縁の訴え、協議上の離縁の無効及び取消しの訴え並びに養親子関係の存否の確認の訴え

(最高裁判所規則)
第三条  この法律に定めるもののほか、人事訴訟に関する手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
    第二節 裁判所

     第一款 管轄


(人事に関する訴えの管轄)
第四条  人事に関する訴えは、当該訴えに係る身分関係の当事者が普通裁判籍を有する地又はその死亡の時にこれを有した地を管轄する家庭裁判所の管轄に専属する。
2  前項の規定による管轄裁判所が定まらないときは、人事に関する訴えは、最高裁判所規則で定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に専属する。

(併合請求における管轄)
第五条  数人からの又は数人に対する一の人事に関する訴えで数個の身分関係の形成又は存否の確認を目的とする数個の請求をする場合には、前条の規定にかかわらず、同条の規定により一の請求について管轄権を有する家庭裁判所にその訴えを提起することができる。ただし、民事訴訟法第三十八条 前段に定める場合に限る。

(調停事件が係属していた家庭裁判所の自庁処理)
第六条  家庭裁判所は、人事訴訟の全部又は一部がその管轄に属しないと認める場合においても、当該人事訴訟に係る事件について家事審判法 (昭和二十二年法律第百五十二号)第十八条第一項 の規定により申し立てられた調停に係る事件がその家庭裁判所に係属していたときであって、調停の経過、当事者の意見その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、民事訴訟法第十六条第一項 の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、当該人事訴訟の全部又は一部について自ら審理及び裁判をすることができる。

(遅滞を避ける等のための移送)
第七条  家庭裁判所は、人事訴訟がその管轄に属する場合においても、当事者及び尋問を受けるべき証人の住所その他の事情を考慮して、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当該人事訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。

(関連請求に係る訴訟の移送)
第八条  家庭裁判所に係属する人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求に係る訴訟の係属する第一審裁判所は、相当と認めるときは、申立てにより、当該訴訟をその家庭裁判所に移送することができる。この場合においては、その移送を受けた家庭裁判所は、当該損害の賠償に関する請求に係る訴訟について自ら審理及び裁判をすることができる。
2  前項の規定により移送を受けた家庭裁判所は、同項の人事訴訟に係る事件及びその移送に係る損害の賠償に関する請求に係る事件について口頭弁論の併合を命じなければならない。
     第二款 参与員


(参与員)
第九条  家庭裁判所は、必要があると認めるときは、参与員を審理又は和解の試みに立ち会わせて事件につきその意見を聴くことができる。
2  参与員の員数は、各事件について一人以上とする。
3  参与員は、毎年あらかじめ家庭裁判所の選任した者の中から、事件ごとに家庭裁判所が指定する。
4  前項の規定により選任される者の資格、員数その他同項の選任に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
5  参与員には、最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。

(参与員の除斥及び忌避)
第十条  民事訴訟法第二十三条 から第二十五条 までの規定は、参与員について準用する。
2  参与員について除斥又は忌避の申立てがあったときは、参与員は、その申立てについての決定が確定するまでその申立てがあった事件に関与することができない。

(秘密漏示に対する制裁)
第十一条  参与員又は参与員であった者が正当な理由なくその職務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
    第三節 当事者


(被告適格)
第十二条  人事に関する訴えであって当該訴えに係る身分関係の当事者の一方が提起するものにおいては、特別の定めがある場合を除き、他の一方を被告とする。
2  人事に関する訴えであって当該訴えに係る身分関係の当事者以外の者が提起するものにおいては、特別の定めがある場合を除き、当該身分関係の当事者の双方を被告とし、その一方が死亡した後は、他の一方を被告とする。
3  前二項の規定により当該訴えの被告とすべき者が死亡し、被告とすべき者がないときは、検察官を被告とする。

(人事訴訟における訴訟能力等)
第十三条  人事訴訟の訴訟手続における訴訟行為については、民法第五条第一項 及び第二項 、第九条、第十三条並びに第十七条並びに民事訴訟法第三十一条 並びに第三十二条第一項 (同法第四十条第四項 において準用する場合を含む。)及び第二項 の規定は、適用しない。
2  訴訟行為につき行為能力の制限を受けた者が前項の訴訟行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を訴訟代理人に選任することができる。
3  訴訟行為につき行為能力の制限を受けた者が前項の申立てをしない場合においても、裁判長は、弁護士を訴訟代理人に選任すべき旨を命じ、又は職権で弁護士を訴訟代理人に選任することができる。
4  前二項の規定により裁判長が訴訟代理人に選任した弁護士に対し当該訴訟行為につき行為能力の制限を受けた者が支払うべき報酬の額は、裁判所が相当と認める額とする。

第十四条  人事に関する訴えの原告又は被告となるべき者が成年被後見人であるときは、その成年後見人は、成年被後見人のために訴え、又は訴えられることができる。ただし、その成年後見人が当該訴えに係る訴訟の相手方となるときは、この限りでない。
2  前項ただし書の場合には、成年後見監督人が、成年被後見人のために訴え、又は訴えられることができる。

(利害関係人の訴訟参加)
第十五条  検察官を被告とする人事訴訟において、訴訟の結果により相続権を害される第三者(以下「利害関係人」という。)を当該人事訴訟に参加させることが必要であると認めるときは、裁判所は、被告を補助させるため、決定で、その利害関係人を当該人事訴訟に参加させることができる。
2  裁判所は、前項の決定をするに当たっては、あらかじめ、当事者及び利害関係人の意見を聴かなければならない。
3  民事訴訟法第四十三条第一項 の申出又は第一項 の決定により検察官を被告とする人事訴訟に参加した利害関係人については、同法第四十五条第二項 の規定は、適用しない。
4  前項の利害関係人については、民事訴訟法第四十条第一項 から第三項 まで(同項 については、訴訟手続の中止に関する部分に限る。)の規定を準用する。
5  裁判所は、第一項の決定を取り消すことができる。
    第四節 訴訟費用


第十六条  検察官を当事者とする人事訴訟において、民事訴訟法第六十一条 から第六十六条 までの規定によれば検察官が負担すべき訴訟費用は、国庫の負担とする。
2  利害関係人が民事訴訟法第四十三条第一項 の申出又は前条第一項の決定により検察官を被告とする人事訴訟に参加した場合における訴訟費用の負担については、同法第六十一条 から第六十六条 までの規定を準用する。
    第五節 訴訟手続


(関連請求の併合等)
第十七条  人事訴訟に係る請求と当該請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求とは、民事訴訟法第百三十六条 の規定にかかわらず、一の訴えですることができる。この場合においては、当該人事訴訟に係る請求について管轄権を有する家庭裁判所は、当該損害の賠償に関する請求に係る訴訟について自ら審理及び裁判をすることができる。
2  人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求を目的とする訴えは、前項に規定する場合のほか、既に当該人事訴訟の係属する家庭裁判所にも提起することができる。この場合においては、同項後段の規定を準用する。
3  第八条第二項の規定は、前項の場合における同項の人事訴訟に係る事件及び同項の損害の賠償に関する請求に係る事件について準用する。

(訴えの変更及び反訴)
第十八条  人事訴訟に関する手続においては、民事訴訟法第百四十三条第一項 及び第四項 、第百四十六条第一項並びに第三百条の規定にかかわらず、第一審又は控訴審の口頭弁論の終結に至るまで、原告は、請求又は請求の原因を変更することができ、被告は、反訴を提起することができる。

(民事訴訟法 の規定の適用除外)
第十九条  人事訴訟の訴訟手続においては、民事訴訟法第百五十七条 、第百五十七条の二、第百五十九条第一項、第二百七条第二項、第二百八条、第二百二十四条、第二百二十九条第四項及び第二百四十四条の規定並びに同法第百七十九条 の規定中裁判所において当事者が自白した事実に関する部分は、適用しない。
2  人事訴訟における訴訟の目的については、民事訴訟法第二百六十六条 及び第二百六十七条 の規定は、適用しない。

(職権探知)
第二十条  人事訴訟においては、裁判所は、当事者が主張しない事実をしん酌し、かつ、職権で証拠調べをすることができる。この場合においては、裁判所は、その事実及び証拠調べの結果について当事者の意見を聴かなければならない。

(当事者本人の出頭命令等)
第二十一条  人事訴訟においては、裁判所は、当事者本人を尋問する場合には、その当事者に対し、期日に出頭することを命ずることができる。
2  民事訴訟法第百九十二条 から第百九十四条 までの規定は、前項の規定により出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合について準用する。

(当事者尋問等の公開停止)
第二十二条  人事訴訟における当事者本人若しくは法定代理人(以下この項及び次項において「当事者等」という。)又は証人が当該人事訴訟の目的である身分関係の形成又は存否の確認の基礎となる事項であって自己の私生活上の重大な秘密に係るものについて尋問を受ける場合においては、裁判所は、裁判官の全員一致により、その当事者等又は証人が公開の法廷で当該事項について陳述をすることにより社会生活を営むのに著しい支障を生ずることが明らかであることから当該事項について十分な陳述をすることができず、かつ、当該陳述を欠くことにより他の証拠のみによっては当該身分関係の形成又は存否の確認のための適正な裁判をすることができないと認めるときは、決定で、当該事項の尋問を公開しないで行うことができる。
2  裁判所は、前項の決定をするに当たっては、あらかじめ、当事者等及び証人の意見を聴かなければならない。
3  裁判所は、第一項の規定により当該事項の尋問を公開しないで行うときは、公衆を退廷させる前に、その旨を理由とともに言い渡さなければならない。当該事項の尋問が終了したときは、再び公衆を入廷させなければならない。

(検察官の関与)
第二十三条  人事訴訟においては、裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、必要があると認めるときは、検察官を期日に立ち会わせて事件につき意見を述べさせることができる。
2  検察官は、前項の規定により期日に立ち会う場合には、事実を主張し、又は証拠の申出をすることができる。

(確定判決の効力が及ぶ者の範囲)
第二十四条  人事訴訟の確定判決は、民事訴訟法第百十五条第一項 の規定にかかわらず、第三者に対してもその効力を有する。
2  民法第七百三十二条 の規定に違反したことを理由として婚姻の取消しの請求がされた場合におけるその請求を棄却した確定判決は、前婚の配偶者に対しては、前項の規定にかかわらず、その前婚の配偶者がその請求に係る訴訟に参加したときに限り、その効力を有する。

(判決確定後の人事に関する訴えの提起の禁止)
第二十五条  人事訴訟の判決(訴えを不適法として却下した判決を除く。次項において同じ。)が確定した後は、原告は、当該人事訴訟において請求又は請求の原因を変更することにより主張することができた事実に基づいて同一の身分関係についての人事に関する訴えを提起することができない。
2  人事訴訟の判決が確定した後は、被告は、当該人事訴訟において反訴を提起することにより主張することができた事実に基づいて同一の身分関係についての人事に関する訴えを提起することができない。

(訴訟手続の中断及び受継)
第二十六条  第十二条第二項の規定により人事に関する訴えに係る身分関係の当事者の双方を被告とする場合において、その一方が死亡したときは、他の一方を被告として訴訟を追行する。この場合においては、民事訴訟法第百二十四条第一項第一号 の規定は、適用しない。
2  第十二条第一項又は第二項の場合において、被告がいずれも死亡したときは、検察官を被告として訴訟を追行する。

(当事者の死亡による人事訴訟の終了)
第二十七条  人事訴訟の係属中に原告が死亡した場合には、特別の定めがある場合を除き、当該人事訴訟は、当然に終了する。
2  離婚、嫡出否認又は離縁を目的とする人事訴訟の係属中に被告が死亡した場合には、当該人事訴訟は、前条第二項の規定にかかわらず、当然に終了する。
    第六節 補則


(利害関係人に対する訴訟係属の通知)
第二十八条  裁判所は、人事に関する訴えが提起された場合における利害関係人であって、父が死亡した後に認知の訴えが提起された場合におけるその子その他の相当と認められるものとして最高裁判所規則で定めるものに対し、訴訟が係属したことを通知するものとする。ただし、訴訟記録上その利害関係人の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。

(民事訴訟法 の適用関係)
第二十九条  人事訴訟に関する手続についての民事訴訟法 の規定の適用については、同法第二十五条第一項 中「地方裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所」とあるのは「家庭裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避については、その裁判官の所属する裁判所」と、同条第二項 並びに同法第百三十二条の五第一項 、第百八十五条、第二百三十五条第二項及び第三項、第二百六十九条第一項、第三百二十九条第三項並びに第三百三十七条第一項中「地方裁判所」とあるのは「家庭裁判所」と、同法第二百八十一条第一項 中「地方裁判所が第一審としてした終局判決又は簡易裁判所」とあるのは「家庭裁判所」と、同法第三百十一条第二項 中「地方裁判所の判決に対しては最高裁判所に、簡易裁判所の判決に対しては高等裁判所」とあるのは「家庭裁判所の判決に対しては最高裁判所」と、同法第三百三十六条第一項 中「地方裁判所及び簡易裁判所」とあるのは「家庭裁判所」とする。

(保全命令事件の管轄の特例)
第三十条  人事訴訟を本案とする保全命令事件は、民事保全法 (平成元年法律第九十一号)第十二条第一項 の規定にかかわらず、本案の管轄裁判所又は仮に差し押さえるべき物若しくは係争物の所在地を管轄する家庭裁判所が管轄する。
2  人事訴訟に係る請求と当該請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求とを一の訴えですることができる場合には、当該損害の賠償に関する請求に係る保全命令の申立ては、仮に差し押さえるべき物又は係争物の所在地を管轄する家庭裁判所にもすることができる。
   第二章 婚姻関係訴訟の特例

    第一節 管轄


第三十一条  家庭裁判所は、婚姻の取消し又は離婚の訴えに係る婚姻の当事者間に成年に達しない子がある場合には、当該訴えに係る訴訟についての第六条及び第七条の規定の適用に当たっては、その子の住所又は居所を考慮しなければならない。
    第二節 附帯処分等


(附帯処分についての裁判等)
第三十二条  裁判所は、申立てにより、夫婦の一方が他の一方に対して提起した婚姻の取消し又は離婚の訴えに係る請求を認容する判決において、子の監護者の指定その他子の監護に関する処分、財産の分与に関する処分又は標準報酬等の按分割合に関する処分(厚生年金保険法 (昭和二十九年法律第百十五号)第七十八条の二第二項 、国家公務員共済組合法 (昭和三十三年法律第百二十八号)第九十三条の五第二項 (私立学校教職員共済法 (昭和二十八年法律第二百四十五号)第二十五条 において準用する場合を含む。)又は地方公務員等共済組合法 (昭和三十七年法律第百五十二号)第百五条第二項 の規定による処分をいう。)(以下「附帯処分」と総称する。)についての裁判をしなければならない。
2  前項の場合においては、裁判所は、同項の判決において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。
3  前項の規定は、裁判所が婚姻の取消し又は離婚の訴えに係る請求を認容する判決において親権者の指定についての裁判をする場合について準用する。
4  裁判所は、第一項の子の監護者の指定その他子の監護に関する処分についての裁判又は前項の親権者の指定についての裁判をするに当たっては、子が十五歳以上であるときは、その子の陳述を聴かなければならない。

(事実の調査)
第三十三条  裁判所は、前条第一項の附帯処分についての裁判又は同条第三項の親権者の指定についての裁判をするに当たっては、事実の調査をすることができる。
2  裁判所は、相当と認めるときは、合議体の構成員に命じ、又は家庭裁判所若しくは簡易裁判所に嘱託して前項の事実の調査(以下単に「事実の調査」という。)をさせることができる。
3  前項の規定により受命裁判官又は受託裁判官が事実の調査をする場合には、裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。
4  裁判所が審問期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。
5  事実の調査の手続は、公開しない。ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。

(家庭裁判所調査官による事実の調査)
第三十四条  裁判所は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。
2  急迫の事情があるときは、裁判長が、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。
3  家庭裁判所調査官は、事実の調査の結果を書面又は口頭で裁判所に報告するものとする。
4  家庭裁判所調査官は、前項の規定による報告に意見を付することができる。

(事実調査部分の閲覧等)
第三十五条  訴訟記録中事実の調査に係る部分(以下この条において「事実調査部分」という。)についての民事訴訟法第九十一条第一項 、第三項又は第四項の規定による閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製(以下この条において「閲覧等」という。)の請求は、裁判所が次項又は第三項の規定により許可したときに限り、することができる。
2  裁判所は、当事者から事実調査部分の閲覧等の許可の申立てがあった場合においては、その閲覧等を許可しなければならない。ただし、当該事実調査部分中閲覧等を行うことにより次に掲げるおそれがあると認められる部分については、相当と認めるときに限り、その閲覧等を許可することができる。
一  当事者間に成年に達しない子がある場合におけるその子の利益を害するおそれ
二  当事者又は第三者の私生活又は業務の平穏を害するおそれ
三  当事者又は第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、又はその者の名誉を著しく害するおそれ
3  裁判所は、利害関係を疎明した第三者から事実調査部分の閲覧等の許可の申立てがあった場合においては、相当と認めるときは、その閲覧等を許可することができる。
4  第二項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
5  前項の規定による即時抗告が人事訴訟に関する手続を不当に遅延させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。
6  前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
7  第三項の申立てを却下した裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

(判決によらない婚姻の終了の場合の附帯処分についての裁判)
第三十六条  婚姻の取消し又は離婚の訴えに係る訴訟において判決によらないで当該訴えに係る婚姻が終了した場合において、既に附帯処分の申立てがされているときであって、その附帯処分に係る事項がその婚姻の終了に際し定められていないときは、受訴裁判所は、その附帯処分についての審理及び裁判をしなければならない。
    第三節 和解並びに請求の放棄及び認諾


第三十七条  離婚の訴えに係る訴訟における和解(これにより離婚がされるものに限る。以下この条において同じ。)並びに請求の放棄及び認諾については、第十九条第二項の規定にかかわらず、民事訴訟法第二百六十六条 (第二項中請求の認諾に関する部分を除く。)及び第二百六十七条 の規定を適用する。ただし、請求の認諾については、第三十二条第一項の附帯処分についての裁判又は同条第三項の親権者の指定についての裁判をすることを要しない場合に限る。
2  離婚の訴えに係る訴訟においては、民事訴訟法第二百六十四条 及び第二百六十五条 の規定による和解をすることができない。
3  離婚の訴えに係る訴訟における民事訴訟法第百七十条第三項 の期日においては、同条第四項 の当事者は、和解及び請求の認諾をすることができない。
    第四節 履行の確保


(履行の勧告)
第三十八条  第三十二条第一項又は第二項(同条第三項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定による裁判で定められた義務については、当該裁判をした家庭裁判所(上訴裁判所が当該裁判をした場合にあっては、第一審裁判所である家庭裁判所)は、権利者の申出があるときは、その義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができる。
2  前項の家庭裁判所は、他の家庭裁判所に同項の規定による調査及び勧告を嘱託することができる。
3  第一項の家庭裁判所及び前項の嘱託を受けた家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査及び勧告をさせることができる。
4  前三項の規定は、第三十二条第一項又は第二項の規定による裁判で定めることができる義務であって、婚姻の取消し又は離婚の訴えに係る訴訟における和解で定められたものの履行について準用する。

(履行命令)
第三十九条  第三十二条第二項の規定による裁判で定められた金銭の支払その他の財産上の給付を目的とする義務の履行を怠った者がある場合において、相当と認めるときは、当該裁判をした家庭裁判所(上訴裁判所が当該裁判をした場合にあっては、第一審裁判所である家庭裁判所)は、権利者の申立てにより、義務者に対し、相当の期限を定めてその義務の履行をすべきことを命ずることができる。この場合において、その命令は、その命令をする時までに義務者が履行を怠った義務の全部又は一部についてするものとする。
2  前項の家庭裁判所は、同項の規定により義務の履行を命ずるには、義務者の陳述を聴かなければならない。
3  前二項の規定は、第三十二条第二項の規定による裁判で定めることができる金銭の支払その他の財産上の給付を目的とする義務であって、婚姻の取消し又は離婚の訴えに係る訴訟における和解で定められたものの履行について準用する。
4  第一項(前項において準用する場合を含む。)の規定により義務の履行を命じられた者が正当な理由なくその命令に従わないときは、その義務の履行を命じた家庭裁判所は、決定で、十万円以下の過料に処する。
5  前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
6  民事訴訟法第百八十九条 の規定は、第四項の決定について準用する。

(金銭の寄託)
第四十条  第三十二条第二項の規定による裁判で定められた金銭の支払を目的とする義務の履行については、当該裁判をした家庭裁判所(上訴裁判所が当該裁判をした場合にあっては、第一審裁判所である家庭裁判所)の裁判官の所属する家庭裁判所は、次に掲げる場合には、義務者の申出により、権利者のために金銭の寄託を受けることができる。
一  金銭の支払を家庭裁判所に寄託してすることを命ずる裁判が効力を生じたとき。
二  前号に掲げる場合のほか、当該家庭裁判所に所属する裁判官が、当該裁判で定められた金銭の支払を目的とする義務の履行について、その金銭の寄託を相当と認めたとき。
2  第三十二条第二項の規定による裁判において寄託をすべき家庭裁判所が特に定められたときは、金銭の寄託は、その家庭裁判所が受けることができる。
3  前二項の規定により金銭の寄託を受けた家庭裁判所は、権利者の請求により、その金銭を権利者に交付しなければならない。ただし、権利者が反対給付をすべき場合には、寄託者の作成した書面又は裁判書、公正証書その他の反対給付のあった事実を証する書面の提出があったときに限る。
4  前三項の規定は、第三十二条第二項の規定による裁判で定めることができる金銭の支払を目的とする義務であって、婚姻の取消し又は離婚の訴えに係る訴訟における和解で定められたものの履行について準用する。
   第三章 実親子関係訴訟の特例


(嫡出否認の訴えの当事者等)
第四十一条  夫が子の出生前に死亡したとき又は民法第七百七十七条 に定める期間内に嫡出否認の訴えを提起しないで死亡したときは、その子のために相続権を害される者その他夫の三親等内の血族は、嫡出否認の訴えを提起することができる。この場合においては、夫の死亡の日から一年以内にその訴えを提起しなければならない。
2  夫が嫡出否認の訴えを提起した後に死亡した場合には、前項の規定により嫡出否認の訴えを提起することができる者は、夫の死亡の日から六月以内に訴訟手続を受け継ぐことができる。この場合においては、民事訴訟法第百二十四条第一項 後段の規定は、適用しない。

(認知の訴えの当事者等)
第四十二条  認知の訴えにおいては、父又は母を被告とし、その者が死亡した後は、検察官を被告とする。
2  第二十六条第二項の規定は、前項の規定により父又は母を当該訴えの被告とする場合においてその者が死亡したときについて準用する。
3  子が認知の訴えを提起した後に死亡した場合には、その直系卑属又はその法定代理人は、民法第七百八十七条 ただし書に定める期間が経過した後、子の死亡の日から六月以内に訴訟手続を受け継ぐことができる。この場合においては、民事訴訟法第百二十四条第一項 後段の規定は、適用しない。

(父を定めることを目的とする訴えの当事者等)
第四十三条  子、母、母の配偶者又はその前配偶者は、民法第七百七十三条 の規定により父を定めることを目的とする訴えを提起することができる。
2  次の各号に掲げる者が提起する前項の訴えにおいては、それぞれ当該各号に定める者を被告とし、これらの者が死亡した後は、検察官を被告とする。
一  子又は母 母の配偶者及びその前配偶者(その一方が死亡した後は、他の一方)
二  母の配偶者 母の前配偶者
三  母の前配偶者 母の配偶者
3  第二十六条の規定は、前項の規定により同項各号に定める者を当該訴えの被告とする場合においてこれらの者が死亡したときについて準用する。
   第四章 養子縁組関係訴訟の特例


第四十四条  第三十七条(第一項ただし書を除く。)の規定は、離縁の訴えに係る訴訟における和解(これにより離縁がされるものに限る。)並びに請求の放棄及び認諾について準用する。

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商法(寄託・倉庫)


   第九章 寄託

    第一節 総則


第五百九十三条  商人カ其営業ノ範囲内ニ於テ寄託ヲ受ケタルトキハ報酬ヲ受ケサルトキト雖モ善良ナル管理者ノ注意ヲ為スコトヲ要ス

第五百九十四条  旅店、飲食店、浴場其他客ノ来集ヲ目的トスル場屋ノ主人ハ客ヨリ寄託ヲ受ケタル物品ノ滅失又ハ毀損ニ付キ其不可抗力ニ因リタルコトヲ証明スルニ非サレハ損害賠償ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス
○2 客カ特ニ寄託セサル物品ト雖モ場屋中ニ携帯シタル物品カ場屋ノ主人又ハ其使用人ノ不注意ニ因リテ滅失又ハ毀損シタルトキハ場屋ノ主人ハ損害賠償ノ責ニ任ス
○3 客ノ携帯品ニ付キ責任ヲ負ハサル旨ヲ告示シタルトキト雖モ場屋ノ主人ハ前二項ノ責任ヲ免ルルコトヲ得ス

第五百九十五条  貨幣、有価証券其他ノ高価品ニ付テハ客カ其種類及ヒ価額ヲ明告シテ之ヲ前条ノ場屋ノ主人ニ寄託シタルニ非サレハ其場屋ノ主人ハ其物品ノ滅失又ハ毀損ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任セス

第五百九十六条  前二条ノ責任ハ場屋ノ主人カ寄託物ヲ返還シ又ハ客カ携帯品ヲ持去リタル後一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
○2 前項ノ期間ハ物品ノ全部滅失ノ場合ニ於テハ客カ場屋ヲ去リタル時ヨリ之ヲ起算ス
○3 前二項ノ規定ハ場屋ノ主人ニ悪意アリタル場合ニハ之ヲ適用セス
    第二節 倉庫営業


第五百九十七条  倉庫営業者トハ他人ノ為メニ物品ヲ倉庫ニ保管スルヲ業トスル者ヲ謂フ

第五百九十八条  倉庫営業者ハ寄託者ノ請求ニ因リ寄託物ノ預証券及ヒ質入証券ヲ交付スルコトヲ要ス

第五百九十九条  預証券及ヒ質入証券ニハ左ノ事項及ヒ番号ヲ記載シ倉庫営業者之ニ署名スルコトヲ要ス
一  受寄物ノ種類、品質、数量及ヒ其荷造ノ種類、個数並ニ記号
二  寄託者ノ氏名又ハ商号
三  保管ノ場所
四  保管料
五  保管ノ期間ヲ定メタルトキハ其期間
六  受寄物ヲ保険ニ付シタルトキハ保険金額、保険期間及ヒ保険者ノ氏名又ハ商号
七  証券ノ作成地及ヒ其作成ノ年月日

第六百条  倉庫営業者カ預証券及ヒ質入証券ヲ寄託者ニ交付シタルトキハ其帳簿ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一  前条第一号、第二号及ヒ第四号乃至第六号ニ掲ケタル事項
二  証券ノ番号及ヒ其作成ノ年月日

第六百一条  預証券及ヒ質入証券ノ所持人ハ倉庫営業者ニ対シ寄託物ヲ分割シ且其各部分ニ対スル預証券及ヒ質入証券ノ交付ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テハ所持人ハ前ノ預証券及ヒ質入証券ヲ倉庫営業者ニ返還スルコトヲ要ス
○2 前項ニ定メタル寄託物ノ分割及ヒ証券ノ交付ニ関スル費用ハ所持人之ヲ負担ス

第六百二条  預証券及ヒ質入証券ヲ作リタルトキハ寄託ニ関スル事項ハ倉庫営業者ト所持人トノ間ニ於テハ其証券ノ定ムル所ニ依ル

第六百三条  預証券及ヒ質入証券ハ其記名式ナルトキト雖モ裏書ニ依リテ之ヲ譲渡シ又ハ之ヲ質入スルコトヲ得但証券ニ裏書ヲ禁スル旨ヲ記載シタルトキハ此限ニ在ラス
○2 預証券ノ所持人カ未タ質入ヲ為ササル間ハ預証券及ヒ質入証券ハ各別ニ之ヲ譲渡スコトヲ得ス

第六百四条  第五百七十三条及ヒ第五百七十五条ノ規定ハ預証券及ヒ質入証券ニ之ヲ準用ス

第六百五条  預証券又ハ質入証券カ滅失シタルトキハ其所持人ハ相当ノ担保ヲ供シテ更ニ其証券ノ交付ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テハ倉庫営業者ハ其旨ヲ帳簿ニ記載スルコトヲ要ス

第六百六条  質入証券ニ第一ノ質入裏書ヲ為スニハ債権額、其利息及ヒ弁済期ヲ記載スルコトヲ要ス
○2 第一ノ質権者カ前項ニ掲ケタル事項ヲ預証券ニ記載シテ之ニ署名スルニ非サレハ質権ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス

第六百七条  預証券ノ所持人ハ寄託物ヲ以テ預証券ニ記載シタル債権額及ヒ利息ヲ弁済スル義務ヲ負フ

第六百八条  質入証券所持人ノ債権ノ弁済ハ倉庫営業者ノ営業所ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス

第六百九条  質入証券ノ所持人カ弁済期ニ至リ支払ヲ受ケサルトキハ手形ニ関スル規定ニ従ヒテ拒絶証書ヲ作ラシムルコトヲ要ス

第六百十条  質入証券ノ所持人ハ拒絶証書作成ノ日ヨリ一週間ヲ経過シタル後ニ非サレハ寄託物ノ競売ヲ請求スルコトヲ得ス

第六百十一条  倉庫営業者ハ競売代金ノ中ヨリ競売ニ関スル費用、受寄物ニ課スヘキ租税、保管料其他保管ニ関スル費用及ヒ立替金ヲ控除シタル後其残額ヲ質入証券ト引換ニ其所持人ニ支払フコトヲ要ス
○2 競売代金ノ中ヨリ前項ニ掲ケタル費用、租税、保管料、立替金及ヒ質入証券所持人ノ債権額、利息、拒絶証書作成ノ費用ヲ控除シタル後余剰アルトキハ倉庫営業者ハ之ヲ預証券ト引換ニ其所持人ニ支払フコトヲ要ス

第六百十二条  競売代金ヲ以テ質入証券ニ記載シタル債権ノ全部ヲ弁済スルコト能ハサリシトキハ倉庫営業者ハ其支払ヒタル金額ヲ質入証券ニ記載シテ其証券ヲ返還シ且其旨ヲ帳簿ニ記載スルコトヲ要ス

第六百十三条  質入証券ノ所持人ハ先ツ寄託物ニ付キ弁済ヲ受ケ尚ホ不足アルトキハ其裏書人ニ対シテ不足額ヲ請求スルコトヲ得
○2 手形法第四十五条第一項第三項第五項第六項 、第四十八条第一項、第四十九条及ヒ第五十条第一項ノ規定ハ前項ニ定メタル不足額ノ請求ニ之ヲ準用ス
○3 手形法第五十二条第三項 ノ規定ハ不足額ノ請求ヲ受クル者ノ営業所又ハ住所ノ所在地カ其請求ヲ為ス者ノ営業所又ハ住所ノ所在地ト異ナル場合ニ於ケル償還額ノ算定ニ付キ之ヲ準用ス

第六百十四条  質入証券ノ所持人カ弁済期ニ至リ支払ヲ受ケサリシ場合ニ於テ拒絶証書ヲ作ラシメサリシトキ又ハ拒絶証書作成ノ日ヨリ二週間内ニ寄託物ノ競売ヲ請求セサリシトキハ裏書人ニ対スル請求権ヲ失フ

第六百十五条  質入証券所持人ノ預証券所持人ニ対スル請求権ハ弁済期ヨリ一年質入証券裏書人ニ対スル請求権ハ寄託物ニ付キ弁済ヲ受ケタル日ヨリ六个月質入証券裏書人ノ其前者ニ対スル請求権ハ償還ヲ為シタル日ヨリ六个月ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス

第六百十六条  寄託者又ハ預証券ノ所持人ハ営業時間内何時ニテモ倉庫営業者ニ対シテ寄託物ノ点検若クハ其見本ノ摘出ヲ求メ又ハ其保存ニ必要ナル処分ヲ為スコトヲ得
○2 質入証券ノ所持人ハ営業時間内何時ニテモ倉庫営業者ニ対シテ寄託物ノ点検ヲ求ムルコトヲ得

第六百十七条  倉庫営業者ハ自己又ハ其使用人カ受寄物ノ保管ニ関シ注意ヲ怠ラサリシコトヲ証明スルニ非サレハ其滅失又ハ毀損ニ付キ損害賠償ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス

第六百十八条  倉庫営業者ハ受寄物出庫ノ時ニ非サレハ保管料及ヒ立替金其他受寄物ニ関スル費用ノ支払ヲ請求スルコトヲ得ス但受寄物ノ一部出庫ノ場合ニ於テハ割合ニ応シテ其支払ヲ請求スルコトヲ得

第六百十九条  当事者カ保管ノ期間ヲ定メサリシトキハ倉庫営業者ハ受寄物入庫ノ日ヨリ六个月ヲ経過シタル後ニ非サレハ其返還ヲ為スコトヲ得ス但已ムコトヲ得サル事由アルトキハ此限ニ在ラス

第六百二十条  預証券及ヒ質入証券ヲ作リタル場合ニ於テハ之ト引換ニ非サレハ寄託物ノ返還ヲ請求スルコトヲ得ス

第六百二十一条  預証券ノ所持人ハ質入証券ニ記載シタル債権ノ弁済期前ト雖モ其債権ノ全額及ヒ弁済期マテノ利息ヲ倉庫営業者ニ供託シテ寄託物ノ返還ヲ請求スルコトヲ得

第六百二十二条  寄託物カ同種類ニシテ同一ノ品質ヲ有シ且分割スルコトヲ得ヘキ物ナルトキハ預証券ノ所持人ハ債権額ノ一部及ヒ其弁済期マテノ利息ヲ供託シ其割合ニ応シテ寄託物ノ一部ノ返還ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テ倉庫営業者ハ供託ヲ受ケタル金額及ヒ返還シタル寄託物ノ数量ヲ預証券ニ記載シ且其旨ヲ帳簿ニ記載スルコトヲ要ス
○2 前項ニ定メタル寄託物ノ一部出庫ニ関スル費用ハ預証券ノ所持人之ヲ負担ス

第六百二十三条  前二条ノ場合ニ於テ質入証券ノ所持人ノ権利ハ供託金ノ上ニ存在ス
○2 第六百十二条ノ規定ハ前条第一項ノ供託金ヲ以テ質入証券ニ記載シタル債権ノ一部ヲ弁済シタル場合ニ之ヲ準用ス

第六百二十四条  第五百二十四条第一項及ヒ第二項ノ規定ハ寄託者又ハ預証券ノ所持人カ寄託物ヲ受取ルコトヲ拒ミ又ハ之ヲ受取ルコト能ハサル場合ニ之ヲ準用ス此場合ニ於テ質入証券ノ所持人ノ権利ハ競売代金ノ上ニ存在ス
○2 第六百十一条及ヒ第六百十二条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス

第六百二十五条  第五百八十八条ノ規定ハ倉庫営業者ニ之ヲ準用ス

第六百二十六条  寄託物ノ滅失又ハ毀損ニ因リテ生シタル倉庫営業者ノ責任ハ出庫ノ日ヨリ一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
○2 前項ノ期間ハ寄託物ノ全部滅失ノ場合ニ於テハ倉庫営業者カ預証券ノ所持人、若シ其所持人カ知レサルトキハ寄託者ニ対シテ其滅失ノ通知ヲ発シタル日ヨリ之ヲ起算ス
○3 前二項ノ規定ハ倉庫営業者ニ悪意アリタル場合ニハ之ヲ適用セス

第六百二十七条  倉庫営業者ハ寄託者ノ請求アルトキハ預証券及ヒ質入証券ニ代ヘテ倉荷証券ヲ交付スルコトヲ要ス
○2 倉荷証券ニハ預証券ニ関スル規定ヲ準用ス

第六百二十八条  倉荷証券ヲ以テ質権ノ目的ト為シタル場合ニ於テ質権者ノ承諾アルトキハ寄託者ハ債権ノ弁済期前ト雖モ寄託物ノ一部ノ返還ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テ倉庫営業者ハ返還シタル寄託物ノ種類、品質及ヒ数量ヲ倉荷証券ニ記載シ且其旨ヲ帳簿ニ記載スルコトヲ要ス


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商法(運送)


第七章 運送取扱営業


第五百五十九条  運送取扱人トハ自己ノ名ヲ以テ物品運送ノ取次ヲ為スヲ業トスル者ヲ謂フ
○2 運送取扱人ニハ本章ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外問屋ニ関スル規定ヲ準用ス

第五百六十条  運送取扱人ハ自己又ハ其使用人カ運送品ノ受取、引渡、保管、運送人又ハ他ノ運送取扱人ノ選択其他運送ニ関スル注意ヲ怠ラサリシコトヲ証明スルニ非サレハ運送品ノ滅失、毀損又ハ延著ニ付キ損害賠償ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス

第五百六十一条  運送取扱人カ運送品ヲ運送人ニ引渡シタルトキハ直チニ其報酬ヲ請求スルコトヲ得
○2 運送取扱契約ヲ以テ運送賃ノ額ヲ定メタルトキハ運送取扱人ハ特約アルニ非サレハ別ニ報酬ヲ請求スルコトヲ得ス

第五百六十二条  運送取扱人ハ運送品ニ関シ受取ルヘキ報酬、運送賃其他委託者ノ為メニ為シタル立替又ハ前貸ニ付テノミ其運送品ヲ留置スルコトヲ得

第五百六十三条  数人相次テ運送ノ取次ヲ為ス場合ニ於テハ後者ハ前者ニ代ハリテ其権利ヲ行使スル義務ヲ負フ
○2 前項ノ場合ニ於テ後者カ前者ニ弁済ヲ為シタルトキハ前者ノ権利ヲ取得ス

第五百六十四条  運送取扱人カ運送人ニ弁済ヲ為シタルトキハ運送人ノ権利ヲ取得ス

第五百六十五条  運送取扱人ハ特約ナキトキハ自ラ運送ヲ為スコトヲ得此場合ニ於テハ運送取扱人ハ運送人ト同一ノ権利義務ヲ有ス
○2 運送取扱人カ委託者ノ請求ニ因リテ貨物引換証ヲ作リタルトキハ自ラ運送ヲ為スモノト看做ス

第五百六十六条  運送取扱人ノ責任ハ荷受人カ運送品ヲ受取リタル日ヨリ一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
○2 前項ノ期間ハ運送品ノ全部滅失ノ場合ニ於テハ其引渡アルヘカリシ日ヨリ之ヲ起算ス
○3 前二項ノ規定ハ運送取扱人ニ悪意アリタル場合ニハ之ヲ適用セス

第五百六十七条  運送取扱人ノ委託者又ハ荷受人ニ対スル債権ハ一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス

第五百六十八条  第五百七十八条及ヒ第五百八十三条ノ規定ハ運送取扱営業ニ之ヲ準用ス
   第八章 運送営業

    第一節 総則


第五百六十九条  運送人トハ陸上又ハ湖川、港湾ニ於テ物品又ハ旅客ノ運送ヲ為スヲ業トスル者ヲ謂フ
    第二節 物品運送


第五百七十条  荷送人ハ運送人ノ請求ニ因リ運送状ヲ交付スルコトヲ要ス
○2 運送状ニハ左ノ事項ヲ記載シ荷送人之ニ署名スルコトヲ要ス
一  運送品ノ種類、重量又ハ容積及ヒ其荷造ノ種類、個数並ニ記号
二  到達地
三  荷受人ノ氏名又ハ商号
四  運送状ノ作成地及ヒ其作成ノ年月日

第五百七十一条  運送人ハ荷送人ノ請求ニ因リ貨物引換証ヲ交付スルコトヲ要ス
○2 貨物引換証ニハ左ノ事項ヲ記載シ運送人之ニ署名スルコトヲ要ス
一  前条第二項第一号乃至第三号ニ掲ケタル事項
二  荷送人ノ氏名又ハ商号
三  運送賃
四  貨物引換証ノ作成地及ヒ其作成ノ年月日

第五百七十二条  貨物引換証ヲ作リタルトキハ運送ニ関スル事項ハ運送人ト所持人トノ間ニ於テハ貨物引換証ノ定ムル所ニ依ル

第五百七十三条  貨物引換証ヲ作リタルトキハ運送品ニ関スル処分ハ貨物引換証ヲ以テスルニ非サレハ之ヲ為スコトヲ得ス

第五百七十四条  貨物引換証ハ其記名式ナルトキト雖モ裏書ニ依リテ之ヲ譲渡スコトヲ得但貨物引換証ニ裏書ヲ禁スル旨ヲ記載シタルトキハ此限ニ在ラス

第五百七十五条  貨物引換証ニ依リ運送品ヲ受取ルコトヲ得ヘキ者ニ貨物引換証ヲ引渡シタルトキハ其引渡ハ運送品ノ上ニ行使スル権利ノ取得ニ付キ運送品ノ引渡ト同一ノ効力ヲ有ス

第五百七十六条  運送品ノ全部又ハ一部カ不可抗力ニ因リテ滅失シタルトキハ運送人ハ其運送賃ヲ請求スルコトヲ得ス若シ運送人カ既ニ其運送賃ノ全部又ハ一部ヲ受取リタルトキハ之ヲ返還スルコトヲ要ス
○2 運送品ノ全部又ハ一部カ其性質若クハ瑕疵又ハ荷送人ノ過失ニ因リテ滅失シタルトキハ運送人ハ運送賃ノ全額ヲ請求スルコトヲ得

第五百七十七条  運送人ハ自己若クハ運送取扱人又ハ其使用人其他運送ノ為メ使用シタル者カ運送品ノ受取、引渡、保管及ヒ運送ニ関シ注意ヲ怠ラサリシコトヲ証明スルニ非サレハ運送品ノ滅失、毀損又ハ延著ニ付キ損害賠償ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス

第五百七十八条  貨幣、有価証券其他ノ高価品ニ付テハ荷送人カ運送ヲ委託スルニ当タリ其種類及ヒ価額ヲ明告シタルニ非サレハ運送人ハ損害賠償ノ責ニ任セス

第五百七十九条  数人相次テ運送ヲ為ス場合ニ於テハ各運送人ハ運送品ノ滅失、毀損又ハ延著ニ付キ連帯シテ損害賠償ノ責ニ任ス

第五百八十条  運送品ノ全部滅失ノ場合ニ於ケル損害賠償ノ額ハ其引渡アルヘカリシ日ニ於ケル到達地ノ価格ニ依リテ之ヲ定ム
○2 運送品ノ一部滅失又ハ毀損ノ場合ニ於ケル損害賠償ノ額ハ其引渡アリタル日ニ於ケル到達地ノ価格ニ依リテ之ヲ定ム但延著ノ場合ニ於テハ前項ノ規定ヲ準用ス
○3 運送品ノ滅失又ハ毀損ノ為メ支払フコトヲ要セサル運送賃其他ノ費用ハ前二項ノ賠償額ヨリ之ヲ控除ス

第五百八十一条  運送品カ運送人ノ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リテ滅失、毀損又ハ延著シタルトキハ運送人ハ一切ノ損害ヲ賠償スル責ニ任ス

第五百八十二条  荷送人又ハ貨物引換証ノ所持人ハ運送人ニ対シ運送ノ中止、運送品ノ返還其他ノ処分ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テハ運送人ハ既ニ為シタル運送ノ割合ニ応スル運送賃、立替金及ヒ其処分ニ因リテ生シタル費用ノ弁済ヲ請求スルコトヲ得
○2 前項ニ定メタル荷送人ノ権利ハ運送品カ到達地ニ達シタル後荷受人カ其引渡ヲ請求シタルトキハ消滅ス

第五百八十三条  運送品カ到達地ニ達シタル後ハ荷受人ハ運送契約ニ因リテ生シタル荷送人ノ権利ヲ取得ス
○2 荷受人カ運送品ヲ受取リタルトキハ運送人ニ対シ運送賃其他ノ費用ヲ支払フ義務ヲ負フ

第五百八十四条  貨物引換証ヲ作リタル場合ニ於テハ之ト引換ニ非サレハ運送品ノ引渡ヲ請求スルコトヲ得ス

第五百八十五条  荷受人ヲ確知スルコト能ハサルトキハ運送人ハ運送品ヲ供託スルコトヲ得
○2 前項ノ場合ニ於テ運送人カ荷送人ニ対シ相当ノ期間ヲ定メ運送品ノ処分ニ付キ指図ヲ為スヘキ旨ヲ催告スルモ荷送人カ其指図ヲ為ササルトキハ運送品ヲ競売スルコトヲ得
○3 運送人カ前二項ノ規定ニ従ヒテ運送品ノ供託又ハ競売ヲ為シタルトキハ遅滞ナク荷送人ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス

第五百八十六条  前条ノ規定ハ運送品ノ引渡ニ関シテ争アル場合ニ之ヲ準用ス
○2 運送人カ競売ヲ為スニハ予メ荷受人ニ対シ相当ノ期間ヲ定メテ運送品ノ受取ヲ催告シ其期間経過ノ後更ニ荷送人ニ対スル催告ヲ為スコトヲ要ス
○3 運送人ハ遅滞ナク荷受人ニ対シテモ運送品ノ供託又ハ競売ノ通知ヲ発スルコトヲ要ス

第五百八十七条  第五百二十四条第二項及ヒ第三項ノ規定ハ前二条ノ場合ニ之ヲ準用ス

第五百八十八条  運送人ノ責任ハ荷受人カ留保ヲ為サスシテ運送品ヲ受取リ且運送賃其他ノ費用ヲ支払ヒタルトキハ消滅ス但運送品ニ直チニ発見スルコト能ハサル毀損又ハ一部滅失アリタル場合ニ於テ荷受人カ引渡ノ日ヨリ二週間内ニ運送人ニ対シテ其通知ヲ発シタルトキハ此限ニ在ラス
○2 前項ノ規定ハ運送人ニ悪意アリタル場合ニハ之ヲ適用セス

第五百八十九条  第五百六十二条、第五百六十三条、第五百六十六条及ヒ第五百六十七条ノ規定ハ運送人ニ之ヲ準用ス
    第三節 旅客運送


第五百九十条  旅客ノ運送人ハ自己又ハ其使用人カ運送ニ関シ注意ヲ怠ラサリシコトヲ証明スルニ非サレハ旅客カ運送ノ為メニ受ケタル損害ヲ賠償スル責ヲ免ルルコトヲ得ス
○2 損害賠償ノ額ヲ定ムルニ付テハ裁判所ハ被害者及ヒ其家族ノ情況ヲ斟酌スルコトヲ要ス

第五百九十一条  旅客ノ運送人ハ旅客ヨリ引渡ヲ受ケタル手荷物ニ付テハ特ニ運送賃ヲ請求セサルトキト雖モ物品ノ運送人ト同一ノ責任ヲ負フ
○2 手荷物カ到達地ニ達シタル日ヨリ一週間内ニ旅客カ其引渡ヲ請求セサルトキハ第五百二十四条ノ規定ヲ準用ス但住所又ハ居所ノ知レサル旅客ニハ催告及ヒ通知ヲ為スコトヲ要セス

第五百九十二条  旅客ノ運送人ハ旅客ヨリ引渡ヲ受ケサル手荷物ノ滅失又ハ毀損ニ付テハ自己又ハ其使用人ニ過失アル場合ヲ除ク外損害賠償ノ責ニ任セス


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商法(仲立・問屋)


第五章 仲立営業


第五百四十三条  仲立人トハ他人間ノ商行為ノ媒介ヲ為スヲ業トスル者ヲ謂フ

第五百四十四条  仲立人ハ其媒介シタル行為ニ付キ当事者ノ為メニ支払其他ノ給付ヲ受クルコトヲ得ス但別段ノ意思表示又ハ慣習アルトキハ此限ニ在ラス

第五百四十五条  仲立人カ其媒介スル行為ニ付キ見本ヲ受取リタルトキハ其行為カ完了スルマテ之ヲ保管スルコトヲ要ス

第五百四十六条  当事者間ニ於テ行為カ成立シタルトキハ仲立人ハ遅滞ナク各当事者ノ氏名又ハ商号、行為ノ年月日及ヒ其要領ヲ記載シタル書面ヲ作リ署名ノ後之ヲ各当事者ニ交付スルコトヲ要ス
○2 当事者カ直チニ履行ヲ為スヘキ場合ヲ除ク外仲立人ハ各当事者ヲシテ前項ノ書面ニ署名セシメタル後之ヲ其相手方ニ交付スルコトヲ要ス
○3 前二項ノ場合ニ於テ当事者ノ一方カ書面ヲ受領セス又ハ之ニ署名セサルトキハ仲立人ハ遅滞ナク相手方ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス

第五百四十七条  仲立人ハ其帳簿ニ前条第一項ニ掲ケタル事項ヲ記載スルコトヲ要ス
○2 当事者ハ何時ニテモ仲立人カ自己ノ為メニ媒介シタル行為ニ付キ其帳簿ノ謄本ノ交付ヲ請求スルコトヲ得

第五百四十八条  当事者カ其氏名又ハ商号ヲ相手方ニ示ササルヘキ旨ヲ仲立人ニ命シタルトキハ仲立人ハ第五百四十六条第一項ノ書面及ヒ前条第二項ノ謄本ニ其氏名又ハ商号ヲ記載スルコトヲ得ス

第五百四十九条  仲立人カ当事者ノ一方ノ氏名又ハ商号ヲ其相手方ニ示ササリシトキハ之ニ対シテ自ラ履行ヲ為ス責ニ任ス

第五百五十条  仲立人ハ第五百四十六条ノ手続ヲ終ハリタル後ニ非サレハ報酬ヲ請求スルコトヲ得ス
○2 仲立人ノ報酬ハ当事者双方平分シテ之ヲ負担ス
   第六章 問屋営業


第五百五十一条  問屋トハ自己ノ名ヲ以テ他人ノ為メニ物品ノ販売又ハ買入ヲ為スヲ業トスル者ヲ謂フ

第五百五十二条  問屋ハ他人ノ為メニ為シタル販売又ハ買入ニ因リ相手方ニ対シテ自ラ権利ヲ得義務ヲ負フ
○2 問屋ト委託者トノ間ニ於テハ本章ノ規定ノ外委任及ヒ代理ニ関スル規定ヲ準用ス

第五百五十三条  問屋ハ委託者ノ為メニ為シタル販売又ハ買入ニ付キ相手方カ其債務ヲ履行セサル場合ニ於テ自ラ其履行ヲ為ス責ニ任ス但別段ノ意思表示又ハ慣習アルトキハ此限ニ在ラス

第五百五十四条  問屋カ委託者ノ指定シタル金額ヨリ廉価ニテ販売ヲ為シ又ハ高価ニテ買入ヲ為シタル場合ニ於テ自ラ其差額ヲ負担スルトキハ其販売又ハ買入ハ委託者ニ対シテ其効力ヲ生ス

第五百五十五条  問屋カ取引所ノ相場アル物品ノ販売又ハ買入ノ委託ヲ受ケタルトキハ自ラ買主又ハ売主ト為ルコトヲ得此場合ニ於テハ売買ノ代価ハ問屋カ買主又ハ売主ト為リタルコトノ通知ヲ発シタル時ニ於ケル取引所ノ相場ニ依リテ之ヲ定ム
○2 前項ノ場合ニ於テモ問屋ハ委託者ニ対シテ報酬ヲ請求スルコトヲ得

第五百五十六条  問屋カ買入ノ委託ヲ受ケタル場合ニ於テ委託者カ買入レタル物品ヲ受取ルコトヲ拒ミ又ハ之ヲ受取ルコト能ハサルトキハ第五百二十四条ノ規定ヲ準用ス

第五百五十七条  第二十七条及ビ第三十一条ノ規定ハ問屋ニ之ヲ準用ス

第五百五十八条  本章ノ規定ハ自己ノ名ヲ以テ他人ノ為メニ販売又ハ買入ニ非サル行為ヲ為スヲ業トスル者ニ之ヲ準用ス


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商法(交互計算・匿名組合)


第三章 交互計算

(交互計算)
第五百二十九条  交互計算は、商人間又は商人と商人でない者との間で平常取引をする場合において、一定の期間内の取引から生ずる債権及び債務の総額について相殺をし、その残額の支払をすることを約することによって、その効力を生ずる。

(商業証券に係る債権債務に関する特則)
第五百三十条  手形その他の商業証券から生じた債権及び債務を交互計算に組み入れた場合において、その商業証券の債務者が弁済をしないときは、当事者は、その債務に関する項目を交互計算から除外することができる。

(交互計算の期間)
第五百三十一条  当事者が相殺をすべき期間を定めなかったときは、その期間は、六箇月とする。

(交互計算の承認)
第五百三十二条  当事者は、債権及び債務の各項目を記載した計算書の承認をしたときは、当該各項目について異議を述べることができない。ただし、当該計算書の記載に錯誤又は脱漏があったときは、この限りでない。

(残額についての利息請求権等)
第五百三十三条  相殺によって生じた残額については、債権者は、計算の閉鎖の日以後の法定利息を請求することができる。
2  前項の規定は、当該相殺に係る債権及び債務の各項目を交互計算に組み入れた日からこれに利息を付することを妨げない。

(交互計算の解除)
第五百三十四条  各当事者は、いつでも交互計算の解除をすることができる。この場合において、交互計算の解除をしたときは、直ちに、計算を閉鎖して、残額の支払を請求することができる。
   第四章 匿名組合


(匿名組合契約)
第五百三十五条  匿名組合契約は、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約することによって、その効力を生ずる。

(匿名組合員の出資及び権利義務)
第五百三十六条  匿名組合員の出資は、営業者の財産に属する。
2  匿名組合員は、金銭その他の財産のみをその出資の目的とすることができる。
3  匿名組合員は、営業者の業務を執行し、又は営業者を代表することができない。
4  匿名組合員は、営業者の行為について、第三者に対して権利及び義務を有しない。

(自己の氏名等の使用を許諾した匿名組合員の責任)
第五百三十七条  匿名組合員は、自己の氏若しくは氏名を営業者の商号中に用いること又は自己の商号を営業者の商号として使用することを許諾したときは、その使用以後に生じた債務については、営業者と連帯してこれを弁済する責任を負う。

(利益の配当の制限)
第五百三十八条  出資が損失によって減少したときは、その損失をてん補した後でなければ、匿名組合員は、利益の配当を請求することができない。

(貸借対照表の閲覧等並びに業務及び財産状況に関する検査)
第五百三十九条  匿名組合員は、営業年度の終了時において、営業者の営業時間内に、次に掲げる請求をし、又は営業者の業務及び財産の状況を検査することができる。
一  営業者の貸借対照表が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二  営業者の貸借対照表が電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもので法務省令で定めるものをいう。)をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
2  匿名組合員は、重要な事由があるときは、いつでも、裁判所の許可を得て、営業者の業務及び財産の状況を検査することができる。
3  前項の許可に係る事件は、営業者の営業所の所在地(営業所がない場合にあっては、営業者の住所地)を管轄する地方裁判所が管轄する。

(匿名組合契約の解除)
第五百四十条  匿名組合契約で匿名組合の存続期間を定めなかったとき、又はある当事者の終身の間匿名組合が存続すべきことを定めたときは、各当事者は、営業年度の終了時において、契約の解除をすることができる。ただし、六箇月前にその予告をしなければならない。
2  匿名組合の存続期間を定めたか否かにかかわらず、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、いつでも匿名組合契約の解除をすることができる。

(匿名組合契約の終了事由)
第五百四十一条  前条の場合のほか、匿名組合契約は、次に掲げる事由によって終了する。
一  匿名組合の目的である事業の成功又はその成功の不能
二  営業者の死亡又は営業者が後見開始の審判を受けたこと。
三  営業者又は匿名組合員が破産手続開始の決定を受けたこと。

(匿名組合契約の終了に伴う出資の価額の返還)
第五百四十二条  匿名組合契約が終了したときは、営業者は、匿名組合員にその出資の価額を返還しなければならない。ただし、出資が損失によって減少したときは、その残額を返還すれば足りる。


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商法(商行為総則・売買)


 第二編 商行為
   第一章 総則

(絶対的商行為)
第五百一条  次に掲げる行為は、商行為とする。
一  利益を得て譲渡する意思をもってする動産、不動産若しくは有価証券の有償取得又はその取得したものの譲渡を目的とする行為
二  他人から取得する動産又は有価証券の供給契約及びその履行のためにする有償取得を目的とする行為
三  取引所においてする取引
四  手形その他の商業証券に関する行為

(営業的商行為)
第五百二条  次に掲げる行為は、営業としてするときは、商行為とする。ただし、専ら賃金を得る目的で物を製造し、又は労務に従事する者の行為は、この限りでない。
一  賃貸する意思をもってする動産若しくは不動産の有償取得若しくは賃借又はその取得し若しくは賃借したものの賃貸を目的とする行為
二  他人のためにする製造又は加工に関する行為
三  電気又はガスの供給に関する行為
四  運送に関する行為
五  作業又は労務の請負
六  出版、印刷又は撮影に関する行為
七  客の来集を目的とする場屋における取引
八  両替その他の銀行取引
九  保険
十  寄託の引受け
十一  仲立ち又は取次ぎに関する行為
十二  商行為の代理の引受け
十三  信託の引受け

(附属的商行為)
第五百三条  商人がその営業のためにする行為は、商行為とする。
2  商人の行為は、その営業のためにするものと推定する。

(商行為の代理)
第五百四条  商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であっても、その行為は、本人に対してその効力を生ずる。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときは、代理人に対して履行の請求をすることを妨げない。

(商行為の委任)
第五百五条  商行為の受任者は、委任の本旨に反しない範囲内において、委任を受けていない行為をすることができる。

(商行為の委任による代理権の消滅事由の特例)
第五百六条  商行為の委任による代理権は、本人の死亡によっては、消滅しない。

(対話者間における契約の申込み)
第五百七条  商人である対話者の間において契約の申込みを受けた者が直ちに承諾をしなかったときは、その申込みは、その効力を失う。

(隔地者間における契約の申込み)
第五百八条  商人である隔地者の間において承諾の期間を定めないで契約の申込みを受けた者が相当の期間内に承諾の通知を発しなかったときは、その申込みは、その効力を失う。
2  民法第五百二十三条 の規定は、前項の場合について準用する。

(契約の申込みを受けた者の諾否通知義務)
第五百九条  商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたときは、遅滞なく、契約の申込みに対する諾否の通知を発しなければならない。
2  商人が前項の通知を発することを怠ったときは、その商人は、同項の契約の申込みを承諾したものとみなす。

(契約の申込みを受けた者の物品保管義務)
第五百十条  商人がその営業の部類に属する契約の申込みを受けた場合において、その申込みとともに受け取った物品があるときは、その申込みを拒絶したときであっても、申込者の費用をもってその物品を保管しなければならない。ただし、その物品の価額がその費用を償うのに足りないとき、又は商人がその保管によって損害を受けるときは、この限りでない。

(多数当事者間の債務の連帯)
第五百十一条  数人の者がその一人又は全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、その債務は、各自が連帯して負担する。
2  保証人がある場合において、債務が主たる債務者の商行為によって生じたものであるとき、又は保証が商行為であるときは、主たる債務者及び保証人が各別の行為によって債務を負担したときであっても、その債務は、各自が連帯して負担する。

(報酬請求権)
第五百十二条  商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。

(利息請求権)
第五百十三条  商人間において金銭の消費貸借をしたときは、貸主は、法定利息(次条の法定利率による利息をいう。以下同じ。)を請求することができる。
2  商人がその営業の範囲内において他人のために金銭の立替えをしたときは、その立替えの日以後の法定利息を請求することができる。

(商事法定利率)
第五百十四条  商行為によって生じた債務に関しては、法定利率は、年六分とする。

(契約による質物の処分の禁止の適用除外)
第五百十五条  民法第三百四十九条 の規定は、商行為によって生じた債権を担保するために設定した質権については、適用しない。

(債務の履行の場所)
第五百十六条  商行為によって生じた債務の履行をすべき場所がその行為の性質又は当事者の意思表示によって定まらないときは、特定物の引渡しはその行為の時にその物が存在した場所において、その他の債務の履行は債権者の現在の営業所(営業所がない場合にあっては、その住所)において、それぞれしなければならない。
2  指図債権及び無記名債権の弁済は、債務者の現在の営業所(営業所がない場合にあっては、その住所)においてしなければならない。

(指図債権等の証券の提示と履行遅滞)
第五百十七条  指図債権又は無記名債権の債務者は、その債務の履行について期限の定めがあるときであっても、その期限が到来した後に所持人がその証券を提示してその履行の請求をした時から遅滞の責任を負う。

(有価証券喪失の場合の権利行使方法)
第五百十八条  金銭その他の物又は有価証券の給付を目的とする有価証券の所持人がその有価証券を喪失した場合において、非訟事件手続法 (明治三十一年法律第十四号)第百五十六条 に規定する公示催告の申立てをしたときは、その債務者に、その債務の目的物を供託させ、又は相当の担保を供してその有価証券の趣旨に従い履行をさせることができる。

(有価証券の譲渡方法及び善意取得)
第五百十九条  金銭その他の物又は有価証券の給付を目的とする有価証券の譲渡については、当該有価証券の性質に応じ、手形法 (昭和七年法律第二十号)第十二条 、第十三条及び第十四条第二項又は小切手法 (昭和八年法律第五十七号)第五条第二項 及び第十九条 の規定を準用する。
2  金銭その他の物又は有価証券の給付を目的とする有価証券の取得については、小切手法第二十一条 の規定を準用する。

(取引時間)
第五百二十条  法令又は慣習により商人の取引時間の定めがあるときは、その取引時間内に限り、債務の履行をし、又はその履行の請求をすることができる。

(商人間の留置権)
第五百二十一条  商人間においてその双方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は、その債権の弁済を受けるまで、その債務者との間における商行為によって自己の占有に属した債務者の所有する物又は有価証券を留置することができる。ただし、当事者の別段の意思表示があるときは、この限りでない。

(商事消滅時効)
第五百二十二条  商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、五年間行使しないときは、時効によって消滅する。ただし、他の法令に五年間より短い時効期間の定めがあるときは、その定めるところによる。

第五百二十三条  削除
   第二章 売買


(売主による目的物の供託及び競売)
第五百二十四条  商人間の売買において、買主がその目的物の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、売主は、その物を供託し、又は相当の期間を定めて催告をした後に競売に付することができる。この場合において、売主がその物を供託し、又は競売に付したときは、遅滞なく、買主に対してその旨の通知を発しなければならない。
2  損傷その他の事由による価格の低落のおそれがある物は、前項の催告をしないで競売に付することができる。
3  前二項の規定により売買の目的物を競売に付したときは、売主は、その代価を供託しなければならない。ただし、その代価の全部又は一部を代金に充当することを妨げない。

(定期売買の履行遅滞による解除)
第五百二十五条  商人間の売買において、売買の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、当事者の一方が履行をしないでその時期を経過したときは、相手方は、直ちにその履行の請求をした場合を除き、契約の解除をしたものとみなす。

(買主による目的物の検査及び通知)
第五百二十六条  商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
2  前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物に瑕疵があること又はその数量に不足があることを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その瑕疵又は数量の不足を理由として契約の解除又は代金減額若しくは損害賠償の請求をすることができない。売買の目的物に直ちに発見することのできない瑕疵がある場合において、買主が六箇月以内にその瑕疵を発見したときも、同様とする。
3  前項の規定は、売主がその瑕疵又は数量の不足につき悪意であった場合には、適用しない。

(買主による目的物の保管及び供託)
第五百二十七条  前条第一項に規定する場合においては、買主は、契約の解除をしたときであっても、売主の費用をもって売買の目的物を保管し、又は供託しなければならない。ただし、その物について滅失又は損傷のおそれがあるときは、裁判所の許可を得てその物を競売に付し、かつ、その代価を保管し、又は供託しなければならない。
2  前項ただし書の許可に係る事件は、同項の売買の目的物の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
3  第一項の規定により買主が売買の目的物を競売に付したときは、遅滞なく、売主に対してその旨の通知を発しなければならない。
4  前三項の規定は、売主及び買主の営業所(営業所がない場合にあっては、その住所)が同一の市町村の区域内にある場合には、適用しない。

第五百二十八条  前条の規定は、売主から買主に引き渡した物品が注文した物品と異なる場合における当該売主から買主に引き渡した物品及び売主から買主に引き渡した物品の数量が注文した数量を超過した場合における当該超過した部分の数量の物品について準用する。


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商法(商号・商業帳簿・商業使用人・代理商)


第四章 商号


(商号の選定)
第十一条  商人(会社及び外国会社を除く。以下この編において同じ。)は、その氏、氏名その他の名称をもってその商号とすることができる。
2  商人は、その商号の登記をすることができる。

(他の商人と誤認させる名称等の使用の禁止)
第十二条  何人も、不正の目的をもって、他の商人であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。
2  前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある商人は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

(過料)
第十三条  前条第一項の規定に違反した者は、百万円以下の過料に処する。

(自己の商号の使用を他人に許諾した商人の責任)
第十四条  自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人に許諾した商人は、当該商人が当該営業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。

(商号の譲渡)
第十五条  商人の商号は、営業とともにする場合又は営業を廃止する場合に限り、譲渡することができる。
2  前項の規定による商号の譲渡は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

(営業譲渡人の競業の禁止)
第十六条  営業を譲渡した商人(以下この章において「譲渡人」という。)は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村(東京都の特別区の存する区域及び地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項 の指定都市にあっては、区。以下同じ。)の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その営業を譲渡した日から二十年間は、同一の営業を行ってはならない。
2  譲渡人が同一の営業を行わない旨の特約をした場合には、その特約は、その営業を譲渡した日から三十年の期間内に限り、その効力を有する。
3  前二項の規定にかかわらず、譲渡人は、不正の競争の目的をもって同一の営業を行ってはならない。

(譲渡人の商号を使用した譲受人の責任等)
第十七条  営業を譲り受けた商人(以下この章において「譲受人」という。)が譲渡人の商号を引き続き使用する場合には、その譲受人も、譲渡人の営業によって生じた債務を弁済する責任を負う。
2  前項の規定は、営業を譲渡した後、遅滞なく、譲受人が譲渡人の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、適用しない。営業を譲渡した後、遅滞なく、譲受人及び譲渡人から第三者に対しその旨の通知をした場合において、その通知を受けた第三者についても、同様とする。
3  譲受人が第一項の規定により譲渡人の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡人の責任は、営業を譲渡した日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。
4  第一項に規定する場合において、譲渡人の営業によって生じた債権について、その譲受人にした弁済は、弁済者が善意でかつ重大な過失がないときは、その効力を有する。

(譲受人による債務の引受け)
第十八条  譲受人が譲渡人の商号を引き続き使用しない場合においても、譲渡人の営業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、譲渡人の債権者は、その譲受人に対して弁済の請求をすることができる。
2  譲受人が前項の規定により譲渡人の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡人の責任は、同項の広告があった日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。
   第五章 商業帳簿


第十九条  商人の会計は、一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うものとする。
2  商人は、その営業のために使用する財産について、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な商業帳簿(会計帳簿及び貸借対照表をいう。以下この条において同じ。)を作成しなければならない。
3  商人は、帳簿閉鎖の時から十年間、その商業帳簿及びその営業に関する重要な資料を保存しなければならない。
4  裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、商業帳簿の全部又は一部の提出を命ずることができる。
   第六章 商業使用人


(支配人)
第二十条  商人は、支配人を選任し、その営業所において、その営業を行わせることができる。

(支配人の代理権)
第二十一条  支配人は、商人に代わってその営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
2  支配人は、他の使用人を選任し、又は解任することができる。
3  支配人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

(支配人の登記)
第二十二条  商人が支配人を選任したときは、その登記をしなければならない。支配人の代理権の消滅についても、同様とする。

(支配人の競業の禁止)
第二十三条  支配人は、商人の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。
一  自ら営業を行うこと。
二  自己又は第三者のためにその商人の営業の部類に属する取引をすること。
三  他の商人又は会社若しくは外国会社の使用人となること。
四  会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となること。
2  支配人が前項の規定に違反して同項第二号に掲げる行為をしたときは、当該行為によって支配人又は第三者が得た利益の額は、商人に生じた損害の額と推定する。

(表見支配人)
第二十四条  商人の営業所の営業の主任者であることを示す名称を付した使用人は、当該営業所の営業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。

(ある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人)
第二十五条  商人の営業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人は、当該事項に関する一切の裁判外の行為をする権限を有する。
2  前項の使用人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

(物品の販売等を目的とする店舗の使用人)
第二十六条  物品の販売等(販売、賃貸その他これらに類する行為をいう。以下この条において同じ。)を目的とする店舗の使用人は、その店舗に在る物品の販売等をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。
   第七章 代理商


(通知義務)
第二十七条  代理商(商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないものをいう。以下この章において同じ。)は、取引の代理又は媒介をしたときは、遅滞なく、商人に対して、その旨の通知を発しなければならない。

(代理商の競業の禁止)
第二十八条  代理商は、商人の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。
一  自己又は第三者のためにその商人の営業の部類に属する取引をすること。
二  その商人の営業と同種の事業を行う会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となること。
2  代理商が前項の規定に違反して同項第一号に掲げる行為をしたときは、当該行為によって代理商又は第三者が得た利益の額は、商人に生じた損害の額と推定する。

(通知を受ける権限)
第二十九条  物品の販売又はその媒介の委託を受けた代理商は、第五百二十六条第二項の通知その他売買に関する通知を受ける権限を有する。

(契約の解除)
第三十条  商人及び代理商は、契約の期間を定めなかったときは、二箇月前までに予告し、その契約を解除することができる。
2  前項の規定にかかわらず、やむを得ない事由があるときは、商人及び代理商は、いつでもその契約を解除することができる。

(代理商の留置権)
第三十一条  代理商は、取引の代理又は媒介をしたことによって生じた債権の弁済期が到来しているときは、その弁済を受けるまでは、商人のために当該代理商が占有する物又は有価証券を留置することができる。ただし、当事者が別段の意思表示をしたときは、この限りでない。
   第八章 雑則


第三十二条  この法律の規定により署名すべき場合には、記名押印をもって、署名に代えることができる。


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商法(通則・商人・商業登記)


第一編 総則
   第一章 通則


(趣旨等)
第一条  商人の営業、商行為その他商事については、他の法律に特別の定めがあるものを除くほか、この法律の定めるところによる。
2  商事に関し、この法律に定めがない事項については商慣習に従い、商慣習がないときは、民法 (明治二十九年法律第八十九号)の定めるところによる。

(公法人の商行為)
第二条  公法人が行う商行為については、法令に別段の定めがある場合を除き、この法律の定めるところによる。

(一方的商行為)
第三条  当事者の一方のために商行為となる行為については、この法律をその双方に適用する。
2  当事者の一方が二人以上ある場合において、その一人のために商行為となる行為については、この法律をその全員に適用する。
   第二章 商人


(定義)
第四条  この法律において「商人」とは、自己の名をもって商行為をすることを業とする者をいう。
2  店舗その他これに類似する設備によって物品を販売することを業とする者又は鉱業を営む者は、商行為を行うことを業としない者であっても、これを商人とみなす。

(未成年者登記)
第五条  未成年者が前条の営業を行うときは、その登記をしなければならない。

(後見人登記)
第六条  後見人が被後見人のために第四条の営業を行うときは、その登記をしなければならない。
2  後見人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

(小商人)
第七条  第五条、前条、次章、第十一条第二項、第十五条第二項、第十七条第二項前段、第五章及び第二十二条の規定は、小商人(商人のうち、法務省令で定めるその営業のために使用する財産の価額が法務省令で定める金額を超えないものをいう。)については、適用しない。
   第三章 商業登記


(通則)
第八条  この編の規定により登記すべき事項は、当事者の申請により、商業登記法 (昭和三十八年法律第百二十五号)の定めるところに従い、商業登記簿にこれを登記する。

(登記の効力)
第九条  この編の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない。登記の後であっても、第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときは、同様とする。
2  故意又は過失によって不実の事項を登記した者は、その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない。

(変更の登記及び消滅の登記)
第十条  この編の規定により登記した事項に変更が生じ、又はその事項が消滅したときは、当事者は、遅滞なく、変更の登記又は消滅の登記をしなければならない。


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小切手法(複本・変造・時効・支払保証・通則)


   第七章 複本


第四十八条  一国ニ於テ振出シ他ノ国ニ於テ若ハ振出国ノ海外領土ニ於テ支払フベキ小切手、一国ノ海外領土ニ於テ振出シ其ノ国ニ於テ支払フベキ小切手、一国ノ同一海外領土ニ於テ振出シ且支払フベキ小切手又ハ一国ノ一海外領土ニ於テ振出シ其ノ国ノ他ノ海外領土ニ於テ支払フベキ小切手ハ持参人払ノモノヲ除クノ外同一内容ノ数通ヲ以テ之ヲ振出スコトヲ得数通ヲ以テ小切手ヲ振出シタルトキハ其ノ証券ノ文言中ニ番号ヲ附スルコトヲ要ス之ヲ欠クトキハ各通ハ之ヲ各別ノ小切手ト看做ス

第四十九条  複本ノ一通ノ支払ハ其ノ支払ガ他ノ複本ヲ無効ナラシムル旨ノ記載ナキトキト雖モ義務ヲ免レシム
○2 数人ニ各別ニ複本ヲ譲渡シタル裏書人及其ノ後ノ裏書人ハ其ノ署名アル各通ニシテ返還ヲ受ケザルモノニ付責任ヲ負フ
   第八章 変造


第五十条  小切手ノ文言ノ変造ノ場合ニ於テハ其ノ変造後ノ署名者ハ変造シタル文言ニ従ヒテ責任ヲ負ヒ変造前ノ署名者ハ原文言ニ従ヒテ責任ヲ負フ
   第九章 時効


第五十一条  所持人ノ裏書人、振出人其ノ他ノ債務者ニ対スル遡求権ハ呈示期間経過後六月ヲ以テ時効ニ罹ル
○2 小切手ノ支払ヲ為スベキ債務者ノ他ノ債務者ニ対スル遡求権ハ其ノ債務者ガ小切手ノ受戻ヲ為シタル日又ハ其ノ者ガ訴ヲ受ケタル日ヨリ六月ヲ以テ時効ニ罹ル

第五十二条  時効ノ中断ハ其ノ中断ノ事由ガ生ジタル者ニ対シテノミ其ノ効力ヲ生ズ
   第十章 支払保証


第五十三条  支払人ハ小切手ニ支払保証ヲ為スコトヲ得
○2 支払保証ハ小切手ノ表面ニ「支払保証」其ノ他支払ヲ為ス旨ノ文字ヲ以テ表示シ日附ヲ附シテ支払人署名スベシ

第五十四条  支払保証ハ単純ナルコトヲ要ス
○2 支払保証ニ依リ小切手ノ記載事項ニ加ヘタル変更ハ之ヲ記載セザルモノト看做ス

第五十五条  支払保証ヲ為シタル支払人ハ呈示期間ノ経過前ニ小切手ノ呈示アリタル場合ニ於テノミ其ノ支払ヲ為ス義務ヲ負フ
○2 支払ナキ場合ニ於テ前項ノ呈示アリタルコトハ第三十九条ノ規定ニ依リ之ヲ証明スルコトヲ要ス
○3 第四十四条及第四十五条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス

第五十六条  支払保証ニ因リ振出人其ノ他ノ小切手上ノ債務者ハ其ノ責ヲ免ルルコトナシ

第五十七条  第四十七条ノ規定ハ支払保証ヲ為シタル支払人ニ対スル権利ノ行使ニ付之ヲ準用ス

第五十八条  支払保証ヲ為シタル支払人ニ対スル小切手上ノ請求権ハ呈示期間経過後一年ヲ以テ時効ニ罹ル
   第十一章 通則


第五十九条  本法ニ於テ「銀行」ナル文字ハ法令ニ依リテ銀行ト同視セラルル人又ハ施設ヲ含ム

第六十条  小切手ノ呈示及拒絶証書ノ作成ハ取引日ニ於テノミ之ヲ為スコトヲ得
○2 小切手ニ関スル行為ヲ為ス為殊ニ呈示又ハ拒絶証書若ハ之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言ノ作成ノ為法令ニ規定シタル期間ノ末日ガ法定ノ休日ニ当ル場合ニ於テハ期間ハ其ノ満了ニ次グ第一ノ取引日迄之ヲ伸長ス期間中ノ休日ハ之ヲ期間ニ算入ス

第六十一条  本法ニ規定スル期間ニハ其ノ初日ヲ算入セズ

第六十二条  恩恵日ハ法律上ノモノタルト裁判上ノモノタルトヲ問ハズ之ヲ認メズ


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小切手法(線引小切手・遡求)



   第五章 線引小切手


第三十七条  小切手ノ振出人又ハ所持人ハ小切手ニ線引ヲ為スコトヲ得線引ハ次条ニ定ムル効力ヲ有ス
○2 線引ハ小切手ノ表面ニ二条ノ平行線ヲ引キテ之ヲ為スベシ線引ハ一般又ハ特定タルコトヲ得
○3 二条ノ線内ニ何等ノ指定ヲ為サザルカ又ハ「銀行」若ハ之ト同一ノ意義ヲ有スル文字ヲ記載シタルトキハ線引ハ之ヲ一般トス二条ノ線内ニ銀行ノ名称ヲ記載シタルトキハ線引ハ之ヲ特定トス
○4 一般線引ハ之ヲ特定線引ニ変更スルコトヲ得ルモ特定線引ハ之ヲ一般線引ニ変更スルコトヲ得ズ
○5 線引又ハ被指定銀行ノ名称ノ抹消ハ之ヲ為サザルモノト看做ス

第三十八条  一般線引小切手ハ支払人ニ於テ銀行ニ対シ又ハ支払人ノ取引先ニ対シテノミ之ヲ支払フコトヲ得
○2 特定線引小切手ハ支払人ニ於テ被指定銀行ニ対シテノミ又被指定銀行ガ支払人ナルトキハ自己ノ取引先ニ対シテノミ之ヲ支払フコトヲ得但シ被指定銀行ハ他ノ銀行ヲシテ小切手ノ取立ヲ為サシムルコトヲ得
○3 銀行ハ自己ノ取引先又ハ他ノ銀行ヨリノミ線引小切手ヲ取得スルコトヲ得銀行ハ此等ノ者以外ノ者ノ為ニ線引小切手ノ取立ヲ為スコトヲ得ズ
○4 数箇ノ特定線引アル小切手ハ支払人ニ於テ之ヲ支払フコトヲ得ズ但シ二箇ノ線引アル場合ニ於テ其ノ一ガ手形交換所ニ於ケル取立ノ為ニ為サレタルモノナルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○5 前四項ノ規定ヲ遵守セザル支払人又ハ銀行ハ之ガ為ニ生ジタル損害ニ付小切手ノ金額ニ達スル迄賠償ノ責ニ任ズ
   第六章 支払拒絶ニ因ル遡求


第三十九条  適法ノ時期ニ呈示シタル小切手ノ支払ナキ場合ニ於テ左ノ何レカニ依リ支払拒絶ヲ証明スルトキハ所持人ハ裏書人、振出人其ノ他ノ債務者ニ対シ其ノ遡求権ヲ行フコトヲ得
一  公正証書(拒絶証書)
二  小切手ニ呈示ノ日ヲ表示シテ記載シ且日附ヲ附シタル支払人ノ宣言
三  適法ノ時期ニ小切手ヲ呈示シタルモ其ノ支払ナカリシ旨ヲ証明シ且日附ヲ附シタル手形交換所ノ宣言

第四十条  拒絶証書又ハ之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言ハ呈示期間経過前ニ之ヲ作ラシムルコトヲ要ス
○2 期間ノ末日ニ呈示アリタルトキハ拒絶証書又ハ之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言ハ之ニ次グ第一ノ取引日ニ之ヲ作ラシムルコトヲ得

第四十一条  所持人ハ拒絶証書又ハ之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言ノ作成ノ日ニ次グ又ハ無費用償還文句アル場合ニ於テハ呈示ノ日ニ次グ四取引日内ニ自己ノ裏書人及振出人ニ対シ支払拒絶アリタルコトヲ通知スルコトヲ要ス各裏書人ハ通知ヲ受ケタル日ニ次グ二取引日内ニ前ノ通知者全員ノ名称及宛所ヲ示シテ自己ノ受ケタル通知ヲ自己ノ裏書人ニ通知シ順次振出人ニ及ブモノトス此ノ期間ハ各其ノ通知ヲ受ケタル時ヨリ進行ス
○2 前項ノ規定ニ従ヒ小切手ノ署名者ニ通知ヲ為ストキハ同一期間内ニ其ノ保証人ニ同一ノ通知ヲ為スコトヲ要ス
○3 裏書人ガ其ノ宛所ヲ記載セズ又ハ其ノ記載ガ読ミ難キ場合ニ於テハ其ノ裏書人ノ直接ノ前者ニ通知スルヲ以テ足ル
○4 通知ヲ為スベキ者ハ如何ナル方法ニ依リテモ之ヲ為スコトヲ得単ニ小切手ヲ返付スルニ依リテモ亦之ヲ為スコトヲ得
○5 通知ヲ為スベキ者ハ適法ノ期間内ニ通知ヲ為シタルコトヲ証明スルコトヲ要ス此ノ期間内ニ通知ヲ為ス書面ヲ郵便ニ付シ又ハ民間事業者による信書の送達に関する法律 (平成十四年法律第九十九号)第二条第六項 ニ規定スル一般信書便事業者若ハ同条第九項 ニ規定スル特定信書便事業者ノ提供スル同条 第二頂ニ規定スル信書便ノ役務ヲ利用シテ発送シタル場合ニ於テハ其ノ期間ヲ遵守シタルモノト看做ス
○6 前項ノ期間内ニ通知ヲ為サザル者ハ其ノ権利ヲ失フコトナシ但シ過失ニ因リテ生ジタル損害アルトキハ小切手ノ金額ヲ超エザル範囲内ニ於テ其ノ賠償ノ責ニ任ズ

第四十二条  振出人、裏書人又ハ保証人ハ証券ニ記載シ且署名シタル「無費用償還」、「拒絶証書不要」ノ文句其ノ他之ト同一ノ意義ヲ有スル文言ニ依リ所持人ニ対シ其ノ遡求権ヲ行フ為ノ拒絶証書又ハ之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言ノ作成ヲ免除スルコトヲ得
○2 前項ノ文言ハ所持人ニ対シ法定期間内ニ於ケル小切手ノ呈示及通知ノ義務ヲ免除スルコトナシ期間ノ不遵守ハ所持人ニ対シ之ヲ援用スル者ニ於テ其ノ証明ヲ為スコトヲ要ス
○3 振出人ガ第一項ノ文言ヲ記載シタルトキハ一切ノ署名者ニ対シ其ノ効力ヲ生ズ裏書人又ハ保証人ガ之ヲ記載シタルトキハ其ノ裏書人又ハ保証人ニ対シテノミ其ノ効力ヲ生ズ振出人ガ此ノ文言ヲ記載シタルニ拘ラズ所持人ガ拒絶証書又ハ之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言ヲ作ラシメタルトキハ其ノ費用ハ所持人之ヲ負担ス裏書人又ハ保証人ガ此ノ文言ヲ記載シタル場合ニ於テ拒絶証書又ハ之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言ノ作成アリタルトキハ一切ノ署名者ヲシテ其ノ費用ヲ償還セシムルコトヲ得

第四十三条  小切手上ノ各債務者ハ所持人ニ対シ合同シテ其ノ責ニ任ズ
○2 所持人ハ前項ノ債務者ニ対シ其ノ債務ヲ負ヒタル順序ニ拘ラズ各別又ハ共同ニ請求ヲ為スコトヲ得
○3 小切手ノ署名者ニシテ之ヲ受戻シタルモノモ同一ノ権利ヲ有ス
○4 債務者ノ一人ニ対スル請求ハ他ノ債務者ニ対スル請求ヲ妨ゲズ既ニ請求ヲ受ケタル者ノ後者ニ対シテモ亦同ジ

第四十四条  所持人ハ遡求ヲ受クル者ニ対シ左ノ金額ヲ請求スルコトヲ得
一  支払アラザリシ小切手ノ金額
二  年六分ノ率ニ依ル呈示ノ日以後ノ利息
三  拒絶証書又ハ之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言ノ費用、通知ノ費用及其ノ他ノ費用

第四十五条  小切手ヲ受戻シタル者ハ其ノ前者ニ対シ左ノ金額ヲ請求スルコトヲ得
一  其ノ支払ヒタル総金額
二  前号ノ金額ニ対シ年六分ノ率ニ依リ計算シタル支払ノ日以後ノ利息
三  其ノ支出シタル費用

第四十六条  遡求ヲ受ケタル又ハ受クベキ債務者ハ支払ト引換ニ拒絶証書又ハ之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言、受取ヲ証スル記載ヲ為シタル計算書及小切手ノ交付ヲ請求スルコトヲ得
○2 小切手ヲ受戻シタル裏書人ハ自己及後者ノ裏書ヲ抹消スルコトヲ得

第四十七条  法定ノ期間内ニ於ケル小切手ノ呈示又ハ拒絶証書若ハ之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言ノ作成ガ避クベカラザル障碍(国ノ法令ニ依ル禁制其ノ他ノ不可抗力)ニ因リテ妨ゲラレタルトキハ其ノ期間ヲ伸長ス
○2 所持人ハ自己ノ裏書人ニ対シ遅滞ナク其ノ不可抗力ヲ通知シ且小切手又ハ補箋ニ其ノ通知ヲ記載シ日附ヲ附シテ之ニ署名スルコトヲ要ス其ノ他ニ付テハ第四十一条ノ規定ヲ準用ス
○3 不可抗力ガ止ミタルトキハ所持人ハ遅滞ナク支払ノ為小切手ヲ呈示シ且必要アルトキハ拒絶証書又ハ之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言ヲ作ラシムルコトヲ要ス
○4 不可抗力ガ所持人ニ於テ其ノ裏書人ニ不可抗力ノ通知ヲ為シタル日ヨリ十五日ヲ超エテ継続スルトキハ呈示期間経過前ニ其ノ通知ヲ為シタル場合ト雖モ呈示又ハ拒絶証書若ハ之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言ヲ要セズシテ遡求権ヲ行フコトヲ得
○5 所持人又ハ所持人ガ小切手ノ呈示又ハ拒絶証書若ハ之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言ノ作成ヲ委任シタル者ニ付テノ単純ナル人的事由ハ不可抗力ヲ構成スルモノト認メズ


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小切手法(保証・支払)


   第三章 保証


第二十五条  小切手ノ支払ハ其ノ金額ノ全部又ハ一部ニ付保証ニ依リ之ヲ担保スルコトヲ得
○2 支払人ヲ除クノ外第三者ハ前項ノ保証ヲ為スコトヲ得小切手ニ署名シタル者ト雖モ亦同ジ

第二十六条  保証ハ小切手又ハ補箋ニ之ヲ為スベシ
○2 保証ハ「保証」其ノ他之ト同一ノ意義ヲ有スル文字ヲ以テ表示シ保証人署名スベシ
○3 小切手ノ表面ニ為シタル単ナル署名ハ之ヲ保証ト看做ス但シ振出人ノ署名ハ此ノ限ニ在ラズ
○4 保証ニハ何人ノ為ニ之ヲ為スカヲ表示スルコトヲ要ス其ノ表示ナキトキハ振出人ノ為ニ之ヲ為シタルモノト看做ス

第二十七条  保証人ハ保証セラレタル者ト同一ノ責任ヲ負フ
○2 保証ハ其ノ担保シタル債務ガ方式ノ瑕疵ヲ除キ他ノ如何ナル事由ニ因リテ無効ナルトキト雖モ之ヲ有効トス
○3 保証人ガ小切手ノ支払ヲ為シタルトキハ保証セラレタル者及其ノ者ノ小切手上ノ債務者ニ対シ小切手ヨリ生ズル権利ヲ取得ス
   第四章 呈示及支払


第二十八条  小切手ハ一覧払ノモノトス之ニ反スル一切ノ記載ハ之ヲ為サザルモノト看做ス
○2 振出ノ日附トシテ記載シタル日ヨリ前ニ支払ノ為呈示シタル小切手ハ呈示ノ日ニ於テ之ヲ支払フベキモノトス

第二十九条  国内ニ於テ振出シ且支払フベキ小切手ハ十日内ニ支払ノ為之ヲ呈示スルコトヲ要ス
○2 支払ヲ為スベキ国ト異ル国ニ於テ振出シタル小切手ハ振出地及支払地ガ同一洲ニ存スルトキハ二十日内又異ル洲ニ存スルトキハ七十日内ニ之ヲ呈示スルコトヲ要ス
○3 前項ニ関シテハ欧羅巴洲ノ一国ニ於テ振出シ地中海沿岸ノ一国ニ於テ支払フベキ小切手又ハ地中海沿岸ノ一国ニ於テ振出シ欧羅巴洲ノ一国ニ於テ支払フベキ小切手ハ同一洲内ニ於テ振出シ且支払フベキモノト看做ス
○4 本条ニ掲グル期間ノ起算日ハ小切手ニ振出ノ日附トシテ記載シタル日トス

第三十条  小切手ガ暦ヲ異ニスル二地ノ間ニ振出シタルモノナルトキハ振出ノ日ヲ支払地ノ暦ノ応当日ニ換フ

第三十一条  手形交換所ニ於ケル小切手ノ呈示ハ支払ノ為ノ呈示タル効力ヲ有ス

第三十二条  小切手ノ支払委託ノ取消ハ呈示期間経過後ニ於テノミ其ノ効力ヲ生ズ
○2 支払委託ノ取消ナキトキハ支払人ハ期間経過後ト雖モ支払ヲ為スコトヲ得

第三十三条  振出ノ後振出人ガ死亡シ又ハ行為能力ヲ失フモ小切手ノ効力ニ影響ヲ及ボスコトナシ

第三十四条  小切手ノ支払人ハ支払ヲ為スニ当リ所持人ニ対シ小切手ニ受取ヲ証スル記載ヲ為シテ之ヲ交付スベキコトヲ請求スルコトヲ得
○2 所持人ハ一部支払ヲ拒ムコトヲ得ズ
○3 一部支払ノ場合ニ於テハ支払人ハ其ノ支払アリタル旨ノ小切手上ノ記載及受取証書ノ交付ヲ請求スルコトヲ得

第三十五条  裏書シ得ベキ小切手ノ支払ヲ為ス支払人ハ裏書ノ連続ノ整否ヲ調査スル義務アルモ裏書人ノ署名ヲ調査スル義務ナシ

第三十六条  支払地ノ通貨ニ非ザル通貨ヲ以テ支払フベキ旨ヲ記載シタル小切手ニ付テハ其ノ呈示期間内ハ支払ノ日ニ於ケル価格ニ依リ其ノ国ノ通貨ヲ以テ支払ヲ為スコトヲ得呈示ヲ為スモ支払ナカリシトキハ所持人ハ其ノ選択ニ依リ呈示ノ日又ハ支払ノ日ノ相場ニ従ヒ其ノ国ノ通貨ヲ以テ小切手ノ金額ヲ支払フベキコトヲ請求スルコトヲ得
○2 外国通貨ノ価格ハ支払地ノ慣習ニ依リ之ヲ定ム但シ振出人ハ小切手ニ定メタル換算率ニ依リ支払金額ヲ計算スベキ旨ヲ記載スルコトヲ得
○3 前二項ノ規定ハ振出人ガ特種ノ通貨ヲ以テ支払フベキ旨(外国通貨現実支払文句)ヲ記載シタル場合ニハ之ヲ適用セズ
○4 振出国ト支払国トニ於テ同名異価ヲ有スル通貨ニ依リ小切手ノ金額ヲ定メタルトキハ支払地ノ通貨ニ依リテ之ヲ定メタルモノト推定ス


posted by FLS at 08:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 民事系の条文集
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